【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの影響が続く中、経済社会活動の正常化が進められ、緩やかに持ち直しの動きが見られました。只、エネルギー価格の高騰・高止まりや急激な為替変動による円安など不安定な状況が続いています。一方、世界に目を転じても、2022年2月以降のロシアの侵攻に端を発したロシア及びウクライナ情勢等による原燃料価格の高騰等に伴う、世界経済への悪影響が懸念されるなど、極めて先行きが不透明な状況となりました。
当社グループの主要販売先におきましては、製紙業界・印刷インキ業界の需要が、前年からの持ち直しは見られたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響もあり、2019年度の水準を下回るなど、依然として厳しい経営環境となりました。
当社グループは、高品質化・生産性の向上や環境保護・省資源等、販売先業界の経営戦略に対応した差別化商品を市場に投入し、また、製紙用薬品及び化成品事業の拡販に加え、原料価格の上昇に伴う製品価格の値上げにより売上増加に努めた結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は24,162百万円(前年同期比5.0%増)となりました。
利益面では、原燃料価格の高騰に伴う売上原価の増加により、営業利益は1,590百万円(前年同期比30.0%減)、経常利益は2,389百万円(前年同期比3.1%減)となりました。一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は当社連結子会社である新綜工業股份有限公司の株式追加取得に伴う非支配株主に帰属する四半期純利益の前年同期比減少等により、1,760百万円(前年同期比7.3%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次の通りであります。
・製紙用薬品事業
製紙業界におきましては、当第3四半期連結累計期間の紙・板紙の国内生産は1,778万トンと前年同期比0.4%の減少でありました。当社グループは、国内市場、海外市場へ差別化商品の売上増加並びに国内板紙向けの堅調な販売等、及び原料価格上昇分の販売価格への転嫁に努めた結果、当事業の売上高は、14,664百万円(前年同期比13.3%増)となりました。
利益面では、売上高の増加はありましたが、原料価格の値上がりの影響が大きく、セグメント利益は715百万円(前年同期比25.1%減)となりました。
・樹脂事業
印刷インキ業界におきましても、当第3四半期連結累計期間の印刷インキの国内生産は、20万4千トンと前年同期比1.2%の減少で推移しました。当社グループは、原料価格上昇分の販売価格への転嫁に努め、印刷インキ用樹脂については、売上高が前年を上回りましたが、粘着剤、記録材料用樹脂については、前年を下回りました。その結果、当事業の売上高は5,164百万円(前年同期比16.1%減)となりました。
利益面では、粘着剤の売上高が減少したことなどにより、セグメント利益は264百万円(前年同期比62.7%減)となりました。
・化成品事業
化成品事業の売上高は、主力製品の輸出売上の増加、及び原料価格上昇分の販売価格への転嫁に努めた結果、4,333百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
利益面では、売上高の増加はありましたが、原料価格の値上がりの影響もあり、セグメント利益は873百万円(前年同期比11.4%減)となりました。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比で4,638百万円増加し、46,520百万円となりました。勘定科目別では、有形固定資産が2,306百万円、現金及び預金が1,431百万円、棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が899百万円増加いたしましたが、短期貸付金が631百万円減少いたしました。
負債は、短期借入金が4,190百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末比で4,308百万円増加し、14,597百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末比で329百万円増加し、31,923百万円となりました。利益剰余金が1,275百万円、為替換算調整勘定が1,026百万円増加いたしましたが、当社連結子会社である新綜工業股份有限公司の株式追加取得に伴い、非支配株主持分が1,545百万円減少いたしました。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は1,316百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。