【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本項に記載した将来や想定に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が5類へ移行したことにより厳しい行動制限も緩和され、個人消費やインバウンド需要の回復がみられるなど社会活動、経済活動の正常化が進み、国内景気は緩やかな回復基調にあります。しかしながら、依然として経済全体において物価の上昇が続いていることに加え、日米金利差の拡大などに起因する円安の急激な進行や世界的な金融引き締めが引き続き国内景気を下押しするリスクとなっています。また、住宅投資に関しては、特に持家及び分譲において住宅ローン金利上昇の懸念や建築資材価格の高止まりの影響等から減少傾向に歯止めがかからず、新設住宅着工戸数は軟調に推移し、先行きは不透明な状況となっています。一方で、政府主導で創設された過去に例のない大規模な住宅省エネ支援策である「先進的窓リノベ事業」における補助金制度の活用により、断熱製品を中心とした窓リフォーム市場においては引き続き大幅な需要喚起が期待されています。
世界経済に関しては、ロシア・ウクライナ紛争の長期化やイスラエル情勢、米中関係などの地政学的リスクに加え、欧米各国のインフレーションの抑制に向けた金融引き締めの動きや、不動産市場の低迷及び消費意欲の低下による中国経済の先行きの懸念などの影響を受けて景気の減速感が強まりつつあることから、引き続き状況を注視していく必要があります。
このような環境のもと、当第2四半期連結累計期間の売上収益は7,322億49百万円(前年同四半期比0.1%減)と僅かながら減収となりました。また、利益面においては、事業利益は88億39百万円(前年同四半期比43.6%増)と増益に転じたものの、営業利益は前年同四半期に計上した土地等の資産の処分益が剥落した影響があったことなどから66億31百万円(前年同四半期比33.9%減)、継続事業からの税引前四半期利益は有利子負債の増加及び金利上昇に伴う金融費用の増加などもあり26億45百万円(前年同四半期比73.5%減)とそれぞれ減益となりました。
その結果、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する四半期利益は4億89百万円(前年同四半期比86.8%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間の業績は、海外事業、特に欧州地域での金利上昇やインフレーションによる需要回復の遅れなど引き続き厳しい事業環境が続きましたが、事業利益は前年同四半期比で増益となりました。
国内事業においては、戦略的に進めてきた価格改定の効果や、高性能窓のリフォーム需要により収益性を改善することができました。高性能窓は引き続き需要の増加が期待されます。一方、海外事業においては、欧州地域を中心に事業環境は楽観視できない状況が続いていますが、今後の需要回復局面に向け、経営の弾力性を高めるための構造改革を推進しており、その効果の一部は当連結会計年度の第4四半期から発現することを見込んでいます。
当社グループでは、かねてより外部環境の変化に左右されにくい企業体質の構築に取り組んでおり、経営の基本的方向性である「LIXIL Playbook」で示した優先課題への対応に注力し、着実に前進しています。
特に国内事業においては、競争環境が平常化する中、シェアの回復に注力します。加えて、アルミリサイクル率100%を実現した低炭素型アルミ形材「プレミアル(PremiAL)R100」に代表されるように、環境配慮型製品の拡充を進めています。先進的な技術と製品の提供を通じて、脱炭素化と循環型経済へ貢献していきます。
このような様々な取り組みを通じて、事業基盤をさらに強化し、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という当社グループの存在意義と持続的成長の実現に向けて邁進していく所存です。
セグメント別の概況は次のとおりです。なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前です。
[ウォーターテクノロジー事業]
主に水まわり製品を手がけるウォーターテクノロジー事業においては、国内事業は価格改定効果の発現に加え、リフォーム関連製品の売上が引き続き堅調に推移したものの、新築需要の減退の影響などもあり対前年同四半期比で僅かに減収となりました。また、海外事業は円安による為替換算影響があったものの、特に欧州地域における住宅市場価格の下落や追加の金利上昇に加え、インフレーションの影響などで住宅関連の投資意欲がそがれたことによる需要の減退が著しく、対前年同四半期比で減収となりました。その結果、同事業の売上収益は4,360億83百万円(前年同四半期比2.2%減)と減収となりました。
また、事業利益は国内事業・海外事業とも価格改定効果による粗利の増加があったものの、前連結会計年度から続いている資材・エネルギー価格の高止まりによるコスト増加に加え、特に海外事業においては売上の減少による固定費の負担をカバーしきれず、73億38百万円(前年同四半期比64.5%減)と大幅な減益となりました。
[ハウジングテクノロジー事業]
主に国内にて住宅建材製品を展開するハウジングテクノロジー事業においては、新築需要の減退による影響が続いているものの、これまで取り組んできた価格改定効果の発現に加え、国策による大規模な補助金制度の導入を背景に住宅性能・快適性の向上や環境保護を目的としたリフォーム需要が刺激され大幅に伸長したことなどにより、売上収益は3,008億54百万円(前年同四半期比2.6%増)と増収となりました。
また、事業利益は引き続き資材・エネルギー価格の高止まりによるコスト増加の影響はあるものの、リフォーム関連製品の売上伸長や価格改定効果による粗利の確保に加え、生産現場のアセットライト化などの生産性向上施策に伴う収益性の改善が着実に進んでいることなどから、186億24百万円(前年同四半期比3.1倍)と大幅な増益となりました。
(注)1.「事業利益」は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
2.「国内事業」「海外事業」については、当社グループの連結業績管理にて定義しているマネジメントベースの区分を使用しており、所在国による区分とは一部異なります。具体的には、ウォーターテクノロジー事業及びハウジングテクノロジー事業において、国内で管轄している一部の海外子会社を「国内事業」に含めています。
(2) 財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて613億17百万円増加の1兆9,148億51百万円となりました。流動資産は、棚卸資産の政策的な調整に伴う減少があったものの、季節的要因による営業債権及びその他の債権の増加に加え、さらなる円安の進行による為替換算に伴う増加影響などもあり、前連結会計年度末に比べて156億14百万円増加の7,601億47百万円となりました。一方、非流動資産についても、主にのれん及びその他の無形資産において為替換算に伴う増加影響があったことなどから、前連結会計年度末に比べて457億3百万円増加の1兆1,547億4百万円となりました。
また、資本は6,591億1百万円、親会社所有者帰属持分比率は34.3%(前連結会計年度末比0.6ポイント増加)です。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額です。
営業活動によるキャッシュ・フローは、継続事業からの税引前四半期利益の減少に加えて、営業債務及びその他の債務、営業債権及びその他の債権、棚卸資産などの運転資本の変動に伴う影響があったことなどから281億1百万円の資金減少となりました。前年同四半期に比べて82億98百万円の増加です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の吸収分割に伴う一時的な収入があったものの、主に有形固定資産及び無形資産の取得による支出があったことなどから134億9百万円の資金減少となりました。前年同四半期に比べて57億84百万円の減少です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金やリース負債の支払があったものの、短期、長期とも有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことなどから472億97百万円の資金増加となりました。前年同四半期に比べて70億42百万円の減少です。
これらの結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて65億59百万円増加の1,132億36百万円です。
なお、資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。
当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めています。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っています。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大などの影響に伴い経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に短期資金の調達枠を設定しています。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めています。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針及び経営環境に重要な変更はありません。また、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についても重要な変更はありません。
なお、株式会社の支配に関する基本方針は、次のとおりです。
当社では、多数の株主に株式を中長期で保有していただくことが望ましいと考え、業績を向上し企業価値を高めて、株主の支持をいただけるような施策を打っています。よって、敵対的買収防衛策については、特に定めていません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、10,711百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。