【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が見られたものの、重症化率が低下したことによる行動制限の緩和の効果もあり、経済活動面での回復の動きが見られました。しかしながらエネルギー資源や原材料価格の高騰によるインフレ懸念や急激な円安が進行する等、先行き不透明な状況で推移いたしました。
在宅医療業界におきましては、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、地域包括ケアシステムの構築を実現させることが国策として進められているなか、厚生労働省から2022年12月28日付で、「訪問看護レセプト(医療保険請求分)の電子化」および「訪問看護のオンライン資格確認」について、2024年からの開始が通知されました。これまで医療分野で唯一電子化の対象外だった訪問看護は、これにより原則電子化に向けての取組みが強化されます。
このような環境のなかで、当社は、訪問看護が地域包括ケアにおいてより重要な役割を担えるように、訪問看護の電子化を進めるべく、当社サービスの普及と追加機能のリリース等、サービスの拡充に努めてまいりました。
その結果、売上高は、1,603,179千円(前期比34.4%増)、経常利益は676,053千円(前期比67.6%増)、当期純利益は449,562千円(前期比32.1%増)となりました。
当社は、訪問看護ステーション向けサービス提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
売上高をサービス別に示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
第11期(2022年12月期)
1Q
1-3月
2Q
4-6月
3Q
7-9月
4Q
10-12月
合計
1-12月
<クラウドサービス>
331,581
362,169
385,519
401,560
1,480,830
iBow
312,338
338,490
358,610
371,957
1,381,396
iBow レセプト
19,059
23,407
26,723
29,158
98,347
その他
184
271
186
444
1,087
<BPOサービス>
17,041
21,730
29,036
39,542
107,351
iBow事務管理代行サービス
17,041
21,650
28,996
39,502
107,191
その他
-
80
40
40
160
<その他>
3,722
3,519
3,256
4,499
14,997
注1.上記の数値は管理会計上の数値であり、太陽有限責任監査法人による監査を受けておりません。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,406,894千円となり、前事業年度末に比べ539,643千円の増加となりました。これは主に、当期純利益の増加による現金及び預金の増加458,142千円、売上高の増加に伴う売掛金の増加78,237千円があったこと等によるものであります。固定資産は242,147千円となり、前事業年度末に比べ48,119千円の増加となりました。これは主に、東京オフィス移転に伴う有形固定資産の増加7,281千円、iBow機能追加等による無形固定資産の増加19,317千円、投資その他の資産の増加21,520千円(繰越欠損金の解消に伴う繰延税金資産の減少および本社移転(2023年6月予定)に伴う敷金の増加)があったこと等によります。
この結果、総資産は、1,649,042千円となり、前事業年度末に比べ587,762千円の増加となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は452,435千円となり、前事業年度末に比べ71,372千円の増加となりました。これは主に、税引前当期純利益の増加に伴う未払法人税等の増加94,253千円があったこと等によります。
固定負債は91,500千円となり、前事業年度末に比べ84,560千円の減少となりました。これは主に、長期借入金の一部を期限前弁済したこと等によります。
この結果、負債合計は543,935千円となり、前事業年度末に比べ13,187千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,105,106千円となり、前事業年度末に比べ600,950千円の増加となりました。これは主に、公募増資および新株予約権の行使により、資本金が75,970千円増加、資本準備金が75,961千円増加し、また当期純利益の計上により繰越利益剰余金が449,562千円増加したこと等によります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は1,075,210千円となり、営業活動により543,378千円増加、投資活動により136,426千円減少、財務活動により51,189千円増加したこと等により、前事業年度末と比較して458,142千円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、543,378千円(前事業年度は408,642千円の獲得)となりました。これは主に、業績が好調に推移したことによる税引前当期純利益の計上676,053千円、減価償却費の計上32,687千円があったものの、売上債権の増加78,237千円、法人税等の支払106,575千円があったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、136,426千円(前事業年度は73,755千円の使用)となりました。これは主に、東京オフィスを移転したこと等による有形固定資産の取得による支出16,037千円、iBow機能追加等による無形固定資産の取得による支出55,194千円、本社移転(2023年6月予定)に伴う敷金の差入による支出65,249千円があったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、51,189千円(前事業年度は44,560千円の使用)となりました。これは主に、東京証券取引所グロース上場に伴う株式の発行による収入78,200千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入73,187千円があったものの、長期借入金の返済による支出84,560千円があったこと等によります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度(2022年12月期)の販売実績は1,603,179千円(前期比34.4%増)となりました。
