【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績に関する説明
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)におけるわが国経済は、経済活動の正常化に向けた動きが進み緩やかな景気の回復がみられたものの、ウクライナ情勢の長期化、原材料費・エネルギー価格の高騰や円安の進行により、先行きが不透明な状況が続きました。
工業分野では、自動車関連産業において半導体不足による減産影響が緩和され生産が持ち直し、EVを中心に堅調な設備投資需要が続きました。一方、半導体関連産業では需要の充足感から設備投資に慎重な動きがみられました。建設・住宅分野では、公共・民間設備投資は堅調に推移したものの、持家を中心とした新設住宅着工戸数は弱含みで推移しました。
海外では、部品・資材の価格や人件費の上昇がみられましたが、米国やタイ、インド、インドネシアなどの東南アジア諸国の景気は緩やかな回復傾向となりました。中国では景気回復の動きに足踏みがみられました。
このような状況の中、当社グループは創業360周年を迎える2026年のあるべき姿「ユアサビジョン360」実現の最終(3rd)ステージとして、2023年4月~2026年3月までの3カ年を対象とする新中期経営計画「Growing Together 2026」をスタートしております。「風土改革」「DX推進」「サステナビリティ推進」をベースとしてビジネス変革を推進し、モノづくり、すまいづくり、環境づくり、まちづくりの分野において、「モノ売り」と「コト売り」の両面でマーケットアウト型のビジネスを展開することで、企業価値向上の実現を目指してまいります。
「風土改革」では、YUASA PRIDEプロジェクト(働きがい向上&人間尊重プロジェクト)を進め、社員のエンゲージメントを高め、「つなぐ」イノベーションで社会課題を解決できる人材を育成します。また、総合力・チャレンジ・コミュニケーションを発揮しやすい環境づくりのひとつの施策として、新本社ビル建設に向けたプロジェクトをスタートしています。
「DX推進」では、データ活用基盤構築、DX人材育成、業務プロセス改革、イノベーション創出により、ビジネス変革を支えてまいります。
「サステナビリティ推進」では2026年3月までに当社グループのCO2排出量30%削減を目指すとともに、カーボンニュートラル推進ビジネスを加速させます。2023年5月には、経済社会システムの変革に向けた取組を進めていく「GXリーグ」に参画しました。また、二国間クレジット制度(JCM)を活用した、海外への省エネ設備の導入を進め、アジア以外では初めてメキシコに太陽光発電システムを納入いたします。
成長戦略の推進として、ロボットや自動化設備の拡販に取り組み、「コンクリート散水養生 無人管理ロボ」や「リライタブルレーザーシステムを使った自動化ライン」を共同で開発しました。また、2023年9月には、当社が特許取得済みである自社開発の工作機械向け省エネ制御ソフト「GCCP」の販売を開始しました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比5.2%増の2,462億10百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が59億19百万円(前年同四半期比15.3%増)、経常利益は64億3百万円(前年同四半期比12.7%増)、退職給付信託返還益などを計上したことにより親会社株主に帰属する四半期純利益は64億99百万円(前年同四半期比77.4%増)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(産業機器部門)
産業機器部門につきましては、一部半導体需要に充足感がみられ、関連産業の工場稼働率は低下しましたが、省エネ関連機器を中心とした設備投資需要は堅調に推移し、販売は伸長しました。一方、材料費・燃料費の高騰は継続しており、仕入価格に影響がありました。
このような状況の中、生産現場のカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進し、省エネ性能の高いコンプレッサーなどの制御関連機器の拡販や、スマートファクトリーの実現に向けた「ローカル5Gソリューション」など生産現場の自動化・合理化の提案に注力した結果、売上高は386億93百万円(前年同四半期比4.4%増)となりました。
(工業機械部門)
工業機械部門につきましては、EVを中心とした自動車関連産業や車載半導体など関連機器の設備投資案件は底堅く推移するとともに、エネルギー・航空機関連の商談も増加しました。一方、PC・スマートフォン向け半導体の需要が低迷し、関連産業の設備投資需要は低調に推移しました。海外では、自動化・カーボンニュートラルに向けた需要は増加しましたが、中国市場の経済成長鈍化の影響がみられました。
このような状況の中、人手不足対策やロボットを使用した無人化、省人化ニーズに対応した当社オリジナルのロボットシステム「Robo Combo」の提案を進めるとともに、次世代節電ユニットなどカーボンニュートラル商品の拡販にも注力した結果、売上高は577億14百万円(前年同四半期比9.2%増)となりました。
(住設・管材・空調部門)
住設・管材・空調部門につきましては、持家を中心に新設住宅着工戸数の緩やかな減少傾向が続く中、リフォーム需要は堅調に推移し住宅設備機器、管材商品は底堅い動きとなりました。また、エネルギー価格の高騰、カーボンニュートラルへの対応を見据えた需要の増加により空調関連機器や再生可能エネルギー分野においても販売は堅調に推移しました。
