【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。(1) 財政状態及び経営成績の状況(a)経営成績当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、企業収益は総じて改善しているほか、個人消費が持ち直す等、景気は緩やかに回復しています。先行きについては、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、社会経済活動の正常化が進展し、景気が本格的に回復していくことが期待されます。ただし、ウクライナ情勢や中東情勢等による不透明感が見られる中で、原油価格の高止まり、物価上昇、供給面での制約等による影響に十分注意する必要があります。当第3四半期連結累計期間の事業環境として、アフターコロナにおける観光需要は徐々に戻りつつありますが、人々の意識や行動様式の変化もあり、当社グループが事業を営む東京諸島においては都心部に比して回復のスピードが緩慢であり、前年同期比では、乗船客数及び関連する大島島内でのホテルやバスなどの利用客数は増加しましたが、コロナ禍以前との比較ではいまだ国内の他の離島航路事業者と同様の約8割の水準に留まり、経営に大きな影響を与えております。また、貨物輸送量においては、前年同期比で微減で推移しています。このような厳しい事業環境の中、夏季の最多客期において、お盆を直撃した台風7号による旅客の逸失等の影響や、主力客船さるびあ丸の電気推進器に不具合が発生し約3ケ月に亘り変則ダイヤによる運航を余儀なくされ、輸送能力が大幅に低下し旅客を逸失したことも大きく影響しました。(その後、さるびあ丸は10月に臨時ドックに入渠し、現在は通常ダイヤに復帰しております)この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、コロナ禍の事業活動を維持するための航路補助金が大幅に減少したこと等から、売上高は101億3千6百万円(前年同期108億5千万円)と減少した上、費用面で船舶燃料費、船舶修繕費等の増加があり、営業損失は3億8千2百万円(前年同期営業利益6億8千4百万円)、営業外収益に宿泊施設バリアフリー化支援の補助金収入を計上したことなどにより、経常損失は3億1千1百万円(前年同期経常利益6億3千6百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3億2千5百万円(前年同期純利益5億2千2百万円)と大幅減益となりました。なお、当社グループは、2023年の事業の活性化策として、「変化への挑戦 東海汽船 2023」を掲げ、この先150年、200年とバトンを繋いでいくためには、日々変化していくことが継続への力になると信じ、全社一丸となって、業績向上に努めております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
《海運関連事業》
主力の海運関連事業の旅客部門は、大島の最大イベント「椿まつり」が通常開催されたことから、個人向け商品の営業を強化したほか、高速ジェット船では東京湾周遊クルーズや臨時運航(江の島、千葉、木更津、御前崎、松崎)、客船による横浜~東京夜景クルーズ、全国旅行支援や都内観光促進事業等を活用した企画商品販売やジオパーク教育ツアーなど自然環境観光型をテーマとした新たなツアーを実施し、集客に努めました。夏季の最多客期においては、お盆を直撃した台風7号による旅客の逸失等の影響や、主力客船さるびあ丸の電気推進器に不具合が発生し約3ケ月に亘り変則ダイヤによる運航を余儀なくされ、輸送能力が大幅に低下し旅客を逸失したことが大きく影響しました。夏の風物詩である東京湾納涼船に多くのお客様が乗船いただいたこと等により、乗船客数は58万7千人(前年同期49万5千人)と増加しましたが、本来の計画には大きく及びませんでした。また、貨物部門は引き続きお客様の利便性と集荷効率の引き上げを図り、集荷に遺漏がないように取り組みましたが、貨物取扱量は生活関連品目・工事関連品目共にやや減少し、全島で22万5千トン(前年同期23万1千トン)となりました。
小笠原航路については、5月のGW明けから、事前のPCR検査が終了し、席数制限は完全解除となりました。また、5月のおがさわら丸のドック入渠時には、さるびあ丸が代替運航しました。この結果、当事業の売上高は、コロナ禍の事業活動を維持するための航路補助金が大幅に減少したこと等から88億5千4百万円(前年同期95億7千8百万円)と減少し、一方、費用面で船舶燃料費、船舶修繕費等の増加があり、営業損失は1億1千5百万円(前年同期営業利益9億5千6百万円)と大幅減益となりました。
