【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況 当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)における国内経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」)による行動制限の解除に伴い、社会経済活動の正常化が進み、回復基調で推移いたしました。一方で世界経済は、資源価格や原材料価格の高騰、高インフレによる物価上昇、急激な為替変動等、先行きが不透明な状況が続いております。 このような事業環境のなか、中期経営計画(2022年度~2024年度)の初年度となる本年度は、「再生」の確度を高め、「結実」を見越した「展開」を仕込み始める1年として位置づけ、「百貨店の再生」を期初計画よりも前倒しで進め、更なる業績の拡大に取り組むとともに、2024年度には、統合後の過去最高益となる営業利益348億円を超える利益水準の達成を目指してまいります。 「高感度上質戦略」の取り組みでは、(個人)外商改革において、お客さまの幅広いニーズにお応えするための外商セールスネットワークとダイレクトマーケティングによる提案営業を強化したことで、輸入車や不動産等の百貨店外MD売上が拡大し、個人外商グループ取扱高は、前年実績、計画ともに上回りました。また、日本在住及び訪日される外国人顧客への対応強化に向けた専任組織として、外商統括部に「海外顧客担当」を設置いたしました。 「個客とつながるCRM戦略」の取り組みでは、「つながる個客」の数の拡大に向けた取り組みを推進いたしました。特に、三越伊勢丹アプリ会員数は、前年実績、計画ともに大幅に上回り、識別顧客数の拡大を牽引いたしました。また、識別顧客売上高については、年間100万円以上購買エムアイカード会員売上高が、前年実績、計画ともに上回り、好調に推移いたしました。 「連邦戦略」の取り組みでは、グループ企業間の連携強化による内製化が計画通り順調に拡大いたしました。また、グループコンテンツを外部企業に向けて販売するBtoB外販については、全社部門での連携が進み、売上高、新規法人顧客獲得が計画を上回って推移したほか、グループ子会社のリソースを組み合わせたパッケージ提案等による収益機会の拡大にも着手いたしました。 「三越・伊勢丹のまち化」の取り組みでは、より多くのお客さまに、「来街・滞在・回遊・居住」していただくための複合用途を提供することにより、インフラづくりから得られるビジネス機会にグループ連邦で参画することを目指してまいります。 「収支構造改革」の取り組みでは、国内百貨店事業において、固定費の削減で損益分岐点売上高を引き下げたことにより、不確実性が高い事業環境においても利益を創出しやすい収益構造への変革を進めてまいりました。今後も、売上高の回復と、損益分岐点コントロールの継続により、更なる営業利益の拡大を目指してまいります。 サステナビリティの取り組みでは、環境や人権に配慮したサプライチェーンマネジメントの実践に向け、お取組先との対話活動を実施した他、「パートナーシップ構築宣言」への賛同を公表いたしました。また、百貨店業を通じたサステナビリティ活動である「think good」キャンペーンでは、「デニムdeミライ」プロジェクトが、毎日新聞社主催の「毎日ファッション大賞」の話題賞を受賞いたしました。 資源抑制に向けた取り組みでは、プラスチック資源循環の「POOL PROJECT TOKYO」へ参画し、温室効果ガス削減の取り組みにおいては、三越伊勢丹物流センターにてPPAモデル自家消費型太陽光発電設備の導入工事を開始いたしました。 そのほかの取り組みとしては、三越伊勢丹グループが目指す姿である「お客さまの暮らしを豊かにする“特別”な百貨店を中心とした小売グループ」に向けて、行動変容につながり、戦略の実効性を高めるための企業理念体系の再整理を進めております。部門横断での対話活動や全社員アンケート、経営層プロジェクト活動等、グループ社員全員参加で企業理念体系の再整理に取り組んでまいります。この結果、当第2四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は222,874百万円(前年同四半期比18.6%増)、営業利益は8,940百万円(前年同四半期は営業損失7,758百万円)、経常利益は9,537百万円(前年同四半期は経常損失7,114百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7,766百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失8,136百万円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。①百貨店業 国内百貨店においては、コロナによる行動制限の解除等に伴い、入店客数、買上客数が大幅に回復し、売上高は前年実績、計画ともに上回って推移いたしました。また、首都圏店舗を中心に、ラグジュアリーブランド、宝飾・時計等の高額品が好調に推移したこと等により、お客さま一人当たりの購買単価についてはコロナ以前の2018年度水準を上回りました。 伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店の両本店では、コロナ以前に実施したリモデルも寄与し、ラグジュアリーブランド、宝飾・時計が好調なほか、特別なイベントやおもてなしを行う「丹青会」、「逸品会」の売上高が過去最高となりました。 「高感度上質戦略」の取り組みでは、両本店を中心にリアル店舗の魅力を活かした上質コンテンツを開発し、特別な体験イベントや空間づくりを行い、感動体験の提供に取り組みました。また、デジタルツールや拠点ネットワークを活用し、地域百貨店の外商顧客等への特別な購買体験の拡充を進めており、半年に1回、東京で開催される「丹青会」、「逸品会」へのご来店につなげてまいります。 「個客とつながるCRM戦略」の取り組みでは、「個客へのマーケティング」に向けて、識別顧客拡大の取り組みを推進したことにより、識別顧客会員数、識別顧客売上高ともに順調に拡大いたしました。 オンライン売上については、百貨店店舗の売上回復が鮮明になったことの影響が見られるものの、概ね堅調に推移いたしました。特に、化粧品ECサイトの「meeco(ミーコ)」、リモートショッピングやタブレット等のデジタルツールを活用したオンライン売上については、前年実績、計画ともに上回りました。 海外百貨店におきましては、上海でのロックダウン等、中国店舗においては依然厳しい営業状況が続きました。一方で、アセアン店舗については、コロナ規制の大半が撤廃され、人の往来が再開したことにより来店客数が大幅に回復し、売上、営業利益ともに前年実績、計画を大きく上回り好調に推移いたしました。
