【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)の売上高は、LAL事業の伸長があった一方、ロイヤリティーの大幅な減少や国内における薬価引き下げの影響により医薬品事業が減収となり、前年同期と比べ7.0%減の26,162百万円となりました。
営業利益は、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したことに伴い研究開発費が減少しましたが、減収の影響により45.4%減の3,407百万円となりました。円安に伴う為替差益の計上により減益幅が縮小し、経常利益は38.9%減の4,218百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、32.4%減の3,628百万円となりました。
セグメント別の売上概況
<医薬品事業>
・国内医薬品(8,850百万円、前年同期比3.5%減)
関節機能改善剤アルツは、競合品からの切り替え施策が奏功し、医療機関納入本数は増加しました。当社売上高は、出荷時期の影響により出荷数量が増加しましたが、薬価引き下げの影響を受け減少しました。
2021年5月19日に販売を開始した関節機能改善剤ジョイクルは、前年同期より販売期間が長いことから当社売上高は増加しました。なお、本剤については、添付文書の「重大な副作用」の項にてショック、アナフィラキシーに係る注意喚起を行っていましたが、本剤の投与後にショック、アナフィラキシーの発現が複数報告されたことから、医療関係者の方々にさらなる周知を実施するために、2021年6月1日に安全性速報(ブルーレター)を発出しました。引き続き、販売提携先である小野薬品工業株式会社と連携し、副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供を積極的に進めています。また、専門家や医療機関等の協力を得ながら、2022年4月より原因究明に向けた臨床研究を実施しています。
眼科手術補助剤オペガン類は、新型コロナウイルス感染症拡大以前の市場の成長基調に戻りつつあることから、医療機関納入本数は増加しました。当社売上高は、薬価引き下げの影響はあったものの出荷数量増に伴い増加しました。
内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは、前年同期に出荷が多かった反動に加え、保険償還価格改定の影響により、当社売上高は減少しました。
腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコアの医療機関納入本数は前年同期並みとなりましたが、当社売上高は出荷時期の影響により増加しました。
・海外医薬品(6,922百万円、前年同期比2.7%増)
米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンは、2022年7月に行われた保険償還制度変更の影響により、現地販売本数は減少しました。当社売上高は、円安により大幅に増加しました。
5回投与の関節機能改善剤スパルツFXは、少数回投与製品が選好される傾向により厳しい環境が継続していますが、現地販売本数は微増となりました。当社売上高は、円安効果があったものの出荷時期の影響により前年同期並みとなりました。
中国向けアルツは、新型コロナウイルス感染症の再拡大による外来受診制限等の影響で、現地販売本数は大幅に減少しました。当社売上高は、包装資材変更に伴い第1四半期の出荷が無かったことから、大幅に減少しました。なお、2022年8月から出荷を再開しています。
・医薬品原体・医薬品受託製造(2,178百万円、前年同期比11.5%増)
医薬品原体は前年同期並みとなりましたが、海外子会社ダルトン ケミカル ラボラトリーズ インクの医薬品受託製造等は円安により増加しました。
これらに加え、ロイヤリティー(1百万円、前年同期比100.0%減)の大幅な減少により、医薬品事業の売上高は17,953百万円(前年同期比16.2%減)となりました。
<LAL事業>
海外子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクの円安効果や国内販売の堅調な推移により、売上高は8,209百万円(前年同期比22.1%増)となりました。
②財政状態
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,391百万円増加の76,636百万円となりました。これは主に売掛金が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,034百万円減少の6,869百万円となりました。これは主に未払金が減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ3,426百万円増加の69,767百万円となりました。これは主に為替換算調整勘定の増加によるものです。
③会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(2) 経営の基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営の基本方針について重要な変更はありません。
(3) 目標とする経営指標
中期経営計画(2023年3月期~2026年3月期)の最終年度である2026年3月期の数値目標は、以下の通りです。
2022年3月期実績
2026年3月期目標
売 上 高
348億円
400億円
営業利益
44億円
70億円
≪前提条件≫
① 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の米国上市
② 国内関節機能改善剤の収益拡大
③ 海外医薬品及びLAL事業の拡大
④ 研究開発費は対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途
⑤ 為替レート:対米ドル135円
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
1. 当社グループの対処すべき課題
≪経営環境≫
医薬品産業を取り巻く経営環境は、国内薬価制度の抜本改革をはじめとした医療費抑制策の進展や、治療選択肢の多様化等に伴う企業間競争の激化に加え、新薬開発の難易度が高まるなか研究開発コストが増大するなど、極めて厳しい状況が継続しています。このように環境変化が激しい時代への柔軟な対応が必要となります。また、社会の持続的発展と企業価値向上に向け、サステナビリティ推進をはじめとした社会的責任を果たすことの重要性が高まり、それらへの対応が急務となっています。
