【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
《市場環境》当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年9月30日まで)のわが国経済は、個人消費や設備投資、インバウンド需要などをけん引役に拡大基調を継続しました。一方、外需を巡っては引き続き不透明感が強いものの、供給制約の緩和等を受けた自動車の輸出増もあって、財輸出は緩やかな持ち直しを見せています。海外経済においては、強力な引き締めにもかかわらず米国経済が底堅さを維持する一方、ドイツや英国など欧州経済は低迷が継続しました。また、インフレ圧力が限定的だったアジアでは、相対的に高めの経済成長が維持されています。その他、不動産不況に苦しむ中国では「ゼロコロナ政策」解除後の景気回復ペースが鈍く、金融・財政両面からの景気支援策が実施されています。日本株市場では、4月に28,200円台で始まった日経平均株価が海外からの資金流入等を背景に6月半ばにかけてほぼ右肩上がりとなり一時33,700円台にのせました。しかしその後は、米国での「高金利長期化」観測等を背景とする日米長期金利の上昇などを受けて売り圧力が継続、最終的には31,857円で9月の取引を終えました。なお、2023年4月~9月の東証プライム市場の1日当たり平均売買代金は3兆9,215億円(前年同期の1日当たり平均売買代金は3兆2,087億円)となっています。米国株市場では、4月に33,200ドル台で始まったダウ平均株価が、米銀破綻や債務上限交渉を巡る不透明感を背景に、5月末にかけて軟調な展開を継続しました。その後は債務上限交渉の決着や米利上げ停止期待などを背景に、8月初めに35,600ドル台まで上昇しましたが、それ以降はドル高・金利高・原油高の「トリプル高」に見舞われて失速、33,507ドルで9月の取引を終了しています。日本の長期金利(10年物国債利回り)は4月に0.34%台と期中最低水準で開始後、植田新総裁初となる4月の日銀会合で緩和維持が決定されると、7月初旬にかけて概ね0.35%から0.45%のレンジ内で推移しました。しかし、7月の会合でのYCC(イールドカーブ・コントロール)政策修正や米長期金利の上昇を受け、日本の長期金利は期中最高となる0.765%まで上昇して9月の取引を終えました。米国の長期金利は4月に3.51%台で始まった後、同月6日には期中最低となる3.24%台まで低下しました。その後は5月半ばにかけて概ね3.5%近辺での推移が続きましたが、7月のFOMCで政策金利が5.25~5.50%に引き上げられ、続く9月開催のFOMCで「高金利長期化」観測が広がると一段と上昇基調を強め、9月28日には一旦4.68%台まで急伸し、4.571%で9月の取引を終えました。為替市場では、ドル円が4月に1ドル132円台で始まった後、同月5日には期中最安値の130円台まで下落しました。しかし、日銀の金融緩和維持により6月30日には145円台まで急伸しました。その後は日銀の政策修正に対する警戒感や米国のインフレ鈍化期待から、いったん137円台まで下落しましたが、日銀が7月の会合でYCC政策の修正を決定後に円売り安心感が広がったことや米国の金利上昇に伴うドル買いから、期中最高値となる149円台で9月の取引を終えています。
《財政状態の状況》(資産)当第2四半期連結会計期間末の総資産は2,584億57百万円増加(前連結会計年度末比、以下《財政状態の状況》において同じ。)し1兆3,144億77百万円となりました。このうち流動資産は、トレーディング商品が1,401億4百万円増加し4,130億22百万円となり、有価証券担保貸付金が1,094億86百万円増加し4,135億95百万円となる一方、現金預金が209億64百万円減少し1,106億42百万円となったことなどから、2,560億55百万円増加し1兆2,359億36百万円となりました。また、固定資産は、投資有価証券が26億54百万円増加し485億77百万円となったことなどから24億1百万円増加し785億41百万円となりました。
(負債)当第2四半期連結会計期間末の負債合計は2,533億87百万円増加し1兆1,280億60百万円となりました。このうち流動負債は、トレーディング商品が1,276億82百万円増加し3,636億9百万円となり、有価証券担保借入金が1,218億31百万円増加し2,679億56百万円となる一方、1年内償還予定の社債が120億53百万円減少し147億24百万円となったことから、2,576億61百万円増加し1兆121億70百万円となりました。また、固定負債は、長期借入金が35億円増加し970億円となる一方、社債が77億79百万円減少し142億円となったことから42億7百万円減少し1,152億67百万円となりました。
(純資産)当第2四半期連結会計期間末の利益剰余金は26億33百万円増加し1,136億98百万円となり、その他有価証券評価差額金が11億60百万円増加し20億94百万円、非支配株主持分が8億80百万円増加し123億94百万円となり、純資産合計は50億69百万円増加し1,864億17百万円となりました。
