【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および当社の関係会社)が判断したものです。
(1)経営成績
a.連結経営成績に関する説明
当社は、2022年3月期(以下、「前期」)に、株式会社アクトの事業を、当第3四半期連結累計期間(以下、「当第3四半期」)において、株式会社ビーアンドディーを非継続事業に分類しています。このため、これらの会社については、「非継続事業からの四半期損失」として継続事業と区分して表示しています。
当第3四半期は、円安の長期化や、原材料・エネルギー資源の高騰、新型コロナウイルス感染症第8波が拡大するなど、依然として先行き不透明な経営環境が続きました。
このような中、当社グループにおいては、2022年9月に発表した「コンビニジム」chocoZAP事業が、同年11月に発表された日経トレンディにおける「2023年ヒット予測100」で「コンビニジム」として総合1位を獲得するなど、幅広いメディアでの大きな反響を頂く中で、chocoZAPへの入会者は当初の計画以上に大幅に増加しました。現在の会員数は29万名超に達し、2022年7月のchocoZAPブランド開始直前(22年6月末会員数 2.2万名)と比較して13倍超に急成長しております。一方で、ライフスタイルセグメントにおける小売事業を中心とした不採算店舗の減少等の影響もあり、売上収益は減収となりました。
利益面につきましては、グループ機能統合プロジェクト「ONE RIZAP」の方針の下、グループ横断的なコスト最適化などの経営合理化策を引き続き推進する一方で、2022年9月28日公表の中期経営計画にて、今期(2023年3月期)および来期(2024年3月期)をchocoZAP事業への戦略的投資を加速させる先行投資期間として位置付け、当社連結子会社であるRIZAP株式会社においてchocoZAP店舗の出店投資の加速やchocoZAP及びRIZAP既存事業の広告宣伝投資の規模拡大を行ったこと等により、同社は当第3四半期において前年同期比4,330百万円の営業減益となりました。これらにより、RIZAP株式会社の短期的な損益が一時的に悪化するため、当第3四半期において繰延税金資産の取崩し3,424百万円を計上することといたしました。また、中期経営目標である2026年3月期連結営業利益300億円の達成に向けて、今後の成長に向けた潜在的なリスクを先送りせず、REXT株式会社等において過去3年に亘るコロナ禍で業績が悪化した小売店舗を対象に個別の店舗収益力等を保守的かつ慎重に見積もり、当第3四半期において有形固定資産及び使用権資産に係る減損損失を1,427百万円を計上いたしました。なお、これらの店舗においては、固定費率の極小化・坪あたり効率の最大化に向けた店舗改革施策として、可能な限り、chocoZAP事業への業態転換、REXT株式会社におけるリユース事業・トレーディングカード事業・新規事業(it300)等の高収益業態への転換を進め、閉店店舗数を限定的にすることにより、当社グループ全体として、今後のコロナ禍終息後を見据えた成長戦略の実行に向けた対策を講じてまいります。当該状況を前提に、当社連結子会社であるREXT株式会社の短期的な損益が一時的に悪化するため、当第3四半期において繰延税金資産の取崩し1,147百万円を計上しております。
以上の結果、当第3四半期の売上収益は119,811百万円(前年同期は121,821百万円、前年同期比1.6%減)、営業損失は843百万円(前年同期は4,814百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は8,721百万円(前年同期は1,584百万円の利益)となりました。
b.セグメント別事業概況に関する説明
当第3四半期より、当社は夢展望株式会社を「インベストメント」セグメントから「ライフスタイル」セグメントに変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報(2)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
(ヘルスケア・美容)
RIZAP関連事業は、2022年9月より、新規事業「chocoZAP」を本格展開しております。chocoZAPは、誰もが簡単に、毎日の生活に運動習慣を定着させることができ、毎日最短5分の運動で健康効果を得ることができる、RIZAP発の運動初心者向け「コンビニジム」です。現在の会員数は29万名超に達し、同年7月のchocoZAPブランド開始直前から急成長を遂げている中、入会希望のお客様の強い需要に即応するため、当初計画において今期末300店としていた出店目標を450店超に上方修正し、出店投資を加速しております。
既存のボディメイク事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により厳しい経営環境が継続しておりますが、2022年2月より導入した継続型新会員制度「プライムサービス」への既存会員からの移行や新規会員の獲得が順調に進捗した結果、会員の継続率およびLTV(お客様一人あたりの生涯売上)が上昇し、サブスク型(生涯型)ビジネスモデルへの転換に成功しております。また、シニア層への訴求を強化したことで、シニア会員比率は過去最高の22.0%まで伸長いたしました。
MRKホールディングス株式会社は、補整下着の限定カラー商品が好評を得るとともに、オリジナルサプリメント「M.B.M.S(マルコビューティメイクサプリメント)」が堅調に推移した他、「MARUKO ASSE(マルコアッセ)」(オーダーメイドインソール及び専用シューズ)における新たなお客様の開拓により、売上・利益ともに計画を上回って推移いたしました。婚礼・宴会関連事業においては、政府・行政による行動制限の緩和にともない、婚礼・宴会の予約と施行に着実に復調の兆しが見られ、また、法人向け営業を強化したことから、収益改善が順調に進み、MRKホールディングス株式会社では増収増益となりました。
