【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による会計上の見積り及び仮定への影響は軽微であります。同感染症の影響は不確定な要素が多いため、当社グループの経営成績及び財政状態に及ぼす影響は、一定期間続く可能性があると考えておりますが、翌連結会計年度以降における会計上の見積り及び仮定への影響につきましても軽微と想定しております。
(2)経営成績
当連結会計年度における当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症のワクチン普及などにより多くの国で経済活動が再開しつつある中、オミクロン株による感染再拡大が見られた国・地域もあり、経済活動の減速が懸念されました。それに加えて、原材料価格の高騰や地政学リスクの高まりなど、先行きが不透明な状況が続きました。
そうした状況の中、当社グループは「“あったらいいな”をカタチにする」をブランドスローガンに、お客様のニーズを満たす新製品の発売や、既存製品の育成、今後の成長事業への投資に努めてまいりました。
その結果、売上高は166,258百万円(前連結会計年度比7.1%増)、営業利益は26,669百万円(同2.3%増)、経常利益は28,281百万円(同1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20,022百万円(同1.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
国内事業
当事業では、耳鳴りに効く漢方薬「ナリピタン 当帰芍薬散錠(とうきしゃくやくさんじょう)」、しつこいニオイをしっかり消臭しながら床の抗菌までしてくれるコンパクト消臭剤「トイレの消臭元 抗菌+」など春に15品目、ホルモン減少などで落ちた脂質代謝を上げ、55歳からのぽっこり下腹脂肪を改善する漢方薬「ビスラットグランEX」、更年期が終わった後などの肩こり・腰痛・重だるさ・冷えなどの症状を改善する生薬製剤「命の母 アクティブ」など秋に10品目を発売し、売上に貢献しました。
また、新型コロナウイルス感染症のオミクロン株の拡大に伴い、痛いのどのウイルスや菌を殺菌する「のどぬ~るスプレー」や冷感ツブ配合の貼るタイプの冷却シート「熱さまシート」などの需要が高まりました。
さらに10月以降、日本の入国制限緩和に伴い訪日外国人数が少しずつ増え、それによって当社のインバウンド需要も増加し、売上に貢献しました。
その他の既存品については、痛くない鼻うがいが簡単にできる「ハナノア」や、サプリメントでは機能性表示食品などが売上を牽引しました。
一方、日常的なマスク着用の習慣が続いたことで口臭を気にする人が減少し、においのもとから息をリフレッシュする口中清涼剤「ブレスケア」などの需要が昨年に引き続き低迷しました。
その結果、売上高は124,242百万円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント利益は22,434百万円(同6.3%減)となりました。
売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では5,983百万円当連結会計年度では6,702百万円となっております。
(外部顧客への売上高の内訳)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2021年12月期)
当連結会計年度
(2022年12月期)
増減
金額
増減率(%)
ヘルスケア
53,593
55,497
1,903
3.6
日用品
49,487
49,503
16
0.0
スキンケア
7,306
6,785
△520
△7.1
カイロ
5,584
5,753
168
3.0
合計
115,972
117,540
1,567
1.4
国際事業
当事業では、米国・中国・東南アジアを中心に、カイロや額用冷却シート「熱さまシート」、外用消炎鎮痛剤「アンメルツ」などを販売しており、広告や販売促進など積極的に投資することで、売上拡大に努めました。
米国では、2020年に買収したOTC医薬品メーカーAlva社において、サプライチェーンの混乱により原料供給が滞
り、第1四半期を中心に一部製品で欠品が発生し、医薬品が伸び悩みました。一方、コロナ禍で発熱対策としての
習慣がついてきたことと、脱マスクの流れが加速したことでインフルエンザの罹患者数が増加し「熱さまシート」が好調に推移しました。また、円安による為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。
中国では3月以降、各都市で新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンが実施され、物流網がストッ
プし、当社の製品出荷が一時的に滞りました。その後も各地でロックダウンが断続的に続いたことにより、需要が低迷しました。一方、12月に入って中国のゼロコロナ政策が緩和され、新型コロナウイルス感染症の罹患者数が増加したことで、発熱対策として「熱さまシート」の需要が高まりました。また、円安による為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。
東南アジアでは、新型コロナウイルス感染症の他、インフルエンザやデング熱など各種感染症の罹患者が増加し、発熱対策として「熱さまシート」の需要が高まりました。これらに加え、円安による為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。
その結果、売上高は41,554百万円(前連結会計年度比33.4%増)、セグメント利益は3,234百万円(同255.0%増)となりました。
売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では1,400百万円、当連結会計年度では1,877百万円となっております。
(外部顧客への売上高の内訳)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2021年12月期)
当連結会計年度
(2022年12月期)
増減
金額
増減率(%)
米国
13,009
16,474
3,465
26.6
中国
10,066
12,482
2,416
24.0
東南アジア
4,206
7,493
3,287
78.1
その他
2,456
3,225
769
31.3
合計
29,739
39,676
9,937
33.4
通販事業
当事業では、栄養補助食品、スキンケア製品等の通信販売を行っており、広告やダイレクトメールを中心とした販売促進による、新規顧客の開拓と既存顧客への購入促進に努めました。売上に大きく貢献する新製品を発売できず減収となりましたが、販売促進費等の経費削減努力により増益となりました。
その結果、売上高は8,439百万円(前連結会計年度比6.2%減)、セグメント利益は420百万円(同5.6%増)となりました。
売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおりません。
その他
その他には、運送業、合成樹脂容器の製造販売、不動産管理、広告企画制作等を含んでおり、各社は独立採算で経営し、資材やサービス提供についてその納入価格の見直しを適宜行いました。
その結果、売上高6,844百万円(前連結会計年度比1.3%増)、セグメント利益は528百万円(同35.6%減)となりました。
売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では6,211百万円、当連結会計年度では6,243百万円となっております。
(3)経営上の目標の達成状況について
