【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況は次のとおりです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 概要
当連結会計年度の連結売上高は、3,543,475百万円(前連結会計年度比26.4%増)となりました。利益については、営業利益は490,685百万円(前連結会計年度比54.8%増)となりました。売上高営業利益率は前連結会計年度を2.5ポイント上回る13.8%となりました。税引前当期純利益は、476,434百万円(前連結会計年度比46.8%増)、当社株主に帰属する当期純利益は326,398百万円(前連結会計年度比45.1%増)となりました。
2022年度
前連結会計年度比
売上高
3,543,475
百万円
26.4%
増
建設機械・車両
3,296,566
百万円
28.6%
増
リテールファイナンス
85,630
百万円
19.2%
増
産業機械他
190,941
百万円
1.4%
増
消去
△29,662
百万円
–
セグメント利益
493,514
百万円
56.4%
増
建設機械・車両
443,603
百万円
60.9%
増
リテールファイナンス
27,267
百万円
58.5%
増
産業機械他
22,586
百万円
0.0%
減
消去又は全社
58
百万円
–
営業利益
490,685
百万円
54.8%
増
税引前当期純利益
476,434
百万円
46.8%
増
当社株主に帰属する当期純利益
326,398
百万円
45.1%
増
② 為替レート変動の影響
当連結会計年度は前連結会計年度に比較し、為替レートが米ドル、ユーロ、豪ドル等に対して円安に推移しました。為替レートの変動により、建設機械・車両事業のセグメント利益は前連結会計年度比で約1,330億円増加したと試算されます。為替レート変動の影響は、各社の外貨建取引額に各為替レートの変動を乗じて算出した金額の合計として試算されています。為替レート変動に対応した販売価格変更の影響は考慮していません。
③ 売上高
売上高は前連結会計年度の2,802,323百万円と比較して26.4%増加の3,543,475百万円となりました。国内売上高は前連結会計年度の389,085百万円と比較して5.2%増加の409,414百万円、海外売上高は前連結会計年度の2,413,238百万円と比較して29.9%増加の3,134,061百万円となりました。
④ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度比23.8%増加して2,504,449百万円となりました。売上高に対する比率は70.7%と前連結会計年度比で1.5ポイント減少しました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比17.6%増加して545,512百万円となりました。
なお、売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、前連結会計年度比17.0%増加して906億円となりました。
⑤ 長期性資産等の減損
長期性資産等の減損は、前連結会計年度の1,372百万円と比較して4,149百万円増加の5,521百万円となりました。当連結会計年度の長期性資産等の減損は、主として有形固定資産及び非償却無形固定資産の減損によるものです。
⑥ その他の営業収益
その他の営業収益は、前連結会計年度の2,851百万円の収益に対し2,692百万円の収益となりました。
⑦ 営業利益
営業利益は以上の結果、前連結会計年度の317,015百万円と比較して54.8%増加の490,685百万円となりました。
⑧ その他の収益(△費用)
受取利息及び配当金は、前連結会計年度の5,332百万円と比較して7,119百万円増加の12,451百万円となりました。支払利息は、前連結会計年度の12,222百万円と比較して20,149百万円増加の32,371百万円となりました。
⑨ 税引前当期純利益
税引前当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の324,568百万円と比較して46.8%増加の476,434百万円となりました。
⑩ 法人税等
法人税等は、前連結会計年度の92,578百万円と比較して42,969百万円増加の135,547百万円となりました。税引前当期純利益に対する法人税等の比率(実効税率)は、前連結会計年度並みの28.5%となりました。法定税率31.3%と実効税率28.5%との差異は、海外子会社の適用税率の差異等によるものです。
⑪ 持分法投資損益
持分法投資損益は、前連結会計年度の5,258百万円の利益と比較して32百万円増加の5,290百万円の利益となりました。
⑫ 当期純利益
当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の237,248百万円と比較して108,929百万円増加の346,177百万円となりました。
⑬ 非支配持分に帰属する当期純利益
