【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響はあったものの、段階的な行動制限の緩和による経済活動正常化の動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢の緊迫化が長期にわたっていることに加え、世界的な資源価格の値上がりや円安が大幅な物価上昇を招き、個人消費が低迷するなど、厳しい経営環境が続いております。
このような状況の中、当社グループにおきましては、自社品種「夏瑞/なつみずき」(品種登録名「ペチカほのか」)の生食用販売、業務用販売を中心に、いちご果実及びその他青果物の販売に注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度に比べ26,671千円増加し、1,108,040千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ41,671千円減少し、320,322千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ68,342千円増加し、787,717千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高は2,489,362千円(前期比4.4%減少)、営業利益は135,111千円(前期比8.7%減少)、経常利益は138,790千円(前期比7.3%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は110,353千円(前期比22.4%減少)となりました。
当連結会計年度の当社グループが営む事業は、いちご果実・青果事業、種苗事業、馬鈴薯事業、運送事業の4事業となっております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(いちご果実・青果事業)
いちご果実・青果事業の主力商品は業務用いちご果実であります。当連結会計年度においては、夏秋期は「コア」(品種登録名「ペチカエバー」)、「夏瑞/なつみずき」(品種登録名「ペチカほのか」)などの自社開発品種と輸入いちごを、その後は国産促成いちご(とちおとめ、紅ほっぺなど)を主に販売しております。
夏秋期の自社品種については、生産面積の減少はありましたが、「夏瑞/なつみずき」の販売が引き続き好調に推移いたしました。また、8月中旬から9月にかけての出荷数量の落ち込みが昨年に比べ少なかったことで、販売数量は確保されました。しかしながら、残暑の影響を受けて苗の回復が遅れ、10、11月の出荷数量が伸び悩んだことで、自社品種の販売数量は、前期に比べ減少することとなりました。
12月のクリスマス期におきましては、促成いちごの生育が前進傾向であった前年に対し、今年度は残暑による定植の遅れと定植後の天候不良により生育が遅れることとなり、業務用サイズの入荷量が品薄傾向で推移いたしました。このため、業務用サイズのいちご市場相場価格は前年に比べ上昇いたしました。クリスマス期のケーキ需要は、原材料価格の高騰による商品売価の上昇に加え、全般的な物価上昇が個人消費の動向に影響を及ぼし、大手洋菓子メーカーを中心に減少いたしました。これにより、いちご果実の販売数量は減少することとなりましたが、いちご市場相場価格による販売単価が上昇したことで売上高、利益ともに前年同時期を上回りました。
年明け以降も全般的な物価の上昇による個人消費動向への影響は続き、さらに鳥インフルエンザによる鶏卵不足により大手取引先を中心にいちごを使用した商品の製造中止等が発生し、1~6月のいちご果実の販売数量が前年を下回る結果となりました。
その他の青果物におきましては、コンビニエンスストアをはじめとした既存取引先において、フルーツの使用量が増加したことで、売上高、利益ともに前期を上回りました。
この結果、当連結会計年度におけるいちご果実・青果事業の売上高は2,149,645千円(前期比5.9%減少)、営業利益は222,685千円(前期比5.0%減少)となりました。
(種苗事業)
種苗事業は、自社いちご品種の「ペチカほのか」(商品名「夏瑞/なつみずき」)と「ペチカエバー」(商品名「コア」)を生産販売しております。自社いちご品種苗の販売先となる生産者は、一部を除き、栽培契約に基づいて、生産するいちご果実を当社に出荷しております。
当連結会計年度におきましては、「ペチカほのか」「ペチカエバー」の種苗販売本数の増加により種苗売上高が微増いたしました。また、引き続き夏秋いちご品種の共同開発事業に伴う収入が発生しております。
この結果、当連結会計年度における種苗事業の売上高は93,042千円(前期比3.0%増加)、営業利益は57,252千円(前期比13.8%増加)となりました。
(馬鈴薯事業)
馬鈴薯事業は、主に種馬鈴薯の生産販売、仕入販売と、青果馬鈴薯の仕入販売からなり、主要売上品である種馬鈴薯には、秋から春にかけて販売する春作と夏に販売する秋作の2体系がありますが、そのメインは春作種馬鈴薯です。
秋作向けにおいては、種馬鈴薯生産のための原種の供給不足や、産地である青森での豪雨による生産数量減少の影響はありましたが、仕入数量の確保に努めた結果、販売数量は前期に比べ増加させることができました。メインとなる春作向けは、青森での豪雨による生産数量の減少により一部品種の仕入数量の確保が困難となったほか、取扱量が減少した主要取引先もあり、販売数量は減少することとなりました。これにより売上高は減少いたしましたが、経費削減に努めた結果、利益は確保することができました。
この結果、当連結会計年度における馬鈴薯事業の売上高は123,099千円(前期比8.8%減少)、営業利益は9,483千円(前期比11.3%増加)となりました。
(運送事業)
運送事業は、連結子会社「株式会社エス・ロジスティックス」が行っております。関東圏を中心とした事業展開で当社の商品配送を中核としつつ、一般荷主からの配送業務受託も行っております。
