【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
《市場環境》当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年6月30日まで)のわが国経済は、新型コロナウイルス下で見送られていた各種イベント等の復活もあって、サービス消費を中心に個人消費の拡大が継続しました。また、供給制約が緩和する中で企業の設備投資も活発化するなど、内需(個人消費・設備投資)主導での景気回復が見られました。海外経済については、欧米を中心にインフレ抑制のための金融引き締めが継続、低成長が続きました。一方、インフレ圧力が限定的だったために利上げ幅が小幅に留まったアジアでは、高めの経済成長が維持されています。また、「ゼロコロナ政策」解除後の中国の景気回復ペースは鈍く、金融・財政による刺激策が実施されつつあります。日本株市場では、4月に28,200円台で始まった日経平均がその後6月半ばにかけてほぼ右肩上がりで上昇し、最終的には33,189円で6月の取引を終えました。日本経済の正常化進展、植田新体制の下での日銀の大規模緩和策継続、日本企業の資本効率改善への期待などがその原動力となりました。なお、2023年4月~6月の東証プライムの1日当たり平均売買代金は3兆8,364億円(前年同期の1日当たり平均売買代金は3兆3,344億円)となっています。米株市場では、4月に33,200ドル台で始まったダウ平均が、米銀破綻を受けた金融不安や債務上限交渉を巡る不透明感を背景に、5月末にかけて軟調な展開を継続しました。しかし、債務上限交渉の決着や、FRBによる利上げ休止の動きを受けて持ち直す流れとなり、34,407ドルで6月の取引を終了しています。日本の長期金利(10年物国債利回り)は4月初めに0.34%と期中最低金利を付けた後、植田日銀新総裁の下での緩和修正観測が広がる中、許容変動幅上限の0.5%に近い水準で推移しました。しかし、4月終盤に行われた植田総裁下で初となる政策決定会合で緩和維持が決定されると、その後は0.35%~0.45%のレンジで推移し、最終的には0.40%で6月の取引を終えました。一方、米国の長期金利は4月に3.51%で始まった後、6日には期中最低となる3.24%を付けました。その後は5月半ばにかけて概ね3.5%を挟んだ小動きが続きましたが、米利上げ休止後の利上げ再開観測の浮上とともに緩やかな上昇基調をたどり、5月後半には3.85%まで上昇しました。6月に入ると3.7%台から3.8%台を中心としたレンジ取引が続き、3.83%で6月の取引を終えました。為替市場では、ドル円が4月に1ドル133円台で始まった後、5日には期中最安値の130円台まで下落しました。しかし、4月の政策決定会合で植田日銀総裁が金融緩和維持を示唆すると円売りが加速し、5月初めには137円台まで急伸しました。その後はいったん133円台まで押されましたが、円売りの継続に加え、米金融引き締めの長期化観測を背景にドル買い戻しが強まり、節目の140円を突破すると一時145円台まで急伸し、144円台で6月の取引を終えました。
《財政状態の状況》(資産)当第1四半期連結会計期間末の総資産は1,246億3百万円増加(前連結会計年度末比、以下《財政状態の状況》において同じ。)し1兆1,806億23百万円となりました。このうち流動資産は、トレーディング商品が1,077億80百万円増加し3,806億98百万円となり、有価証券担保貸付金が192億2百万円増加し3,233億11百万円となる一方、信用取引資産が286億15百万円減少し508億82百万円となり、短期差入保証金が33億88百万円減少し439億17百万円となったことなどから、1,241億35百万円増加し1兆1,040億16百万円となりました。また、固定資産は、投資有価証券が8億30百万円増加し467億54百万円となったことなどから4億67百万円増加し766億7百万円となりました。
(負債)当第1四半期連結会計期間末の負債合計は1,234億88百万円増加し9,981億61百万円となりました。このうち流動負債は、有価証券担保借入金が1,010億5百万円増加し2,471億30百万円となり、トレーディング商品が393億59百万円増加し2,752億86百万円となる一方、短期借入金が352億99百万円減少し1,733億2百万円となり、約定見返勘定が84億5百万円減少となったことから、1,280億69百万円増加し8,825億78百万円となりました。また、固定負債は、社債が59億83百万円減少し159億96百万円となったことなどから45億13百万円減少し1,149億60百万円となりました。
(純資産)当第1四半期連結会計期間末の利益剰余金は6百万円増加し1,110億71百万円となり、その他有価証券評価差額金が6億33百万円増加し15億67百万円、非支配株主持分が4億81百万円増加し119億94百万円となり、純資産合計は11億14百万円増加し1,824億62百万円となりました。
《経営成績の状況》
(受入手数料) 前第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)
区分
株券(百万円)
債券(百万円)
受益証券(百万円)
その他(百万円)
