【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の落ち込みから持ち直しの動きが続き、原油をはじめとする資源価格も安定するなど世界的なインフレにも鈍化の動きが見られる一方、ウクライナ問題の長期化や金融引き締めの継続により、欧米において景気後退への懸念が続く状況で推移しました。
このような状況のなかで、当社グループは2030年を見据えた長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』を実現させるため、基盤構築フェーズである『中期経営計画2023 (CCC-I)』の最終年度として、環境配慮型製品を中心としたパッケージ用インキと機能性材料の拡販とともに、新規事業の確立に向けた基盤作りを進めました。また、印刷インキの主要原材料につきましては、海外においては前年同期に比べ、価格面で安定した状況にあるものの、国内では依然として高い状態が続いております。このため、製品の安定供給を最優先として、グループ会社間の連携強化やグローバル調達などによるサプライチェーンの安定化に取り組むとともに販売価格の改定に取り組みました。機能性材料事業では、インクジェットインキをはじめとして、カラーフィルター用顔料分散液、トナーなどの従来製品の拡販に加え、社会トレンドを捉えた高付加価値製品の開発に取り組みました。
売上高は、欧米において市況の悪化による需要減の影響を受けたものの、販売価格の改定が進んだことや機能性材料の拡販が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、1,101億5千1百万円(前年同期比6.4%増加)となりました。
利益面では、日本においては原材料や副資材の価格が高止まりしているほか、電気・ガス代といったユーティリティコストなども上昇しているものの、海外においてはこれらの価格が落ち着いてきたなかで、販売価格の改定効果やインキコストの削減により収益性の改善が続いたことなどから、営業利益は50億4千5百万円(前年同期比148.7%増加)となりました。経常利益は64億2千7百万円(前年同期比156.7%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、38億1千2百万円(前年同期比58.8%増加)となりました。
(参考)USドルの期中平均為替レート
第1四半期
連結会計期間
第2四半期
連結会計期間
第2四半期
連結累計期間
2023年12月期
132.34円
137.37円
134.85円
2022年12月期
116.20円
129.57円
122.89円
(注)第2四半期連結累計期間の期中平均為替レートは、1月~6月の単純平均レートを記載しております。
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
(単位:百万円)
売上高
営業利益又は営業損失(△)
前期
当期
増減額
増減率
(※)実質
前期
当期
増減額
増減率
印刷インキ・
機材(日本)
24,918
25,731
812
3.3%
3.3%
164
122
△42
△25.6%
印刷インキ
(アジア)
22,241
24,113
1,872
8.4%
3.1%
502
1,589
1,087
216.2%
印刷インキ
(米州)
35,490
38,152
2,662
7.5%
△2.0%
659
2,321
1,661
252.0%
印刷インキ
(欧州)
9,372
9,537
164
1.8%
△5.6%
△347
△383
△35
-
機能性材料
7,768
8,170
402
5.2%
1.1%
847
976
128
15.2%
報告セグメント計
99,791
105,705
5,913
5.9%
0.3%
1,827
4,626
2,799
153.2%
その他
7,198
7,419
221
3.1%
3.1%
187
238
51
27.2%
調整額
△3,456
△2,973
483
-
-
13
180
166
-
合計
103,533
110,151
6,618
6.4%
1.0%
2,028
5,045
3,016
148.7%
(※)実質増減率:海外連結子会社の為替換算の影響を除いた増減率
印刷インキ・機材(日本)
新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行など社会経済活動の制限緩和が続いたこともあり、各地で人出の増加や大型イベントの開催などにより経済活動が活発化し、また水際対策の緩和による外国人観光客の増加が続きました。一方で、日用品、食品、飲料など多くのアイテムで値上げの影響による買い控えの動きが広がった影響が大きく、パッケージ関連では、グラビアインキ、フレキソインキともに全体としてやや低調に推移しました。印刷情報関連では、デジタル化の影響など市場の構造的な縮小や、広告需要の低迷が続いていることなどから、新聞インキ、オフセットインキともに低調に推移しました。このような状況ではあるものの、販売価格の改定効果もあり、印刷インキ全体では前年同期を上回りました。機材につきましては、印刷製版用材料、機械販売ともに前年同期を上回りました。これらの結果、売上高は257億3千1百万円(前年同期比3.3%増加)となりました。
利益面では、販売価格の改定を進めてはいるものの、原材料価格が高止まりしているなか、電気・ガス代といったユーティリティコストの上昇や、印刷情報関連の印刷インキの販売が低調に推移したことなどから、営業利益は1億2千2百万円(前年同期比25.6%減少)となりました。
印刷インキ(アジア)
主力であるパッケージ関連のグラビアインキは、インドネシアで販売が好調であったほか、本格稼働したバングラデシュでも順調に拡販が続くなど全般的に堅調に推移しました。印刷情報関連では、インドで好調な販売が続いたことに加え、中国でも当第2四半期は回復傾向となりました。売上高は、販売数量が増加したことや販売価格の改定が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから241億1千3百万円(前年同期比8.4%増加)となりました。
利益面では、全般的に経費が増加したものの、販売価格の改定効果が寄与したことに加え、原材料価格も前年同期を下回る水準で推移していることなどにより、営業利益は15億8千9百万円(前年同期比216.2%増加)となりました。
印刷インキ(米州)