なお、当社は訪問看護ステーション向けサービス提供事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。サービス別の売上高については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況 ①経営成績の状況」の概要を参照ください。
また、前期比で増加した要因は、既存サービスのシェア拡大と追加機能のリリースなどサービスの拡充に努めた結果によるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表を作成するにあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 財政状態、経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(a)売上高
当事業年度における売上高は、1,603,179千円(前年同期比34.4%増)となりました。これは「iBow」の契約ステーション数の増加、顧客平均単価の上昇に加え、2021年1月にリリースした「iBow 事務管理代行サービス」、および2021年4月にリリースした「iBow レセプト」の利用者数が、当事業年度において順調に増加したことによるものであります。
(b)売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は、333,126千円(前年同期比43.9%増)となりました。これは主に、クラウドサービスの契約ステーション数の増加に伴う労務費とサーバーコストの増加、および「iBow」リプレース投資による減価償却費の増加、またはBPOサービスの売上高の増加に伴う人件費の増加等によるものであります。
この結果、売上総利益は、1,270,053千円(前年同期比32.1%増)となりました。
(c)販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ17,803千円増加し、577,256千円(前年同期比3.2%増)となりました。また、当事業年度における営業利益は、前事業年度に比べ290,889千円増加し、692,796千円(前年同期比72.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費の主な増加要因は、東京オフィス移転による地代家賃の増加、展示会やWEB広告の強化による広告宣伝費の増加等によるものです。
(d)営業外損益、経常利益
当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ667千円増加し、5,082千円(前年同期比15.1%増)となりました。営業外収益の増加額は主に助成金収入の増加によるものです。また、営業外費用は、前事業年度に比べ18,791千円増加し21,825千円(前年同期比619.2%増)となりました。営業外費用のうち15,638千円が株式上場に伴う費用であります。
以上の結果、当事業年度における経常利益は、前事業年度に比べ272,765千円増加し、676,053千円(前年同期比67.6%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度(2022年12月期)におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社は、経営上の目標の達成状況を「稼働ステーション数」「市場シェア」「四半期平均解約率」「月間平均単価」の指標で判断しております。当事業年度末までの各指標の状況は次のとおりであります。
当社は、サブスクリプションでサービスを提供しており、既存収入の安定、新規顧客の獲得、低解約率の継続により今後の業績は順調に推移すると認識しております。
・稼働ステーション数 (単位:件)
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1,009
1,116
1,191
1,269
1,337
1,485
1,561
1,644
1,697
1,823
1,921
1,996
(注)稼働ステーション数は、「iBow」のサービス利用中の四半期ごとの稼働ステーション数の月末平均であり、サービス提供準備中のステーション数は含んでおりません。
・市場シェア (単位:%、件)
2019年12月
2020年12月
2021年12月
2022年12月
市場シェア
9.7
11.7
13.7
15.1
契約ステーション数
1,082
1,398
1,777
2,161
市場ステーション数
11,161
11,931
13,003
14,304
(注)市場シェアは、毎年12月末における当社契約ステーション数を、毎年6月に一般社団法人全国訪問看護協会が公表する4月1日時点における稼働訪問看護ステーション数で除して算出しております。
契約ステーション数は、稼働ステーションおよびサービス準備中のステーション数の合計であります。
・四半期平均解約率 (単位:%)
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
0.12
0.20
0.18
0.17
0.09
0.08
0.03
0.15
0.05
0.06
0.07
0.11
(注)1.四半期平均解約率は、各月の売上に対する前月解約による売上の減少割合である月次解約率を算出し、当該月次解約率を四半期ごとに単純平均しております。
2.月次平均解約率を重要な経営指標としているのは、解約率が低位で安定していることは、顧客の満足度を図る一つの指標であると考えているためであります。
・月間平均単価
2020年12月期4Q
2021年12月期4Q
2022年12月期4Q
月間平均単価
59.9千円
69.0千円
74.4千円
(注)月間平均単価は、各年度の4Qにおける平均月間売上高を「iBow」の4Qにおける月末平均稼働ステーション数で除して算出しております。
#C5038JP #eWeLL #情報通信業セクター