【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、世界的な地政学的リスクの高まりやインフレの拡大により景気の下振れリスクを抱えながらも、これまでの行動制限や水際対策の緩和により、社会経済活動の正常化が進むことで、持ち直しの兆しが見られました。しかしながら、原材料価格やエネルギーコストの高騰に解消の目途は立っておらず、先行き不透明感を払拭できていません。
食品業界においては、こうした環境変化が収益の下押し圧力となり、引き続き、厳しいかじ取りを強いられています。
当グループは、中期経営計画において、食品業界を取り巻く環境変化を踏まえ、“美味しく からだに良いものを選び、食べ、楽しむ、健やかなライフスタイルへの貢献”を示す“Better For You”の観点からお客様価値を提供し、長期ビジョン「グローバル・フード・カンパニー」の実現を通じて持続的な成長と企業価値向上に向けた取り組みを進めています。2030年度には“あられ、おせんべいの製菓業”から“Better For Youの食品業”へと進化することを目指しています。
2023年度までの中期経営計画期間において、国内米菓事業、海外事業、食品事業の3本柱でしっかりと立ち、特長あるグローバル企業としてビジョンの実現を目指すとともに、新型コロナウイルス感染症を契機としたお客様の行動様式の変化など、環境変化に対して中長期視点で構造改革を実行し、持続的な成長と企業価値の向上をより確かなものとするために取り組んでいます。
2022年度は、環境変化への迅速な対応と構造的な課題解決への取り組みを通じて、筋肉質な経営基盤の構築に取り組んでいます。また、お客様目線で“Better For You”を実現する新価値商品による需要創造で、持続可能なグループの成長を目指しています。
国内米菓事業については、操業を停止していた同業他社が販売を順次再開する等、米菓市場の供給不足は緩和しつつあります。当社においても、業界トップメーカーとして市場への供給不足を解消する緊急対応から、消費者の需要を喚起し、市場の安定成長を実現する施策へと舵を切っています。「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」は季節品の発売、キャンペーンを再開するとともに、「つまみ種」「無限エビ」を第3・第4の柱にするべく育成強化に取り組んでいます。また、販売面では販売促進費用の重点投下や、オペレーションにおけるデジタル化推進により、営業活動の効率化に取り組んでいます。
これらの取り組みの結果、主力ブランドの売上高は「亀田の柿の種」「ハッピーターン」「つまみ種」「亀田のまがりせんべい」「ぽたぽた焼」「うす焼」「技のこだ割り」「ソフトサラダ」「手塩屋」「無限エビ」「海苔ピーパック」「こつぶっこ」が前年同四半期を上回りました。
海外事業については、北米のMary’s Gone Crackers, Inc.は商品ラインアップの拡充効果、タイのSingha Kameda (Thailand) Co., Ltd.およびカンボジアのLYLY KAMEDA CO., LTD.はクロスボーダー取引の拡大により売上が拡大し、さらには前年に連結子会社化したベトナムのTHIEN HA KAMEDA, JSC.の売上が寄与し、売上高は前年同四半期を上回りました。
食品事業については、防災意識の高まりを背景とした長期保存食の安定的な需要に加え、個人を中心にネット通販での需要が底堅く推移するとともに、自治体、企業による備蓄品の買い替え需要の高まりも相まって強い引き合いが続いています。また、株式会社タイナイのアレルゲン28品目不使用の米粉パンへの関心は、輸入小麦の価格高騰を受けてより一層高まっており、その期待に応えるべく、グループ内における生産機能の移転集約化や生産能力の増強にも取り組んでいます。植物性乳酸菌についても、他社との差別化を図り事業拡大に取り組んでおり、海外展開の本格化に向けてKerry社(アイルランド)とライセンス契約を締結する等、次の一手も講じています。これらの結果、売上高は前年同四半期を上回りました。
以上の結果、全社の売上高は71,840百万円(前年同四半期比14.9%増)となりました。
営業利益については、単体米菓事業の需要は底堅く推移していることから増産対応を継続するとともに商品の絞り込みや外部生産委託の活用も図ることで、生産性改善を図っています。一方で、原材料価格やエネルギーコストの高騰が当初の想定を大きく上回ったことから、減益となりました。百貨店向けや土産物を主たる事業とするグループ会社については、行動制限の緩和による市場回復効果もあって増益を確保しましたが、単体米菓事業の減益により、国内米菓事業全体では減益となりました。
海外事業については、グループ各社で原材料費や輸送費の高騰に対して調達の見直しや生産効率改善に取り組んでいます。Mary’s Gone Crackers, Inc.ではオーガニック原材料の価格上昇、調達難、米国における人件費の上昇、工場の人員不足が顕在化し減益となりました。一方で、Singha Kameda (Thailand) Co., Ltd.およびLYLY KAMEDA CO., LTD.の安定した事業運営、THIEN HA KAMEDA, JSC.の連結子会社化により営業損失は前年同四半期から縮小しました。
食品事業については、長期保存食において個人を中心としたネット通販に加え、自治体、企業備蓄など幅広い需要を捉えた結果、増益となりました。
これらの結果を踏まえ、全社の営業利益は3,130百万円(前年同四半期比6.0%増)となりました。
また、持分法適用関連会社であるTH FOODS, INC.の持分法による投資利益の増加に加え、急激な円安に伴う一時的な為替差益が発生した結果、経常利益は4,326百万円(前年同四半期比18.1%増)、2023年1月23日に公表したMary’s Gone Crackers, Inc.における減損損失計上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,596百万円(前年同四半期比48.0%減)となりました。
(2) 財政状態
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は34,192百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,809百万円増加いたしました。これは主に「現金及び預金」が2,197百万円、「受取手形、売掛金及び契約資産」が2,061百万円、「商品及び製品」が839百万円、「原材料及び貯蔵品」が1,007百万円、「その他」が675百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は80,168百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,130百万円増加いたしました。これは主に「建物及び構築物」が648百万円、有形固定資産の「その他」が2,298百万円、「投資有価証券」が1,079百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、114,360百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,939百万円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は35,911百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,808百万円増加いたしました。これは主に「支払手形及び買掛金」が1,108百万円、「電子記録債務」が971百万円、「短期借入金」が4,619百万円、「その他」が1,791百万円それぞれ増加した一方、「引当金」が639百万円減少したことによるものであります。固定負債は9,208百万円となり、前連結会計年度末に比べ63百万円減少いたしました。これは主に「長期借入金」が1,148百万円減少した一方、「その他」が1,064百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、45,119百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,744百万円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は69,241百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,194百万円増加いたしました。これは主に「親会社株主に帰属する四半期純利益」1,596百万円及び「剰余金の配当」1,138百万円により「利益剰余金」が458百万円増加したことや、「為替換算調整勘定」が2,234百万円、「非支配株主持分」が661百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は57.7%(前連結会計年度末は61.3%)となりました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、825百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。