《経営成績の状況》
(受入手数料)前第2四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
区分
株券(百万円)
債券(百万円)
受益証券(百万円)
その他(百万円)
合計(百万円)
委託手数料
5,174
6
365
-
5,546
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
366
314
-
-
681
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
0
1
3,090
-
3,092
その他の受入手数料
115
9
2,740
3,492
6,357
合計
5,656
332
6,197
3,492
15,678
当第2四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
区分
株券(百万円)
債券(百万円)
受益証券(百万円)
その他(百万円)
合計(百万円)
委託手数料
8,058
6
241
16
8,322
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
106
394
-
-
500
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
0
2
4,298
50
4,351
その他の受入手数料
272
7
2,852
4,075
7,208
合計
8,438
409
7,392
4,142
20,383
当第2四半期連結累計期間の受入手数料の合計は30.0%増加(前年同期増減率、以下《経営成績の状況》において同じ。)し203億83百万円を計上いたしました。
① 委託手数料
株式委託手数料は55.7%増加し80億58百万円となり、委託手数料全体では50.1%増加し83億22百万円を計上いたしました。
② 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
債券は25.1%増加し3億94百万円の計上となったものの、株式は70.8%減少し1億6百万円となり、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では26.5%減少し5億円を計上いたしました。
③ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
受益証券は39.1%増加し42億98百万円の計上となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料全体では40.7%増加し43億51百万円を計上いたしました。
④ その他の受入手数料
投資信託の代行手数料は4.1%増加し28億52百万円、保険手数料収入は20.9%増加し25億52百万円の計上となり、その他の受入手数料全体では13.4%増加し72億8百万円を計上いたしました。
(トレーディング損益)
区分
前第2四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
株券等トレーディング損益
(百万円)
4,386
12,532
債券・為替等トレーディング損益
(百万円)
11,715
7,643
合計
16,101
20,176
当第2四半期連結累計期間の株券等トレーディング損益は185.7%増加し125億32百万円の利益の計上となり、債券・為替等トレーディング損益は34.8%減少し76億43百万円の利益を計上いたしました。この結果、トレーディング損益の合計は25.3%増加し201億76百万円の利益を計上いたしました。
(金融収支)
当第2四半期連結累計期間の金融収益は57.5%減少し29億14百万円を計上いたしました。また、金融費用は37.6%減少し12億70百万円を計上し、差引の金融収支は65.9%減少し16億43百万円の利益を計上いたしました。
(販売費及び一般管理費)当第2四半期連結累計期間の取引関係費は4.9%減少し61億87百万円、人件費は7.2%増加し167億72百万円、不動産関係費は2.4%減少し38億30百万円、事務費は5.8%増加し44億53百万円となりました。この結果、販売費及び一般管理費の合計は3.4%増加し349億61百万円を計上いたしました。
(営業外損益)当第2四半期連結累計期間の営業外収益は、投資有価証券評価益5億80百万円、受取配当金2億62百万円などを計上し、営業外収益の合計は0.2%増加し12億25百万円となりました。また、営業外費用は、投資事業組合運用損1億95百万円などを計上し、営業外費用の合計は41.9%減少し2億10百万円となりました。
(特別損益)
