【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、持ち直しの動きがみられました。先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続していく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が緩やかに回復していくことが期待されます。ただし、感染症による影響や供給面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要があります。また、原油価格相場は高値のピークを越えたものの、依然として原材料価格は高値を維持しており、継続して販売価格への転嫁を実施しつつも予断を許さない状況です。
このような環境のもと、中期経営計画「変革への決意 Commit to Transformation 2023(CX2023)」の2年目として、「1.社会課題の解決、2.新事業・新製品・新技術の獲得、3.ボーダレスの加速、4.デジタルの実装、5.グループ経営の再整備、6.経営基盤の進化」の6つの重点実施項目を設定し計画達成に向け事業活動を行ってまいりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績につきましては、売上高は109,832百万円(前年同期比4.2%増)と増収となりましたが、原材料価格高騰による原価高を主因として営業利益は4,748百万円(前年同期比31.6%減)、経常利益は4,975百万円(前年同期比31.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,907百万円(前年同期比49.9%減)と減益となりました。
次に、事業セグメント別の概況をご報告します。
建築資材事業セグメント
住設建材事業は、建設資材や畜産飼料価格の高騰による設備投資減少の影響を受け、非住宅物件および畜産資材の販売が低調に推移しましたが、製品値上げに伴う売上高の増加やサイネージの需要回復もあり、事業全体では増収となりました。
床・建装事業は、床部門において、マンション改修物件への販売が引き続き順調に推移しました。建装部門においては、海外市場の主力である欧州市場の減速、中国、アジアの回復遅れの影響が続き、事業全体の売上はほぼ前年並みの結果となりました。
その結果、建築資材事業セグメントの当第3四半期連結累計期間における売上高は34,045百万円(前年同期比1.0%増)、営業利益は1,977百万円(前年同期比10.9%減)となりました。
環境資材事業セグメント
アグリ事業は、原材料価格高騰を反映した価格改定による駆け込み需要も一段落しましたが、これまでの価格改定の効果もあり増収となりました。
インフラマテリアル事業は、業界全体に新型コロナウイルスによる土木工事の発注数の減少および工事の中断などの影響が継続しており、当社インフラマテリアル事業全体で大型受注案件の長期中断や工事計画自体の変更などの影響が継続したため、減収となりました。
その結果、環境資材事業セグメントの当第3四半期連結累計期間における売上高は40,021百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は66百万円(前年同期比94.2%減) となりました。
高機能材事業セグメント
高機能材事業は、ここにきて半導体需要に踊り場感が出始めましたが、期間を通して製造装置向けの工業用プレート、エンプラ材の販売は高水準を維持しました。電子回路基板向けのナノ材料販売は、市況に一服感が出始めましたが、期間を通して堅調に推移しました。眼鏡フレーム用アセテート板の販売については、海外ブランドメーカーからの引き合いが引き続き旺盛で伸長しました。マイクロモータは、上海ロックダウンによる操業停止の影響がありましたが、操業再開後は好調に推移しています。これにより、事業全体は増収となりました。
その結果、高機能材事業セグメントの当第3四半期連結累計期間における売上高は17,392百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益は2,234百万円(前年同期比9.6%減) となりました。
機能フィルム事業セグメント
ボンセット事業は、シュリンクフィルムが販売面においては国内および欧州市場で堅調に推移し、北米市場における上期の原材料不足、流通在庫調整の影響により数量面では苦戦を強いられたものの製品値上げと円安により増収となりました。
サンジップ事業は、ジッパーテープが国内販売は堅調ながら、海外販売は上海ロックダウンにより2ヶ月間に亘る操業停止を余儀なくされた影響により減収となりました。
その結果、機能フィルム事業セグメントの当第3四半期連結累計期間における売上高は17,749百万円(前年同期比11.7%増)、営業利益は385百万円(前年同期比67.9%減)となりました。
(2)資産、負債及び純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末より4,856百万円増加し、151,918百万円となりました。これは主に預け金が減少したものの、電子記録債権、商品及び製品が増加したことによるものです。
一方、負債は、前連結会計年度末より4,241百万円増加し、59,246百万円となりました。これは主に賞与引当金が減少したものの、短期借入金、電子記録債務が増加したことによるものです。
また、純資産は、前連結会計年度末より615百万円増加し、92,671百万円となりました。自己資本比率は、59.9%となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等についての重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間に支出した研究開発費は基礎研究に係るもので、総額1,007百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間に完成したものは次のとおりであります。
会社名事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
完了年月
タキロンテック㈱
(兵庫県たつの市)
高機能材事業
製造設備
2022年7月