【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績に関する説明
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しの動きがみられました。一方で、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないことに加え、ウクライナ情勢の長期化による原材料費・原油価格の高騰や急激な円安の進行など先行きが不透明な状況が続きました。
工業分野では、ロックダウンによるサプライチェーンの混乱や車載半導体などの供給不足により、自動車関連産業を中心に生産調整が行われるなどの影響がみられたものの、設備投資需要に持ち直しの動きが加速し、工作機械などの受注は増加しました。建設・住宅分野では、公共設備投資やマンションを中心とした新築着工は底堅く推移しました。
海外では、部品・資材の価格や人件費の上昇がみられたものの、米国を中心に景気の回復が続きました。また、タイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジア諸国においても景気の持ち直しがみられる一方、中国においては当局の「ゼロ・コロナ」政策により経済成長は鈍化しました。
このような状況の中、当社グループは「ユアサビジョン360」の第2ステージである、中期経営計画「Growing Together 2023」の最終年度をむかえ、『つなぐ 複合専門商社グループ』への進化を目指し、「成長事業戦略」「コア事業戦略」「経営基盤の強化」を基本方針に諸施策を実行しております。
「成長事業戦略」では、社会課題の解決=成長事業と捉え、気候変動や感染症対策、省人化・自動化などの分野で自社及び共同での新しい商品・サービスの開発・提案に注力しました。
「コア事業戦略」では、ワンストップで総合力を発揮できる『つなぐ 複合専門商社グループ』に向け、AIを活用した取り組みを強化・拡大しております。お客様のモノづくり、すまいづくり、環境づくり、まちづくりの現場とAIをつなぎ、お客様の現場作業の高度化・効率化に向けた提案営業を推進しております。また、ロジスティクス機能強化として、品揃えの充実、配送機能強化によるサービス向上を主な目的として九州地区の物流拠点を移転・拡張いたしました。
「経営基盤の強化」では、株主還元及び資本効率の向上と経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とするため、1,700,000株を上限に総額40億円とする自己株式の取得を進めております。また、「ESG」「SDGs」に向けた取り組みとして、ユアサ商事グループ「サステナビリティ宣言」に基づき、2030年までにユアサ商事グループ全体のカーボンニュートラルを目指すとともに、ESGや気候変動に係る情報開示を積極的に行い、事業活動を通じた持続的な社会の構築に向け貢献してまいります。
これら、『つなぐ 複合専門商社グループ』への成長に向けて、「つなぐ グランドフェア2022」を全国5か所で開催しました。「モノづくり」「すまいづくり」「環境づくり」「まちづくり」の分野で新たな価値創造による社会課題の解決を目指して、最新の商品・ソリューションを紹介し、多数のセミナーも開催しました。またテーマゾーンでは、AIやカーボンニュートラルへの取り組みに対し、現場の要望に沿った提案活動に注力しました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比10.8%増の2,340億18百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が51億34百万円(前年同四半期比15.2%増)、経常利益は56億84百万円(前年同四半期比51.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は36億63百万円(前年同四半期比36.3%増)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(産業機器部門)
産業機器部門につきましては、半導体関連産業を中心に工場稼働率は高く推移しましたが、車載半導体の供給不足により引き続き、自動車関連産業を中心に減産などの影響がみられました。当社の取扱商品である、油圧機器・検査測定機器の需要は堅調に推移しましたが、長納期化の影響がみられました。
このような状況の中、生産現場のカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進し、省エネ性能の高いコンプレッサーなど制御関連機器の拡販や、スマートファクトリーの実現に向けた生産現場の自動化・合理化の提案に注力した結果、売上高は370億60百万円(前年同四半期比6.0%増)となりました。
(工業機械部門)
工業機械部門につきましては、サプライチェーンの混乱により、自動車関連産業を中心に生産調整や長納期化などの影響があったものの、補助金政策により、半導体・産業機械向けの工作機械新規受注は堅調に推移しました。海外では、原材料費・輸送コストの高騰や円安の進行などの影響がみられましたが、東南アジアや米国では経済活動の本格化により、新規案件は増加しました。
このような状況の中、多関節ロボットを使用したロボットシステム『Robo Combo』やクーラント装置向けマイクロファインバブル『バブパワー』などの当社が開発した商品・システムの販売に注力するとともに、各種補助金を利用した無人化・コストダウン・安定加工のシステム提案を進めた結果、売上高は528億74百万円(前年同四半期比23.6%増)となりました。
(住設・管材・空調部門)
