【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症への対応から経済活動重視への転換が進んだものの、ウクライナ・ロシア情勢の長期化、資源及びエネルギーをはじめとするインフレの進行、世界的な金融引き締め等を背景として、景気後退局面も懸念されております。また、これまでゼロコロナ政策を堅持してきた中国においては、方針転換による経済回復が期待される一方、感染拡大による混乱も発生し、先行きの不透明感は一層高まりました。国内経済においては、徐々に経済活動が正常化へ向かおうとする動きが見られたものの、資源価格の高騰と急速な円安の影響による原材料及びエネルギーコストの上昇、半導体の供給不足等が各業界の生産体制に影響を及ぼしております。その結果、景気回復ペースは鈍化し、本格的な景気回復には時間がかかるものと見込まれます。特に、サプライチェーンの混乱やスマートフォン及びPCの販売不振等により、自動車業界や半導体、電子材料メーカーの一部では生産制約や在庫調整等、不安定な稼働状況が継続しております。このような状況下において、当社グループは「環境ニーズを創造する」を事業コンセプトとし、ESGやSDGsといった考え方に対する意識の高まりを背景に、環境を軸とした事業をさらに加速させることで、企業価値の向上に努めてまいりました。その中でも今後の成長ドライバーとなる産業廃棄物の有効利用や電子材料向け製品の供給等に特に注力いたしました。その結果、当連結会計年度における業績は、売上高17,367百万円(前期比1,829百万円増、11.8%増)、営業利益1,885百万円(前期比256百万円増、15.7%増)、経常利益1,936百万円(前期比307百万円増、18.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,325百万円(前期比66百万円増、5.2%増)となり、いずれも過去最高の業績となりました。当社グループは、環境関連事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載を省略しておりますが、主な事業は5つに区分しており、事業種類別の業績は次のとおりです。
(リユース事業)当事業は、再資源化に対する社会的ニーズが年々高まる中、サーキュラーエコノミーの形成に貢献していくことを目指し、有機溶剤及びリン酸等のマテリアルリサイクルに注力しております。スポット的に溶剤廃液が大量発生した前年同期と比較すると、数量は減少しましたが、資源価格の上昇に伴い再生製品の販売価格は上昇しました。その結果、売上高は3,149百万円(前期比10.5%増)となりました。
(リサイクル事業)当事業は、当社茨城事業所(茨城県稲敷市)においてリサイクル施設が稼働開始したことに加え、連結子会社であるサンワ南海リサイクル株式会社(和歌山県和歌山市)における廃酸・廃アルカリを中心とした産業廃棄物の収集活動の強化及び汚泥等のリサイクル施設の稼働開始により、東西拠点において取扱数量を増加させることができました。産業廃棄物引取時の処理費価格並びに再生燃料等の販売価格も僅かではありますが上昇しております。その結果、売上高は5,301百万円(前期比13.0%増)となりました。
(化学品事業)当事業は、次世代自動車の台頭やIT技術・情報通信技術の高度化に伴い、半導体・電池等の電子材料業界の拡大が期待される中、そのような業界向けの製品供給に注力してまいりました。原材料の主要品目が大きく価格変動していることに加え、半導体関連の顧客においては年度中盤以降、生産調整に伴う減速感もありますが、電池向け製品の需要は堅調に伸びております。その結果、売上高は5,677百万円(前期比19.2%増)となりました。
(自動車事業)当事業は、次世代自動車などの新しい可能性が広がる一方、従来からの部品加工分野は需要が縮小していくことが見込まれます。さらに、中国でのロックダウンによる部品調達難や半導体不足等により自動車生産台数が減産となるなど、難しい事業環境下において、金属加工油や潤滑油等の販売数量は伸び悩みました。しかしながら、顧客工場の生産ラインの改廃に伴う設備の撤去・移設や清掃作業などの新たな顧客ニーズへの対応に努めてまいりました。その結果、売上高は2,421百万円(前期比7.3%増)となりました。
(PCB事業)当事業は、PCB特別措置法で定められた2027年の処理期限に向けて徐々に市場が縮小していくことが見込まれる中、適切に処理を進めるためのソリューション提供を通じて顧客の信頼を獲得し、他の事業での取引へ展開していく活動に注力してまいりました。市場の縮小規模については想定の範囲内であり、概ね堅調に推移しました。その結果、売上高は817百万円(前期比△16.1%減)となりました。
(2) 財政状態及び経営成績の状況 ① 財政状態の状況当連結会計年度末の当社グループの資産合計、負債合計及び純資産合計を前連結会計年度末と比較すると以下のとおりとなりました。
資産合計
負債合計
純資産合計
百万円
百万円
百万円
2023年3月期
20,842
9,808
11,033
2022年3月期
21,382
11,613
9,769
(資産)当連結会計年度末における総資産は、20,842百万円となり、前連結会計年度末に比べ539百万円減少いたしました。流動資産は7,506百万円となり、前連結会計年度末に比べ670百万円減少いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が339百万円、現金及び預金が242百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は13,335百万円となり、前連結会計年度末に比べ130百万円増加いたしました。これは主にサンワ南海リサイクル株式会社混練設備稼働開始等により建設仮勘定が533百万円減少したものの、建物及び構築物が486百万円、土地が133百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)当連結会計年度末における負債合計は9,808百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,804百万円減少いたしました。流動負債は4,972百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,510百万円減少いたしました。これは当連結会計年度よりCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金フローを集約させ資金効率を向上させたことにより短期借入金が500百万円、設備投資代金の決済により営業外電子記録債務が471百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、4,836百万円となり、前連結会計年度末に比べ294百万円減少となりました。これは主に長期借入金が309百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産は11,033百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,264百万円増加いたしました。これは主に利益獲得等により利益剰余金が1,195百万円増加したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は52.8%(前連結会計年度は45.7%)となり経営基盤を強化することができました。
② 経営成績の状況当連結会計年度の当社グループの売上高、売上総利益、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を前連結会計年度と比較すると以下のとおりとなりました。
売上高
売上総利益
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属する当期純利益
百万円
百万円
百万円
百万円
百万円
2023年3月期
17,367
4,981
1,885
1,936
1,325
2022年3月期
15,537
4,603
1,629
1,629
1,259
