【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営環境
当第3四半期連結累計期間の世界経済を概観しますと、先進国を中心にインフレが高進し、急速な金融引き締めや中国のゼロコロナ政策等の影響により、景気後退懸念が高まりました。
米国経済は、堅調な雇用環境やコロナ禍で積みあがった貯蓄等が、個人消費を下支えしましたが、長引くインフレや金融引き締めの影響により需要が減退し、景気の回復ペースは鈍化しました。欧州経済は、資源価格高騰の一服や供給制約緩和等による製造業の回復が景気を下支えするも、物価上昇等が消費の抑制に繋がり、景気は減速基調となりました。中国経済は、行動制限強化等の影響による消費の落ち込みや不動産市場の低迷が継続した事に加え、欧米経済の減速に伴い輸出も減少となり、経済成長鈍化の懸念が高まりました。また、ゼロコロナ政策の大幅な緩和による感染再燃が景気回復への重石となりました。新興国経済は、経済活動再開、供給制約の緩和等により製造業や個人消費が持ち直し、景気は回復基調となった一方で、外需の減速が景気回復の重石となりました。
こうした中、わが国経済は、物価上昇等が重石となったものの、入国規制の緩和や旅行支援策等の影響により、サービスを中心に個人消費等が堅調となり、景気は緩やかに回復しました。一方で、日銀は長年継続してきた金融緩和の姿勢を転換し、景気の先行き不透明感が強まりました。
②セグメント別の事業活動
(Ⅰ)金属
豊通リチウム株式会社が福島県楢葉町に建設を進めていた、国内初となる水酸化リチウムの製造工場が、
2022年11月に竣工しました。電動車普及の加速やバッテリー性能の向上に伴い、これまで以上に需要が見込
まれる水酸化リチウムを高品質かつ安定的に供給する事で、カーボンニュートラルに貢献するとともに、本
事業を通じて地域経済の活性化や東日本大震災の被災地域の産業復興にも貢献していきます。
(Mobility分野・Resources & Environment分野)
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
株式会社Resilireと協業し、同社が開発したサプライチェーンの可視化・リスク管理サービスと当社の物
流に関するオンラインプラットフォーム「Streams(ストリームス)」を組み合わせ、リスク対策に向けた
一気通貫サービスの提供を、2022年11月より開始しました。DX推進を通じてお客様のサプライチェーンの強
靭化及び事業継続計画強化に貢献していきます。(Mobility分野)
(Ⅲ)自動車
カンボジアにおいて、車両組立事業会社であるToyota Tsusho Manufacturing (Cambodia) Co.,Ltd.を
2022年8月に設立しました。本事業は、同年11月にカンボジア政府と当社が締結した「自動車産業の発展に
向けた協業に関するMOU(覚書)」に基づく取組みであり、同国の自動車産業と経済及び社会の発展に貢献
していきます。(Mobility分野・Life & Community分野)
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
インドネシアのブカシ県において、ASEAN域内相互承認協定に基づいた国際基準に対応するASEAN初の自動
車認証試験場の設計、建設、保守事業を行う事を目的に、2022年10月に株式会社海外交通・都市開発事業支
援機構 (JOIN) 及び現地パートナーと共に事業会社を設立しました。2025年2月の試験場完工を目指し、同
国の自動車産業の活性化と国際競争力の向上に貢献していきます。
(Mobility分野・Life & Community分野)
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
ペットボトルの水平リサイクルを目的に、2022年10月に豊通ペットリサイクルシステムズ株式会社が滋賀
県にて工場を本格稼働しました。また同月、Car to Carのリサイクル実現を目的に、当社が出資している株
式会社プラニックが静岡県にて御前崎工場を本格稼働しました。両社のリサイクル事業を通じて、サーキュ
ラーエコノミー(循環型経済)への移行を加速していきます。
(Mobility分野・Life & Community分野・Resources & Environment分野)
(Ⅵ)食料・生活産業
インド国内において病院向けリネンサプライ等の高品質な医療周辺サービスを提供する事を目的に、株式
会社トーカイと設立したValabhi Hospital Services Private Limitedが2022年11月から営業を開始しまし
た。より安心・安全な医療の提供と地域医療の発展に貢献できるよう、新しいリネンサプライの事業モデル
構築と高品質な医療周辺サービスの提供を推進していきます。(Life & Community分野)
(Ⅶ)アフリカ
当社グループのCFAO SASはアフリカでヘルスケア分野のスタートアップ投資に特化した投資会社Health54
SASを設立しました。2022年10月に、第1号案件として、ナイジェリアで小売り薬局チェーン運営や、約600
