【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しておりますが、これによる影響は軽微であります。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)財政状態および経営成績の状況
① 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、2,345億19百万円で、前連結会計年度末に比べ172億55百万円増加いたしました。
流動資産につきましては98億44百万円増加いたしましたが、これは棚卸資産が62億63百万円、受取手形及び売掛金が30億67百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。
固定資産につきましては74億11百万円増加いたしましたが、これは投資有価証券の時価評価等により投資その他の資産が11億74百万円減少したものの、設備投資により有形固定資産が83億22百万円増加したことが主な要因であります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、567億97百万円で、前連結会計年度末に比べ47億23百万円増加いたしました。これは支払手形及び買掛金が31億37百万円、賞与引当金が15億39百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、1,777億22百万円で、前連結会計年度末に比べ125億31百万円増加いたしました。これは時価評価によりその他有価証券評価差額金が21億59百万円減少したものの、利益確保により利益剰余金が82億67百万円、円安により為替換算調整勘定が48億44百万円増加したことが主な要因であります。
この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は71.3%となりました。
② 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日~2022年9月30日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、総じて緩やかな持ち直しの動きが継続しました。一方で、世界的な金融引締めが進む中で金融資本市場の変動や物価上昇、供給面での制約等により、経済環境は不透明な状況が続きました。
このような情勢の下、当社グループは、「豊かな未来、社会の期待に化学で応える “The e-Material Global Company®”」という経営ビジョンの下、2024年度を最終年度とする3カ年の中期計画「tok中期計画2024」を始動させました。本中期計画では「Boost up TOK!!」をスローガンに掲げ、「先端レジストのグローバルシェア向上」、「電子材料および新規分野でのコア技術を獲得/創出」、「高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築」、「従業員エンゲージメントを向上させ人を活かす経営の推進」、「健全で効率的な経営基盤の整備」という5つの全社戦略を設定、推進することで、2030年に向けた長期ビジョン「TOK Vision 2030」の実現に向け取り組んでまいります。
なお、装置事業におきましては、2022年9月26日開催の取締役会において、装置事業(一部を除く)を当社が新たに完全子会社として設立する承継準備会社に吸収分割により承継させた上で、当該新会社の株式のすべてをAIメカテック株式会社(以下、同社)に譲渡することを決定し、同社との間で株式譲渡契約、並びに協業に関する基本契約を締結いたしました。さらに、同社株式の一部を取得し、同社と強固な協力関係を構築することで、M&E戦略の更なる発展に向け取り組んでまいります。
材料事業においては、スマートフォン市場などで弱い動きがみられるものの、5GやIoT等の普及や、データサーバー市場の成長等が引き続き半導体市場を牽引したことに加え、円安に推移する為替の効果により、売上は前年同期を上回りました。
また、装置事業におきましては、受注済み装置の検収が進んだことから、売上は前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は1,304億63百万円(前年同期比29.8%増)、営業利益は226億65百万円(同50.2%増)、経常利益は235億72百万円(同50.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は152億15百万円(同47.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a. 材料事業
当事業の内部取引を除いた売上高は、1,270億80百万円(前年同期比28.4%増)、営業利益は、262億45百万円(同38.1%増)となりました。これは、エレクトロニクス機能材料、高純度化学薬品の販売が好調に推移したことが主な要因であります。
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額
増減率
売上高
98,997
127,080
28,083
28.4%
営業利益
19,005
26,245
7,239
38.1%
部門別の概況は、次のとおりであります。
エレクトロニクス機能材料部門の売上高は、前年度を大きく上回る688億53百万円(前年同期比20.0%増)となりました。これは、中小型液晶パネルの需要環境が変化したことにより、ディスプレイ用フォトレジストの売上が減少したものの、円安に推移する為替の効果に加え、5GやIoT等の普及やデータサーバー向けなどの半導体需要に支えられ、半導体用フォトレジスト等の販売が好調に推移したことにより売上が増加したことが主な要因であります。
高純度化学薬品部門の売上高は、前年度を大幅に上回る576億28百万円(同39.4%増)となりました。これは、半導体製造プロセスに使用される半導体用フォトレジスト付属薬品の売価調整を進めたことに加え、為替が円安に推移したことにより売上が増加したことが主な要因であります。
b. 装置事業
当事業の内部取引を除いた売上高は、33億83百万円(前年同期比121.2%増)となり、営業利益は、前年同期比5億82百万円改善し、3億39百万円となりました。これは、高機能、高性能な半導体を実現するシリコン貫通電極形成プロセスなどに使用されるウェハハンドリングシステム「ゼロニュートン®」等の受注済み製品の検収が進んだことが主な要因であります。
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額
増減率
売上高
1,529
3,383
1,853
121.2%
営業利益または営業損失(△)
△243
339
582
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(2)会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、80億63百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。