【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。
② 生産、受注および販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
増減率(%)
材料事業
150,751
21.5
装置事業
3,907
△5.4
合計
154,659
20.6
b. 受注実績
当社および連結子会社は、基本的には見込生産を行っております。ただし、装置事業は受注生産であり、その実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
増減率(%)
受注残高(百万円)
増減率(%)
装置事業
6,087
76.6
4,385
88.1
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
増減率(%)
材料事業
170,329
23.7
装置事業
5,105
119.1
合計
175,434
25.3
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
2021年1月1日
至
2021年12月31日)
当連結会計年度
(自
2022年1月1日
至
2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
37,623
26.9
51,029
29.1
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討
財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、2,380億75百万円で、前連結会計年度末に比べ208億11百万円増加いたしました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ117億52百万円増加し1,306億36百万円となりました。これは原材料及び貯蔵品が46億28百万円増加し、売掛金も18億15百万円増加したことが主な要因であります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ90億58百万円増加し1,074億39百万円となりました。これは、有形固定資産が90億77百万円増加したことが主な要因であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、571億15百万円で、前連結会計年度末に比べ50億41百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金が23億67百万円、未払金が26億75百万円増加したことが主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、1,809億60百万円で、前連結会計年度末に比べ157億69百万円増加いたしました。これは、利益剰余金が127億45百万円増加したことが主な要因であります。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は71.3%となりました。
経営成績の分析
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦の長期化に加え、新型コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ情勢の影響や、急激に進む物価上昇を背景にした各国の政策金利の上昇による金融環境の不透明感が続いたものの、総じて緩やかな持ち直しの動きが継続しました。
当社グループ製品の主な需要先であります半導体やディスプレイをはじめとするエレクトロニクス市場においては、スマートフォンやパソコンの需要が前年度を下回る水準となったものの、5GやIoT等の普及に加え、データサーバーの需要増加等が市場を牽引し、半導体需要は前年を上回りました。
このような情勢下において当社グループは、「豊かな未来、社会の期待に化学で応える“The e-Material Global Company®”」という経営ビジョンの下、2022年度を初年度とする3カ年の中期計画「tok中期計画2024」のスローガンとして「Boost up TOK!!」を掲げ、「先端レジストのグローバルシェア向上」、「電子材料および新規分野でのコア技術の獲得/創出」、「高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築」、「従業員エンゲージメントを向上させ人を活かす経営の推進」、「健全で効率的な経営基盤の整備」という5つの全社戦略を推進することで、2030年に向けた長期ビジョン「TOK Vision 2030」の実現に向け総力をあげて取り組んでまいりました。
まず、当連結会計年度においては、多様化する顧客ニーズに迅速に応える体制を整えるため、営業と開発の連携強化や開発部門の組織改編を行い、先端レジストのグローバルシェアの向上と電子材料分野および新規分野でのコア技術の獲得/創出に向けた活動を推進してまいりました。
次に、将来の半導体需要増加を見据えて、人材の確保・育成等の人的資本投資の実施や海外拠点の供給体制を整備したほか、国内の主力生産拠点である郡山工場に新検査棟を建設し検査能力を拡充したことに加え、熊本県菊池市に工場用地を取得するなど、当社製品のさらなる高品質化とグローバルな生産体制の強化を図ってまいりました。また、原材料調達リスクにも備えるべくサプライチェーンマネジメントに注力し、安定した供給体制の維持・向上に努めてまいりました。
さらに、従業員エンゲージメント向上に向けた活動として、人事制度改革を実施するとともに働き方改革を推進し、従業員が能力を最大限発揮して働くことができる体制を整えたほか、経営陣が従業員エンゲージメントを強く意識するべく、役員報酬の評価軸に従業員エンゲージメント指標を取り入れるなど、人を活かす経営を推進してまいりました。
また、急激に変化する経営環境に対応するべく、当社グループにおけるリスク管理やコンプライアンス体制等について、経営レベルでの協議を充実させたほか、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明するとともに「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言するなど、社会的課題である温室効果ガス排出量削減に向け活動を加速させてまいりました。加えて、「健康経営宣言」を策定し、従業員の健康の維持・増進のため、従来の取組みの強化や拡充・実行をしたほか、業務効率化を推進する専門組織を新設し、社内におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を加速するなど、経営基盤強化に向けた諸施策を講じてまいりました。
さらに、装置事業(一部を除く)をAIメカテック株式会社に譲渡するとともに、当社が同社株式を取得することで強固な関係を構築し、当社材料事業との協業によりM&E(Materials&Equipment)戦略のさらなる発展を目指してまいります。
なお、東京証券取引所における新市場区分について当社はプライム市場へ移行いたしました。
この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、1,754億34百万円(前年度比25.3%増)となりました。利益面におきましては、原材料価格の高騰による影響を受けたものの、営業活動の成果に加え、高付加価値製品の売上増加、円安に推移した為替の効果もあり、営業利益は301億81百万円(同45.8%増)、経常利益は309億66百万円(同42.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は196億93百万円(同11.0%増)となり、売上、利益ともに3期連続で過去最高を更新することができました。