の病院・薬局向けにオンラインで医薬品販売を手掛けるLifestores Healthcareへ出資しました。「WITH
AFRICA FOR AFRICA」という理念のもと、アフリカの人々の健康への一層の貢献を目指し、ヘルスケア事業
を強化していきます。(Life & Community分野)
③当四半期連結累計期間の経営成績
当社グループの当第3四半期連結累計期間の収益は、自動車販売の増加、金属等の市況及び欧州電力価格上昇により、前年同四半期連結累計期間を1兆5,907億円(27.5%)上回る7兆3,674億円となりました。
利益につきましては、営業活動に係る利益は販売費及び一般管理費の増加の一方で、売上総利益の増加により、前年同四半期連結累計期間を889億円(39.1%)上回る3,161億円となりました。四半期利益(親会社の所有者に帰属)は前期一過性利益の影響があったものの営業活動に係る利益の増加に加え、持分法投資損益の増加等により、前年同四半期連結累計期間を552億円(30.6%)上回る2,354億円となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(Ⅰ)金属
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、前期一過性利益の影響があったものの、市況上昇及び豪亜における自動車生産関連の取り扱い増加等により、前年同四半期連結累計期間を26億円(4.2%)上回る639億円となりました。
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、北米、欧州及び豪亜における自動車部品の取り扱い増加等により、前年同四半期連結累計期間を82億円(44.6%)上回る265億円となりました。
(Ⅲ)自動車
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、豪亜を中心とした海外自動車販売会社の取扱台数増加等により、前年同四半期連結累計期間を160億円(75.1%)上回る373億円となりました。
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、前期一過性利益の影響及び当期電力事業における一過性損失があったものの、欧州電力価格の上昇等により、前年同四半期連結累計期間を105億円(62.0%)上回る274億円となりました。
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、エレクトロニクス事業の取り扱い増加及び化学品事業に
おける市況の上昇等により、前年同四半期連結累計期間を64億円(19.7%)上回る391億円となりました。
(Ⅵ)食料・生活産業
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、南米食料事業における輸送費負担増加があるものの、国内生活産業事業の一過性利益等により、前年同四半期連結累計期間を13億円(18.4%)上回る83億円となりました。
(Ⅶ)アフリカ
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車販売会社の取扱台数増加等により、前年同四半期連結累計期間を116億円(52.3%)上回る337億円となりました。
④財政状態に関する説明
資産につきましては、棚卸資産で1,633億円、現金及び現金同等物で1,457億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ3,727億円増加の6兆5,158億円となりました。また、資本につきましては、四半期利益(親会社の所有者に帰属)等により利益剰余金が1,755億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ624億円増加の2兆52億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、営業活動及び財務活動による増加、投資活動による減少等により7,987億円となり、前連結会計年度末より1,457億円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において、営業活動による資金の増加は1,806億円(前年同四半期連結累計期間比1,480億円の収入増加)となりました。これは、税引前四半期利益及び運転資本の増加等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において、投資活動による資金の減少は986億円(前年同四半期連結累計期間比
218億円の支出減少)となりました。これは、有形固定資産の取得等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において、財務活動による資金の増加は475億円(前年同四半期連結累計期間比
226億円の収入減少)となりました。これは、非支配株主からの子会社持分取得の一方で借入金が増加したこと等によるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間において、特記すべき事項はありません。