【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。また、当社は訪問看護サービス事業の単一セグメントのため、セグメント情報は記載しておりません。
(1) 経営成績の状況当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症「第8波」拡大による懸念が残りつつも、行動制限の緩和により経済活動の回復の兆しが見られ始めております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化、円安進行によるエネルギーコストや原材料価格の高騰など物価高が進行しており、依然として先行き不透明な状況にあります。このような経済情勢のなか、当社が属する医療業界における訪問看護マーケットは大きく落ち込むことはなく、比較的安定した推移を見せております。しかしながら、感染症拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、感染の動向が国内外経済及び訪問看護市場に与える影響については、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような状況下ではありますが、当社は「もう一人のあたたかい家族として在宅生活の安心を届け地域社会へ貢献します」という企業理念のもと、利用者様に寄り添った訪問看護をより多くの方に享受いただけるよう、人材確保と新規拠点開設に取り組んでおり、収益性の向上、人材確保に注力するとともに2022年2月に兵庫県尼崎市、3月に東京都東久留米市、4月に東京都武蔵野市、12月に東京都小金井市に新規拠点を開設しました。以上の結果、当事業年度の売上高は1,385,410千円(前年同期比23.4%増)となりました。利益面では、事業所従業員の採用による、採用費負担や人件費負担の増加などの影響はありましたが、月間訪問件数の増加により営業利益は154,859千円(前年同期比6.2%増)となりました。経常利益については上場関連費用を計上したこと等により149,014千円(同0.0%増)となり、当期純利益は108,297千円(同7.4%増)となりました。
(2) 財政状態の状況当事業年度末における財政状態については次のとおりです。
(流動資産) 当事業年度末における流動資産の残高は756,058千円(前事業年度末残高450,101千円)となり、前事業年度末に比べ305,957千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が248,808千円、売上高増加に伴い売掛金が62,033千円増加したことによるものであります。
(固定資産) 当事業年度末における固定資産の残高は27,969千円(前事業年度末残高24,005千円)となり、前事業年度末に比べ3,964千円増加いたしました。これは主に、差入保証金が1,120千円、繰延税金資産が2,074千円増加したことによるものであります。
(流動負債) 当事業年度末における流動負債の残高は199,849千円(前事業年度末残高182,733千円)となり、前事業年度末に比べ17,115千円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が3,554千円減少した一方で、未払金が2,882千円、未払費用が16,944千円増加したことによるものであります。
(固定負債) 当事業年度末における固定負債の残高は39,484千円(前事業年度末残高61,929千円)となり、前事業年度末に比べ22,444千円減少いたしました。これは主に、退職給付引当金が4,492千円増加した一方で、長期借入金が22,776千円、資産除去債務が4,161千円減少したことによるものであります。
(純資産) 当事業年度末における純資産の残高は544,693千円(前事業年度末残高229,443千円)となり、前事業年度末に比べ315,249千円増加いたしました。これは主に、当社株式の東京証券取引所マザーズ市場(現グロース)への上場に伴う公募増資による調達によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物は、451,805千円(前年度末比268,808千円増)となりました。現金及び現金同等物の主な変動要因につきましては次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、87,699千円の収入(前事業年度は101,013千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益148,995千円、売上債権の増加額62,033千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、9,570千円の収入(前事業年度は24,345千円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入20,000千円、有形固定資産の取得による支出9,309千円、差入保証金の差入による支出1,135千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、171,538千円の収入(前事業年度は18,247千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入が197,064千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が10,024千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が26,330千円、上場関連費用の支出が9,083千円あったことによるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績該当事項はありません。
② 受注実績該当事項はありません。
③ 販売の実績当事業年度における販売実績は次のとおりです。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
訪問看護サービス事業
1,385,410
23.4
合計
1,385,410
23.4
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
第9期事業年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
第10期事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
東京都国民健康保険団体連合会
596,980
63.5
724,389
66.9
高知県国民健康保険団体連合会
114,417
12.2
124,921
11.5
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高)当社は、ドミナント戦略による収益最大化を目指して管理の仕組みを構築し、エリアマーケティングを実施するとともに、人材確保については人材紹介会社とのタイアップ企画等により、要員計画に沿った人材獲得を進めてまいりました。また、医療機関や居宅介護支援事業所等の地域連携機関に積極的に働きかけを行い、新規利用者の獲得に注力してまいりました。その結果、当事業年度の売上高は1,385,410千円(前年同期比23.4%増)となりました。上記の他、当事業年度における経営成績等の状況につきましては、「(1)経営成績の状況」に記載しております。
(売上原価、売上総利益)売上高の増加に応じて、積極的に訪問看護師等の人材確保に注力してまいりました。以上の結果、当事業年度における売上原価は838,746千円(前年同期比25.8%増)となりました。主なものは、訪問看護サービス事業の人件費816,715千円(同25.7%増)であり、売上原価率は60.5%となりました。この結果、売上総利益は546,663千円(同19.9%増)、売上総利益率は39.5%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当社の販売費及び一般管理費は、主に間接部門の人件費、採用関係費、地代家賃及びその他の経費で構成されております。事業拡大に応じて看護師等の採用を強化したため、採用関係費が増加しました。以上の結果、当事業年度における営業利益は154,859千円(前年同期比6.2%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)主な営業外収益として新型コロナウイルス感染症に係る助成金を含む助成金収入1,958千円が発生致しました。主な営業外費用として、上場関連費用が9,083千円発生いたしました。以上の結果、当事業年度における経常利益は149,014千円(前年同期比0.0%増)、当期純利益は108,297千円(前年同期比7.4%増)となりました。
③ 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容第10期事業年度の財政状態の分析については、「(2)財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況当社は重要なKPIを延べ訪問件数とし、経営陣のみならず役職者全員がこの指標を意識した事業所運営を行っております。訪問件数を増加させるために、当社は営業担当を置かず、看護師及びリハビリ職が医療の専門性を活かした地域連携活動を行うことにより、新規利用者の獲得を行う方針であります。また、訪問看護サービス事業は労働集約型事業であるため、当社がさらに成長していくためには、利用者数の増加は当然のことながら、その前提として看護師等訪問看護要員となる従業員を継続的に採用、育成し、事業所規模拡大及び拠点展開による事業所数拡大を継続していくことが必要です。当事業年度における各指標の推移は以下のとおりです。
指標
第9期事業年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
第10期事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
延べ訪問件数(注1)
139,210件
172,689件
延べ介入利用者数(注2)
16,754人
21,349人
訪問看護要員数(期末時点)
147人
176人
(注) 1.延べ訪問件数は、従業員1人当たり訪問件数の総和です。2.延べ介入利用者数は、月間介入者数の総数です。「介入」とは、看護師等が訪問看護契約に基づき訪問することを言います。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、87,699千円の資金増加(前事業年度は101,013千円の資金増加)、投資活動によるキャッシュ・フローは、9,570千円の資金増加(前事業年度は24,345千円の資金減少)、財務活動によるキャッシュ・フローは、171,538千円の資金増加(前事業年度は18,247千円の資金減少)となり、その結果、当事業年度の現金及び現金同等物は、前年同期に比べ268,808千円増加し、451,805千円となりました。上記の他、当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。当社における資金需要は、既存事業の安定的な成長にかかる運転資金及び新規拠点開設時の設備投資資金と、新規事業への投資コストであり、これらの財政状態と投資のバランスを重視しております。また、これらの財源については、自己資金の効率的な運用を基本としており、事業活動を円滑に実行できるよう適正な水準の資金の流動性の維持及び確保を最優先としております。
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