【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、高止まりするインフレと、その抑制のための金融引き締めにより、ゆるやかに減速しました。さらに、金融引き締め政策の長期化やウクライナ情勢などの地政学リスクにより、先行きは不透明な状況にあります。一方、国内経済は堅調な個人消費や企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかな回復基調にあります。
当社と関連性の高い造船業界では、環境負荷低減に向けた動きに加え、期近船台の完売や船価の先高観から船腹不足の解消を目的とする船主経営者が発注を進めており、国内造船所は十分な手持ち工事量を確保するに至っております。また、港湾物流業界においては、東南アジアをはじめとした海外での需要は堅調に推移しており、国内においても新設、増設に加え、既設の老朽化更新などの需要が引き続き堅調です。全体感としては、引き続き為替や金融市場の変動、及び材料調達における価格変動のリスクはあるものの、受注環境としては確実に好転しつつあると認識しております。
このような状況下、当社は2023年4月1日より事業持株会社及び監査等委員会設置会社へと移行し、社名も「株式会社三井E&S」として新たに生まれ変わりました。不採算事業の整理・撤退や、財務体質の強化などの諸施策を定めた「三井E&Sグループ 事業再生計画」も完遂し、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消いたしました。安定的な配当の実現に向けた体制が整いつつあると判断し、6期ぶりに復配をするとともに、新しい価値を創造できる人材と組織風土の実現に向けて人事制度を刷新し、春季交渉においても成長戦略の実現に向けて、従業員のモチベーションを高めるべく賃金改善を実施いたしました。
また、財務健全性の向上に向けた「第1回行使価額修正条項付新株予約権」については、2023年9月末時点で約63億円、76%まで行使が進んでおります。
一方で、当社を取り巻く事業環境が大きく変化していることから、「2023年度中期経営計画」(以下、「2023中計」)を既に1年前倒しでスタートしており、中核事業である舶用推進事業・港湾物流事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させることを2023中計の戦略の柱としております。
舶用推進事業では、株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン及びその付随製品等に関する事業を取得し、2023年4月1日より二元燃料機関とデジタル遠隔保守システムに強みをもつ「株式会社三井E&S DU」として営業を開始しております。当社及び株式会社三井E&S DUは、2023年7月に海事産業強化法に基づく事業基盤強化計画認定制度において、舶用2ストロークエンジンの生産性向上に向けた事業基盤強化計画を策定し、国土交通大臣の認定を受けました。本計画に基づき環境対応型エンジンを開発・拡充し、新たなグリーン製品として生産の強化を進めます。
当社グループは、MAN-Energy Solutions 及びWinterthur Gas & Diesel のダブルライセンス体制の構築により製品ラインアップを拡充し、グループ内リソースの効率的な活用や生産性の向上、アフターサービスの強化を通じて競争力の向上に繋げてまいります。
港湾物流事業では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構と共同で、世界初となる燃料電池(FC)を動力源としたタイヤ式門型クレーンを開発し、水素を燃料とした荷役作業を実施するための協定を東京都港湾局他3社と締結するなど、製品の脱炭素化を進めております。また港湾クレーンの自動化や遠隔保守にも積極的に取り組んでまいりました。
さらに、中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけ、国内初となる廃食用油を原料とした国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の大規模生産実証設備向け圧縮機を受注するなど、脱炭素を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力し、さらなる企業価値向上に取り組んでまいります。
当第2四半期連結累計期間の受注高は、前年同期と比べて7億40百万円減少(△0.5%)の1,548億33百万円となりました。売上高は、舶用推進システム事業において舶用エンジンの引渡しが好調に推移したことや株式会社三井E&S DUを連結の範囲に含めたことにより、前年同期と比べて238億4百万円増加(+21.3%)の1,355億36百万円となりました。営業利益は、舶用推進システム事業の損益が改善したことなどにより、66億51百万円(前年同期は85億5百万円の営業損失)となりました。経常利益は、持分法による投資利益の計上及び支払利息や支払手数料の計上などにより59億8百万円(前年同期は14億80百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、負ののれん発生益の計上などにより、前年同期と比べて32億19百万円増加(+227.6%)の46億33百万円となりました。
報告セグメント別の状況は次のとおりです。なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しています。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
(成長事業推進)
