【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの致死率低下等による感染症対策の緩和、外国からの旅行者数の回復等により個人消費、国内景気にとって明るい兆しは見えてきているものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米中間の対立、米露間の対立等、不安定な国際情勢の影響等及び米国長期金利の値上げ観測、インフレ率の上昇による物価上昇等、世界経済のさらなる悪化及び為替市場における更なる円安が懸念される中、景気についてもいまだ不透明な状況が続いております。 このような経済情勢の中、当社サービスの基盤となる、インターネット及びブロードバンド関連の環境につきましては、リモートワーク率の上昇、巣ごもり需要等を取り込み着実に増加しており、2023年6月末時点で固定系ブロードバンドサービス契約数が約4,633万(前年同期比3.4%増)とインターネットを利用する機会が広く普及しております。また、第5世代携帯電話契約数が7,476万(前年同期比44.8%増)を超えるなど、インターネットを利用する環境は引き続き拡大基調にあります(出所:総務省電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表)。一方、2023年7月~9月期の雑誌全体の販売状況は前年同期比約4.4%減となっており、また、書店からの返品率も42.1%(前年同期比0.5ポイント増)となり、返品率も悪化しております(出所:公益社団法人全国出版協会 季刊出版指標2023年秋号)。このような環境の中、当社グループは、当連結会計年度においても、雑誌の定期購読者の囲い込み、新規読者の獲得のため、第21期事業年度に引き続き、各マーケティングチャネルの充実、SEO対策やリテンション対策による雑誌購読者の定期購読者化、新規受注高の増加及び継続率の上昇による継続受注高増加のための各種施策を実施して参りました。さらに、出版社の配送支援業務及びWEB経由以外で新規の雑誌定期購読者数を増やすために、出版社が管理する既存の定期購読顧客の管理を当社に移管し、当社グループが購読顧客の獲得、管理、配送までを一括で受ける「Fujisan VCS(Fujisan Value Chain Support)」の展開及び法人顧客開拓についても、引き続き注力して参りました。 この結果、雑誌出版市場が大きく前年比で縮小する中、当社グループは当第3四半期連結累計期間において総登録ユーザー数(一般購読者及び法人購読者の合計数)は4,090,083名となりました。そのうち課金期間が継続している継続課金ユーザー数(「Fujisan.co.jp」に登録しているユーザーのうち、9月末時点で年間定期購読及び月額払い定期購読の申込みを継続しているユーザー並びに当月内に雑誌を購読したユーザーの合計数)は599,423名となりました。当社グループ会員数は着実に伸びておりますが、アクティブユーザー数については、法人顧客は回復傾向にあるものの、個人ユーザーについては休刊雑誌の増加の影響もあり、前年同期と比べて減少しております。
デジタル雑誌関連の事業(「第2の矢」事業)については、2018年第2四半期連結会計期間より、新たに株式会社電通と合弁で設立した株式会社magaportの事業開始に伴い、従来の「Fujisan.co.jp」上でのデジタル雑誌販売のみならず、他電子書店向けのデジタル雑誌取次分野及び派生するサービス領域事業に注力しております。本事業は主に雑誌読み放題サービスにおいて着実に成長を続けており、2023年9月末においては当社グループの売上の35.8%を占めるまでになり、第2の柱となっております。また、既存の雑誌読み放題サービスへの取次だけでなく、記事単位の提供サービスのトライアル、株式会社図書館流通センターと共同で電子図書館事業の検証事業への参加を行う等、デジタル雑誌資源を用いた新たなサービス領域の開拓も引き続き行っております。雑誌購読者情報を用いた事業(「第3の矢」事業)については、株式会社イードと立ち上げた株式会社イデアが手掛ける出版社ECサイトの運営支援事業が引き続き、営業赤字となっており、売上拡大のための新規取引先の開拓、取引先との取引条件の変更も含め、引き続き、営業黒字化に向けて検討を続けております。コスト面については、将来への投資である人件費の増加及び新たなマーケティング施策、新サービスの試験的な運用、SEO対策のためのWEBサイトのコンテンツ追加等による増加、システム開発の増加による減価償却費増加等がみられますが、主にマーケティングコストの抑制等により販売管理費及び一般管理費は昨年同期比において減少しております。上記の施策の結果、当第3四半期連結累計期間における取扱高(連結取引消去前における当社から出版社への定期購読の注文取次高、当社の仕入販売高、当社グループが出版社から配送業務及び広告PR業務等を受けた請負業務の取扱高の合計)は8,945,429千円(前年同期比0.9%増)、売上高は4,314,476千円(同2.5%減)となりました。利益面につきましては、営業利益238,319千円(同22.1%減)、経常利益236,882千円(同22.5%減)、四半期純利益156,062千円(同26.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益142,602千円(同28.4%減)となりました。
注. 当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の業績の状況については記載しておりません。
(2)財政状態の分析(資産の部) 当第3四半期連結会計期間末の総資産は5,446,091千円(前連結会計年度末比206,320千円減)となりました。総資産の内訳は、流動資産が4,620,796千円(同257,705千円減)、固定資産が825,294千円(同51,385千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が32,945千円減少したこと、売掛金が27,355千円減少したこと、未収入金が215,358千円減少したこと、ソフトウェアが39,398千円増加したこと等によるものであります。
(負債の部) 当第3四半期連結会計期間末における負債合計は3,179,818千円(前連結会計年度末比317,031千円減)となりました。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ買掛金が16,252千円減少したこと、未払金が250,524千円減少したこと、未払法人税等が50,269千円減少したこと、契約負債が12,026千円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部) 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は2,266,273千円(前連結会計年度末比110,710千円増)となりました。主な変動要因は、四半期純利益等の計上に伴い利益剰余金が142,062千円増加したこと、新株予約権の行使に伴い自己株式を69,258千円処分したこと、非支配株主持分が13,636千円増加したこと、配当金の支払い63,087千円等に伴い利益剰余金が減少したこと等によるものであります。
(3)
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた事項はありません。 (4) 研究開発活動 該当事項はありません。
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