合計(百万円)
委託手数料
2,512
2
174
-
2,689
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
354
167
-
-
522
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
0
1
1,499
-
1,501
その他の受入手数料
55
3
1,373
1,640
3,073
合計
2,923
175
3,047
1,640
7,786
当第1四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日)
区分
株券(百万円)
債券(百万円)
受益証券(百万円)
その他(百万円)
合計(百万円)
委託手数料
4,147
2
132
-
4,283
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
0
230
-
-
231
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
0
1
2,007
-
2,009
その他の受入手数料
145
3
1,380
1,761
3,291
合計
4,294
238
3,521
1,761
9,815
当第1四半期連結累計期間の受入手数料の合計は26.1%増加(前年同期増減率、以下《経営成績の状況》において同じ。)し98億15百万円を計上いたしました。
① 委託手数料株式委託手数料は65.1%増加し41億47百万円となり、委託手数料全体では59.3%増加し42億83百万円を計上いたしました。
② 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料債券は37.6%増加し2億30百万円の計上となったものの、株式は減少となり、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では55.7%減少し2億31百万円を計上いたしました。
③ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料受益証券は33.9%増加し20億7百万円の計上となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料全体では33.9%増加し20億9百万円を計上いたしました。
④ その他の受入手数料投資信託の代行手数料は0.5%増加し13億80百万円、保険手数料収入は17.6%増加し11億60百万円の計上となり、その他の受入手数料全体では7.1%増加し32億91百万円を計上いたしました。
(トレーディング損益)
区分
前第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日)
株券等トレーディング損益
(百万円)
2,998
7,790
債券・為替等トレーディング損益
(百万円)
5,562
2,607
合計
8,561
10,398
当第1四半期連結累計期間の株券等トレーディング損益は159.8%増加し77億90百万円の利益の計上となり、外貨建債券や仕組債の売買を中心とした債券・為替等トレーディング損益は53.1%減少し26億7百万円の利益を計上いたしました。この結果、トレーディング損益の合計は21.5%増加し103億98百万円の利益を計上いたしました。
(金融収支)当第1四半期連結累計期間の金融収益は53.1%減少し9億90百万円を計上いたしました。また、金融費用は29.8%減少し5億89百万円を計上し、差引の金融収支は68.5%減少し4億1百万円の利益を計上いたしました。
(販売費及び一般管理費)当第1四半期連結累計期間の取引関係費は11.3%減少し30億43百万円、人件費は5.8%増加し80億32百万円、不動産関係費は6.7%減少し18億98百万円、事務費は4.9%増加し22億84百万円となりました。この結果、販売費及び一般管理費の合計は1.2%増加し171億21百万円を計上いたしました。
(営業外損益)当第1四半期連結累計期間の営業外収益は、投資有価証券評価益4億19百万円、受取配当金2億7百万円などを計上し、営業外収益の合計は20.2%増加し7億40百万円となりました。また、営業外費用は、投資事業組合運用損1億83百万円などを計上し、営業外費用の合計は85.0%増加し2億30百万円となりました。
(特別損益)当第1四半期連結累計期間の特別損益は、特別利益として2億44百万円を計上し、特別損失として3億69百万円を計上いたしました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の営業収益は14.9%増加し212億5百万円、純営業収益は17.0%増加し206億15百万円となり、営業利益は393.0%増加し34億94百万円、経常利益は233.6%増加し40億4百万円を計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する四半期純利益は19億98百万円を計上いたしました。
