【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が解除され、経済活動は緩やかな回復が続いております。しかしながら、不安定な国際情勢や円安の進行、さらに物価や労務費高騰の影響もあり、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような事業環境の中、医薬品卸売事業の株式会社ほくやくでは7月に札幌支店にAIピッキング支援ロボット導入の実証実験を開始いたしました。これは、作業者の負担軽減の観点から作業の効率化および標準化を目的としており、1品あたりのピッキング時間の大幅短縮や作業要員の省人化の実証ができました。また、介護事業の株式会社モルスの運営する「ふれあいの森南12条館」では、9月に札幌市内の大学と共同で「アートレクリエーション」を実施し介護施設職員と大学生のアイデアにて高齢者の活力支援を行いました。
以上の状況のもと、当第2四半期連結累計期間における売上高は1,358億84百万円(前年同期比4.8%増)、営業利益は10億71百万円(同22.3%減)、経常利益は14億21百万円(同17.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、前年度は投資有価証券売却益が3億89百万円あった一方、当期は投資有価証券評価損として1億11百万円発生した影響などにより、7億30百万円(同47.9%減)と大幅減益となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
(医薬品卸売事業)
医薬品卸売事業におきましては、2023年4月に薬価改定が実施されました。5類に移行後も新型コロナウイルス感染拡大防止による営業活動の制限は現在も続いております。また、長期収載品の売上減少に加え、後発医薬品における供給面での混乱が未だに継続している状況です。このような厳しい環境ではありますが、新型コロナ治療薬の売上が増加したことと、抗がん剤など新薬の販売にも積極的に取り組んだ結果、売上全体では前年度を上回る結果となりました。また、利益では、品目ごとのきめ細かい価格管理に取り組みましたが、仕入原価の上昇および新型コロナワクチン物流受託の利益減少により減益となりました。
その結果、売上高は999億92百万円(前年同期比8.1%増)、営業利益は5億2百万円(同20.0%減)となりました。
(医療機器卸売事業)
医療機器卸売事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は収まり、手術や検査などは回復傾向となったため医療材料の売上は前年度を上回りました。しかしながら備品においては前年度までの新型コロナ感染症対策予算等の減額による影響が大きかったことに加え、4月の診療報酬改定に伴う医療材料の価格交渉などの影響もあり、売上全体では減収、利益につきましても減益となりました。
その結果、売上高は316億53百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益は5億81百万円(同25.2%減)となりました。
(薬局事業)
薬局事業におきましては、5月から新型コロナウイルス感染症の位置付けが「2類」相当から「5類」へ変わった影響もあり、処方箋枚数は前年対比で1.3%増加しております。売上は薬価改定の影響による薬剤料のダウンはあるもののほぼ計画通りに推移しました。利益につきましては、前年10月の4社統合の効果等により大幅な改善となりました。
その結果、売上高は66億48百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は27百万円(前年同期は営業損失40百万円)となりました。
(介護事業)
介護事業におきましては、福祉用具のレンタル・販売および住宅改修と介護ロボットの普及推進における営業員の増員・育成の強化を図りました。また、福祉用具サービス計画の作成提案から納品後のモニタリングの徹底まで、一貫した顧客重視の方針により、売上は安定的に推移しましたが、株式会社モルスのサービス付き高齢者向け住宅の新棟の開設から間もないことに加え、例年実施されている介護ロボット導入支援事業が、上期から下期へ変更となったことなどもあり減益となりました。
その結果、売上高は20億44百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益は1億6百万円(同38.5%減)となりました。
(ICT事業)
ICT事業におきましては、一昨年度より発生しておりました半導体不足によるIT機器製品の出荷遅延も回復傾向となり、IT機器は順調に推移いたしました。しかしながら、グループ会社や得意先でICT投資案件の一部が先送りや中止となり、売上高は前年度を下回る結果となりました。利益面におきましては、本年10月から施行されたインボイス制度に伴い、利益率の高いプログラム改修案件を堅調に受注したため、営業利益は前年を上回りました。
その結果、売上高は7億94百万円(前年同期比6.4%減)、営業利益は33百万円(同62.3%増)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)財政状態の状況
当第2四半期連結累計期間末の資産、負債及び純資産は、前連結会計年度末との比較において以下のとおりとなりました。
総資産は1,476億21百万円(前連結会計年度末は1,379億37百万円)となり、96億83百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が40億88百万円、受取手形及び売掛金が23億39百万円、商品及び製品が11億28百万円、土地が16億77百万円、投資有価証券で15億52百万円増加したことなどによるものです。
