【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営者の視点による当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況及び分析当第2四半期累計期間の国内株式市場は、期首に28,200円台で取引を開始した日経平均株価が、日銀による金融緩和策維持の決定や、東京証券取引所が進めるPBR1倍割れ企業への改善要求に対する期待等から堅調に推移しました。5月には景気減速の懸念がつきまとう米国・中国に比べ悪材料がない日本株への投資が集中し、月末に31,328円とバブル経済崩壊後の高値を更新しました。6月以降もこの流れは続き、短期的な過熱感への懸念から一時的に値を下げる場面を見せながらも連続して高値を更新し、7月3日には1990年3月以来、33年ぶりとなる33,753円を記録しました。その後、世界景気の不透明感や米金融引き締めの長期化の見方が強まったことから株価は下落し、8月上旬には米市場の長期金利上昇等による米株安の流れを受け今年最大の下げ幅を記録し、日経平均株価は31,000円台まで値を下げました。8月下旬にかけては、国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を波乱なく通過し、市場では過度な米金融引き締めへの警戒感が後退したこと等から株価は再び上昇傾向に転じ、9月中旬には33,000円台を回復しました。その後、米連邦公開市場委員会(FOMC)の内容を受けた金融引き締め長期化の懸念や米長期金利の上昇の影響を受けて株価は反落し、9月末の日経平均株価は31,800円台で取引を終えました。このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前第2四半期累計期間と比較して21%増加しました。当社の主たる顧客層である個人投資家については、株価上昇に伴う買い余力の増加等を背景に取引が拡大し、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同35%増加となりました。なお、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は23%と、前第2四半期累計期間の21%から上昇しました。当社の株式等委託売買代金については同42%の増加となりました。当第2四半期累計期間における当社の取組みとしては、株式取引において、個人投資家に人気のIPO銘柄の取扱い数を伸ばし、IPO引受参入率は業界2位の73%となりました。FXについては、24時間売買可能なリピート型自動売買機能の提供を開始しました。米国株については、取扱銘柄を3,100銘柄超まで拡充したほか、専門の相談員が米国株取引に関する投資判断をサポートする「株の取引相談窓口(米国株)」を設置し、お客様に寄り添ったサポートの拡充を図りました。また、証券口座の入出金に関する煩わしさを解消し、投資をより身近に感じることができる顧客体験を提供するため、10月1日より新たに銀行サービス「MATSUI Bank」の提供を開始しました。その他、投資の「おもしろさ」を伝えるYouTube公式チャンネルの登録者数は20万人を突破し、業界No.1登録者数のチャンネルへと成長しました。投資情報メディア「マネーサテライト」などにおいて、個別銘柄の紹介、マーケット解説といった速報性の高い動画を配信するなど、顧客向けの情報発信の拡充に努めました。以上を背景に、当第2四半期累計期間においては、株式等委託売買代金の増加等により、受入手数料が9,655百万円(対前第2四半期累計期間比20.1%増)となりました。また、有価証券貸借取引収支が増加したことや、信用取引平均残高の増加やプレミアム空売り料の増加等により信用取引収支が増加したこと等により、金融収支は同18.9%増の5,935百万円となりました。この結果、営業収益は19,086百万円(同27.9%増)と大幅な増加となりました。また、純営業収益は16,730百万円(同20.0%増)、営業利益は7,276百万円(同28.5%増)、経常利益は7,243百万円(同29.4%増)となり、四半期純利益は4,752百万円(同23.1%増)となりました。収益・費用の主な項目については以下の通りです。
(受入手数料)受入手数料は9,655百万円(同20.1%増)となりました。そのうち、委託手数料は9,155百万円(同20.3%増)となりました。これは主として、株式等委託売買代金の増加によるものです。
(トレーディング損益)トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、1,140百万円の利益となりました。なお、FXに係るトレーディング益と金融収支の合計は1,142百万円(同30.7%増)となりました。
(金融収支)金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は5,935百万円(同18.9%増)となりました。これは主として、有価証券貸借取引収支が増加したことや、信用取引平均残高の増加やプレミアム空売り料の増加等により信用取引収支が増加したことによるものです。
(販売費・一般管理費)販売費・一般管理費は、同14.2%増の9,455百万円となりました。これは主として、事務委託費の増加により事務費が同22.9%の増加となったことや、減価償却費が同23.3%の増加となったこと、広告宣伝費の増加等により取引関係費が同7.7%の増加となったこと、人件費が同11.5%の増加となったことによるものです。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
(3) 財政状態の状況及び分析当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当第2四半期会計期間末の資産合計は、対前事業年度末比11.0%増の1,083,050百万円となりました。これは主として、預り金及び受入保証金等の増加に伴い預託金が同18.2%増の654,012百万円となったことによるものです。負債合計は、同11.9%増の1,006,961百万円となりました。これは主として、預り金が同23.4%増の402,398百万円となったことや、受入保証金が同10.3%増の276,767百万円となったことによるものです。純資産合計は、同0.3%減の76,089百万円となりました。当第2四半期累計期間においては、2023年3月期期末配当金5,144百万円を計上する一方、四半期純利益4,752百万円を計上しております。
(4) キャッシュ・フローの状況及び分析当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、19,530百万円のマイナス(前第2四半期累計期間は47,678百万円のマイナス)となりました。これは、信用取引資産及び信用取引負債の増減が主な要因です。なお、預託金が増加したことに伴いキャッシュ・フローのマイナスが生じておりますが、預り金及び受入保証金が増加したことに伴うキャッシュ・フローのプラスにより概ね相殺されております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、5,230百万円のマイナス(前第2四半期累計期間は2,529百万円のマイナス)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出や無形固定資産の取得による支出が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、1,813百万円のプラス(前第2四半期累計期間は55,112百万円のプラス)となりました。これは、配当金の支払があった一方、短期借入金が純増加となったことが主な要因です。
以上の結果、当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、59,481百万円(前第2四半期会計期間末は65,218百万円)となりました。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の原資に対応するものです。経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当第2四半期会計期間末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。なお、複数の金融機関と当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の安全性を確保しております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第2四半期累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(7) 経営方針・経営戦略等当第2四半期累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(8) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はなく、新たに生じた課題もありません。
(9) 研究開発活動該当事項はありません。
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