当第2四半期連結累計期間の特別損益は、特別利益として2億47百万円を計上し、特別損失として3億96百万円を計上いたしました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の営業収益は12.5%増加し434億74百万円、純営業収益は15.3%増加し422億3百万円となり、営業利益は160.4%増加し72億42百万円、経常利益は126.7%増加し82億56百万円を計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する四半期純利益は46億25百万円を計上いたしました。
《キャッシュ・フローの状況》当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは152億6百万円のキャッシュの収入(前年同期は384億50百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益が81億7百万円となり、前連結会計年度末に比べトレーディング商品(負債)が1,276億82百万円増加し、有価証券担保借入金が1,218億31百万円増加したためそれぞれ収入となった一方、トレーディング商品(資産)が1,401億4百万円増加し、有価証券担保貸付金が1,094億86百万円増加したためそれぞれ支出となったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは157億21百万円のキャッシュの支出(前年同期は55億51百万円の支出)となりました。これは主に、短期貸付けによる支出が188億34百万円となったことによるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは208億38百万円のキャッシュの支出(前年同期は233億82百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額37億38百万円、社債の償還による支出258億26百万円などによるものです。以上の結果、現金及び現金同等物の当第2四半期連結累計期間末の残高は、前連結会計年度末より207億5百万円減少し1,097億17百万円(前年同期は789億13百万円)となりました。
《経営方針・経営戦略等》当社グループは更なる飛躍に向け、2022年度より中期経営計画「“Beyond Our Limits”~異次元への挑戦」を開始しており、今年度は計画2年目となっております。
〈デジタル戦略の推進〉当第2四半期までにおける当社グループのトピックスとしては、5月に経済産業省、東京証券取引所、及び独立行政法人情報処理推進機構が共同で実施する「DX銘柄2023」に3年連続で選定されました。当社グループはDXによる事業基盤の拡充を追求する中、7月には、異次元に向けた重点施策として掲げておりますPowerful Partnersとの提携案件として、当社、及び当社の子会社で「地方創生プラットフォーム」等のデジタルサービスを提供する株式会社TTデジタル・プラットフォームが、株式会社ゆうちょ銀行(以下、「ゆうちょ銀行」)と地域経済の活性化、及び地域創生等の実現を目指した協業に関する基本契約を締結いたしました。本件協業の第一弾として、「プレミアム付きデジタル商品券」事業において共同で地方自治体への導入提案を行うこととなります。さらに今後も、「地方創生プラットフォーム」等のデジタルサービスや、ゆうちょ銀行が有する全国のネットワーク等、双方の機能・ノウハウを活用しながら、全国の地方自治体へ地域活性化に資する施策の展開を計画しております。また、8月に当社グループのスマホ専業証券であるCHEER証券株式会社はロボアドバイザー事業を展開する株式会社お金のデザインと協業し、資産運用をすべておまかせできる投資一任運用サービス「おまかせ運用」を開始しました。当社は、当社グループが持つ金融デジタル技術を活用した先進的なサービスを組み合わせることにより、お客さまの多様なニーズにお応えしていくと同時に、グループ内のシナジー効果を更に高めることで若年・次世代の顧客層との接点を拡大しつつ、グループとしての企業価値向上を図ってまいります。
〈当社の子会社である東海東京証券株式会社(以下、「東海東京証券」)の取組み〉東海東京証券は、9月にサポートサービス業界における世界最大のメンバーシップ団体HDIの日本拠点 HDI-Japan が提供するHDI格付けベンチマーク(2023年)において、「問合せ窓口」、及び「Webサポート」の2部門で、最高評価となる三つ星を獲得しました。「問合せ窓口」部門は2年連続7回目、「Webサポート」部門は7回目の三つ星獲得となります。「トップページに口座開設方法や各種商品の説明に加えキャンペーン情報やセミナー情報、FAQなど多様なセルフヘルプがそろっている」点、「顧客の質問の全体を捉えて整理し、親身になって分かりやすく明確な回答をしてくれる」点などを高く評価いただいた結果、受賞に至りました。また、10月には、NISAに関する情報発信、及び相談対応等を行う総合的な組織として、「NISAセンター」を新設し、サービス提供を開始しております。今後は、SNS、チャットボット機能の開設等も予定しており、更なる利便性の向上を追求するとともに、対象商品の拡充を図り、お客さまに満足いただける商品・サービスの提供ができるよう努め、政府の方針である「資産所得倍増プラン」に基づきお客さまの資産形成を応援してまいります。
