【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況 当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、ワクチン接種が進んでいること、新型コロナウイルスの致死率低下等による感染症対策の緩和により個人消費にとって明るい兆しは見えてきているものの、いまだ、先行きは不透明な状況にあります。また、米中間の対立、米露間の対立等、不安定な国際情勢の影響等及び米国長期金利の値上げ観測、インフレ率の上昇による物価上昇等、世界経済のさらなる悪化が懸念される中、景気についてもいまだ不透明な状況が続いております。このような経済情勢の中、当社サービスの基盤となる、インターネット及びブロードバンド関連の環境につきましては、リモートワーク率の上昇、巣ごもり需要等を取り込み着実に増加しており、2022年12月末時点で固定系ブロードバンド契約数が約4,458万(前年同期比2.2%増)とインターネットを利用する機会が広く普及しております。また、スマートフォンやタブレット端末の利用者の増加により移動系超高速ブロードバンド契約数(3.9-第4世代)は約1億3,005万(前年同期比8.9%減)と減少する一方、第5世代携帯電話契約数が6,316万(前年同期比2,665万増)を超えるなど、インターネットを利用する環境は引き続き拡大基調にあります(出所:総務省電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表)。一方、2023年3月の雑誌全体の販売状況は前年同期比約5.7%減となっており、また、書店からの返品率も39.6%(前年同期比0.3ポイント増)となり、返品率も悪化しております(出所:公益社団法人全国出版協会 季刊出版指標2023年春号)。 このような環境の中、当社グループは、当連結会計年度においても、雑誌の定期購読者の囲い込み、新規読者の獲得のため、第21期事業年度に引き続き、各マーケティングチャネルの充実、SEO対策やリテンション対策による雑誌購読者の定期購読者化、新規受注高の増加及び継続率の上昇による継続受注高増加のための各種施策を実施して参りました。さらに、出版社の配送支援業務及びWEB経由以外で新規の雑誌定期購読者数を増やすために、出版社が管理する既存の定期購読顧客の管理を当社に移管し、当社グループが購読顧客の獲得、管理、配送までを一括で受ける「Fujisan VCS(Fujisan Value Chain Support)」の展開及び法人顧客開拓についても、引き続き注力して参りました。 この結果、雑誌出版市場が大きく前年比で縮小する中、当社グループは当第1四半期連結累計期間において総登録ユーザー数(一般購読者及び法人購読者の合計数)は3,989,173名、そのうち課金期間が継続している継続課金ユーザー数(「Fujisan.co.jp」に登録しているユーザーのうち、3月末時点で年間定期購読及び月額払い定期購読の申込みを継続しているユーザー並びに当月内に雑誌を購読したユーザーの合計数)は593,259名となり、当社グループ会員数は着実に伸びているものの、ユーザー獲得コストは増加しております。一方、アクティブユーザー数については、月額払いの増加、法人の雑誌購読入れ替えの影響もあり、前年同期と比べて減少しております。 デジタル雑誌関連の事業(「第2の矢」事業)については、2018年第2四半期連結会計期間より、新たに株式会社電通と合弁で設立した株式会社magaportの事業開始に伴い、従来の「Fujisan.co.jp」上でのデジタル雑誌販売のみならず、他電子書店向けのデジタル雑誌取次分野及び派生するサービス領域事業に注力しております。本事業は主に雑誌読み放題サービスにおいて2022年度に引き続き、着実に成長を続けており、2023年3月末においては当社グループの売上の35.3%を占めるまでになり、第2の柱となっております。また、既存の雑誌読み放題サービスへの取次だけでなく、記事単位の提供サービスのトライアル、株式会社図書館流通センターと共同で電子図書館事業の検証事業への参加を行う等、デジタル雑誌資源を用いた新たなサービス領域の開拓も引き続き行っております。 雑誌購読者情報を用いた事業(「第3の矢」事業)については、株式会社イードと立ち上げた株式会社イデアが手掛ける出版社ECサイトの運営支援事業が引き続き、営業赤字となっており、売上拡大のための新規取引先の開拓、取引先との取引条件の変更も含め、営業黒字化に向けて検討を続けております。 コスト面については、主にマーケティングの効率化により発生するリスティングに関するコストを抑えておりますが、将来への投資である人件費及び新たなマーケティング施策の試験的な運用、SEO対策のためのWEBサイトのコンテンツ追加等により販売管理費は増加しております。 上記の施策の結果、当第1四半期連結累計期間における取扱高(連結取引消去前における当社グループから出版社への定期購読の注文取次高、当社の仕入販売高、当社グループが出版社から配送業務及び広告PR業務等を受けた請負業務の取扱高の合計)は3,243,824千円(前年同期比0.6%増)となりました。売上高は1,452,472千円(同3.9%減)となりました。利益面につきましては、営業利益72,084千円(同41.6%減)、経常利益71,879千円(同41.9%減)、四半期純利益48,398千円(同47.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益42,725千円(同50.8%減)となりました。 注. 当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の業績の状況については記載しておりません。
(2)財政状態の分析(資産の部) 当第1四半期連結会計期間末の総資産は5,879,908千円(前連結会計年度末比227,496千円増)となりました。総資産の内訳は、流動資産が5,078,868千円(同200,366千円増)、固定資産が801,039千円(同27,129千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が94,713千円増加したこと、未収入金が115,812千円増加したこと等によるものであります。
(負債の部) 当第1四半期連結会計期間末における負債合計は3,738,224千円(前連結会計年度末比241,374千円増)となりました。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ未払金が56,631千円増加したこと、契約負債が214,578千円増加したこと、未払法人税等が39,805千円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部) 当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は2,141,683千円(前連結会計年度末比13,878千円減)となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益42,725千円を計上したこと、配当金の支払い63,087千円等に伴い利益剰余金が減少したこと等によるものであります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(4) 研究開発活動 該当事項はありません。
#C3138JP #富士山マガジンサービス #小売業セクター