以上の結果、ヘルスケア・美容セグメントの売上収益は32,603百万円(前年同期は33,947百万円、前年同期比4.0%減)、営業損失は2,849百万円(前年同期は1,331百万円の利益)となりました。
(ライフスタイル)
REXT株式会社においては、まずエンターテイメント事業において「高収益業態への転換」と「仕入れ型小売業からの脱却」をテーマに、今期よりトレーディングカードを中核商材と位置づけ、当四半期中にトレーディングカード専門店「DuelStade Ganryu」を2店舗出店いたしました。また、引き続き、アミューズメント機の増台を18店舗で行い店舗の高収益化へ注力し、リユース事業との融合の一環として、ホビーリユース専門の鑑定士による査定、買取イベント「買取鑑定会」の実施を15店舗に拡大したことから、ホビーリユース分野については増収増益となりました。しかしながら、巣ごもり需要の減少の影響を受けたことで減収減益となりました。
リユース事業においては、収益効率及び顧客体験の向上を目指し、引き続きセルフレジ導入やEC出品撮影の自動化などDX推進に注力するとともに、商品力の強化を目指し、旗艦店舗を中心にブランドアパレルやスニーカー等の高付加価値商品の導入を推進しております。また、円安の流れを汲みインバウンド強化店舗を設定、ブランド高額商品を中心とした適材適所の商品配置により需要の取り込みを強化したことで増収増益となりました。
アパレル事業においては、消費低迷や顧客の購買志向の変化等を鑑み利益率及び売上状況の改善を進めてまいりました。利益率改善策としてリユース事業と協力した古着や高額ブランド商品の販売を試験的にスタートし、好調な結果を受けて販売店舗の拡大を計画しております。売上状況改善施策として従来の知名度を活かしつつリブランディングを推進し、「大人カジュアル」をコンセプトとしたPB商品の開発及びVMDの見直しを進めております。また、新規顧客獲得に向けたSNSマーケティングを強化しており、LINE公式アカウントにおいて、ともだち数が第2四半期比約100倍の290万人超に到達し、1月末時点では450万人を超えておりますが、これら施策への投資の影響により減収減益となりました。
雑貨事業においては、引き続きオリジナルIPコンテンツFuku Fuku Nyanko(ふくふくにゃんこ)を軸にPB商品強化及び新規IPの拡充を行うとともに、「大人かわいい」をコンセプトに据えたリブランディングを推進しております。また、LINE公式アカウントのともだち数が第2四半期比で約70倍の360万人超に到達、1月末時点では470万人を超えておりますが、これら施策への投資の影響により減収減益となりました。これらの結果、REXT株式会社では減収減益となりました。
BRUNO株式会社は、住関連ライフスタイル商品製造卸売事業の国内販売において、販路拡大を進めている量販店の売上が拡大し、TV通販の売上も好調に推移しました。Eコマース販売を主とする得意先においては巣ごもり需要の減少により減収となりました。海外販売では、中国でグリルサンドメーカー、台湾でスチーム&ベイクトースターが好調に推移しましたが、コンテナ運賃上昇の影響などにより販売代理店の仕入れが抑制され、北米での売上が減少しました。結果として住関連ライフスタイル商品製造卸売事業は減収減益となりました。住関連ライフスタイル商品小売事業では、Eコマース販売において、直営店舗と自社ECの会員を一元化しアプリ・WEB接客を導入した効果により自社ECサイトのリピーター売上比率が向上、また福袋など各種施策を実施した効果により自社ECの12月受注金額は前年比156%と過去最高となりました。一方で楽天、Amazon等のモールサイトは巣ごもり需要が一段落したこともあり売上は減少しました。直営店販売においては、店舗数の減少により売上高は前年同期比86%と下回りましたが、旅行需要の回復や出張機会の増加により、キャリーやトラベルバックなど「MILESTO」のトラベル関連商品の売上が拡大し、既存店の売上高は前年とほぼ同水準となりました。結果として住関連ライフスタイル商品小売事業は減収減益となりました。デザイン事業においては、中国におけるBRUNO商標のライセンス収入が前年同期に比べ大きく増加し、増収増益となりました。結果としてBRUNO株式会社は減収減益となりました。
夢展望株式会社は、アパレル事業において、円安に伴う仕入原価の高騰やウクライナ情勢悪化などによる物流コストの高止まりに加え暖冬の影響を受けましたが、当四半期においては、価格改定が粗利率の底支えとなり、前年同期比減収減益ながら引き続き営業黒字となりました。ジュエリー事業では、婚姻件数は下げ止まりましたが、断続的に感染と収束を繰り返す新型コロナウイルス感染症の影響により客足がコロナ禍前の水準に戻り切らない中、同業他社との競争は益々激化しており、当四半期は営業赤字となりました。トイ事業は、中国本土の感染者急拡大の影響や国内の少子化等厳しい経営環境の中、引き続きグループ内の新規事業における需要に伴い、増収増益となりました。これらの結果、夢展望株式会社では増収減益となりました。
以上の結果、ライフスタイルセグメントの売上収益は65,927百万円(前年同期は66,443百万円、前年同期比0.8%減)、営業利益は1,717百万円(前年同期は3,186百万円、前年同期比46.1%減)となりました。
(インベストメント)
