【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績に関する説明
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの5類感染症への移行に伴い、経済活動の正常化に向けた動きが進んだものの、ウクライナ情勢の長期化、原材料費・エネルギー価格の高騰や円安の進行など先行きが不透明な状況が続きました。
工業分野では、自動車関連産業においてEVを中心に堅調な設備投資需要が続きました。一方で、半導体関連産業では一部需要の充足感から設備投資に慎重な動きがみられました。建設・住宅分野では、公共設備投資は堅調に推移したものの、持家を中心とした新設住宅着工戸数は弱含みで推移しました。
海外では、部品・資材の価格や人件費の上昇がみられましたが、米国、中国やタイ、インド、インドネシアなどの東南アジア諸国の景気は緩やかな回復傾向となりました。
このような状況の中、当社グループは創業360周年を迎える2026年を見据えた「ユアサビジョン360」実現の最終(3rd)ステージとして、2023年4月~2026年3月までの3カ年を対象とする新中期経営計画「Growing Together 2026」をスタートしました。「風土改革」「DX推進」「サステナビリティ推進」をベースとしてビジネス変革を推進し、モノづくり、すまいづくり、環境づくり、まちづくりの分野において、「モノ売り」と「コト売り」の両面でマーケットアウト型のビジネスを展開することで、企業価値向上の実現を目指してまいります。
「風土改革」では、YUASA PRIDEプロジェクト(働きがい向上&人間尊重プロジェクト)により、社員のエンゲージメントを高め、「つなぐ」イノベーションで社会課題を解決できる人材を育成します。また、総合力・チャレンジ・コミュニケーションを推進できるオフィス環境づくりをグループ全社で目指します。その一環として2023年4月に新本社建設用地を取得しました。
「DX推進」では、データ活用基盤構築、DX人材育成、業務プロセス改革、イノベーション創出により、ビジネス変革を支えてまいります。
「サステナビリティ推進」では2026年3月までに当社グループのCO2排出量30%削減を目指すとともに、カーボンニュートラル推進ビジネスを加速させます。また、企業と官・学が連携し、経済社会システムの変革(GX:グリーントランスフォーメーション)のための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場として設立された「GXリーグ」へ参画しました。
成長戦略の推進として、コンクリートの湿潤状態を自動管理できる「コンクリート散水養生 無人管理ロボ」、工場のラインにおいて、コンテナのラベルの高速印字/消去を可能にすることで貼替え作業が不要になる「リライタブルレーザーシステムを使った自動化ライン」を共同で開発しました。
資本効率ならびに株式価値の一層の向上を図るため、2023年5月に1,055,882株の自己株式の消却を実施しました。また、ガバナンス強化の一環として社外取締役を1名増員するとともに、取締役会の多様性拡充に向け、新たに女性監査役1名を選任しました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比1.3%増の1,107億21百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が14億77百万円(前年同四半期比3.6%増)、経常利益は17億7百万円(前年同四半期比2.3%増)、退職給付信託返還益などを計上したことにより親会社株主に帰属する四半期純利益は33億34百万円(前年同四半期比222.3%増)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
《産業機器部門》
産業機器部門につきましては、自動車関連産業は工場稼働率が堅調に推移したものの、半導体関連産業は需要の充足感により伸び悩みました。また、材料費・燃料費の高騰、部品の供給不足と円安の影響を受け、主力製品の仕入価格が急騰しました。
このような状況の中、カーボンニュートラルへの関心の高まりに対応した省エネ商材の拡販、スマートファクトリーの実現に向けた自動化・合理化商材やローカル5Gを活用したインフラ環境提案に注力した結果、売上高は180億66百万円(前年同四半期比2.7%増)となりました。
《工業機械部門》
工業機械部門につきましては、自動車関連産業はEVを中心に設備投資が堅調に推移するとともに、航空機関連の商談も増加し、自動化・無人化システムの需要も底堅い動きとなりました。一方、PC・スマートフォン向け半導体の設備投資は中国市場の需要減少などの影響もあり、低調に推移しました。海外ではASEAN、インドを中心に現地調達の動きが加速しました。
