【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。
①経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナ下で、各種政策の効果もあって、景気は緩やかに持ち直しています。ただし、世界的な金融引締め等による海外景気の下振れや物価上昇等の影響などにより、不透明な状況が継続しています。当社グループを取り巻く経営環境は、国内建設コンサルティング事業では、政府が推進している防災・減災対策の強化、インフラ老朽化対策に関わる国土強靭化推進などを背景として、前連結会計年度に続き堅調に推移しました。海外建設コンサルティング事業では、アジア市場及び英国市場ともに、新型コロナウイルス感染症に基づく制限が緩和されましたが、ウクライナ情勢やインフレ等の経済動向に引き続き注視する必要があります。当社グループは、このような経営環境のもと、2022年を初年とする「中期経営計画2024」において、「グローバルインフラソリューショングループとしての成長」を目標とし、①グループ協働の推進による事業拡大、②安定経営と収益性の改善、③ガバナンスの強化、④サステナビリティ経営の推進の4点をグループ全体の取り組みとして掲げ、当連結会計年度において実行してまいりました。これらの取り組みにより、当連結会計年度における当社グループの受注高は、85,887百万円と前年同期比1.7%増となりました。売上高は83,485百万円と前年同期比12.2%増、経常利益は8,235百万円と前年同期比15.7%増、親会社株主に帰属する当期純利益は5,874百万円と前年同期比31.4%増となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高が7,329百万円、売上原価が6,000百万円それぞれ増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ1,329百万円増加しております。当社グループのセグメント別の業績は次のとおりです。1 国内建設コンサルティング事業 国内建設コンサルティング事業は、防災・減災、国土強靭化、維持管理をはじめとする重点事業分野の計画的な受注と生産を行いました。以上の結果、受注高は58,191百万円と前年同期比0.8%減、売上高は58,160百万円と前年同期比8.3%増となり、セグメント利益は6,885百万円と前年同期比14.1%増となりました。 なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高が4,690百万円増加し、セグメント利益が997百万円増加しております。2 海外建設コンサルティング事業 海外建設コンサルティング事業は、東南アジアを拠点とする株式会社建設技研インターナショナルにおいて大型受注を獲得するとともに、英国を中心に事業展開するWaterman Group Plcの業績が大きく拡大し、受注高は27,696百万円と前年同期比7.4%増、売上高は25,325百万円と前年同期比22.3%増となり、セグメント利益は1,131百万円と前年同期比18.8%増となりました。 なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高が2,639百万円増加し、セグメント利益が331百万円増加しております。
②財政状態の状況当連結会計年度末における総資産は73,296百万円と前年同期比2.0%増となりました。これは主に、収益認識会計基準等の適用により、受取手形、完成業務未収入金及び契約資産が増加し、受取手形及び完成業務未収入金、未成業務支出金が減少した一方、現金及び預金が増加したことによるものであります。当連結会計年度末における総負債は25,576百万円と前年同期比22.6%減となりました。これは主に、収益認識会計基準等の適用により、契約負債が増加し、未成業務受入金が減少したことによるものであります。当連結会計年度末における純資産は47,719百万円と前年同期比22.9%増となりました。これは主に、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が増加したことに加え、親会社株主に帰属する当期純利益が計上されたことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,062百万円増加し、22,589百万円となりました。営業活動の結果取得した資金は3,804百万円(前年同期比28.8%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益8,252百万円と減価償却費1,227百万円による収入があった一方、売上債権及び契約資産の増加による支出2,313百万円や法人税等の支払額3,133百万円があったことによるものであります。投資活動の結果使用した資金は752百万円(前年同期比12.2%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出560百万円と無形固定資産の取得による支出100百万円があったことによるものであります。財務活動の結果使用した資金は1,291百万円(前年同期比14.5%増)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出478百万円、配当金の支払額844百万円があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年1月1日 至
2022年12月31日)(百万円)
前年同期比(%)
国内建設コンサルティング事業
58,160
8.3
海外建設コンサルティング事業
25,325
22.3
合計
83,485
12.2
(注)1
金額は、販売価額によっております。2 上記の金額は外部顧客に対するもので、セグメント間の内部取引及び振替額は含まれておりません。
2)受注実績
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至
2022年12月31日)