当連結会計年度におきましては、一般荷主からの配送業務の受託を積極的に推進した結果、売上高は増加しました。一方で、外注費の増加、配送車両の増車に伴う減価償却費の増加及び燃料費の高騰などの影響により、利益は減少することとなりました。
この結果、当連結会計年度における運送事業の売上高は、123,575千円(前期比28.6%増加)、営業利益1,842千円(前期比81.1%減少)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、期首残高から72,882千円増加し、当連結会計年度末現在において577,913千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果取得した資金は122,758千円(前期は128,618千円の取得)となりました。これは主に、仕入債務の減少額40,295千円があった一方で、税金等調整前当期純利益138,871千円、売上債権の減少額36,671千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は4,076千円(前期は17,670千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,154千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は45,798千円(前期は13,712千円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額による支出41,687千円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比(%)
種苗事業(千円)
27,438
86.7
馬鈴薯事業(千円)
6,177
58.9
全社(千円)
9,194
119.8
合計(千円)
42,809
86.0
(注)1 金額は当期製品製造原価によっております。
2 全社の記載額は、新品種の開発及び栽培方法の研究のため研究圃場を有しており、研究開発段階で生産されたいちご果実を販売しているための製品製造原価であります。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比(%)
いちご果実・青果事業(千円)
1,586,839
93.6
馬鈴薯事業(千円)
92,614
93.3
合計(千円)
1,679,453
93.5
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.受注実績
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比(%)
いちご果実・青果事業(千円)
2,149,645
94.1
種苗事業(千円)
93,042
103.0
馬鈴薯事業(千円)
123,099
91.2
運送事業(千円)
123,575
128.6
合計(千円)
2,489,362
95.6
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
2022年6月期
当連結会計年度
2023年6月期
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社シャトレーゼ
284,544
11.3
281,735
11.3
トーワ物産株式会社
301,314
12.0
280,351
11.3
ベンダーサービス株式会社
378,726
15.1
276,564
11.1
株式会社不二家
239,610
9.2
253,805
10.2
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末と比較して37,830千円増加し、当連結会計年度末で961,831千円となりました。これは主に売掛金が減少したものの、現金及び預金が増加したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末と比較して11,159千円減少し、当連結会計年度末で146,208千円となりました。これは主に繰延税金資産が減少したことによるものであります。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末と比較して42,726千円減少し、当連結会計年度末で174,419千円となりました。これは主に買掛金が減少したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末と比較して1,055千円増加し、当連結会計年度末で145,903千円となりました。これは主に長期借入金が減少したものの役員退職慰労引当金が増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末と比較して68,342千円増加し、当連結会計年度末で787,717千円となりました。この結果、自己資本比率は71.1%になっております。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、2,489,362千円となりました。
いちご果実・青果事業の主力商品は業務用いちご果実であります。当連結会計年度においては、夏秋期は「コア」(品種登録名「ペチカエバー」)、「夏瑞/なつみずき」(品種登録名「ペチカほのか」)などの自社開発品種と輸入いちごを、その後は国産促成いちご(とちおとめ、紅ほっぺなど)を主に販売しております。夏秋期の自社品種については、生産面積の減少はありましたが、「夏瑞/なつみずき」の販売が引き続き好調に推移いたしました。また、8月中旬から9月にかけての出荷数量の落ち込みが昨年に比べ少なかったことで、販売数量は確保されました。しかしながら、残暑の影響を受けて苗の回復が遅れ、10、11月の出荷数量が伸び悩んだことで、自社品種の販売数量は、前期に比べ減少することとなりました。12月のクリスマス期におきましては、促成いちごの生育が前進傾向であった前年に対し、今年度は残暑による定植の遅れと定植後の天候不良により生育が遅れることとなり、業務用サイズの入荷量が品薄傾向で推移いたしました。このため、業務用サイズのいちご市場相場価格は前年に比べ上昇いたしました。クリスマス期のケーキ需要は、原材料価格の高騰による商品売価の上昇に加え、全般的な物価上昇が個人消費の動向に影響を及ぼし、大手洋菓子メーカーを中心に減少いたしました。これにより、いちご果実の販売数量は減少することとなりましたが、いちご市場相場価格による販売単価が上昇したことで売上高は前年同時期を上回りました。