非支配持分に帰属する当期純利益は、コマツカミンズチリ㈲やコマツオーストラリア㈱等の当期純利益が増加したことから、非支配持分に帰属する部分が増加し、前連結会計年度の12,321百万円と比較して7,458百万円増加の19,779百万円となりました。
⑭ 当社株主に帰属する当期純利益
当社株主に帰属する当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の224,927百万円と比較して45.1%増加の326,398百万円となりました。1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の237.97円から345.22円となりました。潜在株式調整後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の237.92円から345.18円となりました。
⑮ セグメント利益の状況
(セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。)
建設機械・車両事業のセグメント利益は、資材価格や物流コスト上昇の影響はあるものの、販売価格の改善や円安の影響により、前連結会計年度の275,768百万円と比較して167,835百万円増加の443,603百万円となりました。
リテールファイナンス事業のセグメント利益は、円安や貸倒引当金の減少の影響などにより、前連結会計年度の17,199百万円と比較して10,068百万円増加の27,267百万円となりました。
産業機械他事業のセグメント利益は、世界的に半導体需要が増加し、エキシマレーザー関連事業の売上が好調に推移したものの、資材価格の上昇や、自動車産業向けの大型プレスの売上が減少したことから、前連結会計年度の22,595百万円と比較して9百万円減少の22,586百万円となりました。
これらに、全社及びセグメント間取引消去を差し引いたセグメント利益(連結)は、前連結会計年度の315,536百万円と比較して177,978百万円増加の493,514百万円となりました。
なお、セグメント利益(連結)は米国会計基準に則っていませんが、財務諸表利用者に有益な情報を提供するために表示しています。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権や棚卸資産が増加したものの、当期純利益などにより、206,474百万円の収入(前連結会計年度比94,496百万円の収入減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の購入などにより、169,518百万円の支出(前連結会計年度比25,949百万円の支出増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、66,613百万円の支出(前連結会計年度は93,868百万円の支出)となりました。
各キャッシュ・フローの合計に為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ25,385百万円減少し、289,975百万円となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の実績については、「2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」における各事業の種類別セグメント業績に関連付けて示しています。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。作成にあたって当社のマネジメントは、知り得る限りの情報に基づいて妥当であると考えられる見積りや判断を継続して実施しています。これらの見積りや判断は、連結財務諸表において、決算日の資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値及び偶発資産・債務の開示情報に影響を与えます。これらの見積りや判断は、当社グループの過去からの経験、既存の諸契約の内容、業界動向の分析、顧客からの情報、その他の外部からの情報に基づいているものですが、その性質上、内在する不確実性の度合いが影響するため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。当社の重要な会計方針は、連結財務諸表注記1に記載されています。
ウクライナ情勢に起因するサプライチェーンや金融・経済の混乱等が当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響については、収束時期等が不透明であるものの、現時点で入手可能な情報や予測に基づき、今後も一定程度当該影響が継続すると仮定しています。会計上の見積りの中でも比較的重要性のある貸倒見積額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断、長期性資産及び営業権の減損の判定については、当該仮定を含んだ最善の見積りを行っていますが、今後の実際の推移が当該仮定と乖離する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表等に重要な影響を及ぼすと考えています。
