【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における経営成績、キャッシュ・フロー及び財政状態の概要は、次のとおりであります。
①経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限が緩和され、社会経済活動は徐々に正常化に向かいつつあるものの、ウクライナ情勢の長期化、エネルギーや原材料の価格上昇、急激な円安の進行などの影響もあり、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社が属する住宅・マンション業界におきましては、住宅ローンが低金利で推移していること、政府の各種住宅支援策が継続していることから、住宅需要は底堅く推移しました。しかしながら、建築コストの上昇を背景として販売価格が上昇していること、光熱費や生活必需品等の物価が上昇していることの影響により、住宅取得マインドが低下する懸念もあり、予断を許さない事業環境にあります。
このような環境下、当社グループでは、建売住宅の販売価格を見直すとともに、広告をはじめとする顧客アプローチ方法の見直しに取り組みましたが、建売住宅の販売が第1四半期及び第3四半期の不調を取り戻すまでには回復せず、第4四半期に投資用不動産1棟を販売したものの、売上高は計画比で減少いたしました。また、株式会社もりぞうの連結子会社化に伴うのれんの減損損失39,241千円及び国税局による税務調査に伴う過年度消費税等49,851千円を特別損失に計上いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は2,661,366千円(前年同期比5.2%減)、営業利益は226,804千円(同14.7%減)、経常利益は224,873千円(同18.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は65,679千円(同64.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(不動産販売事業)
不動産販売事業におきましては、建売住宅販売が低調に推移したことにより、投資用不動産1棟を販売したものの、売上高及びセグメント利益は減少いたしました。この結果、売上高は2,539,290千円(前年同期比5.9%減)、セグメント利益は308,754千円(同4.7%減)となりました。
(不動産賃貸管理事業)
不動産賃貸管理事業におきましては、管理物件の改修工事の受注が順調に推移したことにより、売上高及びセグメント利益は増加いたしました。この結果、売上高は124,291千円(前年同期比10.3%増)、セグメント利益は21,767千円(同15.5%増)となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、棚卸資産の減少による増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による増加等により、前連結会計年度末と比較して940,914千円増加し、期末残高は1,644,027千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローは、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は685,810千円(前年同期は845,689千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上による増加130,880千円、棚卸資産の減少による増加510,668千円、法人税等の支払による支出75,751千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した資金は362,439千円(前年同期は29,915千円の使用)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入362,842千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は107,335千円(前年同期は943,351千円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出625,408千円、配当金の支払いによる支出48,823千円、長期借入金の借入による収入570,000千円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社は、不動産販売事業及び不動産賃貸管理事業を行っておりますが、不動産賃貸管理事業は生産、受注及び販売を定義することが困難であるため、セグメント別の記載に代えて事業部門別に記載しております。
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度における建築請負事業の受注実績は、次のとおりであります。
事業部門別の名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
建築請負事業
13,170
144.1
2,308,861
2,886.1%
(注)受注残高には、2022年10月1日に連結子会社化した株式会社もりぞうの金額を含めて記載しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門別の名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
建売住宅販売事業(千円)
1,521,509
△15.6
投資用不動産販売事業(千円)
855,000
16.3
建築請負事業(千円)
13,781
41.1
不動産賃貸管理事業(千円)
122,076
10.6
その他(千円)
148,998
△ 0.4
合計(千円)
2,661,366
△ 5.2
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社 GHI
560,000
19.9
-
-
サムティ株式会社
-
-
855,000
32.1
2.損益計算書の不動産売上高の事業部門別内訳は、次のとおりであります。
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
不動産売上高(千円)
2,538,242
2,376,509
建売住宅販売事業(千円)
1,803,242
1,521,509
投資用不動産販売事業(千円)
735,000
855,000
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
②財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は4,257,567千円となり、前連結会計年度末に比べ568,195千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が940,914千円増加、完成工事未収入金及び契約資産が99,089千円増加、販売用不動産が530,382千円減少したこと等によるものであります。固定資産は138,276千円となり、前連結会計年度末に比べ51,740千円増加いたしました。
この結果、総資産は4,395,843千円となり、前連結会計年度末に比べ619,935千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は975,585千円となり、前連結会計年度末に比べ584,940千円増加いたしました。これは主に工事未払金が207,200千円増加、未成工事受入金が248,077千円増加したこと等によるものであります。固定負債は1,487,568千円となり、前連結会計年度末に比べ18,316千円増加いたしました。
この結果、負債合計は2,463,154千円となり、前連結会計年度末に比べ603,256千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,932,689千円となり、前連結会計年度末に比べ16,679千円増加いたしました。
この結果、自己資本比率は44.0%(前連結会計年度末50.7%)となりました。
③経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、建売住宅販売の減少により2,661,366千円(前連結会計年度は2,807,971千円)となりました。
(売上原価・売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、建売住宅販売の減少により2,052,219千円(前連結会計年度は2,185,497千円)となりました。その結果、当連結会計年度の売上総利益は609,147千円(前連結会計年度は622,474千円)となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は382,342千円(前連結会計年度は356,630千円)となりました。その結果、当連結会計年度の営業利益は226,804千円(前連結会計年度は265,844千円)となりました。
(営業外損益・経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は9,528千円(前連結会計年度は26,041千円)となりました。また、営業外費用は11,459千円(前連結会計年度は16,805千円)となりました。その結果、当連結会計年度の経常利益は224,873千円(前連結会計年度は275,080千円)となりました。
(特別損益・親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益の計上はありません。また、特別損失は、解約違約金、株式会社もりぞうの連結子会社化に伴うのれんの減損損失及び国税局による税務調査に伴う過年度消費税等の計上により93,992千円となりました。その結果、当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は130,880千円(前連結会計年度は275,080千円)となりました。これに法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は65,679千円(前連結会計年度は182,660千円)となりました。
④キャッシュ・フローの状況の分析
「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」をご覧下さい。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの事業は、景気変動、金利動向及び住宅税制やその他の税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利の上昇、税制変更等が発生した場合には、開発用地の価格が著しく変動したり、消費者の購買意欲の低下につながったりして、当社グループの経営成績等に重要な影響が及ぶ可能性があります。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、投資用不動産の開発資金であります。資金調達については、物件ごとに借入条件を勘案し、金融機関から借入を行っております。
今後も手許資金、自己資本比率、有利子負債依存度のバランスを考慮し、安定した財務体質の維持に努めてまいります。
⑦経営者の問題意識と今後の方針
当社グループの事業は景気変動等に左右されやすく、業績の振幅が大きくなる傾向があります。それだけに中長期的な成長を確保していくためには利益重視・リスク軽減の姿勢の下に、経営基盤の強靭化、とりわけ厚みのある収益基盤の構築、多様な調達手段の確保、それらを支える人材の育成が不可欠と認識しております。そのため中期経営計画では、経営指標の目標を営業利益と売上高営業利益率に置き、ビジネスモデルの骨太化と商圏の拡大に努めるとともに、行動規範(フィロソフィ)の周知徹底を図ることで中核人材の育成に長期的に取り組むこととしています。