【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進展し、感染拡大防止のた めの行動制限が緩和され、徐々に経済活動が再開しました。一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化による資 源・エネルギーの供給抑制に伴う急速な物価の上昇や、世界的な金融引き締めを背景とした世界的な景気後退懸 念等、景気の先行きについては依然として不透明な状況が継続しております。このような経済環境の中、当社が属する情報サービス業界においては、中長期的にシステムインテグレーショ ン(SI)市場規模が緩やかに拡大する中で、当社がサービスを提供しているデジタルトランスフォーメーション (DX)の市場が占める割合は急速に拡大することが見込まれています。特に当社が注力する製造業・建設業では 人手不足への対策、ベテランノウハウの継承、脱炭素への取組みが重要な経営課題となっており、これまでの一 部の業務のデジタル化に留まらず、大企業を中心に全社横断的なDX投資が加速し、市場の拡大をけん引していま す。 また、DXの市場規模拡大に伴い、IT産業における外部委託(BPO)市場規模も拡大しています。しかし、DXを推 進するためのITエンジニアは不足しており、需給は逼迫している状況です。このような市場環境に対して、当社 はIT開発支援パートナーとの広範な「Ohgi」ネットワークを有しており、顧客のIT人材の需要に対して迅速に適 切な人材を紹介できる体制を築いております。中小IT企業とそこに所属する従業員のデータベースである 「Ohgi」ネットワークは顧客のニーズに応えられるよう現在も規模を拡大しております。一方、「Ohgi」ネット ワークは当社が受注した案件でも積極的に活用しており、従業員数と比較して多くのDX案件を受注できる(開発 体制が組める)ことから、当社の利益の源泉であり強みとなっています。 このような状況のもと、当社の経営状況は、既存顧客のフォロー及び新規顧客の獲得に注力したことに加えて、 昨年の株式上場並びに、9月に株式会社ミスミと合弁で株式会社DTダイナミクスを設立し、株式会社ミスミの製品 「meviy」の開発パートナーであることを公表したことで、製造業DXを手掛ける会社として知名度が高まり新規の案件の引き合いも増加傾向にあります。当社は、積極的な提案活動により大企業との取引拡大に注力しており、売上高に対する年商500億円以上の大企業との取引は前事業年度の41%から当事業年度は49%へ拡大しました。1社あたりの取引金額も増加しており、前事業年度と比べて5,000万円以上取引をいただいている顧客数は27社から46社へ増加しました。この結果、DX支援及びIT人材調達支援いずれも順調に拡大し、当事業年度の経営成績は以下のとおりとなりました。なお、当社はDX関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(売上高)当事業年度における売上高は、前事業年度と比べ4,311,904千円増加し、12,113,202千円(前年同期比55.3%増)となりました。DX支援においては、製造業の新規顧客への拡販や、スーパーゼネコンからの受注拡大、既存顧客との継続的な取引拡大により売上高は5,939,517千円(前年同期比69.5%増)となりました。IT人材調達支援においては、既存大手SIerとの継続的な取引拡大と新規顧客開拓に注力するとともに、営業人員の増員や外注先パートナーの拡大を図ったことにより売上高は6,173,685千円(前年同期比43.6%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)当事業年度における売上原価は、前事業年度と比べ3,379,096千円増加し、9,383,313千円(同56.3%増)となりました。これは主に売上増加に伴う外注費の増加によるもので、DX支援においては1,462,624千円(同113.6%増)、IT人材調達支援においては1,455,714千円(44.5%増)増加しました。この結果、当事業年度における売上総利益は、DX支援においては1,766,624千円(同47.0%増)、IT人材調達支援においては963,265千円(同61.8%増)となり、前事業年度と比べ932,807千円増加し、2,729,889千円(同51.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べ358,009千円増加し、1,608,917千円(同28.6%増)となりました。これは主に、新卒・経験者採用の採用費、人件費の増加によるものです。この結果、当事業年度における営業利益は、前事業年度と比べ574,798千円増加し、1,120,972千円(同105.2%増)となり、売上高営業利益率は9.3%(同7.0%)となりました。
(営業外損益、経常利益)当事業年度の営業外収益は、主に補助金収入の減少により、前事業年度と比べ3,409千円減少し、32,413千円(同9.5%減)となりました。営業外費用は主に上場関連費用の減少により、前事業年度と比べ21,965千円減少し、13,909千円(同61.2%減)となりました。この結果、当事業年度における経常利益は、前事業年度と比べ593,354千円増加し、1,139,476千円(同108.6%増)となりました。
(特別損益、法人税等、当期純利益)当事業年度の法人税等は、前事業年度と比べ166,871千円増加し、302,649千円(同122.9%増)となりました。この結果、当事業年度における当期純利益は、前事業年度と比べ426,483千円増加し、836,826千円(同103.9%増)となりました。
② 財政状態の状況(資産)当事業年度末における資産合計は5,114,394千円となり、前事業年度末に比べ1,340,892千円増加いたしました。これは主に、営業活動によるキャッシュ・フローの増加に伴い現金及び預金が857,505千円、売上の増加に伴い売掛金及び契約資産が505,004千円増加したことによるものです。
(負債)当事業年度末における負債合計は2,268,362千円となり、前事業年度末に比べ456,729千円増加いたしました。これは主に、外注費の増加に伴い買掛金が229,712千円、所得の増加に伴い未払法人税等が69,412千円、大口案件の役務提供未経過分の増加により契約負債が70,696千円、当座貸越契約による借入により短期借入金が70,000千円増加したことによるものです。