① 貸倒引当金
当社グループは、それぞれの顧客の財務状態等を含む多くの要素を考慮して最終的な実現可能性を判定し、債権の回収可能性を推定しています。
当社グループは、過去の実績を含む顧客の信用情報をもとに、貸倒れが発生すると推定される金額の引当金を計上しています。顧客の信用状況は継続的に内外の情報を入手して分析を行い把握しています。特にリテールファイナンス事業の金融債権は回収が長期間に及ぶうえに、貸倒見積額の算定及び担保による回収可能見込額の算定には不確実性が伴うことから、顧客ごとの信用状況や期日未回収債権の状況調査及び担保となる資産の市場価格調査を行い、入手可能な情報に基づいて最善の見積りを行っています。これまで実際に発生した貸倒れは、当社グループが予測し、計上した引当金の範囲内であり、当社のマネジメントは、当社グループの見積りが妥当であると考えていますが、債権の種類の構成が変化したり、予見できない大きな経済環境の変動により顧客の財務状態に変化が生じるような場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 詳細は、連結財務諸表注記4に記載されています。
② 法人税等と繰延税金資産
当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、各構成単位で納税地の税法に基づいて法人所得税・未払法人税の見積りを行っています。また、繰越欠損金や税務上と会計上の取扱いの違いにより生じる一時差異については、税効果計算を実施し、連結貸借対照表に繰延税金資産・負債を計上しています。
繰延税金資産の計上にあたっては、これらが将来の課税所得や有効な税務計画により実現されることの確実性を検証する必要があります。
当社のマネジメントは、取締役会で承認された経営計画や、期中での各社からの経営報告、将来の市場状況、実行性の高い税務戦略等に基づき、将来の課税所得を推定し繰延税金資産の回収可能性を判断しており、実現できないと考えられる部分については評価性引当金を計上しています。将来の課税所得あるいは課税時期に関する当社のマネジメントの判断が変わることにより、評価性引当金が変動する可能性があります。
また、当社グループは、税務ポジションの不確実性から生じる影響額については、税務上の技術的な解釈に基づき、税務ポジションが認められる可能性が50%超である場合、財務諸表で認識しています。その税務ポジションに関連するベネフィットは、税務当局との解決により、50%超の可能性で実現が期待される最大金額で測定されます。
当社のマネジメントは、計上した繰延税金資産(評価性引当金控除後)全額が実現可能であり、認識された不確実性のあるすべての主要な税務ポジションは瑕疵なく持続していると判断していますが、経営計画が実現できず、将来の課税所得の見積りが大幅に減少する場合や、関連する税務当局との法令解釈の相違等、これらの判断が結果として現実と異なる場合には、評価性引当金や認識すべき財務諸表への影響額を見直す必要があり、追加の税金費用が発生することで当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記16に記載されています。
③ 長期性資産及び営業権の評価
当社グループは長期性資産に関して、経営環境の変化により、将来その資産から生み出されるキャッシュ・フローが減少するなど、帳簿価額相当額を回収することができないと判断されるような事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を実施しています。
当社グループが保有しかつ使用している資産の回収可能性は、帳簿価額とその資産から生じる割引前将来キャッシュ・フローとの比較で判定されます。この割引前将来キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出されます。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定されます。もし、資産の帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを上回り、回収可能性が認められずその資産が減損状態であると判定された場合、帳簿価額が公正価値を上回った額が減損額として測定され計上されます。公正価値は、主に市場において想定されるキャッシュ・フローの変動リスクを考慮した加重平均資本コストを割引率として使用する割引後将来キャッシュ・フローモデル、あるいは独立した鑑定評価で測定されます。処分予定の長期性資産については、帳簿価額と公正価値から処分のためのコストを差し引いた額とのいずれか低い方で評価されます。
当社グループは営業権については、少なくとも各年度に1回、又は減損の可能性を示す事象や、状況の変化が生じた時点で減損の検討を実施しています。
報告単位の公正価値の測定にあたっては、通常、割引後将来キャッシュ・フローモデルにより算定しています。将来見積キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出されます。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定されます。報告単位の帳簿価額が公正価値を上回る場合、その報告単位に配分された営業権の帳簿価額を限度とし、当該差額を営業権の減損損失として認識します。