このような状況の中、中高級住宅関連機器、非住宅分野向けの管材商品、高機能空調関連機器、太陽光パネル、蓄電池や周辺機器の商品販売やシステム提案とエンジニアリング機能の強化に努めた結果、売上高は867億29百万円(前年同四半期比6.3%増)となりました。
(建築・エクステリア部門)
建築・エクステリア部門につきましては、首都圏を中心とした再開発案件やマンション・ホテルに加えて物流施設の建設が増加したことにより、建築金物商材やアルミ目隠しフェンスなどのエクステリア商材が堅調に推移しました。また、自然災害や交通事故などの対策商品を中心に公共設備投資も底堅く推移しました。
このような状況の中、ゲリラ豪雨被害対策として冠水センサー付き車止め、止水板などのレジリエンス製品やセキュリティ向上・省人化を図る車番認証ゲート「SAI-GATE」の提案及び建築に係わる製作金物の提案・拡販に注力した結果、売上高は251億53百万円(前年同四半期比7.5%増)となりました。
(建設機械部門)
建設機械部門につきましては、インフラ整備、防災・減災工事などの公共工事とともに、民間設備投資も堅調に推移しました。一方、資材・エネルギー価格の高騰、建設技能者不足による工事遅延や建設機械の長納期化などの影響が引き続きみられました。
このような状況の中、建設現場のCO2見える化商品の拡販、建設・農業現場の安全施工のためのソリュ-ション商品やAI画像解析技術による省力化、効率化への提案と、海外輸入商品の販売を強化しました。また、中古建機・農機オークション事業をはじめ、コンテナハウス製造や建設機械の整備・レンタル機能の拡充に努めた結果、売上高は181億7百万円(前年同四半期比5.3%増)となりました。
(エネルギー部門)
エネルギー部門につきましては、低燃費車の普及によりガソリン需要が減少する中、原油価格の高騰が続き、ガソリン・軽油などの石油製品価格も燃料油補助金が段階的に縮小されたことから高値で推移しました。
このような状況の中、東海地方を中心に展開しているガソリンスタンドの小売事業では、洗車、車検、コーティングなどのカーケアサービスの強化に努めました。また、京浜地区における船舶用燃料の販売強化に取り組みました結果、売上高は95億2百万円(前年同四半期比0.3%減)となりました。
(その他)
その他部門につきましては、消費財事業では、全国的な猛暑の影響などにより、新商品のサーキュレーターや扇風機を中心に季節家電の販売が伸長しました。ネット販売事業におきましては、新商品の掲載を積極的に進め、多様化する消費者ニーズに対応しました。木材事業では、戸建住宅の着工戸数が引き続き低調に推移したことにより、木材需要は輸入材、国産材ともに低迷し、主力製品が厳しい販売状況の中、新たな国産材販売網の構築やPB製品の開発に注力しましたが、売上高は103億8百万円(前年同四半期比16.8%減)となりました。
(2) 財政状態に関する説明
① 資産、負債及び純資産の状況
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて18億52百万円増加し、2,730億71百万円となりました。これは、現金及び預金が130億36百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が111億23百万円減少した一方で、土地が304億22百万円増加したことなどによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて14億3百万円減少し、1,745億74百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が73億70百万円減少した一方で、長期借入金が34億39百万円増加したことなどによります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて32億56百万円増加し、984億96百万円となりました。これは、利益剰余金が21億59百万円増加した一方で、退職給付信託の一部解約により退職給付に係る調整累計額が23億8百万円減少したことなどによります。
この結果、自己資本比率は、35.9%(前連結会計年度末は34.9%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ130億39百万円減少し、393億56百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、157億93百万円(前年同四半期比141億44百万円の収入増)となりました。これは、主に退職給付信託を一部解約したことにより退職給付に係る資産が減少し、資金の増加を106億65百万円、退職給付信託返還益を32億55百万円計上したことに加え、税金等調整前四半期純利益を96億93百万円、売上債権の減少による収入を96億9百万円それぞれ計上した一方、仕入債務の減少による支出を53億40百万円計上したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、311億75百万円(前年同四半期比307億98百万円の支出増)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出を298億82百万円計上したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、20億44百万円(前年同四半期比54億4百万円の収入増)となりました。これは、主に長期借入れによる収入50億円を取得した一方、配当金の支払額17億2百万円、自己株式の取得による支出5億28百万円をそれぞれ計上したことなどによります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
特記すべき事項はありません。