金融引き締めによる市況の悪化が続いており販売数量に関しては全般に低調に推移しました。主力のパッケージ関連では、需要の低迷により顧客での在庫調整が続いたことなどから、フレキソインキ及びグラビアインキとも販売は落ち込みました。メタルインキは環境負荷の観点からアルミ缶に対する需要が高まっているという背景はあるものの、販売は伸び悩みました。印刷情報関連であるオフセットインキは、市場の構造的な縮小もあり低調に推移しました。売上高は、販売数量は伸び悩んだもの、販売価格の改定が大きく進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、381億5千2百万円(前年同期比7.5%増加)となりました。
利益面では、人件費は増加したものの、販売価格の改定効果が寄与したことや、原材料価格も前年同期を下回る水準で推移するなかでインキコストの削減を推し進めたことなどにより、営業利益は23億2千1百万円(前年同期比252.0%増加)となりました。
印刷インキ(欧州)
パッケージ関連を中心として拡販に取り組んだものの、顧客での需要が低迷していることもあり販売数量に関しては伸び悩みました。売上高は、販売価格の改定が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、95億3千7百万円(前年同期比1.8%増加)となりました。
利益面では、販売価格の改定効果が寄与したものの、販売数量が伸び悩んだことや、人件費などの経費が増加した影響もあり3億8千3百万円の営業損失(前年同期は3億4千7百万円の営業損失)となりました。
機能性材料
インクジェットインキは全体としては堅調に推移し前年同期並みとなりました。カラーフィルター用顔料分散液はパネルディスプレイの市況が改善傾向にあることもあり、前年同期を上回りました。トナーは、一部で在庫調整の動きも見られるものの全体として販売が堅調に推移したことなどから前年同期並みとなりました。これらの結果に加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、売上高は81億7千万円(前年同期比5.2%増加)となりました。
利益面では、デジタル印刷材料の販売が増加したことなどにより、営業利益は9億7千6百万円(前年同期比15.2%増加)となりました。
(2)財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産は減少したものの、売上高の増加に伴い売上債権が増加したことや、株価の上昇に伴う時価評価や持分法により投資有価証券が増加したこと、基幹システムの更新に関連して無形固定資産が増加したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比148億1千4百万円(8.4%)増加の1,922億1千8百万円となりました。
負債は、仕入債務が減少したものの、設備投資を目的とした借入金が増加したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比35億9千8百万円(4.3%)増加の880億4千9百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加に加え、その他の包括利益累計額が増加したことなどから、前連結会計年度末比112億1千6百万円(12.1%)増加の1,041億6千9百万円となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加、仕入債務の減少、及び法人税等の支払などがあったものの、税金等調整前四半期純利益、減価償却費などにより、37億4千8百万円の資金の増加となりました。前年同四半期連結累計期間に比べ68億9千6百万円の増加となりましたが、主な要因は、運転資本が減少したことや税金等調整前四半期純利益が増加したことであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出などがあったことにより、40億2千6百万円の資金の減少となりました。前年同四半期連結累計期間に比べ55億8千1百万円の減少となりましたが、主な要因は、投資有価証券の売却による収入が減少したことであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などがあったものの、借入金の増加などにより、11億5千5百万円の資金の増加となりました。前年同四半期連結累計期間に比べ17億5千6百万円の増加となりましたが、主な要因は、借入による収入が減少したものの、自己株式の取得による支出が減少したことであります。
以上に加え、連結の範囲の変更を伴う現金及び現金同等物の増減額として1千2百万円を計上した結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は138億2千万円となり、前連結会計年度末に比べ20億9千8百万円の増加となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1)当面の対処すべき課題の内容
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
2)株式会社の支配に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社の株式会社の支配に関する基本方針について、重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は21億8千6百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備の計画
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設について、当第2四半期連結累計期間に重要な変更があったものは、次の通りであります。
2023年6月30日現在
会社名
事業所名
(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額
資金調達
方法
着手及び完了予定
総額
既支払額
着手
完了
MAOMING SAKATA INX CO.,LTD.
茂名第二工場
(中国広東省)
印刷インキ(アジア)
製造設備
百万元
212
百万元
155
自己資金
及び
借入金
2018年
9月
(変更前)
2023年8月
(変更後)
2024年12月
(注)1.完成後の生産能力については合理的な算出が困難なため、記載を省略しております。
2.計画の一部見直しに伴い、完了予定年月を2023年8月から2024年12月に変更しております。