【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、ウィズコロナのもと、水際対策緩和や全国旅行支援などの諸政策による効果もあり、緩やかに景気持ち直しの動きが続きました。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、金融引き締めの影響による海外景気の減速懸念、エネルギー価格や物価の高騰など、国内景気の先行きは引き続き十分注意を要する状況となっております。
印刷業界においても、販促需要の回復など持ち直しの動きが続きました。しかし、エネルギーや原材料の価格高騰、既存の印刷事業における紙媒体の需要減など、経営を取り巻く環境は厳しい状況で推移しました。
このような状況の中、共同印刷グループは、競争力のある事業領域の確立と高い利益率の実現をめざし、中期経営方針「豊かな社会と新たな価値を創造するために未来起点の変革に挑戦」に基づいた取り組みを進めております。
情報系事業では、「印刷事業で培った強みを軸とし、新たな価値創出を実現」するため、コンテンツを生かした事業機会の獲得や、販促及び業務支援事業のデジタルシフトを支援する製品・サービスの提案など、注力領域の強化とデジタル領域の伸長に取り組みました。
生活・産業資材系事業では、「パッケージソリューションベンダーの地位確立」に向け、環境配慮製品の開発や提案を強化するとともに、食品・日用品向けのパッケージやラミネートチューブの受注拡大の取り組みを進めました。
また、2022年9月には、当グループが優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)として、「多様なライフスタイル」「スマート社会」「循環型社会」「地球環境との共生」「価値創造人材の活躍」「責任ある企業行動」の6つを特定しました。新設したサステナビリティ推進会議のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざす取り組みを強化しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高692億9千万円(前年同期比6.8%増)、営業利益3億3千6百万円(前年同期は営業損失9千2百万円)、経常利益7億9千8百万円(前年同期比145.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益5億2千2百万円(前年同期比184.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
情報コミュニケーション部門
位置情報広告の申し込みから配信までを効率的に行えるサービスの販売を開始するなど、デジタル領域拡大の取り組みを強化したほか、児童・幼児向け図書やコンテンツ周辺領域の受注拡大を推進しました。
出版印刷では、定期刊行物は発行部数減少等のため低調でした。しかし、書籍はコミックスの増加を受けて堅調に推移し、また、コンテンツ周辺領域が人気まんがの映画公開や原画展の関連グッズ等で伸長したため、売上高は前年同期並みとなりました。
一般商業印刷では、経済活動の回復を受けた販売促進需要の増加で、POP等の店頭販促関連が好調に推移しました。カタログや情報誌、Webサイトやコンテンツ制作などのデジタル分野も増加し、ロジスティクス関連業務も堅調だったため、前年同期を上回りました。
以上の結果、部門全体の売上高は262億3千3百万円(前年同期比6.0%増)、営業損失は1億9千1百万円(前年同期は営業損失2億9千5百万円)となりました。
情報セキュリティ部門
専門的かつ煩雑な業務を効率化するWebサービスなど、金融機関や官公庁・自治体への提案推進による受注獲得に取り組むとともに、決済ソリューション事業拡大のため、法人向けプリペイドカード「Bizプリカ」のサービス展開に注力しました。
ビジネスフォームは、給付金関連など自治体向けデータプリントの好調に加え、各種試験関係やヘルスケア分野のBPOも堅調に推移しました。証券類は、乗車券が、全国旅行支援による旅客需要の増加もあり前年同期を上回りました。しかし、カードは交通系、金融系ともに前年同期を下回りました。
以上の結果、部門全体の売上高は191億3千7百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益は5億3千1百万円(前年同期比255.2%増)となりました。
生活・産業資材部門
サステナブルな社会の実現をめざして、プラスチックフィルムを使わない紙仕様包材など、環境配慮と消費者の利便性を両立する包材の開発と拡販に取り組んでおります。
紙器は、ラップカートンの一般家庭向けが順調に推移したことを受け、前年同期を上回りました。軟包装は、即席麺向けのフィルム包材やフタ材が好調、また、リキッドパッケージでは日用品向け商品が増加し、前年同期を上回りました。
チューブは、UVケア製品などの化粧品向けが好調に推移し前年同期を上回りましたが、調味料向けのブローチューブ・ブローボトルは、小売り価格値上げの反動減等により前年同期並みとなりました。産業資材は、医薬品向けを中心に好調でした。
なお、ブローボトル製造を担う共同クレハブローボトル株式会社は、2022年11月1日に当社の完全子会社となり、商号を「共同ブローボトル株式会社」に変更しました。
以上の結果、部門全体の売上高は223億5千2百万円(前年同期比7.8%増)となりました。しかし、利益については、材料価格の一部転嫁遅れに加えエネルギー価格高騰の影響が大きく、営業損失は2千8百万円(前年同期は営業利益2千6百万円)となりました。
その他
物流業務の堅調な推移と不動産賃貸収入の増加により、売上高は15億6千7百万円(前年同期比20.7%増)、営業利益は1億9千9百万円(前年同期は営業損失2千7百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産、負債及び純資産は、前連結会計年度末との比較において以下のとおりになりました。
総資産は1,268億3千7百万円(前連結会計年度末1,291億2千1百万円)となり、22億8千3百万円減少しました。これは主に、投資有価証券が22億8千5百万円減少したことによるものです。負債は671億4千4百万円(前連結会計年度末678億4千3百万円)となり、6億9千8百万円減少しました。これは主に、本社土地活用に関する一般定期借地権設定契約締結により、長期前受金が171億2千4百万円増加した一方、借入金が135億5千7百万円、設備関係支払手形及び未払金が31億5千8百万円、旧本社解体関連負債が4億6千万円減少したことによるものです。純資産は、596億9千3百万円(前連結会計年度末612億7千7百万円)となり、15億8千4百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益5億2千2百万円があった一方、配当金の支払8億2千5百万円とその他有価証券評価差額金13億9千1百万円の減少があったことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8億6千8百万円減少し、80億2千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において営業活動により得られた資金は、199億9千5百万円(前年同期比172億6千6百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益9億9千7百万円、減価償却費42億9千1百万円の計上、長期前受金の増加171億2千4百万円と、売上債権の増加12億7千5百万円、棚卸資産の増加10億8千1百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において投資活動により使用した資金は、56億1千4百万円(前年同期比12億4百万円増)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出60億3千9百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において財務活動により使用した資金は、152億5千6百万円(前年同期比122億5千5百万円増)となりました。これは主に、短期借入金の減少67億3千7百万円、長期借入金の返済による支出68億3千2百万円、配当金の支払8億2千5百万円があったことによるものです。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針等
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した経営方針に重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(8) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、762百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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