【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、物価上昇や海外経済の減速による影響が懸念される中、内需に於いては雇用や賃金が緩やかに改善し、円安を背景としたインバウンド消費が進んだこと等により、緩やかに持ち直してきております。米国では、物価や金利の上昇により消費や住宅・設備投資が抑制され、景気は減速する動きが広がっております。中国においても、ゼロコロナ政策、不動産市場の低迷等により経済の回復に足踏みしている状況です。
海運市況は、大型原油船(VLCC)につきまして、第1四半期は、中国/上海を中心としたロックダウンの影響により原油需要が低迷したことや、既存隻数が850隻を超え解撤数も少ないことから、船腹需給は緩みVLCC市況は底値圏で推移しました。しかしながら、西側諸国によるロシア産原油の段階的な禁輸措置の影響が8月頃に表われはじめ、 米国やブラジル、西アフリカなど積み地が多様化したことからトンマイルが延びました。第3四半期には冬場の需要期も重なり、市況は一時WS129の高値を付けました。12月は荷動きが少なくなり市況は下がりましたが、引き続き好調を維持しています。
石油製品船は、ロシア・ウクライナ情勢に大きく影響され、ロシア産の石油製品を代替するために中東やシンガポール、極東などから欧州への荷動きが活発化してトンマイルが延びたこと、また世界的なコロナ規制の緩和に伴い航空燃料の需要が増加し、好調な市況展開となりました。
大型LPG船(VLGC)は、アジア圏での民生燃料用など主要消費国での堅調な需要に支えられ、中東・北米出しが共に堅調で、またパナマ運河の滞船による船腹需給引き締め効果もあり、全般的に好調な市況展開となりました。
ばら積船につきましては、ケープ型ばら積船は中国のコロナ情勢、及びインフラなどの建設事業の動向に大きく影響される市況で、夏場には主要航路平均値が一時日建て3千ドル台まで落ち込みましたが、冬場には一時2万ドル台に回復するなど、ボラティリティが大きい市況展開となりました。
パナマックス型以下の中小型ばら積船は、昨年から市況を下支えしていた世界的な滞船、及びコンテナ輸送手段としてのばら積船の船腹需要がいずれも解消・下落傾向にあり、第1四半期から一貫して下落傾向が継続しています。
こうした経営環境の中、当社グループは大型タンカーを中心とする長期貸船契約を主体に安定した経営を目指しており、前期9月にVLCC“TOKIWA”、2月にはLPG船“MARIE”が竣工いたしました。一方で当期12月にはばら積船“SAGAR MOTI”を売船し、船隊構成の整備・拡充に取り組んでまいりました。また、各船の運航効率の向上と諸経費の節減にも全社を挙げて努めた結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は以下のとおりとなりました。
海運業収益は、前述の通り前期および当期に船舶2隻を取得したこと、ばら積船の用船料が好調な市況の影響を受け上昇したことなどにより109億8千6百万円(前年同四半期比19億9千5百万円増)となりました。営業利益は、船舶の取得や円安及びインフレによる船費の増加はありましたが、海運業収益の増加の方が大きく6億9千3百万円(前年同四半期比3億2千5百万円増)、経常利益は3億9千7百万円(前年同四半期比3億2千6百万円増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別利益にばら積船1隻の売却益9億8千2百万円を計上したことから、9億6千6百万円(前年同四半期比2千7百万円増)となりました。
(2)財政状態に関する説明
資産、負債および純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、前連結会計年度末に比べ6億9千6百万円減少し728億円となりました。流動資産は、貯蔵品などの増加により2億2千3百万円増加し57億2千1百万円となりました。固定資産は、売船により船舶が減少したことなどにより9億2千万円減少し670億7千8百万円となりました。
負債の部は、借入金の減少などにより前連結会計年度末に比べ45億1千4百万円減少し538億6千5百万円となりました。
純資産の部は、利益剰余金の増加などにより前連結会計年度末に比べ38億1千7百万円増加し189億3千4百万円となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)主要な設備
主要な設備の売却
当第3四半期連結累計期間に売却した重要な設備は次のとおりであります。
会社名
セグメントの名称
設備の内容
前期末帳簿価額
(百万円)
売却の年月
載貨重量屯数
(M/T)
LYRA MARITIME S.A.
外航海運業
船舶
1,280
2022年12月
58,097