年明け以降も全般的な物価の上昇による個人消費動向への影響は続き、さらに鳥インフルエンザによる鶏卵不足により大手取引先を中心にいちごを使用した商品の製造中止等が発生し、1~6月のいちご果実の販売数量が前年を下回る結果となりました。その他の青果物におきましては、コンビニエンスストアをはじめとした既存取引先において、フルーツの使用量が増加したことで、売上高は前期を上回りました。この結果、当連結会計年度におけるいちご果実・青果事業の売上高は2,149,645千円(前期比5.9%減少)となりました。
種苗事業は、自社いちご品種の「ペチカほのか」(商品名「夏瑞/なつみずき」)と「ペチカエバー」(商品名「コア」)を生産販売しております。自社いちご品種苗の販売先となる生産者は、一部を除き、栽培契約に基づいて、生産するいちご果実を当社に出荷しております。当連結会計年度におきましては、「ペチカほのか」「ペチカエバー」の種苗販売本数の増加により種苗売上高が微増いたしました。また、引き続き夏秋いちご品種の共同開発事業に伴う収入が発生しております。この結果、当連結会計年度における種苗事業の売上高は93,042千円(前期比3.0%増加)となりました。
馬鈴薯事業は、主に種馬鈴薯の生産販売、仕入販売と、青果馬鈴薯の仕入販売からなり、主要売上品である種馬鈴薯には、秋から春にかけて販売する春作と夏に販売する秋作の2体系がありますが、そのメインは春作種馬鈴薯です。秋作向けにおいては、種馬鈴薯生産のための原種の供給不足や、産地である青森での豪雨による生産数量減少の影響はありましたが、仕入数量の確保に努めた結果、販売数量は前期に比べ増加させることができました。メインとなる春作向けは、青森での豪雨による生産数量の減少により一部品種の仕入数量の確保が困難となったほか、取扱量が減少した主要取引先もあり、販売数量は減少することとなりました。これにより売上高は減少いたしました。この結果、当連結会計年度における馬鈴薯事業の売上高は123,099千円(前期比8.8%減少)となりました。
運送事業は、連結子会社「株式会社エス・ロジスティックス」が行っております。関東圏を中心とした事業展開で当社の商品配送を中核としつつ、一般荷主からの配送業務受託も行っております。当連結会計年度におきましては、一般荷主からの配送業務の受託を積極的に推進した結果、売上高は増加しました。この結果、当連結会計年度における運送事業の売上高は123,575千円(前期比28.6%増加)となりました。
(売上原価)
売上原価は、当連結会計年度において1,824,931千円となりました。また、売上高原価率は73.3%となり、この結果、売上総利益は664,431千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、当連結会計年度において529,319千円となりました。これは、運搬費168,161千円、給料及び手当98,649千円などによるものであります。この結果、営業利益は135,111千円となりました。
(営業外収益および営業外費用)
営業外収益は、当連結会計年度において3,971千円となり、営業外費用は、当連結会計年度において293千円となりました。この結果、経常利益は138,790千円となりました。
②キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報の分析・検討内容
a.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
項目
2021年6月期
2022年6月期
2023年6月期
自己資本比率(%)
59.2
66.5
71.1
時価ベースの自己資本比率(%)
74.2
92.4
124.7
債務償還年数(年)
0.1
0.1
0.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
3,524.4
1,096.8
1,537.6
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループが営む事業における資金需要の主なものは、仕入活動、生産活動に必要となる運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるものの他、生産・配送設備等に係る設備資金であります。
これらの資金需要に対し、内部資金の活用を基本としつつ、一部設備資金については金融機関からの借入により資金調達を行っております。また、最需要期となるクリスマス期を含めた運転資金の効率的な調達のために金融機関と当座貸越契約を締結するなど、必要な資金枠を確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成にあたり必要と思われる会計上の見積りについては、合理的な基準に基づいて実施しております。当社グループの連結財務諸表及び財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1.連結財務諸表等「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び2.財務諸表等「注記事項(重要な会計方針)」にそれぞれ記載しております。
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