≪直近の市場環境≫
当社の主力製品である関節機能改善剤の国内市場は、高齢者人口の増加があるものの、外用薬や内服薬の処方拡大に加え、薬価引き下げの影響等により、金額ベースでの市場が縮小しています。米国市場においては、投与回数の少ない製品が選好される傾向により、単回投与製品のポテンシャルが高まってはいるものの、価格公開に関する制度変更の影響により不透明な状況が継続しています。
<中期経営計画(2023年3月期~2026年3月期)の概要>
Ⅰ. 新中期経営計画策定の背景
当社は、2023年3月期からの4ヵ年を「成長を実現する期間」として定め、本中期経営計画を策定いたしました。前中期経営計画期間に強化した基盤のもと各重点施策を推し進めることで、持続的に成長軌道を描くための実力を養い、最終年度には過去最高の業績達成を目指します。
Ⅱ. 重点施策
当社が持続的に成長軌道を描くための実力を養うべく、次の5つの重点施策に取り組みます。
① 独自の創薬技術を活かした研究開発の加速
当社が保有するGAG※に関する基盤技術を応用展開することで、既存領域における新規開発テーマや新規疾患領域を含む革新的な研究テーマの創出に注力し、アンメットメディカルニーズを中心とした患者の方々が真に必要とする新薬の創製を目指します。また、これらの成功確度を高め、早期進捗を図るために各種アライアンスを推進します。同時に既存パイプラインを着実に進展させ、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の米国における承認取得及び上市、ドライアイ治療剤SI-614の米国第Ⅲ相臨床試験の終了、癒着防止材SI-449の国内承認取得及び米国での臨床試験開始を目指します。
※GAG:グリコサミノグリカン。複合糖質の構成成分のひとつ(ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等)。
② 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の製品価値最大化
腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の米国における承認取得及び上市を実現するために、カナダに設立したセイカガク ノース アメリカ コーポレーションを最大限に活用し迅速かつ確実な承認申請、審査対応を行います。また、販売提携先との密な連携のもと販売準備を進め、医療現場への早期浸透による製品価値の最大化を図ります。
③ 関節機能改善剤の事業価値維持・向上
主力である国内関節機能改善剤市場において当社製品のプレゼンスを強化し、経営を支える基盤製品としての事業性の維持・向上に努めます。国内医薬品は薬価引き下げの影響を大きく受けることから、原価構造の改善が不可欠であり、安定供給継続のためにも製品資材の仕様変更や製造工程の効率化等をさらに進めてまいります。また、関節機能改善剤ジョイクルの安全性情報等の収集及び提供を継続するとともに、臨床研究の結果をもとに適切な処方への貢献を目指してまいります。
④ グローバル生産体制の構築
海外子会社ダルトン ケミカル ラボラトリーズ インク(カナダ、トロント)と当社高萩工場(日本、茨城県)の2拠点化を図ることで、適切かつ効率的な製造体制のもと安定供給のさらなる強化を図ります。
⑤ 遺伝子組換え技術によるLAL事業の拡大
海外子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクとの連携のもと、遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬パイロスマート ネクストジェンを活用し信頼できる科学的データの蓄積や遺伝子組換え技術を活かした新たな診断薬の開発促進に取り組むとともに、関連企業との協働による測定機器やソフトウェアの開発・改良などを行うことで、新たな価値の創造を目指します。
また、上記の5つの重点施策を実行するうえで、社員エンゲージメントの向上や組織強化・人材育成は経営の基盤となる重要な要素となります。事業の中核である人材の育成や、成長を促進する環境を醸成するための投資を積極化させ、持続的な成長を実現するための基盤強化・改善を図っていきます。
Ⅲ. サステナビリティ
当社は、社会の持続的発展と企業価値向上に向けて、優先的に取り組むべき重要課題として6つのマテリアリティを特定しています。本中期経営計画の重点施策のベースとなるこれらのマテリアリティに引き続き注力し、医療関連事業の発展に加え、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを強化するとともに、サプライチェーンやステークホルダーの皆さまとの十分なコミュニケーションによる、社会的課題の解決を目指します。
(5) 研究開発活動
当社グループは、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献するために、専門分野とする糖質科学に特化して、
独創的な医薬品等の創製を目指しています。
今後の事業成長の鍵を握る新薬の早期かつ継続的な上市を実現するために、対象物質や重点疾患を絞り込んだ
効率的な活動を推進するとともに、独自の創薬技術の強化やオープンイノベーションの活用によりプロジェクト数の拡充を図っていきます。
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は5,355百万円、対売上高比率(ロイヤリティー除く)は20.5%となりました。
研究開発活動の主な進捗状況は、以下のとおりです。
・SI-614(ドライアイ治療剤、開発地域:米国)
2022年5月より実施している第Ⅲ相臨床試験の被験者組み入れが、2023年2月に完了しました。本試験は有効性と安全性の評価を目的としています。現在実施している試験のデータ取得後に販売提携先の選定、2つ目の第Ⅲ相臨床試験及び長期投与試験の実施を予定しています。
SI-614は、当社独自の技術を活用してヒアルロン酸に疎水基を導入した両親媒性高分子の物質であり、同剤を点眼することで涙液層安定化作用と創傷角膜治癒促進作用によりドライアイの諸症状を改善することが期待されます。SI-614の開発を通じ、ドライアイ治療の新たな選択肢を提供することを目指します。
その他の研究開発活動については、重要な変更はありません。