事業別売上の概況は、次のとおりであります。
事業別の概況
(材料事業)
当事業の内部取引を除いた売上高は、1,703億29百万円(前年度比23.7%増)となりました。これは、エレクトロニクス機能材料、高純度化学薬品の販売が好調に推移したことが主な要因であります。
(単位:百万円、%)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減額
増減率
売上高
137,725
170,329
32,604
23.7
営業利益
26,438
34,755
8,317
31.5
部門別の概況は、次のとおりであります。
〔エレクトロニクス機能材料部門〕
当部門の売上高は、前年度を大幅に上回る918億68百万円(同15.6%増)となりました。これは、堅調なレガシー半導体需要に加え、最先端半導体プロセスに使用される半導体用フォトレジストや高密度実装材料の販売が好調に推移し、売上が増加したことが主な要因であります。
〔高純度化学薬品部門〕
当部門の売上高は、前年度を大幅に上回る774億60百万円(同34.0%増)となりました。これは、継続的な営業活動の成果や最先端半導体プロセス向けの需要が好調に推移したことにより、半導体用フォトレジスト付属薬品の売上が大幅に増加したことが主な要因であります。
(装置事業)
〔プロセス機器部門〕
当部門の内部取引を除いた売上高は、前年度を上回る51億5百万円(前年度比119.1%増)となりました。これはウエハハンドリングシステム「ゼロニュートン®」等の受注済み製品の検収が進んだことが主な要因であります。
(単位:百万円、%)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減額
増減率
売上高
2,329
5,105
2,775
119.1
営業利益または
営業損失(△)
△290
790
1,081
-
b. 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性のある要因として、当連結会計年度末現在において以下のとおりと認識しております。
当社グループが事業展開する業界は、素材価格の変動や販売価格の低下の動きが見られるほか、技術革新が速く製品ライフサイクルが短くなり、一方で研究開発用機器は高額化してきております。また、当社グループにおいては海外事業の進展に伴い、為替相場の変動による影響や各国における各種法令の重大な改変または遵守できなかった場合等、海外での事業活動を取り巻く様々なリスクが顕在化するという事態も懸念されます。加えて、当社グループが提供している多数の製品をユーザーが使用する過程において、欠陥により不具合が生じた場合、原則として生産物賠償責任保険での対応を行いますが、負担金額すべてを保険金でカバーできず、経営成績に重要な影響を与える可能性もあります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が増加し収入が増えたものの、棚卸資産の増減額や法人税等の支払額又は還付額の増加により支出が増えたことで、前連結会計年度に比べ7億66百万円減少し189億91百万円の資金収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度に比べ78億7百万円増加の123億83百万円の資金投下となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度に自己株式の取得による支出を行わなかったことで、前連結会計年度に比べ95億3百万円減少の86億10百万円の資金支出となりました。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ6億12百万円減少し408億56百万円となりました。
財務政策
当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料購入や労務費の製造費用のほか、商品の仕入、販売費及び一般管理費であります。当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金または借入により資金調達することとしております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、期末日の資産・負債の計上および会計期間の収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや仮定を行う必要があります。連結財務諸表に影響を与え、より重要な経営判断や見積りを必要とする会計方針は以下のとおりであります。
a. 貸倒引当金
当社グループは売掛債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権および破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。相手先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加の引当金を計上する可能性があります。
b. 固定資産の減損
当社グループは、市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。
将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
c. 投資有価証券
当社グループは、市場価格のない株式等以外の有価証券と市場価格のない株式等の有価証券を所有しております。
市場価格のない株式等以外の有価証券は、決算日の市場価格等に基づき時価評価を行い、税効果調整後の評価差額を純資産の部のその他有価証券評価差額金に計上しております。
また、期末における時価等が取得原価に比べ50%以上下落した場合には原則減損処理を行い、30%~50%未満下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行うこととしております。一方、市場価格のない株式等の有価証券は、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上下落した場合には、回復可能性等を考慮して減損処理を行うこととしております。
なお、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失が生じ、減損処理を行う可能性があります。
d. 繰延税金資産
当社グループは、財務諸表と税務上の資産または負債の額に相違が発生する場合、将来減算一時差異に係る税効果について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産のうち、実現が不確実であると考えられる金額に対し評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額しております。繰延税金資産の実現の可能性により、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。
e. 退職給付に係る資産および負債
当社グループは、年金数理計算に基づいて退職給付に係る資産および負債ならびに退職給付費用を計上しております。年金数理計算は割引率、年金資産の長期期待運用収益率、昇給率、退職率等の前提条件に基づいて行われており、これらの前提条件の変更は連結財務諸表に影響を与えます。割引率の低下や年金資産運用における期待運用収益と実際運用収益の差異は、翌期以降の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