SDエンターテイメント株式会社は、構造改革の第2フェーズとして、主力であるウェルネス事業の成長戦略等に取り組んでおります。フィットネス部門では新サービス提供施策や地域に密着したサービスの提供を行い会員獲得等に注力しましたが、前期実施の不採算店舗整理の影響もあり、売上高は前年同期比84.3%となりました。保育部門では園内サービスプログラムや来年度の園児獲得に向けた活動を推進した結果、ウェルネス事業全体の売上高は、前年同期比で102.3%となりました。一方で、クリエーション事業では、消費低調の傾向は変わらず売上高は前年同期で65.9%となりました。そのような状況の中で、継続したコスト削減策を講じたことから、SDエンターテイメント株式会社は減収増益となりました。
堀田丸正株式会社は、新型コロナウイルス感染症による行動制限緩和に伴う外出需要の増加もあり、ファッション関連の消費が底堅く推移したことにより、ファッション事業の売上高は前年同期比で106.4%、営業利益は前年同期比で332.5%となり、マテリアル事業においては、売上高は前年同期比112.1%、営業利益は前年同四半期比169.5%となりました。また、継続してD2C事業ならびにDXへの投資を進めるとともに、継続的な固定費の削減、事業ポートフォリオの見直しを図りました。以上の結果、堀田丸正株式会社は増収増益となりました。
この結果、インベストメントセグメントの売上収益は23,167百万円(前年同期は22,618百万円、前年同期比2.4%増)、営業利益は1,362百万円(前年同期は843百万円、前年同期比61.5%増)となりました。
なお、セグメント間の内部売上収益1,886百万円、親会社である当社の管理部門費用など、各セグメントに配賦不能なセグメント利益の調整△1,074百万円があるため、グループ全体としての売上収益は119,811百万円、営業損失は843百万円となりました。
(2)財政状態
(資産)
流動資産は、前期末に比べて971百万円、1.3%減少し、72,527百万円となりました。これは主として、現金及び現金同等物が6,734百万円減少した一方で、営業債権及びその他の債権が2,906百万円増加したこと、棚卸資産が1,613百万円増加したこと、その他の流動資産が1,142百万円増加したことによるものです。
非流動資産は、前期末に比べて11,523百万円、17.4%増加し、77,813百万円となりました。これは主として、使用権資産が11,801百万円増加したこと、有形固定資産が3,491百万円増加した一方で、繰延税金資産が4,450百万円減少したことによるものです。
この結果、資産合計は、前期末に比べて10,551百万円、7.5%増加し、150,340百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前期末に比べて9,515百万円、15.2%増加し、72,177百万円となりました。これは主として、有利子負債が10,001百万円増加した一方で、その他の流動負債が848百万円減少したことによるものです。
非流動負債は、前期末に比べて9,024百万円、22.0%増加し、50,089百万円となりました。これは主として、長期借入金および長期リース負債の増加により有利子負債が7,812百万円増加したこと、繰延税金負債が638百万円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は、前期末に比べて18,539百万円、17.9%増加し、122,266百万円となりました。
(資本)
資本合計は、前期末に比べて7,988百万円、22.2%減少し、28,073百万円となりました。これは主として、親会社の所有者に帰属する持分の減少によるものです。
(3)キャッシュ・フロー
当第3四半期における現金及び現金同等物(以下、「資金」)の残高は前期末に比べ6,733百万円減少し、売却目的で保有する資産に含まれる現金及び現金同等物の振戻額および振替額を加味すると、17,385百万円となりました。
各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの主要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期における営業活動による資金の増加は1,367百万円(前年同期は5,686百万円の増加)となりました。主な要因は、減価償却費及び償却費が8,828百万円となった一方で、営業債権及びその他の債権の増加に伴う支出が3,310百万円、税引前四半期損益が2,387百万円の損失となったこと、棚卸資産の増加に伴う支出が1,605百万円となったこと、法人所得税の支払額が1,290百万円となったことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期における投資活動による資金の減少は6,406百万円(前年同期は1,228百万円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が5,014百万円となったこと、敷金及び保証金の差入れによる支出が1,135百万円となったことです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期における財務活動による資金の減少は1,769百万円(前年同期は15,254百万円の減少)となりました。主な要因は、リース負債の返済による支出が8,179百万円となったこと、長期借入金の返済による支出が4,112百万円となったこと、非支配持分からの子会社持分取得による支出が2,519百万円となった一方で、短期借入れによる収入が10,960百万円となったこと、長期借入れによる収入が1,993百万円となったことです。
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