〈サステナビリティの取組み〉2022年度より開始した中期経営計画「“Beyond Our Limits”~異次元への挑戦」における行動指針 「“Social Value & Justice” comes first」に基づいたグループ施策として、サステナビリティの取組みを強化してまいりました。9月には、企業価値向上との関係性の明確化、時代の流れ(「ウェルビーイング」「DE&I」等)への対応、中期経営計画との連動を目的に、2020年に設定したマテリアリティの見直しを実施し、新たに以下のマテリアリティを設定いたしました。
今回の見直しにおいては事業へのインパクトに加え、各種国際ガイドライン、SDGs、ESG評価、最新の社会動向等の幅広い視点を考慮のうえ新しいマテリアリティを設定いたしました。さらに、本年4月以降における当社グループの主なサステナビリティ活動実績は以下のとおりです。
(ESG債引受)東海東京証券は、以下のESG債を含む計8件を引き受けました(引受額合計456億円(前年同期は244億円))。販売活動を通じて、社会貢献意欲の高い投資家の皆様とともに持続可能な社会の実現、社会的課題の解決に貢献してまいります。名古屋市SDGs債・・・特定のプロジェクト、事業に留まらず、SDGsの達成に向けた発行体自身の実施計画に対し第三者評価を取得した上で、市場からの資金調達を行うもの。独立行政法人国際協力機構 防災・復興ボンド(サステナビリティボンド)・・・自然災害に強じんな国づくりに向けた取組を強化するため、開発途上国の防災及び自然災害からの復興を支援する有償資金協力事業に資金を充当するもの。
(ESG指数)「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄への継続選定、及び「FTSE Blossom Japan Index」構成銘柄への初選定(※)当社は、高度なコーポレート・ガバナンス体制やSDGsに沿った各種の取組みの拡充、また情報開示の充実等が継続的に評価され、2022年に「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」、本年6月には、より高い水準が求められる「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄にも選定されました。※両指数はいずれも、グローバルインデックスプロバイダーであるFTSE Russellにより、ESG(環境・社会・ガバナンス)について優れた対応を行っている日本企業を対象として構築された指数であり、世界最大規模の公的年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のESG投資におけるパッシブ運用ベンチマークとして採用されるなど、ESG投資の代表的な指数として活用されています。
また、当社では昨年に引き続き2年連続で、正社員・継続雇用嘱託社員を対象として、給与水準の引上げ(ベースアップ)を実施いたしました。今後とも、人材競争力の強化と従業員エンゲージメントの高い人材が必要となるとの考えのもと、社員にとって働きやすさと働きがいを実現できる魅力あるさまざまな人事の取組みを検討してまいります。
〈配当方針の変更〉当社は、株主の皆様への配当還元を安定的かつ継続的に実施するとともに、中期経営計画に掲げる「金融力の強化」、「異次元に向けた重点施策の推進」及び「M&A等」に積極的に取り組むことにより、更なる企業価値の向上を目指すことを基本方針としております。当社は、2024年3月期以降、現在の中期経営計画期間(2027年3月期まで)における株主配当につきまして、以下の通りとします。
① 連結配当性向を50%以上とする② 1株当たり年間配当金を24円以上とする
上記①、②のいずれか高いものを配当基準とする。なお、配当回数については、従来通り、年2回(基準日:9月30日、3月31日)とします。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(3) 研究開発活動該当事項はありません。
(4) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、自己の計算により株式及び債券等の有価証券を保有するのに多額の資金を必要とするため、十分かつ安定的な流動性を確保しております。主な資金調達手段としては現先取引等の有担保調達、市中銀行等の金融機関借入、MTN及び短期社債の発行、コールマネー等の方法があり、資金繰り状況に応じた適切な組合せにより資金調達を行っております。なお、東海東京証券株式会社においては、有事の際の資金調達手段として市中銀行と総額430億円のコミットメントライン契約を確保しております。また、リスク管理では関連規程に基づいて日次、週次、月次で資金繰り管理を行っている他、コンティンジェンシー・プランについても4段階の想定シナリオに基づいたリスク管理を実施しております。
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