【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績に関する説明
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、景気は持ち直しの動きがみられた一方で、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないことに加え、ウクライナ情勢の長期化、原材料費・原油価格の高騰や記録的な円安など不透明な状況が続きました。
工業分野では、サプライチェーンの混乱や車載半導体などの供給不足により、自動車関連産業の一部で生産調整が行われるなどの影響がみられたものの、設備投資需要は底堅く推移しました。建設・住宅分野では、公共設備投資やマンションを中心とした新築着工戸数は堅調に推移しました。
海外では、部品・資材の価格や人件費の上昇がみられるとともに、米国やタイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジア諸国の景気は緩やかな持ち直しが続きましたが、中国においては「ゼロ・コロナ」政策により経済成長は減速しました。
このような状況の中、当社グループは「ユアサビジョン360」の第2ステージである、中期経営計画「Growing Together 2023」の最終年度にあたり、『つなぐ 複合専門商社グループ』への進化を目指し、「成長事業戦略」「コア事業戦略」「経営基盤の強化」を基本方針に諸施策を実行しております。
「成長事業戦略」では、社会課題の解決=成長事業と捉え、建設現場の品質確保と省力化(生産性向上)を図るための「MR(Mixed Reality)によるコンクリート締固め管理システム」、サプライチェーンリスクを可視化する災害危機管理システム「リスクセイバー」、災害時に非常用電源として利用可能な「V2H(Vehicle to Home)機器搭載 宅配ボックス付門柱」、建設工事現場におけるCO2排出量の正確かつリアルタイムな可視化を実現するクラウドサービス「zeroboard construction(ゼロボード コンストラクション)」など自社及び共同での新しい商品・サービスの開発・実用化に注力し、気候変動対策、省人化・自動化などの提案を行いました。
「コア事業戦略」では、ワンストップで総合力を発揮できる『つなぐ 複合専門商社グループ』に向け、AIを活用した取り組みを強化・拡大しております。お客様の「モノづくり」、「すまいづくり」、「環境づくり」、「まちづくり」の現場とAIをつなぎ、お客様の現場作業の高度化・効率化に向けた提案営業を推進しております。
「経営基盤の強化」では、株主還元及び資本効率の向上と経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とするため、自己株式の取得を進めております。また、当社グループのさらなる事業拡大を見据えた新本社建設を目的に、東京都港区に土地取得を決定しました。
「ESG」「SDGs」に向けた取り組みとして、ユアサ商事グループ「サステナビリティ宣言」に基づき、2030年までに当社グループ全体のカーボンニュートラルを目指すとともに、ESGやCO2排出量などの気候変動に係る情報開示を積極的に行い、事業活動を通じた持続的な社会の構築に向け貢献してまいります。その一環として、マレーシア・ムルボック湿地保護林においてマングローブの植樹活動をメインとする環境保全活動「ユアサ商事の森プロジェクト」を開始しました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比10.8%増の3,615億11百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が84億84百万円(前年同四半期比22.2%増)、経常利益は91億33百万円(前年同四半期比40.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は57億94百万円(前年同四半期比23.3%増)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
当第3四半期連結会計期間において、当社の連結子会社であるユアサクオビス株式会社は、同社を存続会社として、当社の連結子会社である東洋産業株式会社を吸収合併しております。これに伴い、従来「建築・エクステリア」のセグメントに区分しておりました東洋産業株式会社の事業を、「住設・管材・空調」の報告セグメントに含めて記載する方法に変更しております。なお、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報については変更後の区分により作成したものを記載しております。
(産業機器部門)
産業機器部門につきましては、期の後半にかけ一部半導体市場に充足感がみられ、関連産業の工場稼働率に落ち着きがみられたものの、設備投資需要は堅調で、制御関連機器を中心に販売が伸長しました。
このような状況の中、ソリューション営業に注力し、スマートファクトリーの実現に向けた生産現場の自動化・合理化の提案や、カーボンニュートラル・BCP等への関心の高まりに対応した省エネ性能の高いコンプレッサーなど制御関連機器の拡販に努めた結果、売上高は558億43百万円(前年同四半期比4.9%増)となりました。
(工業機械部門)
