【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)
経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和による社会経済活動の正常化により、個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、景気は内需を中心に緩やかな回復基調で推移しました。一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化など不安定な国際情勢による原材料・エネルギー価格の高止まりや円安進行等による物価上昇、欧米各国の金融引き締めや中国経済の成長鈍化等、海外景気の下振れ影響が懸念され、依然としてわが国の景気の先行きは不透明な状況にあります。このような環境のなか、当社グループは、構造改革後も継続して収益基盤の強化や採算性の改善に取り組み、中長期的な企業価値の向上に努めております。 不動産事業では、中核事業であるコクーンシティ(さいたま新都心駅前社有地)において、テナント入替や環境整備の推進による集客魅力、施設鮮度の維持向上を図るとともに、持続的な街の成長に向けて、エリアマネジメント活動等、地域、社会のニーズに応える街機能の充実に努めてまいりました。 医薬品事業では、強みである循環器領域において更なる独自性のある製品ラインナップの強化を図るほか、幅広く他の製薬会社や研究機関とも業務提携を進めるとともに、自社販売体制への移行など販売・生産・研究にかかるコスト構造の更なる見直し及び人員体制の適正化を含む一層の固定費削減策の実施と、効率的な事業運営による安定した収益基盤の確立に努めてまいりました。機械関連事業の消防自動車事業では、トラック業界における車載用半導体不足により車両の調達に影響が出ているため、車両の確保に努めるとともに、引き続き仕様の集約や生産性向上に取り組むことで更なる採算性の改善に努めてまいりました。 繊維事業の実用衣料では、既存商材の拡販やコスト構造の見直し等による事業基盤の強化に加え、介護商品など高付加価値商品の拡充による収益力強化を進めてまいりました。なお、本年5月1日付で当社衣料品事業を連結子会社へ事業譲渡しており、今後は両社の知見・ノウハウを集約し、お客様ニーズに応える商品開発を促進するとともに、一層の効率化を図ってまいります。また、機能性繊維については、新たな高機能素材の開発と耐熱性繊維の用途開発・販路拡大に努めてまいりました。この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、医薬品事業で前期の自社販売体制への商流切り替えのための一時的な販売減からの回復及び機械関連事業の消防自動車事業でシャシの入庫遅れにより繰り越した案件の売上が寄与したことにより、304億48百万円(前年同四半期比22.5%増)となりました。営業利益は、医薬品事業の増収により、31億75百万円(同471.8%増)となりました。また、経常利益は受取配当金の計上等により40億17百万円(同194.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は投資有価証券売却益や割増退職金の計上により、27億10百万円(同34.6%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
①
不動産事業
不動産事業は、当社運営のショッピングセンター「コクーンシティ」におけるテナントからの賃料収入の増加により増収となりました。この結果、不動産事業の売上高は80億82百万円(前年同四半期比4.2%増)、営業利益は32億67百万円(同10.0%増)となりました。
②
医薬品事業
医薬品事業は、前期の自社販売体制への商流切り替えのための一時的な販売減からの回復により増収となりました。この結果、医薬品事業の売上高は94億58百万円(同44.9%増)、営業損益は61百万円の損失(前年同四半期は20億23百万円の損失)となりました。
③
機械関連事業
機械関連事業は、消防自動車事業でシャシの入庫遅れにより繰り越した案件の売上が寄与したことにより増収となりました。この結果、機械関連事業の売上高は54億43百万円(前年同四半期比22.4%増)、営業利益は73百万円(前年同四半期は1億91百万円の損失)となりました。④
繊維事業繊維事業は、実用衣料の肌着及び耐熱性繊維等の機能性繊維が堅調に推移したことにより増収となりました。この結果、繊維事業の売上高は55億50百万円(前年同四半期比10.5%増)、営業利益は6億27百万円(同84.1%増)となりました。
⑤
その他
その他の区分は、ビル管理サービス、印刷紙器の製造・販売及び訪花昆虫の販売等により構成しております。第1四半期連結会計期間より新規連結した東近紙工株式会社及び第2四半期連結会計期間に連結子会社化した株式会社FPGテクノロジー(2023年5月8日付で株式会社カタクラ・クロステクノロジーに商号変更)の寄与により増収となりました。この結果、その他の売上高は19億13百万円(同72.6%増)、営業利益は1億13百万円(同15.4%減)となりました。
(2)
財政状態の分析
(総資産)当第3四半期連結会計期間末における総資産は1,414億90百万円(前連結会計年度末比33億75百万円増、同2.4%増)となりました。これは、現金及び預金、建物及び構築物が減少したものの、商品及び製品、投資有価証券が増加したことが主因であります。(資産の部)流動資産は、557億90百万円(前連結会計年度末比5億89百万円減、同1.0%減)となりました。増減の主要な項目は、現金及び預金、受取手形及び売掛金、商品及び製品であり、現金及び預金、受取手形及び売掛金がそれぞれ11億41百万円、4億80百万円減少し、商品及び製品が8億50百万円増加しました。固定資産は、856億99百万円(前連結会計年度末比39億64百万円増、同4.9%増)となりました。増減の主要な項目は、建物及び構築物、投資有価証券であり、建物及び構築物が7億14百万円減少し、投資有価証券が42億24百万円増加しました。
(負債の部)流動負債は、167億55百万円(前連結会計年度末比22億86百万円減、同12.0%減)となりました。増減の主要な項目は、支払手形及び買掛金、その他であり、支払手形及び買掛金が3億87百万円、その他が14億58百万円減少しました。固定負債は、338億69百万円(前連結会計年度末比7億28百万円減、同2.1%減)となりました。増減の主要な項目は、長期借入金、繰延税金負債であり、長期借入金は18億46百万円減少し、繰延税金負債は13億45百万円増加しました。(純資産の部)純資産は、908億65百万円(前連結会計年度末比63億90百万円増、同7.6%増)となりました。増減の主要な項目は、利益剰余金、その他有価証券評価差額金であり、それぞれ25億77百万円、30億5百万円増加しました。また、自己資本比率は53.5%となりました。
(3)
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)
研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は17億26百万円であります。
(5) 従業員数 ① 連結会社の状況第1四半期連結会計期間より、重要性の観点から、東近紙工株式会社を連結の範囲に含めたこと、及び第2四半期連結会計期間より、株式会社FPGテクノロジー(2023年5月8日付で株式会社カタクラ・クロステクノロジーに商号変更)の全株式取得に伴い、同社を連結の範囲に含めたことにより、その他の事業の従業員数は前連結会計年度末に比べ114名増加しました。一方、トーアエイヨー株式会社の希望退職の実施により、医薬品事業の従業員数は前連結会計年度末に比べ66名減少しました。その結果、当社グループの従業員数は前連結会計年度末に比べ25名増加し、1,045名となりました。なお、従業員数は就業人員数(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。 ② 提出会社の状況前事業年度末に比べて著しい変動はありません。