(純資産)当事業年度末における純資産合計は2,846,032千円となり、前事業年度末に比べ884,162千円増加いたしました。これは、ストック・オプションの行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ23,899千円、当期純利益の計上により利益剰余金が836,826千円増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は55.6%(前事業年度末は52.0%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ857,505千円増加し、2,199,186千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による資金の増加は、業績が順調に拡大した結果、883,678千円(前年同期は581,754千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益1,139,476千円、仕掛品の減少額59,644千円、仕入債務の増加額227,759千円、支出の主な内訳は、売上債権の増加額505,004千円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による資金の減少は、118,549千円(前年同期は67,137千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、主にPCの購入に伴う有形固定資産の取得による支出84,569千円、関係会社株式の取得による支出34,000千円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金の増加は、92,377千円(前年同期は519,724千円の増加)となりました。主な内訳は、ストック・オプション行使に伴う株式発行による収入47,798千円、当座貸越契約による短期借入金の増加70,000千円、及び約定に伴う社債の定期償還による支出24,000千円です。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c 販売実績当事業年度における販売実績は、次のとおりです。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
DX関連事業
12,113,202
155.3
(注) 1.当社の事業セグメントは、DX関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前事業年度
当事業年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
株式会社ミスミ
979,627
12.6
938,541
7.7
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者により会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく見込み数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(インプット法による収益認識)当社は受注制作のソフトウエアに係る収益の計上基準は、一定の金額を超える案件について、将来の発生原価を合理的に見積ってプロジェクト採算管理を実施しており、発生原価と見積総原価との比率で進捗度を見積り、それを契約金額に乗ずることで売上金額を算定しております。ただし、工期がごく短い案件については、顧客の検収を受けた一時点で収益を認識しております。進捗度の見積りの基礎となる見積総原価は、ソフトウエア開発人員の人件費や外注費等を見積ることによって算定され、見積りの不確実性を伴います。見積総原価に関して、開発の進捗状況は月次でモニタリングしておりますが、計画どおりに進捗せず、プロジェクトの期間が延長されたり、想定より工数が増加することにより、期中において原価の著しい増加が見込まれる場合には、見積総原価の見直しを行います。また、事業年度末では、インプット法により収益を認識しているすべてのプロジェクトについて、見積総原価の見直しを行います。見積総原価を見直した場合には、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりです。なお、主な経営指標として売上高成長率及び営業利益率を重視しており、各指標の推移は以下のとおりです。売上高成長率について、前事業年度は主に新型コロナウイルス感染症の影響が残存していた一方で、当事業年度においては、株式上場などによる認知度の向上、大企業における積極的なDX投資により受注が好調であった結果、売上高が計画を上回り、高めの水準となりました。営業利益率について、大企業との取引拡大による受注単価の引き上げによる売上総利益率の向上、売上高拡大に伴う販管費比率の低下によって、営業利益率は向上しております。
前事業年度
当事業年度
売上高成長率
41.0%
55.3%
営業利益率
7.0%
9.3%
③ キャッシュ・フローの状況の分析「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社は、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、主として内部資金を活用し、不足分は金融機関からの借入により資金調達を行っております。設備投資をする場合等、必要に応じてエクイティファイナンスも検討する方針です。当社の資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費です。この資金需要に対する財源は、営業活動で得られる自己資金と、銀行との当座貸越契約による短期借入金です。また、当事業年度末における手元資金2,199,186千円に加え、取引銀行6行と当座貸越契約を締結して資金調達手段を確保することにより、資金の流動性をコントロールしております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について「第2 事業の状況2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
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