工業機械部門につきましては、自動車関連産業はEV用のモーターなど関連部品が好調に推移しました。また、環境意識の高まりにより、カーボンニュートラル商品や省電力システムの需要も増加しました。海外では、原材料費の高騰などの影響はあったものの、東南アジアを中心に景気は持ち直しており、タイ、インドネシア、ベトナムで大型案件が増加しました。
このような状況の中、多関節ロボットを使用したロボットシステム「Robo Combo」などの当社が開発した商品・システムの販売に注力するとともに、各種補助金を利用した無人化・コストダウン・安定加工・省エネ推進のシステム提案に取り組んだ結果、売上高は815億95百万円(前年同四半期比20.7%増)となりました。
(住設・管材・空調部門)
住設・管材・空調部門につきましては、戸建てを中心とした新設住宅着工戸数は弱含みで推移する中、リフォーム需要は堅調に推移しました。空調関連機器の販売は省エネニーズの高まりを受け伸長しました。また、バルブ、ポンプなどの管材商品、キッチン、トイレなどの水廻りを中心とした住宅設備機器の販売も底堅い動きとなりました。再生可能エネルギー分野では、カーボンニュートラルに向けた対応が求められる中で、蓄電池や周辺機器の需要増加により販売は堅調に推移しました。
このような状況の中、カーボンニュートラルに向けたシステム提案とエンジニアリング機能の強化に努めました結果、売上高は1,263億32百万円(前年同四半期比8.5%増)となりました。
(建築・エクステリア部門)
建築・エクステリア部門につきましては、物流施設やマンション建設が増加し、エクステリア商材及び建築金物商材が首都圏を中心に堅調に推移するとともに、物置や宅配ボックスのニーズが高まり、販売が増加しました。また、公共設備投資では自然災害対策や交通事故対策商品などが底堅く推移しました。
このような状況の中、転倒リスクのあるコンクリート塀に代わるアルミ目隠しフェンスやゲリラ豪雨被害対策として、冠水センサー付きボラード(車止め)や止水板などを組み合わせたレジリエンス製品の提案・拡販に注力した結果、売上高は371億64百万円(前年同四半期比14.3%増)となりました。
(建設機械部門)
建設機械部門につきましては、インフラ整備、災害復旧、防災・減災工事などの公共工事とともに、民間設備投資も堅調に推移しました。レンタル会社の建設機械需要や土木系商材の需要は底堅い動きとなりました。一方、車載半導体をはじめとした部品不足による建設機械の長納期化や資材・エネルギー価格の高騰、建設技能者不足の影響がみられました。
このような状況の中、工事現場の安全対策を重視した商品の拡充や各種レジリエンス商品及び、高所作業車の拡販に注力しました。また、中古建機オークション事業をはじめ、コンテナハウス製造や建設機械の整備・レンタル機能の拡充に努めた結果、売上高は268億84百万円(前年同四半期比8.1%増)となりました。
(エネルギー部門)
エネルギー部門につきましては、経済活動の正常化が進み、需要に回復がみられましたが、ウクライナ情勢によるエネルギー供給の懸念や円安の進行により原油価格は高値で推移し、ガソリン・軽油などの石油製品価格への影響が続きました。
このような状況の中、東海地方を中心に展開しているガソリンスタンドの小売事業では、洗車、車検、コーティングなどのカーケアサービスの強化に努めました。また、京浜地区における船舶用燃料の販売強化に取り組みました結果、売上高は144億25百万円(前年同四半期比4.8%増)となりました。
(その他)
その他部門につきましては、消費材事業では、原材料費の高騰や円安の影響がみられたものの、季節家電の新商品拡販に努めるとともに、ネット販売事業におきましては、多様化する消費者ニーズに対応しました。木材事業では円安の進行や生産国におけるロックダウンの影響に加え、新設住宅着工戸数が低調に推移したことにより国内の需要が低迷し厳しい販売状況が続く中、新規仕入先の開拓や国産材を活用した商材の開発及び拡販に努めました。
この結果、売上高は192億65百万円(前年同四半期比8.3%増)となりました。
(2) 財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて50億26百万円増加し、2,644億40百万円となりました。これは電子記録債権が76億47百万円、棚卸資産が56億20百万円増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が81億50百万円減少したことなどによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて52億20百万円増加し、1,720億28百万円となりました。これは、電子記録債務が86億79百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が38億10百万円減少したことなどによります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1億93百万円減少し、924億11百万円となりました。これは、利益剰余金が28億32百万円増加した一方で、自己株式の取得で27億92百万円減少したことなどによります。
この結果、自己資本比率は、34.7%(前連結会計年度末は35.5%)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
特記すべき事項はありません。