このような状況の中、各種補助金を活用し無人化・コストダウンに対応したロボットシステムやカーボンニュートラル向けの商品の拡販、難削材加工機の提案強化に取り組みましたが、売上高は247億53百万円(前年同四半期比1.4%減)となりました。
《住設・管材・空調部門》
住設・管材・空調部門につきましては、持家の新設住宅着工戸数が弱含みの中、リフォーム需要は堅調に推移し、住宅設備機器、管材商品も底堅い動きとなりました。また、エネルギーコストの上昇などの影響もあり、省エネに対する関心は高く、空調関連機器の販売も伸長しました。再生可能エネルギー分野においては、太陽光パネル、蓄電池などの販売は堅調に推移しました。
このような状況の中、高機能住宅設備機器、非住宅向けの管材商品、高効率空調関連機器などの商品販売や、カーボンニュートラルに向けたシステム提案とエンジニアリング機能の強化に努めた結果、売上高は399億9百万円(前年同四半期比6.4%増)となりました。
《建築・エクステリア部門》
建築・エクステリア部門につきましては、首都圏を中心とした再開発案件とマンション・ホテル建築が増加したことにより、建築金物商材やスチールメッシュフェンスなどのエクステリア商材が堅調に推移しました。また、自然災害や交通事故などの対策商品を中心に公共設備投資も底堅く推移しました。
このような状況の中、ゲリラ豪雨被害対策として冠水センサー付き車止め、止水板などのレジリエンス製品やセキュリティ向上・省人化を図る車番認証ゲートの提案及び建築に係わる製作金物の提案・拡販に注力した結果、売上高は118億6百万円(前年同四半期比3.8%増)となりました。
《建設機械部門》
建設機械部門につきましては、インフラ整備、防災・減災工事などの公共工事とともに、民間設備投資も堅調に推移しました。一方、引き続き資材・エネルギー価格の高騰、建設技能者不足による工事遅延や建設機械の長納期化などの影響がみられました。
このような状況の中、建設現場のCO2見える化商品の拡販、建設・農業現場の安全施工のためのソリュ-ション商品やAI画像解析技術による省力化、効率化への提案を強化しました。また、中古建機・農機オークション事業をはじめ、コンテナハウス製造や建設機械の整備・レンタル機能の拡充に努めましたが、売上高は67億18百万円(前年同四半期比2.8%減)となりました。
《エネルギー部門》
エネルギー部門につきましては、低燃費車への乗り換えに伴うガソリン需要の減少や、ガソリン・軽油などの石油製品価格が高値で推移したことにより、先行きが不透明な状況となっております。
このような状況の中、東海地方を中心に展開しているガソリンスタンドの小売事業では、洗車、車検、コーティングなどのカーケアサービスの強化に努めました。また、京浜地区における船舶用燃料の販売強化に取り組みましたが、売上高は44億85百万円(前年同四半期比8.9%減)となりました。
《その他》
その他部門につきましては、消費財事業では、高機能のサーキュレーターや扇風機などの季節家電の販売が伸長しました。ネット販売事業におきましては、SNS等を活用した販売サイト運営に努め、多様化する消費者ニーズに対応しました。木材事業では、戸建住宅の着工戸数の低調な推移により、資材価格が下落するとともに、円安の進行による輸入材の入荷量減少の影響を大きく受け、主力製品が厳しい販売状況となりましたが、リサイクル材を中心とした国内販売網の構築やPB商品の開発に取り組みました。
この結果、売上高は49億82百万円(前年同四半期比15.4%減)となりました。
(2) 財政状態に関する説明
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて121億69百万円減少し、2,590億48百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が241億46百万円、現金及び預金が156億34百万円それぞれ減少した一方で、土地が304億61百万円増加したことなどによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて125億41百万円減少し、1,634億36百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が157億54百万円減少したことなどによります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3億71百万円増加し、956億12百万円となりました。これは、株主資本が13億68百万円、その他有価証券評価差額金が10億75百万円それぞれ増加した一方で、退職給付信託の一部返還により退職給付に係る調整累計額が22億83百万円減少したことによります。
この結果、自己資本比率は、36.7%(前連結会計年度末は34.9%)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
特記すべき事項はありません。