受注高及び売上高は、脱炭素化対応の案件が増加傾向にあることや、建設機械用エンジンや化学プラントなどの設備更新に伴う産業機械の需要も堅調に推移したことにより、それぞれ、前年同期と比べて38億円増加(+20.5%)の223億21百万円、50億36百万円増加(+38.9%)の179億95百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前年同期と比べて9億42百万円増加(+91.6%)の19億71百万円となりました。
(舶用推進システム)
受注高は、舶用エンジンの受注が一部下期へずれ込んだ影響などにより、前年同期と比べて98億28百万円減少(△12.0%)の722億65百万円となりました。売上高は、舶用エンジンの引渡し及びアフターサービス事業が好調に推移したことや株式会社三井E&S DUを連結の範囲に含めたことなどにより、前年同期と比べて207億20百万円増加(+47.9%)の640億5百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前年同期と比べて27億90百万円増加(+278.2%)の37億93百万円となりました。
(物流システム)
受注高は、東南アジアでの大型案件の受注が続いたことなどにより、前年同期と比べて213億98百万円増加(+157.6%)の349億73百万円となりました。売上高は、下期引渡し予定の工事が多く、大型工事の進捗もゆるやかだったことなどから、前年同期と比べて18億19百万円減少(△9.5%)の172億46百万円となり、営業損益は、受注工事損失引当金の影響縮小などにより、前年同期の3億33百万円の損失から2億95百万円の利益となりました。
(周辺サービス)
受注高は、前年同期に東アジア向けFGS(燃料供給システム)の大型受注があったことなどにより、前年同期と比べて49億26百万円減少(△16.4%)の251億63百万円となりました。売上高は、国内子会社を中心に売上を順調に伸ばし、前年同期と比べて97億7百万円増加(+40.6%)の336億36百万円となり、営業損益は、売上高の増加などに伴い、前年同期の6億92百万円の損失から13億58百万円の利益となりました。
(海洋開発)
当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、ブラジルで操業するFPSO及びFSOに対するアセット・インテグリティ改善費用による利益の押し下げ要因があったものの、FPSO等の建造工事の進捗による収益認識などにより、持分法による投資利益は、前年同期と比べて9億円増加(+89.3%)の19億9百万円となりました。
(2)財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末と比べて165億40百万円増加の4,565億円となりました。これは、現金及び預金が51億80百万円減少した一方、受取手形、売掛金及び契約資産が34億13百万円、仕掛品が101億43百万円、原材料及び貯蔵品が51億83百万円、投資有価証券が37億62百万円それぞれ増加したことなどによります。
負債は、前連結会計年度末と比べて29億39百万円増加の3,322億12百万円となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金が59億64百万円、1年内償還予定の社債が50億円、受注工事損失引当金が44億18百万円、流動負債その他が384億45百万円それぞれ減少した一方、支払手形及び買掛金が114億76百万円、短期借入金が361億33百万円、契約負債が97億93百万円それぞれ増加したことなどによります。
純資産は、第1回行使価額修正条項付新株予約権の行使、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上、為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末と比べて136億1百万円増加の1,242億87百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて72億15百万円減少して362億52百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の支出は、328億67百万円(前年同期は100億5百万円の支出)となりました。これは主として、契約負債の増加及び税金等調整前四半期純利益の計上などによる収入があった一方、インドネシアの工事に関する費用精算に伴う一過性の支払いによる仕入債務の減少及び棚卸資産の増加などによる支出があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の支出は、19億34百万円(前年同期は13億44百万円の収入)となりました。これは主として、関係会社出資金の売却及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得などによる収入があった一方、有形及び無形固定資産の取得並びに定期預金の増加などによる支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の収入は、268億36百万円(前年同期は32億34百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び社債の償還などによる支出があった一方、短期借入金の増加などによる収入があったことによるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は8億66百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