現状では、長期性資産及び営業権については、重要な追加の減損の発生はないと考えていますが、経営戦略の変更、市場の変化があった場合には、その資産から将来得られるキャッシュ・フローの予想や公正価値の算出に影響し、長期性資産及び営業権の回収可能性の評価判断が変更となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 金融商品の公正価値
主に外国為替予約や金利スワップ契約等のデリバティブ金融商品の公正価値は、市場で観察可能なインプットに基づいた業者からの情報をもとに評価しています。この公正価値の情報は、特定のある時点での適切な市場の情報と商品についての情報に基づいて推定されるものですが、これらの推定はその性格上、市場の不確実性を含んでいるため、実際の結果と異なってくる可能性があります。
市場性のある持分証券は、公正価値で評価されています。公正価値の変動は、当期純利益で認識しています。
市場性がなく、容易に算定可能な公正価値がない持分証券のうち、1株当たり純資産価値で評価している持分証券以外について、減損による評価下げ後の取得価額にて測定しています。また、同一発行体の同一又は類似する投資に関する秩序ある取引における観察可能な価格の変動を識別した場合は、当該持分証券を観察可能な取引が発生した日の公正価値で測定しています。
関連会社に対する投資の公正価値については、公正価値の下落があった場合、それが一時的かどうかについて、下落の期間や程度、被投資会社の財政状態及び業績予想等を考慮して判断しています。
現状では、投資有価証券あるいは関連会社に対する投資については、重要な追加の減損の発生はないと考えていますが、将来の経済環境の変化によっては投資先の企業の業績が悪化し、減損を認識する可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記20、21、22に記載されています。
⑤ 退職給付債務及び費用
当社グループの年金債務及び年金費用の額は、算出時に使用した仮定に影響されます。これらの仮定は連結財務諸表注記12に記載されており、割引率、長期期待収益率、平均報酬水準増加率等を含みます。当社グループは、仮定と実績が乖離した場合には、その差額を累積し従業員の平均残存勤務年数にわたって償却を実施する事で、将来の期間にわたり、費用として認識します。
割引率は、現在かつ年金受給が満期となる間に利用可能と予想される信用度の高い固定利付き債券の利率に基づいて算出されます。また、長期期待収益率は、投資対象の様々な資産カテゴリー別に将来収益に対する予測や過去の運用実績を考慮し決定されます。
当社グループは、これらの仮定は妥当なものであると考えていますが、重要な実績との乖離もしくは重要な仮定の変化があった場合、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度末の当社グループの年金制度において、割引率又は長期期待収益率が0.5%変動した場合、当連結会計年度末の年金債務及び翌連結会計年度の年金費用に及ぼす影響は、その他すべての仮定を一定とすると、それぞれ以下のとおりです。
仮定の変更
変動率
年金債務
年金費用
割引率
0.5%増 / 0.5%減
302億円減 / 329億円増
3億円減 / 12億円増
長期期待収益率
0.5%増 / 0.5%減
-
14億円減 / 14億円増
⑥ 今後適用となる新会計基準
米国財務会計基準審議会は、2016年6月に会計基準アップデート2016-13「金融商品-信用損失:金融商品に関する信用損失の測定」を発行しました。同アップデートは、多くの金融資産について、現行の発生損失モデルではなく予想信用損失モデルに基づいて損失を認識することを要求しています。予想信用損失モデルでは、対象となる金融資産の残存期間に発生することが見込まれる予想信用損失をただちに認識することになります。当初同アップデートは、米国証券取引委員会(SEC)に登録していない企業においては、2020年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用される予定でしたが、米国財務会計基準審議会は、2019年11月に適用日の変更を行い、同アップデートは、2022年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用されることとなりました。なお、早期適用も認められています。同アップデートは、適用開始期間の期首の利益剰余金で累積影響額を調整する修正遡及適用アプローチにより適用されます。当社グループは、2023年4月1日より開始する連結会計年度から適用します。なお、同アップデートの適用が、当社グループの財政状態及び経営成績に与える重要な影響はありません。
