【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における国内外の経済環境は、新型コロナウイルス感染拡大防止策や行動制限の緩和等が推進される一方で、変異ウイルスの感染拡大や社会情勢の変化、原材料価格や原油価格の上昇、円安の進行等が、経済や社会、顧客のライフスタイルや嗜好に影響を与え、先行き不透明な状況が継続しました。
このような環境の中、2022年4月からはグループの最上位概念となる「パーパス」と新ロゴマークの導入を行うとともに、3カ年の中期計画をスタートしました。中期計画においては、「パーパス」のもと、バンダイナムコグループが目指す姿に向け、世界中のファン、あらゆるパートナー、グループ社員、そして社会と常に向き合い、広く、深く、複雑につながる存在を目指し「Connect with Fans」を中期ビジョンに掲げ、重点戦略として「IP軸戦略」「人材戦略」「サステナビリティ」を推進しています。重点戦略の推進を通じ、IP(Intellectual Property:キャラクター等の知的財産)の世界観や特性を活かし、最適なタイミングで、最適な商品・サービスとして提供することでIP価値の最大化をはかる「IP軸戦略」をさらに進化させていきます。また、「IP軸戦略」のグローバル展開を強化し、ALL BANDAI NAMCOでの一体感と総合力を高め、持続的な成長を目指してまいります。
当第3四半期連結累計期間につきましては、環境変化へのスピーディな対応に加え、主要IPのメディア展開と商品・サービスの連動を強力に行う等、ファンと広く、深く、複雑につながるための様々な施策を推進しました。その結果、全ての事業が前年同期比で増収増益となりました。利益面においては、国内外において、デジタル事業の家庭用ゲームのリピート販売、トイホビー事業のハイターゲット層(大人層)向け商品やカード商材等の利益率の高い商品・サービスの販売が好調だったことにより営業利益が伸長しました。また、円安により、外貨建取引に関わる為替差益が経常利益を押し上げたほか、親会社株主に帰属する四半期純利益についても前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高743,187百万円(前年同期比18.3%増)、営業利益106,203百万円(前年同期比15.2%増)、経常利益116,961百万円(前年同期比22.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益84,444百万円(前年同期比36.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
①デジタル事業
デジタル事業につきましては、家庭用ゲームにおいて、前連結会計年度に発売したワールドワイド向け大型タイトル「ELDEN RING(エルデンリング)」等の既存タイトルのリピート販売が海外を中心に好調で業績に貢献しました。また、当第3四半期連結累計期間に発売した複数の新作タイトルの販売が安定的に推移しました。ネットワークコンテンツにおいては、「DRAGON BALL」シリーズや「ONE PIECE」等の主力タイトルや前連結会計年度にサービスを開始したタイトルがIPのメディア展開との連動やユーザーに向けた継続的な施策により好調に推移しました。なお、同事業においては、競争が激化するマーケット環境を踏まえ、クオリティを重視したタイトルの提供を目的とし、一部仕掛品について評価損等を計上しました。
この結果、デジタル事業における売上高は288,571百万円(前年同期比19.1%増)、セグメント利益は46,642百万円(前年同期比23.9%増)となりました。
②トイホビー事業
トイホビー事業につきましては、円安の進行に伴う原材料価格や燃料価格の上昇の影響を受けましたが、「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデルやコレクターズフィギュア、キャラクターくじ等のハイターゲット層(大人層)向けの商品が、販売・マーケティングや商品ラインナップの強化等により、国内外において好調に推移しました。また、定番IPの玩具に加え、「ONE PIECE」のトレーディングカードゲームや「機動戦士ガンダム」シリーズのデジタルカード等のカード商材、「キャラパキ」等の菓子商材、カプセルトイ等が人気となりました。
この結果、トイホビー事業における売上高は345,128百万円(前年同期比20.7%増)、セグメント利益は52,953百万円(前年同期比4.3%増)となりました。
③IPプロデュース事業
IPプロデュース事業につきましては、IP創出強化を目的に、組織体制の変更を行い、映像・音楽・ライブイベント等に関するリソースやノウハウの集約を実施しました。この新体制のもと、「機動戦士ガンダム」シリーズや「ラブライブ!」シリーズ、「転生したらスライムだった件」、「ブルーロック」等のIPに関する映像作品の製作、映像・音楽パッケージソフトの販売、配信、ライブイベントの開催やライセンスビジネス等を行いました。
また、国内における行動制限の緩和が進んだことにより、ライブイベントや「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」のビジネスが前年を上回ったほか、映像配信やIPの海外展開も好調に推移しました。
この結果、IPプロデュース事業における売上高は55,023百万円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益は6,350百万円(前年同期比20.6%増)となりました。
④アミューズメント事業
アミューズメント事業につきましては、新型コロナウイルス感染拡大による一部地域での施設休業や、燃料価格の上昇による光熱費上昇等の影響を受けたものの、当第3四半期連結累計期間においては国内アミューズメント施設の既存店売上高が前年同期比で115.4%となる等、施設事業が回復しました。また、機器販売事業が欧米を中心に好調に推移しました。アミューズメント事業においては、今後も効率化に加え、グループの商品・サービスと連携した店舗展開等のバンダイナムコならではの取組みを推進し収益基盤の強化を目指します。
この結果、アミューズメント事業における売上高は75,478百万円(前年同期比22.9%増)、セグメント利益は6,936百万円(前年同期比60.1%増)となりました。
⑤その他事業
その他事業につきましては、グループ各社へ向けた物流事業、その他管理業務等を行っている会社から構成されており、これらのグループサポート関連業務における効率的な運営に取り組んでおります。
その他事業における売上高は23,529百万円(前年同期比12.0%増)、セグメント利益は1,140百万円(前年同期比38.6%増)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
当第3四半期連結会計期間末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ44,677百万円増加し907,328百万円となりました。これは主に現金及び預金が42,510百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が11,154百万円、商品及び製品が13,782百万円、仕掛品が16,342百万円、有形固定資産が12,037百万円、投資有価証券が23,541百万円増加したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ12,159百万円減少し266,256百万円となりました。これは主に未払法人税等が7,640百万円、長期借入金が減少したこと等により固定負債のその他が7,051百万円減少したことによるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ56,837百万円増加し641,071百万円となりました。これは主に利益剰余金が35,875百万円、その他有価証券評価差額金が14,781百万円、為替換算調整勘定が8,118百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の67.7%から70.6%となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は20,879百万円であります。また、このほかに、開発部門で発生したゲームコンテンツに係る支出額を仕掛品、売上原価等で計上しております。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(8)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
(9)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、以下のとおりであります。
会社名
セグメントの名称
設備の内容
予算金額
(百万円)
既支払額
(百万円)
今後の所要
金額
(百万円)
着手年月
完了予定年月
㈱BANDAI
SPIRITS
トイホビー事業
プラモデル等の生産設備等
25,179
9,094
16,084
2022年1月
2025年5月
(注)予算金額と完了予定年月をそれぞれ変更しております。
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