このセグメントにおける売上高は193,903百万円(前年同四半期比16.5%増)、営業利益は5,133百万円(前年同四半期は営業損失12,636百万円)となりました。
②クレジット・金融・友の会業 クレジット・金融・友の会業におきましては、当社グループ顧客への金融付帯サービスの拡充、金融商品の提案強化を進めるとともに、外部企業とのアライアンス等による、更なる顧客基盤の拡大に取り組んでおります。 株式会社エムアイカードは、消費活動の活発化によりクレジットカード取扱高が前年実績を上回りました。特に、旅行や飲食領域等での利用が回復し、百貨店外での取扱高については、コロナ以前の2018年度水準を上回りました。今後も、クレジットカード会員の新規獲得と利用促進に取り組み、より一層の収益拡大を目指してまいります。
このセグメントにおける売上高は14,726百万円(前年同四半期比1.7%増)、営業利益は1,721百万円(前年同四半期比34.0%減)となりました。 ③不動産業
不動産業におきましては、グループが保有する国内外の不動産を最大限に活用し、新たな価値創出に向け、検討を進めております。 株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインは、主要事業の建装事業において、コロナ禍で工事延期となっていた案件の完工増加や新規受注の拡大等により、前年実績に対し増収となりました。このセグメントにおける売上高は9,055百万円(前年同四半期比22.4%増)、営業利益は2,108百万円(前年同四半期比15.5%減)となりました。
④その他 株式会社三越伊勢丹ビジネス・サポートでは、グループ内事業において、百貨店売上が順調に回復したことにより、ギフト商品等の配送・梱包業務、店頭商品の荷受・館内搬送業務の売上高が前年実績を上回りました。グループ外事業については、既存クライアントからのスポット業務が増加したほか、新規クライアントの獲得が順調に推移いたしました。 株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベルでは、海外旅行事業において、2022年7月より、約2年4ヶ月ぶりに海外募集型企画旅行を再開いたしましたが、本格回復には至っておらず、厳しい状況が続いております。一方で、国内旅行事業については、外商顧客を中心に、高単価の個人旅行の受注が堅調に推移する等、厳しい事業環境ながらも業績は大きく改善いたしました。 株式会社スタジオアルタでは、人流回復に伴う広告需要の拡大により、アルタビジョンを主力とする広告事業が堅調に推移したほか、事業構造改革も寄与し営業黒字に転換いたしました。 株式会社三越伊勢丹ギフト・ソリューションズでは、グループ百貨店の来店客数の回復等によりカタログギフトが好調に推移したことに加え、経費コントロールを継続したことで、営業利益は前年実績、計画ともに上回りました。 株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、2022年6月に、持分法適用関連会社である株式会社エムアイフードスタイルの株式を再取得し、子会社化いたしました。今後は、三越伊勢丹グループの高感度上質拠点ネットワークとして、お客さまの暮らしを豊かにする上質なライフスタイルの提供を目指してまいります。
このセグメントにおける売上高は31,912百万円(前年同四半期比30.1%増)、営業損失は171百万円(前年同四半期は営業損失313百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況当第2四半期連結会計期間末の総資産は1,187,045百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,470百万円増加しました。これは主に、株式会社エムアイフードスタイルの株式を追加取得し、連結の範囲に含めたことなどによるものです。 負債合計では653,795百万円となり、前連結会計年度末から2,881百万円増加しました。これは主に、未払法人税等が増加したことなどによるものです。 また、純資産は533,250百万円となり、前連結会計年度末から15,589百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したこと及び為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、23,073百万円の収入となり、前第2四半期連結累計期間に比べ、収入が18,191百万円増加しました。これは主に、売上高の増加及び収支構造改革等により、税金等調整前四半期純利益(前第2四半期連結累計期間は税金等調整前四半期純損失7,542百万円)が増加したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、18,486百万円の支出となり、前第2四半期連結累計期間に比べ、支出が7,219百万円増加しました。これは主に、株式会社エムアイフードスタイルの株式を追加取得したことによる支出があったことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,289百万円の支出となり、前第2四半期連結累計期間に比べ、支出が1,278百万円減少しました。これは主に、有利子負債の削減額が前年に対し減少したことなどによるものです。上記の結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、3,226百万円増加し、87,699百万円となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。
(6) 従業員数該当事項はありません。