米国財務会計基準審議会は、2022年9月に会計基準アップデート2022-04「サプライヤー・ファイナンス・プログラムに係る債務の開示」を発行しました。同アップデートは、製品やサービスの購入時にサプライヤー・ファイナンス・プログラムを利用する企業に対し、プログラムの主要な条件や期末の債務残高に関する情報、期首から期末までの変動を開示することを要求しています。同アップデートのうち、プログラムの主要な条件や期末の債務残高に関する情報の開示要求については、2022年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用されます。また、同アップデートのうち、期首から期末までの変動の開示要求については、2023年12月16日以降開始する連結会計年度から適用されます。当社グループは、2023年4月1日より開始する連結会計年度から適用し、現在、開示に与える影響について検討しています。なお、同アップデートの適用が、当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響はありません。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の連結売上高は3,543,475百万円(前連結会計年度比26.4%増)となりました。建設機械・車両事業では、北米、アジアを中心に鉱山機械の需要が好調に推移しました。クロスソーシングの活用及びマルチソーシングの強化など、外部環境の変動に強いサプライチェーンの構築に取り組み、新車需要を着実に取り込みました。部品・サービス売上げの増加や、各地域での販売価格の改善や円安の影響もあり、売上高は前連結会計年度を上回りました。産業機械他事業では、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械については、主に大型プレスの売上げが減少したものの、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業は、世界的な半導体需要の増加により売上げが好調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。利益については、資材価格や物流コスト上昇の影響はあるものの、販売価格の改善や円安の影響により、営業利益は490,685百万円(前連結会計年度比54.8%増)となりました。
当連結会計年度末は、米ドルなどに対して為替が前連結会計年度末に比べ円安となったことに加え、売上債権や棚卸資産などの増加により、総資産は前連結会計年度末に比べ528,325百万円増加の4,875,847百万円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ106,382百万円増加の1,053,762百万円となりました。また、株主資本は前連結会計年度末に比べ307,130百万円増加の2,539,641百万円となりました。これらの結果、株主資本比率は前連結会計年度末に比べ0.7ポイント増加の52.1%となりました。
② 流動性及び資金の源泉
<資金使途の考え方>
当社グループは、持続的な企業価値の増大を目指して、外部環境の変化や需要変動に左右されない健全な財務体質の構築と競争力強化に努めています。資金を成長のための投資、バランスシート改善(財務健全性維持)、株主還元にバランスよく配分して、総合指標であるROE(自己資本利益率)をモニタリングしています。想定される株主資本コストを上回るROE10%以上を経営目標として、ROE向上と株主資本コスト低減の両面からエクイティ・スプレッド(ROE-株主資本コスト)の拡大に取り組んでいます。
<資金調達と流動性管理>
当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としています。この方針に従い、当社グループは金融機関借入、社債等の発行、融資枠の設定等、様々な資金調達の源泉を確保しています。設備投資資金及び運転資金については、営業活動から得られたキャッシュ・フロー及び外部より調達した資金を充当しています。更に、当社グループの資金の効率性を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のキャッシュマネジメントシステム(グローバルキャッシュマネジメントシステム、以下、「GCMS」)を特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限にGCMS参加会社は借入を行っています。当GCMSにおいては、預入金及び借入金の残高を相殺できる条項が含まれており、当連結会計年度末現在の相殺金額は265,627百万円となっています。
短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等でまかなっています。当社及び一部の連結子会社は、当連結会計年度末現在、金融機関との間に合計304,630百万円のコミットメントライン契約を締結して代替流動性を確保しており、その未使用枠は284,898百万円となっています。コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、当社で220,000百万円、コマツファイナンスアメリカ㈱で1,100百万米ドルのプログラムを保有しており、未使用枠はそれぞれ180,000百万円、300百万米ドルとなっています。