《商事料飲事業》商事部門は、関係先と連携を密にし工事情報を積極的に収集するなど販売強化に取り組みましたが、公共工事の低調を主因に島しょ向けセメント販売が減少しました。料飲部門は、旅客の回復により売上が増加し、また納涼船の内容を充実させて損益を改善したほか、自販機ビジネスの委託化や人気機種の導入、船舶レストランのメニュー見直し等を行いました。なお、商事部門における島しょ向け生活通販「ショップ東海」と島産品の全国向け販売「島ぽち」のECサイトは、自社ブランド「東海汽船はこぶね課」のキャラクタービジネスを展開する等、魅力あるサイト運営を行うことで、島民の皆さまの利便性向上と物流の活性化に取り組んでおります。この結果、当事業の売上高は10億1千5百万円(前年同期10億3千9百万円)とやや減収となりましたが、自販機ビジネスの委託化に伴う手数料収入の増加等により、営業利益は8千4百万円(前年同期6千2百万円)と増益となりました。なお、東汽商事株式会社について4月1日付けで東海汽船株式会社が吸収合併し、商事料飲事業を担当する事業本部を組織改編、要員の増強により、3本目の収益の柱となるべく取り組んでいます。
《ホテル事業》大島温泉ホテル事業は、大島の豊富な海の幸の料理・高品質の源泉掛け流し温泉・露天風呂からの三原山の眺望など、「島の魅力」を前面に押し出した営業活動を行いました。また、大島の最大イベント「椿まつり」が通常開催され、全国旅行支援や都内観光促進事業等を活用した個人向け宿泊プランを中心に造成したほか、販売チャネルの見直し等により集客に努め、宿泊客は増加しました。また、客室の一部をバリアフリー対応の洋室にリニューアルし、新たなニーズへの対応を進めました。この結果、当事業の売上高は2億3千3百万円(前年同期2億1百万円)、原価の見直し等もあり営業利益は8百万円(前年同期営業損失0百万円)と増益となりました。
《旅客自動車運送事業》当事業の中心となる大島島内におけるバス部門は、お客様に安心してご乗車いただくため、「安全運行」と「良質のサービスの提供」を基本理念とした安全方針に基づき、全社一丸となって安全運行に取り組んでおり、貸切バスにおいては、日本バス協会の安全性評価制度における最高評価となる三ッ星を更新するなど長期優良事業者として認定を受けております。大島の最大イベント「椿まつり」が通常開催され貸切バスの団体需要が前年に比べ増加し、また夏休みシーズンも団体や旅行客の需要があり、乗客数は増加しました。この結果、当事業の売上高は1億9千9百万円(前年同期1億8千9百万円)、営業損失は0百万円(前年同期営業損失1百万円)となりました。なお、定期路線バスにおいては大島町から継続的な支援を受けております。
(b)財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産は231億5千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億5千4百万円減少しました。その主な要因は、営業未収金等が3億4百万円、船舶の減価償却などにより有形固定資産が5億7千万円減少した一方で、現金及び預金が6千8百万円、原材料及び貯蔵品が9千1百万円、投資有価証券が1億2百万円増加したことによるものです。負債は170億5千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億1千2百万円減少しました。その主な要因は、借入金が10億3千7百万円、未払法人税等が7千3百万円減少した一方で、船舶検査費用などの営業未払金が5億7千6百万円、賞与引当金が1億1千9百万円、固定資産圧縮未決算勘定が1億5百万円増加したことによるものです。純資産は60億9千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億4千2百万円減少しました。その主な要因は、利益剰余金が3億2千5百万円減少したことによるものです。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。
(5) 従業員数当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
(7) 主要な設備前連結会計年度末における新設、除却等の計画について、著しい変動はありません。また、当第3四半期連結累計期間において、主要な設備に著しい変動はありません。