【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ危機の長期化に加え、米国での金融機関の経営破綻に端を発した金融システムへの不安等もあり、景気の大幅な減速懸念を強めております。
日本経済におきましては、賃上げ機運の高まりやウィズコロナの生活様式が定着し始めたことに伴い、一部では個人消費に回復傾向が見られるものの、物価高騰や人手不足の深刻化が足かせとなり、本格的な景気回復には未だ時間を要する見通しです。
このような状況の中、当社グループは、2021年5月に公表した「第3次中期経営計画」に基づき、中長期的な成長戦略の実現に向けた基盤構築を進めつつ、取引先の生産状況に応じた弾力的な生産体制を維持してまいりました。
この結果、売上高は102,053百万円(前期比123.4%)となり、第3次中期経営計画の2年度目標である84,500百万円を大きく上回り、当社グループとして初めて100,000百万円の大台に達しました。
利益面につきましては、ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品における原材料価格の上昇や当連結会計年度前半でのコロナ禍における一部地域での工場操業停止もありましたが、コロナ禍にあった工業品合成樹脂製品分野における取引先での生産調整に伴う当社工場稼働率の低下等が概ね解消され、生産効率の改善に繋がりました。結果、営業利益は第3次中期経営計画の2年度目標である3,800百万円には達しませんでしたが、3,007百万円(前期比152.6%)となりました。経常利益は為替差益の拡大や受取利息の増加等もあり、3,801百万円(前期比156.4%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は関係会社清算益等もあり、2,800百万円(前期比264.6%)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
工業品合成樹脂製品分野においては、電機電子関連にて一部の既存品で減産の動きがあったものの、半導体不足等の緩和により車両関連の売上が増加し、また住設備品関連での新規受注等もあり、分野全体では売上は増加しました。主力のハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品においては、物価高騰が続く中、消費財における消費者の節約志向は依然として根強く、売上は減少しました。
利益面につきましては、物流効率改善等によるコスト削減に取り組んでいるものの、ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品の売上減少に加え、原材料価格の上昇や電力費の高騰等もあり、前年実績を大きく下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は20,185百万円(前期比97.3%)となり、セグメント損失(営業損失)は96百万円(前期はセグメント利益669百万円)となりました。
(中国)
ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品においては、上海ロックダウン等の影響もあり、売上は減少しました。一方、工業品合成樹脂製品分野においては、一部地域でのコロナ禍における工場操業停止があったものの、電機電子関連にて取引先の生産活動が総じて復調したことによる挽回生産の増加や一部取引先での東南アジアからの生産移管、また円安による円換算金額の増加等もあり、天馬精密注塑(深圳)有限公司及び天馬精密工業(中山)有限公司にて売上が大きく増加しました。
利益面につきましては、日本と同様、ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品における原材料価格の上昇等があったものの、工業品合成樹脂製品分野における売上増加に加え、生産効率改善等による労務費の抑制等も奏功し、前年実績を大きく上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は26,178百万円(前期比122.3%)、セグメント利益(営業利益)は1,512百万円(前期比144.5%)となりました。
(東南アジア)
工業品合成樹脂製品分野において、コロナ禍の影響が薄れ、また電子部品等の供給不足が緩和され、生産活動が復調した取引先が多く見られました。特に電機電子関連はベトナム及びタイにて、家電関連はタイにて、車両関連はベトナム及びインドネシアにて挽回生産等も多く、売上は前年実績を大きく上回りました。
利益面につきましては、各地域での売上増加に加え、コロナ禍における取引先での生産調整による当社工場稼働率の低下等、非効率な生産体制が概ね解消されたこともあり、前年実績を大きく上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は55,690百万円(前期比137.3%)となり、セグメント利益(営業利益)は2,850百万円(前期比196.6%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて7,123百万円増加し、22,403百万円となりました。
各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の増加1,176百万円、法人税等の支払989百万円等がありましたが、減価償却費4,452百万円、税金等調整前当期純利益4,433百万円、仕入債務の増加1,259百万円等があり、7,514百万円の増加(前期比は4,460百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
定期預金の預入17,760百万円、有形固定資産の取得2,941百万円等がありましたが、定期預金の払戻22,077百万円等があり、1,306百万円の増加(前期比は1,593百万円の増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払1,814百万円、自己株式の増加1,001百万円等があり、3,235百万円の減少(前期比は1,489百万円の増加)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前期比(%)
