【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)における国内経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が5類感染症に移行するなど、社会経済活動の正常化がより一層進みました。個人消費については、国内外からの旅行者数の増加などを背景にサービス消費を中心に持ち直しの傾向がみられました。一方でウクライナ情勢や為替相場変動の影響により、資源・エネルギー・食料品価格が高騰するなど経済情勢の先行きは不透明な状況が続いております。このような環境の中当社グループは、長期に目指す姿である「お客さまの暮らしを豊かにする“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向けて、中期経営計画(2022年度~2024年度)に着実に取り組んでおります。2023年度の営業利益については、株式会社三越伊勢丹ホールディングス発足後の最高益となる380億円を見込んでおり、当第1四半期連結累計期間においては、計画を上回って順調に推移いたしました。国内百貨店においては、首都圏店舗を中心に大幅な増収増益となりグループ収益を牽引したほか、地域店舗についても、収支構造改革の進展などにより大幅に収益改善いたしました。顧客基盤の拡大に向けた取り組みについては、識別顧客数の増加やエムアイカード会員顧客の購買単価が向上したことにより、識別顧客売上高が順調に拡大いたしました。またグループ関係会社についても、収支構造改革の取り組みの推進やコロナの5類感染症移行によるサービス消費の需要回復などを受け前年から大幅な増収増益となりました。この結果、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は118,680百万円(前年同四半期比16.8%増)、営業利益は8,654百万円(前年同四半期比118.3%増)、経常利益は10,101百万円(前年同四半期比123.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,805百万円(前年同四半期比20.4%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。①百貨店業国内百貨店におきましては、コロナの5類感染症移行に伴う外出需要の拡大、国内旅行者や訪日外国人観光客の増加などにより、首都圏店舗を中心に入店客数が伸長し増収増益となりました。伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店では、気温上昇もあり夏物衣料が好調だったほか、化粧品・宝飾など幅広いアイテムでの売上が大幅に伸長いたしました。特に、伊勢丹新宿本店においては外商顧客売上高の増加等により、第1四半期連結累計期間として過去最高の売上を更新したほか、三越日本橋本店についても三越創業350周年大創業祭の開催などにより売上は計画を上回って順調に拡大いたしました。免税売上高については、ラグジュアリーブランドのハンドバック・宝飾など高額品が好調となり全店舗において前年から大幅に伸長いたしました。6月単月としては、国内百貨店計で2018年度実績を超えたほか、当第1四半期累計期間においても2018年度実績並みにまで回復いたしました。海外事業につきましては、一部エリアにおいては消費トレンドが落ち着きつつあるものの、アセアン店舗計は好調に推移し増収増益となりました。 このセグメントにおける売上高は98,995百万円(前年同四半期比7.9%増)、営業利益は6,702百万円(前年同四半期比244.7%増)となりました。
②クレジット・金融・友の会業クレジット・金融・友の会業におきましては、利便性の向上や金融サービスの拡充等を推進することにより、顧客基盤の拡大に取り組んでおります。株式会社エムアイカードでは、収益拡大基調にあるグループ百貨店でのクレジットカード取扱高の伸長に加えて、航空・旅行・飲食領域を中心にグループ外での利用が拡大しました。また、委託業務の内製化等のコスト最適化を進めたことにより増収増益となりました。 このセグメントにおける売上高は7,808百万円(前年同四半期比6.0%増)、営業利益は1,106百万円(前年同四半期比3.2%増)となりました。
③不動産業不動産業におきましては、グループが保有する国内外の不動産を最大源に活用し新たな価値創出に向けた取り組みを進めておりますが、保有物件におけるテナントの入れ替え等により賃料収入が減収となりました。株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインでは、高品質な内装や家具製作を強みとする建装事業の強化に取り組んでおります。付加価値の高い提案営業により、ホテル・オフィス・商業施設などからの受注が増加したことにより前年から大幅な増収となりました。このセグメントにおける売上高は4,991百万円(前年同四半期比16.1%増)、営業利益は487百万円(前年同四半期比53.6%減)となりました。
④その他広告業の株式会社スタジオアルタでは、主力事業の屋外広告事業が堅調に推移いたしました。また、グループ百貨店のデジタルサイネージや懸垂幕等の広告営業を統合した効果により大幅な増収増益となりました。旅行業の株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベルでは、三越創業350周年における国内・海外旅行企画が好調に推移したほか、海外募集型企画旅行において当社独自の欧州リバークルーズが再開したことなどにより、大幅な増収となりました。株式会社エムアイフードスタイルでは、独自性の高いプライベートブランドを中心とする高品質な食品スーパーマーケットである「クイーンズ伊勢丹」を17店舗運営しております。新規出店として2023年10月に「クイーンズ伊勢丹 新小岩店」のオープンを予定しております。今後も、お客さまの暮らしを豊かにする上質なライフスタイルの提供を目指してまいります。なお、株式会社エムアイフードスタイルは株式の追加取得により、前第1四半期連結会計期間末から連結の範囲に含めております。このセグメントにおける売上高は20,042百万円(前年同四半期比96.9%増)、営業利益は268百万円(前年同四半期は営業損失168百万円)となりました。
(2) 財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末の総資産は1,211,363百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,944百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が減少したことなどによるものです。負債合計では651,134百万円となり、前連結会計年度末から13,653百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が減少したことなどによるものです。また、純資産は560,228百万円となり、前連結会計年度末から7,709百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したこと及びその他有価証券評価差額金が増加したことなどによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。
(5) 従業員数
該当事項はありません。