《経営方針・経営戦略等》当社グループでは更なる飛躍に向け、2022年度より中期経営計画「“Beyond Our Limits”~異次元への挑戦」を開始しており、今年度は計画2年目となっております。
<デジタル戦略の推進>当第1四半期における当社グループのトピックスとしては、5月に経済産業省、東京証券取引所、及び独立行政法人情報処理推進機構が共同で実施する「DX銘柄2023」に3年連続で選定されました。当社グループはDXによる事業基盤の拡充を追求する中、7月には、異次元に向けた重点施策として掲げておりますPowerful Partnersとの提携案件として、当社、及び当社の子会社で「地方創生プラットフォーム」等のデジタルサービスを提供する株式会社TTデジタル・プラットフォームが、株式会社ゆうちょ銀行と地域経済の活性化、及び地域創生等の実現を目指した協業に関する基本契約を締結いたしました。本件協業の第一弾として、「プレミアム付きデジタル商品券」事業において共同で地方自治体への導入提案を行うこととなります。さらに今後も、「地方創生プラットフォーム」等のデジタルサービスや、ゆうちょ銀行が有する全国のネットワーク等、双方の機能・ノウハウを活用しながら、全国の地方自治体へ地域活性化に資する施策の展開を計画しております。
<サステナビリティの取組み>2022年度より開始した中期経営計画「“Beyond Our Limits”~異次元への挑戦」における行動指針 「“Social Value & Justice”comes first」に基づいたグループ施策として、サステナビリティの取組みを従来にも増してより一層積極化し、社会課題の解決に貢献してまいります。本年4月以降における当社グループの主な活動実績は以下のとおりです。
(ESG債引受)東海東京証券は、以下のESG債を含む計6件を引き受けました(引受額合計273億円(前年同期は207億円))。販売活動を通じて、社会貢献意欲の高い投資家の皆様とともに持続可能な社会の実現、社会的課題の解決に貢献してまいります。鉄道建設・運輸施設整備支援機構債券(サステナビリティボンド)・・・鉄道建設業務と船舶共有建造業務が対象のグリーン性の事業が100%の債券。環境改善効果について厳しい基準を設定しているCBIプログラム認証を取得。(ESG指数)「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄への継続選定、及び「FTSE Blossom Japan Index」構成銘柄への初選定(※)。当社は、高度なコーポレート・ガバナンス体制やSDGsに沿った各種の取組みの拡充、また情報開示の充実等が継続的に評価され、2022年に「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」、本年6月には、より高い水準が求められる「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄にも選定されました。※両指数はいずれも、グローバルインデックスプロバイダーであるFTSE Russellにより、ESG(環境・社会・ガバナンス)について優れた対応を行っている日本企業を対象として構築された指数であり、世界最大規模の公的年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のESG投資におけるパッシブ運用ベンチマークとして採用されるなど、ESG投資の代表的な指数として活用されています。
また、当社では昨年に引き続き2年連続で、正社員・継続雇用嘱託社員を対象として、給与水準の引上げ(ベースアップ)を実施することといたしました。今後とも、人材競争力の強化と従業員エンゲージメントの高い人材が必要となるとの考えのもと、社員にとって働きやすさと働きがいを実現できる魅力あるさまざまな人事の取組みを検討してまいります。
なお、当社グループにおける仕組債販売につきましては、日本証券業協会のガイドラインを踏まえて販売時の厳格な適合性基準等を遵守してお客様本位の販売を徹底しております。また、販売状況については、経営者を交えたモニタリング体制を整え、厳格なチェックを実施してまいります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(3) 研究開発活動該当事項はありません。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、自己の計算により株式及び債券等の有価証券を保有するのに多額の資金を必要とするため、十分かつ安定的な流動性を確保しております。主な資金調達手段としては現先取引等の有担保調達、市中銀行等の金融機関借入、MTN及び短期社債の発行、コールマネー等の方法があり、資金繰り状況に応じた適切な組合せにより資金調達を行っております。なお、東海東京証券株式会社においては、有事の際の資金調達手段として市中銀行と総額430億円のコミットメントライン契約を確保しております。また、リスク管理では関連規程に基づいて日次、週次、月次で資金繰り管理を行っている他、コンティンジェンシー・プランについても4段階の想定シナリオに基づいたリスク管理を実施しております。
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