日本
18,451,460
94.7
中国
25,115,888
124.1
東南アジア
54,528,486
140.1
合計
98,095,835
124.7
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格により算出しております。
3 金額は、千円未満の端数を四捨五入して表示しております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高
(千円)
前期比
(%)
受注残高
(千円)
前期比
(%)
日本
5,049,444
103.3
1,054,576
94.2
中国
23,988,950
123.7
2,434,532
119.2
東南アジア
55,955,063
136.9
4,496,472
119.8
合計
84,993,458
130.5
7,958,580
115.5
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主にハウスウエア合成樹脂製品分野については見込み生産を行っているため、受注実績には含まれておりません。
3 金額は、千円未満の端数を四捨五入して表示しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
日本
20,184,793
97.3
中国
26,177,605
122.3
東南アジア
55,690,369
137.3
合計
102,052,767
123.4
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、千円未満の端数を四捨五入して表示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって必要と思われる見積りは、過去の実績値や状況に応じ合理的と判断される前提に基づき実施しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a) 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(b) 減損会計における将来キャッシュ・フロー
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、割引前将来キャッシュ・フローの算定は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産及び資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品について、国内においては物価高騰が続く中、消費回復の動きは限定的であり、消費財における節約志向は根強く、中国においては上半期の上海ロックダウンの影響もあり、売上が減少しました。一方、工業品合成樹脂製品分野については、コロナ禍の影響が薄れ、取引先の生産活動が総じて復調したこと、また円安傾向で推移したこともあり、売上は大幅に増加しました。この結果、売上高は102,053百万円(前期比123.4%)となり、当社グループとして初めて100,000百万円の大台に達しました。
(営業利益)
ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品について、物流効率改善等によるコスト削減に取り組んでいるものの、原材料価格の上昇や電力費の高騰等もあり、減益となりました。工業品合成樹脂製品分野については、売上増加に加え、コロナ禍にあった取引先での生産調整に伴う当社工場稼働率の低下等が概ね解消され、生産効率が改善したこと、また円安傾向で推移したこともあり、大幅な増益となりました。この結果、営業利益は3,007百万円(前期比152.6%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外損益において、為替差益が前期比で増加したこと、また海外での受取利息が増加したこと等により、経常利益は3,801百万円(前期比156.4%)となりました。
特別損益において、関係会社清算益等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,800百万円(前期比264.6%)となりました。
なお、前期同様、新型コロナウイルス感染拡大により、一部の海外拠点において、政府からの感染拡大抑制の指示に従い一時的に工場を稼働停止した期間の固定費等(人件費、減価償却費等)を、新型コロナウイルス感染症関連損失として120百万円を特別損失に計上しております。
(財政状態)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて8,817百万円増加し、102,802百万円となりました。これは、現金及び預金が3,313百万円、受取手形及び売掛金が2,683百万円、建物及び構築物が937百万円、投資有価証券が724百万円増加したこと等によります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて3,704百万円増加し、24,491百万円となりました。これは支払手形及び買掛金が2,313百万円、繰延税金負債が532百万円増加したこと等によります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて5,113百万円増加し、78,310百万円となりました。これは、為替換算調整勘定が4,308百万円、控除項目である自己株式が1,001百万円、利益剰余金が986百万円、その他有価証券評価差額金が564百万円増加したこと等によります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、国内及び海外拠点網の有機的な連携強化により、国内外での様々なニーズに迅速かつ的確にお応えし、グローバルベースで業容拡大を目指しております。特に、成長が期待される東南アジアでの事業拡大を図るため、各国にて積極的に設備投資を行っております。これらの投資資金につきましては、主にグループ各社の自己資金で賄うこととしております。