当社グループは、将来にわたって持続的に成長していくために「2030年のありたい姿」を描き、そこからバックキャストの形で2020-22年に実行すべきことを定め、「国際ファースト」の方針のもと、国際事業の成長、並びに新製品開発力・育成力の向上に努めてまいりました。その結果、2022年度は原材料価格の高騰の影響により営業利益は未達となりましたが、それ以外の連結目標数値は達成することができました。セグメント別売上では、国内事業と通販事業が苦戦しましたが、国際事業は目標を大きく上回る着地となりました。
今後も、新たに発生するお困りごとに対してスピーディに新製品開発を進めることで業績を伸ばしてまいります。
<業績目標>
2019年
実績
2022年
実績
達成
中期経営計画
2022年目標
売上高
1,583億円
1,662億円
○
1,620億円以上
営業利益
256億円
266億円
×
270億円以上
営業利益率
16.2%
16.0%
○
16%以上
親会社株主に
帰属する
当期純利益
191億円
(22期連続増益)
200億円
(25期連続増益)
○
25期連続増益
ROE
11.3%
10.2%
○
10%以上
ROIC(※)
10.5%
9.4%
○
9%以上
国内事業売上高
1,230億円
1,175億円
×
1,223億円以上
国際事業売上高
244億円
396億円
○
295億円以上
国際売上比率
15.4%
23.9%
○
18%以上
通販事業売上高
97億円
84億円
×
96億円以上
※ ROIC=NOPLAT/投下資本=(営業利益×(1-実効税率))/(純資産+有利子負債)
(実効税率:30.58%、有利子負債=短期借入金+長期借入金)
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
国内事業
125,378
102.4
国際事業
38,650
132.0
通販事業
8,301
93.4
報告セグメント計
172,330
107.3
その他
38
128.7
合計
172,368
107.3
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
②受注実績
当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
国内事業
124,242
101.9
国際事業
41,554
133.4
通販事業
8,439
93.8
報告セグメント計
174,237
107.5
その他
6,844
101.3
セグメント間の内部売上高又は振替高
△14,823
109.0
合計
166,258
107.1
(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は
次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社PALTAC
70,871
45.6
72,689
43.7
株式会社あらた
15,472
10.0
15,273
9.2
(5)資本の財源及び資金の流動性
①財政状態
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりです。
総資産は、前連結会計年度末に比べ3,273百万円増加し、255,827百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加(1,209百万円)、受取手形及び売掛金の減少(7,288百万円)、有価証券の減少(5,722百万円)、商品及び製品の増加(1,132百万円)、原材料及び貯蔵品の増加(1,522百万円)、建物及び構築物(純額)の増加(1,349百万円)、建設仮勘定の増加(10,426百万円)等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ973百万円増加し、57,927百万円となりました。主な要因は、電子記録債務の増加(854百万円)等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ2,299百万円増加し、197,900百万円となり、自己資本比率は77.3%となりました。主な要因は、利益剰余金の減少(6,248百万円)、自己株式の減少(9,223百万円)等によるものです。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2021年12月期)
当連結会計年度
(2022年12月期)
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
22,419
31,914
9,495
投資活動によるキャッシュ・フロー
7,991
△14,312
△22,303
フリー・キャッシュ・フロー
30,410
17,601
△12,808
財務活動によるキャッシュ・フロー
△10,377
△20,759
△10,382
現金及び現金同等物期末残高
81,987
79,480
△2,506
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は31,914百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が27,950百万円、減価償却費が4,360百万円、売上債権の減少額が8,296百万円、棚卸資産の増加額が1,977百万円、仕入債務の増加額が1,240百万円、法人税等の支払額が8,003百万円あったためです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は14,312百万円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出が47,567百万円、定期預金の払戻による収入が45,996百万円、有価証券の売却及び償還による収入が5,713百万円、有形固定資産の取得による支出が14,747百万円あったためです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は20,759百万円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が14,056百万円、配当金の支払額が6,509百万円あったためです。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度より2,506百万円減少し79,480百万円となりました。
(注)フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。
フリー・キャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー
③資金需要
当社グループにおきましては、原材料等の仕入れ、研究開発費及び販売費などの運転資金のほか、競争力強化と事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資、製品導入等に主たる資金需要が生じます。これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローの創出による調達を基本としております。
手許の運転資金は、国内連結子会社の余剰資金を当社へ集中し、グループ管理を行うことで資金効率の向上を図っており、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めております。また、緊急時における資金需要は、金融機関との当座貸越契約で対応することとしております。
株主還元の方針としましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。