当社は、中長期資金需要に機動的に対応するため、社債発行枠とユーロ・ミディアム・ターム・ノート(以下、「EMTN」)プログラムを保有しています。当社は2022年11月に2年間有効の100,000百万円の社債発行枠を登録しました。当連結会計年度末現在の未使用枠は100,000百万円となっています。なお、これ以外の過去に登録した社債発行枠に基づいて発行した分も含めた当社グループの社債の当連結会計年度末現在の残高は189,898百万円です。これには、2022年10月に当社100%子会社であるコマツファイナンスアメリカ㈱を通じて発行した日本企業としては初の外貨建てサステナビリティ・リンク・ボンド600百万米ドルも含まれます。また、当社、コマツファイナンスアメリカ㈱及び欧州コマツコーディネーションセンター㈱で合わせて2,200百万米ドルのEMTNプログラムを保有しており、このプログラムに基づいて、それぞれの発行体はディーラーとの間で合意されたすべての通貨の債券を発行できます。当連結会計年度末現在、当該EMTNプログラムにより発行された債券の残高は155,549百万円です。
当連結会計年度末現在、当社グループの短期債務残高は310,738百万円となり、前連結会計年度末に比べて68,992百万円増加しました。短期債務は主に銀行、保険会社等からの借入金等であり、運転資金等に使用されています。
当連結会計年度末現在、長期債務残高(1年以内期限到来分含む)は743,024百万円で、前連結会計年度末に比べて37,390百万円増加しました。長期債務は銀行、保険会社等からの借入金等397,577百万円、無担保社債189,898百万円、EMTN155,549百万円で構成されており、主に設備投資資金及び長期運転資金に使用されています。
当連結会計年度末現在の有利子負債残高は前連結会計年度末比106,382百万円増加の1,053,762百万円となり、現預金を差し引いたネット有利子負債残高は前連結会計年度末比133,077百万円増加の763,787百万円となりました。これらに加え株主資本が増加した結果、当連結会計年度末現在のネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット有利子負債と株主資本の比率)は前連結会計年度末の0.28に対して0.30となりました。
当連結会計年度末現在、流動資産は2,836,575百万円となり、前連結会計年度末に対し、415,294百万円増加し、また流動負債は1,371,661百万円となり、前連結会計年度末に対し47,640百万円増加しました。その結果、流動比率は206.8%と前連結会計年度末に対し23.9ポイント増加となりました。
営業活動から得られるキャッシュ・フロー、様々な資金調達手段、流動比率の水準に基づき、当社グループは、流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えています。
なお、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は289,975百万円であり、そのうち238,377百万円は海外子会社が保有しています。
当社グループは、スタンダード&プアーズ、ムーディーズ・インベスターズ・サービス及び㈱格付投資情報センターから信用格付を取得しています。当連結会計年度末現在、当社グループの発行体格付けは、スタンダード&プアーズ:A(長期)、A-1(短期)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:A2(長期)、Prime-1(短期)、㈱格付投資情報センター:AA-(長期)、a-1+(短期)となっています。
<設備投資>
建設機械・車両事業では、主に生産性の向上や循環事業強化のための設備投資等を行いました。リテールファイナンス事業では、主に賃貸用資産に係る設備投資等を行いました。産業機械他事業では、主に生産能力の増強や老朽設備更新のための設備投資等を行いました。これらの結果、当連結会計年度の設備投資額は161,563百万円と前連結会計年度比13,801百万円の増加となりました。
<契約上の債務>
当連結会計年度末現在の契約上の債務は次のとおりです。
期間別支払見込額
(百万円)
合計
1年以内
1-3年
3-5年
5年超
短期債務
310,738
310,738
-
-
-
長期債務
743,024
176,835
355,068
192,539
18,582
オペレーティングリース債務
74,853
19,212
17,911
8,365
29,365
有利子負債に関する利息
73,937
28,772
32,138
12,599
428
年金及びその他の退職給付債務
4,698
4,698
-
-
-
合計
1,207,250
540,255
405,117
213,503
48,375
(注)1.長期債務の公正価値の調整額はありません。
2.有利子負債に関する利息は、当連結会計年度末現在有効な利率に基づき計算されています。
3.年金及びその他の退職給付債務は、2024年度以降の拠出額は未確定であるため、2023年度に生じるものだけを記載しています。