住設・管材・空調部門につきましては、戸建てを中心とした新設住宅着工戸数に弱い動きがみられたものの、新築マンションやリフォーム需要は堅調に推移しました。給湯器、ポンプなどの一部商品に納期遅れなどがみられましたが、住宅設備機器の販売は底堅い動きとなりました。特に、換気や省エネに対する関心は高く、換気・空調関連機器の販売が伸長しました。また、再生可能エネルギー分野では、カーボンニュートラルを見据えた需要の増加により、蓄電池や周辺機器などの販売は堅調に推移しました。
このような状況の中、非住宅向けの管材、換気・空調機器などの商品やカーボンニュートラルに向けたシステム提案とエンジニアリング機能の強化に注力した結果、売上高は807億43百万円(前年同四半期比5.1%増)となりました。
(建築・エクステリア部門)
建築・エクステリア部門につきましては、物流施設やマンション建設が増加し、エクステリア商材及び建築金物商材を中心に堅調に推移するとともに、物置や宅配ボックスのニーズが高まり、販売が増加しました。また、公共設備投資では自然災害対策や通学路・交差点の交通事故の防止対策商品などが底堅く推移しました。
このような状況の中、転倒リスクのあるコンクリート塀に代わるアルミ目隠しフェンスやゲリラ豪雨被害対策として、冠水センサー付きボラード(車止め)や止水板などを組み合わせたレジリエンス製品の提案・拡販に注力した結果、売上高は242億32百万円(前年同四半期比12.5%増)となりました。
(建設機械部門)
建設機械部門につきましては、インフラ整備、災害復旧、防災・減災工事などの公共工事とともに、民間設備投資も堅調に推移しました。レンタル会社の建設機械需要や土木系商材の需要は底堅い動きとなりました。一方、車載半導体をはじめとした部品不足による建設機械の長納期化や資材・エネルギー価格の高騰、建設技能者不足の影響がみられました。
このような状況の中、工事現場の安全対策を重視した商品の拡充や豪雨水害による冠水対策として、発電機・ポンプの遠隔起動による自動排水システム「つなぐBCPパッケ-ジ」等のレジリエンス製品の拡販にも注力しました。また、中古建機オークション事業をはじめ、コンテナハウス製造や建設機械の整備・レンタル機能の拡充に注力した結果、売上高は171億89百万円(前年同四半期比13.2%増)となりました。
(エネルギー部門)
エネルギー部門につきましては、経済活動の正常化がさらに進み、需要に回復がみられました。一方、ウクライナ情勢によるエネルギー供給懸念や円安の進行により原油価格が高騰し、ガソリン・軽油などの石油製品価格に影響が続きましたが、政府の施策により急激な上昇は抑制されました。
このような状況の中、東海地方を中心に展開しているガソリンスタンドの小売事業では、洗車、車検、コーティングなどのカーケアサービスの強化に努めました。また、京浜地区における船舶用燃料の販売強化に取り組みました結果、売上高は95億33百万円(前年同四半期比10.4%増)となりました。
(その他)
その他部門につきましては、消費財事業では原材料費の高騰や円安の影響がみられるとともに、天候不順も重なり厳しい販売状況となりました。ネット販売事業におきましては、多様化する消費者ニーズに対応し、拡販に努めました。木材事業では急激な円安の進行や生産国におけるロックダウンの影響がみられましたが、新規仕入先の開拓や国産材を活用した商材の開発及び拡販に努めました。この結果、売上高は123億84百万円(前年同四半期比9.6%増)となりました。
(2) 財政状態に関する説明
① 資産、負債及び純資産の状況
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて114億円減少し、2,480億13百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が157億96百万円減少した一方で、棚卸資産が35億38百万円増加したことなどによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて120億29百万円減少し、1,547億78百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が97億25百万円減少したことなどによります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて6億28百万円増加し、932億34百万円となりました。これは、利益剰余金が20億13百万円増加した一方で、自己株式の取得等により14億95百万円減少したことなどによります。
この結果、自己資本比率は、37.4%(前連結会計年度末は35.5%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ17億17百万円減少し、518億19百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、16億48百万円(前年同四半期比14億1百万円の収入減)となりました。これは、主に売上債権の減少による収入を145億73百万円、税金等調整前四半期純利益を56億47百万円計上した一方、仕入債務の減少による支出を117億67百万円、棚卸資産の増加による支出を32億23百万円それぞれ計上したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、3億77百万円(前年同四半期比11億22百万円の支出増)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出を3億39百万円計上したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、33億59百万円(前年同四半期比9億91百万円の支出増)となりました。これは、主に配当金の支払額16億49百万円、自己株式の取得による支出16億28百万円を計上したことなどによります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
特記すべき事項はありません。