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
国内建設コンサルティング事業
58,191
△0.8
39,727
-
海外建設コンサルティング事業
27,696
7.4
25,034
-
合計
85,887
1.7
64,761
-
(注)1
金額は、販売価額によっております。2 上記の金額は外部顧客に対するもので、セグメント間の内部取引及び振替額は含まれておりません。3 収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しているため、受注残高に関しては前年同期比は記載しておりません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至
2022年12月31日)(百万円)
前年同期比(%)
国内建設コンサルティング事業
58,160
-
海外建設コンサルティング事業
25,325
-
合計
83,485
-
(注)1
金額は、販売価額によっております。2 上記の金額は外部顧客に対するもので、セグメント間の内部取引及び振替額は含まれておりません。3 収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しているため、前年同期比は記載しておりません。4 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
販売先
前連結会計年度(自
2021年1月1日至
2021年12月31日)
当連結会計年度(自
2022年1月1日至
2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
日本国
26,074
35.0
29,532
35.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。当連結会計年度の連結財務諸表の作成にあたって、特に重要な見積りは以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。(のれんの減損)当社グループは、企業結合により発生したのれんを計上しております。当該のれんについては、将来の超過収益力を適切に反映しているものと判断しております。のれんの減損損失の判定にあたっては、子会社の業績や事業計画等に基づき合理的に判断しておりますが、これらは長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境や市況等の変動によっては、当社グループの財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。(建設コンサルティング業務契約における収益認識)当社グループは、建設コンサルティング業務契約について、一定の期間にわたり充足される履行義務については、見積総原価に対する発生原価の割合に基づく進捗度により収益を認識しております。見積総原価の見積りには、不確実性を伴いますので、予期し得ぬ状況変化や事実の判明によって業務の作業量等が大きく変動した場合には、当社グループの財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
②経営成績等の状況の分析当連結会計年度末における経営成績の状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。国内建設コンサルティング事業セグメントの営業利益率は、前年同期11.2%から当連結会計年度11.8%へと上昇しました。公共事業における技術者単価の上昇、契約ロットの大型化により採算性の向上があった一方、人件費も増加しておりますが、DX化等の業務効率化の推進により、採算性が上昇しております。 海外建設コンサルティング事業セグメントの営業利益率は、前年同期4.6%から当連結会計年度4.5%へと低下しました。新型コロナウイルスの感染症拡大の影響をほぼ解消し、当連結会計年度は、Waterman Group Plc、株式会社建設技研インターナショナルとも業績を伸ばしておりますが、Waterman Group Plcの英国公共部門では、インフレによる賃金高騰の影響を受け、営業利益率は、若干、低下しております。
③財政状態の分析当連結会計年度末における財政状態の状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。総資産は73,296百万円と前年同期比2.0%増となり、総負債は25,576百万円と前年同期比22.6%減、純資産は47,719百万円と前年同期比22.9%増となりました。これらは、受注高、売上高等の事業規模拡大により増加しておりますが、自己資本比率も前年同期53.8%から当連結会計年度64.8%へと上昇しておりますので、財政の安定性を保ちながら事業規模拡大が図られていると考えております。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析当連結会計年度末のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。当社グループの事業規模拡大に伴い、総資産が増加していますが、資金については、手元流動性を確保しつつ、基本的には自己資金の範囲内で事業拡大と生産性向上並びに業務効率化に必要な投資を進めているところであります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、業務原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は中長期的な成長に向けてのM&Aや設備投資によるものであります。なお、業務の特性上、受託料収入が第2四半期に集中し、第1四半期には手元資金残高が減少する傾向があるため、当該時期には資金需要に応じて運転資金の一部を金融機関からの短期借入金で賄うことがあります。
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