なお、当連結会計年度末現在の設備発注残高は、約25,100百万円です。
③ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
<建設機械・車両事業セグメント>
建設機械・車両事業の売上高は3,296,566百万円(前連結会計年度比28.6%増加)となりました。
中期経営計画の成長戦略「イノベーションによる成長の加速」においては、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)の導入を着実に進め、2023年3月末時点の総稼働台数は累計643台となりました。また、建設機械の遠隔操作化に取り組み、中型油圧ショベル向けの遠隔操作システムを開発し、本年3月よりお客様への提供を開始しました。カーボンニュートラルの実現に向けて、建機の電動化においては、パートナーとの共同開発を推進し、電動マイクロショベル「PC05E-1」をはじめ、各機種の開発及び早期市場導入に向けて取り組みました。本年3月には国際的な建設機械見本市「CONEXPO-CON/AGG 2023」において、電源がない環境での充電が可能な蓄電機能付き充電器を初出展しました。また、燃料電池や水素エンジンなどの新動力源の研究開発に取り組むと同時に、新技術が実現するまでの「ブリッジテクノロジー」の一環として、欧州地域の工場で出荷時に充填される燃料をディーゼル燃料から、CO2排出量を大幅に削減可能な水素化植物油(HVO燃料)へ切り替える準備を進めました。「稼ぐ力の最大化」では、都市土木作業に特化して仕様を最適化した油圧ショベルCEシリーズ「PC200-10M0」を活用した2ラインモデル戦略において、アジア地域での拡販を進めるとともに、中南米への導入を開始しました。また、ライフサイクルサポートビジネスによる差別化の推進を目指し、キーコンポーネントを自社開発・生産している強みを活かしたメンテナンス契約付き延長保証プログラムの拡大を着実に進めました。「レジリエントな企業体質の構築」では、昨年に完全子会社化した中国生産法人の合併など合理化を進め、グローバルクロスソーシング拠点としての競争力強化に取り組みました。また、湘南工場内に新たに竣工した開発棟に、自動化・自律化・遠隔操作化などの研究・開発機能を集約し、開発の効率化を図りました。
建設機械・車両事業セグメントの地域別売上高(外部顧客向け売上高)
(金額単位:百万円)
2021年度
2022年度
増 減
金 額
増減率 %
日本
303,628
321,746
18,118
6.0%
北米
590,695
864,912
274,217
46.4%
中南米
395,885
545,072
149,187
37.7%
米州
986,580
1,409,984
423,404
42.9%
欧州
239,294
314,008
74,714
31.2%
CIS
184,483
120,206
△64,277
△34.8%
欧州・CIS
423,777
434,214
10,437
2.5%
中国
96,416
79,690
△16,726
△17.3%
アジア※
295,431
461,613
166,182
56.3%
オセアニア
263,436
316,161
52,725
20.0%
アジア※・オセアニア
558,867
777,774
218,907
39.2%
中近東
53,874
86,300
32,426
60.2%
アフリカ
135,708
177,015
41,307
30.4%
中近東・アフリカ
189,582
263,315
73,733
38.9%
合計
2,558,850
3,286,723
727,873
28.4%
※ 日本及び中国を除きます。
地域別の概況は以下のとおりです。
(日本)
日本では、公共工事及び民間工事向けの新車需要は減少したものの、新車販売の増加や販売価格の改善などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。
(米州)
北米では、一般建機の需要は金利上昇の影響で住宅建設向けが減少したものの、レンタル、インフラ向けが好調に推移し、エネルギー関連向けも引き続き増加しました。加えて、鉱山機械の需要が好調に推移したことや、販売価格の改善及び円安の影響もあり、売上高は前連結会計年度を上回りました。中南米では、一般建機の需要は第3四半期以降減速しているものの、鉱山機械の需要は堅調に推移しました。鉱山機械の部品・サービスの売上げ増加や、販売価格の改善及び円安の影響により、売上高は前連結会計年度を上回りました。
(欧州・CIS)
欧州では、エネルギー価格高騰などの影響はあるものの、サプライチェーンの混乱が改善し、主要市場であるドイツ、英国、フランスを中心に一般建機の販売が増加しました。販売価格の改善などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。CISでは、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーン及び金融・経済の制約の影響から、売上高は前連結会計年度を下回りました。
(中国)
中国では、ゼロコロナ政策などによる経済活動の停滞により需要が低迷したことから、売上高は前連結会計年度を下回りました。