(売上高、売上原価、売上総利益)当連結会計年度の売上高は17,367百万円(前年同期比11.8%増)、売上原価は12,385百万円(前年同期比13.3%増)、売上総利益は4,981百万円(前年同期比8.2%増)となりました。主な要因としては、主要材料費が436百万円増加したものの、化学品事業の売上高が915百万円増加したこと等によります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,096百万円(前年同期比4.1%増)となり、営業利益は1,885百万円(前年同期比15.7%増)、売上高に対する比率は10.9%となりました。主な要因としては、売上総利益が378百万円増加したこと等によります。
(営業外損益、経常利益)当連結会計年度の営業外収益は82百万円(前年同期比32.6%増)、営業外費用は31百万円(前年同期比49.7減)、経常利益は1,936百万円(前年同期比18.9%増)となりました。主な要因としては、営業外収益として受取保険金が9百万円増加、株式交付費が15百万円減少したこと等によります。
(特別損益、税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は1,933百万円(前年同期比5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,325百万円(前年同期比5.2%増)となりました。主な要因としては、経常利益が307百万円増加したこと等によります。
(3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の当社グループのキャッシュ・フローを前連結会計年度と比較すると以下のとおりとなりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の期末残高
百万円
百万円
百万円
百万円
2023年3月期
2,623
△1,881
△983
2,977
2022年3月期
1,272
△1,844
2,291
3,219
当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は固定資産等の取得や法人税等の支払いなどによる支出等を税金等調整前当期純利益や減価償却費を源泉とした収入等が上回り、741百万円のプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは長期借入金の返済による支出等が長期借入れによる収入等を上まわり983百万円の支出となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払780百万円、仕入債務の減少224百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益1,933百万円や減価償却費996百万円等を源泉とした収入等により、2,623百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入66百万円等があったものの、有形固定資産の取得による支出1,947百万円等により1,881百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入1,600百万円等があったものの、短期借入金の減少500百万円、長期借入金の返済による支出2,006百万円等により、983百万円の支出となりました。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績当社グループは「環境関連事業」の単一セグメントであります。当連結会計年度における生産実績は以下のとおりであります。
区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
環境関連事業
10,757
122.8
合計
10,757
122.8
(注) 金額は、製造原価によっております。
② 仕入実績当社グループは「環境関連事業」の単一セグメントであります。当連結会計年度における仕入実績は以下のとおりであります。
区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
環境関連事業
7,660
104.9
合計
7,660
104.9
(注) 金額は、仕入価格によっております。
③ 受注実績当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
④ 販売実績当社グループは「環境関連事業」の単一セグメントでありますが、主な事業は「リユース事業」「リサイクル事業」「化学品事業」「自動車事業」「PCB事業」の5つに区分されます。また、売上高の性質の違いを踏まえ、産業廃棄物処理などの役務提供に係る売上を「処理費売上」、製品・商品等の販売に係る売上を「一般売上」として区分することができます。これらの区分での当連結会計年度における販売実績は以下のとおりであります。
事業区分
処理費売上(百万円)
前期比(%)
一般売上(百万円)
前期比(%)
リユース事業
222
84.3
2,926
113.2
リサイクル事業
4,528
113.9
772
107.9
化学品事業
2
95.7
5,675
119.2
自動車事業
0
76.8
2,421
107.3
PCB事業
816
83.9
0
45.7
合計
5,570
106.8
11,796
114.3
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合 が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、本書提出日現在において、工場5ヶ所(愛知県3ヶ所、茨城県1ヶ所、和歌山県1ヶ所)を保有し、営業所5ヶ所(北海道、東京都、大阪府、香川県、福岡県)を展開しております。グループ会社の増加に伴い人員も増加し、本書提出日現在において439名体制まで拡大しました。今後におきましても、事業地域の拡大を成長戦略の1つとして捉え、営業エリアの更なる拡大を目指していく方針であります。一方で、環境関連事業を営む当社グループは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を始めとした環境関連法規制の遵守は経営上最も重要な課題と位置付けており、法令遵守に対する一層の意識向上と体制強化を図るため、社内教育や継続的な施策の実施を図り、社会的信用をより一層得ることに努めてまいります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(2)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フロー状況の分析につきましては、「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループは、営業活動から得られる自己資金、金融機関からの借入などを資金の源泉としております。また、当社及び連結子会社間でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中して一元管理を行うことで、資金の流動性の確保と資金効率の最適化に努めております。設備資金に関しては、手許資金、長期借入金による調達を基本としております。ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。長期資金の調達に際しては、金利動向等の調達コストを総合的に検討しております。資金の流動性については、総務部経理課が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、固定資産の減損、繰延税金資産の計上等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる方法に基づき行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は売上高営業利益率及び取扱数量(産業廃棄物の引取数量と商品・製品の販売数量の合計であり、商品・材料の仕入数量等は含まない。)を重要な経営指標として取扱っております。最近2連結会計年度の推移は以下のとおりであります。
経営指標
第53期連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
第54期連結会計年度
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
売上高営業利益率(%)
10.5
10.9
取扱数量(t)
343,389
350,551