負債は889億23百万円(前連結会計年度末は804億94百万円)となり、84億29百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金ならびに電子記録債務の支払債務が79億84百万円、賞与引当金が90百万円、未払法人税等が80百万円、繰延税金負債が2億82百万円増加した一方、役員賞与引当金が78百万円減少したことによるものです。
純資産は、586億97百万円(前連結会計年度末は574億43百万円)となり、12億54百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が4億55百万円、その他有価証券評価差額金が10億66百万円増加した一方、自己株式の取得により2億78百万円減少したことによるものです。
(4)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ40億88百万円増加し、221億10百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は64億94百万円(前年同期比507.3%増)となりました。これは、増加要素として、税金等調整前四半期純利益13億8百万円(同37.8%減)、減価償却費5億21百万円(同1.1%減)、仕入債務の増加79億84百万円(同157.7%増)、未払消費税等の増加1億22百万円(前年同期は2億70百万円の減少)、未収入金の減少2億64百万円(前年同期比63.0%減)などがありました。
減少要素として、売上債権の増加23億9百万円(同18.8%減)、棚卸資産の増加11億30百万円(同7.9%増)、法人税等の支払4億32百万円(同39.4%減)があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は18億10百万円(前年同期は1億22百万円の使用)となりました。これは主に、有形・無形固定資産の取得により17億47百万円(前年同期比178.7%増)、投資有価証券の取得により70百万円(同2.7%増)の支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5億96百万円(前年同期比5.9%減)となりました。これは主に自己株式の取得2億78百万円(同27.6%減)、配当金の支払2億73百万円(同27.8%増)およびリース債務の返済43百万円(同26.0%増)があったことによるものです。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、永年にわたって構築してきた営業ノウハウを活用することによって顧客満足度を最大限に高めることを経営の基本施策としており、経営の効率性や収益性を高める観点から、専門性の高い業務知識や営業ノウハウを備えた者が取締役や執行役員に就任して、法令や定款を遵守しつつ当社の財務および事業の方針の決定につき重要な職務を担当することが、会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものと考えており、このことをもって会社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針としております。
② 不適切な支配の防止のための取り組み
現在のところ、不適切な支配についての具体的な脅威が生じているわけではなく、また当社としても、そのような買付者が出現した場合の具体的な取り組み(いわゆる「買収防衛策等」)を予め定めるものではありませんが、株主から付託を受けた経営者の責務として、当社株式の取引や株主の異動状況を常に注視するとともに、有事対応の初動マニュアルを作成するほか、株式の大量取得を企図する者が出現した場合には、直ちに当社として最も適切と考えられる措置を講じます。具体的には、社外の専門家を交えて当該買収提案の評価や株式取得者との交渉を行い、当該買収提案(または買付行為)が当社の企業価値および株主共同の利益に資さない場合には、具体的な対抗措置の要否および内容等をすみやかに決定し、対抗措置を実行する体制を整えます。
③ 不適切な支配の防止のための取り組みについての取締役会の判断
当社は、株式の大量保有取得を目的とする買付けなどの不適切な支配が行われる場合において、それに応じるか否かは、最終的には株主の判断に委ねられるべきものと考えており、経営支配権の異動を通じた企業活動の活性化の意義や効果についても、何らこれを否定するものではありません。しかしながら、当社の基本理念や企業価値、株主を始めとする各ステークホルダーの利益を守るのは、当社の経営を預かる者として当然の責務であると認識しております。
また、株式の大量保有取得を目的とする買付け(または買収提案)等に対しては、当該買付者の事業内容、将来の事業計画や過去の投資行動等から、当該買付行為(または買収提案)が当社の企業価値および株主共同の利益に与える影響を慎重に検討し、判断する必要があるものと認識しております。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当第2四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② 資本の財源および資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(4)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.財務政策
当社グループは、これまでキャッシュ・フロー重視の経営を行ってきており、運転資金および設備資金につきましては、基本的には手元流動性資金により賄うことを基本方針としております。この方針は今後も継続することとしておりますが、子会社個々の資金ポジションや拠点設備の狭窄化・老朽化に伴う設備投資が集中して到来した場合は、一時的に資金が不足することも考えられます。そうした場合には、金融機関からの一時的な借入等も合わせて検討していく予定であります。
c.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。