(アジア・オセアニア)
アジアでは、インドネシアにおける石炭、ニッケル鉱山向け機械の需要が好調であったことに加え、フィリピン、ベトナム、マレーシアを中心に一般建機の需要が堅調であったことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。オセアニアでは、鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移しました。部品・サービス売上げが増加したことや円安の影響もあり、売上高は前連結会計年度を上回りました。
(中近東・アフリカ)
中近東では、サウジアラビアやUAEなどの産油国でのプロジェクトなどにより、一般建機の需要が好調に推移したことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。アフリカでは、主に南部アフリカ地域における鉱山機械の需要が好調に推移したことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比351,520百万円増加の3,513,355百万円となりました。
なお、建設機械・車両事業セグメントの生産規模は、主に鉱山機械の需要が好調に推移したことにより、前連結会計年度比31.8%増加し、約3兆5,780億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。
<リテールファイナンス事業セグメント>
リテールファイナンス事業では、円安の影響や一般建機及び鉱山機械の販売増加により、新規取組高は増加しました。前期に一部リース車を中古車として販売した影響があったものの、売上高は85,630百万円(前連結会計年度比19.2%増加)となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比140,197百万円増加の1,121,107百万円となりました。
<産業機械他事業セグメント>
産業機械他事業では、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業は、世界的な半導体需要の増加により売上げが好調に推移したものの、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械については、主に大型プレスの売上げが減少しました。売上高は190,941百万円(前連結会計年度比1.4%増加)となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比14,462百万円増加の220,743百万円となりました。
なお、産業機械他事業セグメントの生産規模は、前連結会計年度比23.8%増加し、約2,122億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
2025年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画の経営目標に対し、2022年度の実績は以下のとおりとなりました。
項目
経営指標
経営目標
2022年度
成長性
・売上高成長率
・業界水準を超える成長率
+26.4%
収益性
・営業利益率
・業界トップレベルの利益率
13.8%
効率性
・ROE*1
・10%以上
13.7%
健全性
・ネット・デット・
エクイティ・
レシオ*2
・業界トップレベルの財務体質
0.30
リテール
ファイナンス
事業
・ROA*3
・1.5%-2.0%
2.6%
・ネット・デット・
エクイティ・
レシオ*2
・5倍以下
3.77
ESG
・環境負荷低減
・CO2排出削減:
2030年50%減(2010年比)
2050年カーボンニュートラル(チャレンジ目標)
・再生可能エネルギー使用率:2030年50%
・製品使用によるCO2削減
21%減(見込値)
・生産によるCO2削減
42%減(見込値)
・再生可能エネルギー
使用率 17%(見込値)
・外部評価
・DJSI*4選定(ワールド、アジアパシフィック)
・CDP*5 Aリスト選定(気候変動、水リスク)
・DJSI*4選定
・CDP*5気候変動 評価A
・CDP*5水リスク 評価A
株主還元
・連結配当性向
・成長への投資を主体としながら、株主還元
(自社株買いを含む)とのバランスをとる
40.3%
・連結配当性向を40%以上とする
*1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)
*2 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本
*3 ROA=セグメント利益/((期首総資産+期末総資産)/2)
*4 ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ:米国S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が提供するESG投資指標
*5 企業や政府が温室効果ガス排出量を削減し、水資源や森林を保護することを推進する国際的な非営利団体
