【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の概況
当第1四半期連結会計期間において、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおり、遡及処理等を行っており、遡及適用後の数値で前四半期連結累計期間および前連結会計年度との比較を行っている。
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウィルス感染症に関する行動制限が緩和され正常化が進む一方で、世界的なインフレ進行や長期化するウクライナ情勢によるエネルギーコスト及び原材料コストの高騰、供給面の制約等は続き、地域により消費持ち直しに足踏みが見られた。堅調に推移してきた半導体業界についても調整の範囲に拡がりが見られた。国内経済においては、個人消費および企業の設備投資に緩やかな持ち直しの動きが見られ、総じて緩やかに持ち直した。
当第1四半期連結累計期間の連結営業成績については、売上高は、ケミカルセグメントにおいて石油化学事業は4年に一度の大型定修を実施した前年同四半期連結累計期間に比べ数量増、グラファイト事業も数量増となり、セグメント全体として増収となった。半導体・電子材料セグメントは半導体関連業界の調整により大幅な減収、モビリティ、イノベーション材料の2セグメントも減収となった。総じて減収となる2,989億19百万円(前年同四半期連結累計期間比2.9%減)となった。営業損益は、ケミカルセグメントは(数量効果で)増益となったが、半導体・電子材料セグメントは大幅な減益となり、モビリティ、イノベーション材料の2セグメントも主に数量減により減益となり、総じて92億8百万円(同249億79百万円減)の損失となった。営業外損益では為替差益の減少や金融費用の増加があり、経常損益は109億9百万円(同312億33百万円減)の損失となった。
親会社株主に帰属する四半期純損益は、主に法人税等の支払の減少により、122億63百万円(同211億25百万円減)の損失となった。
(2)セグメントの状況
(半導体・電子材料)
当セグメントでは、半導体前工程材料および半導体後工程材料は、前年後半からの半導体市場の低迷により減収
となった。デバイスソリューションは、SiCエピタキシャルウェハーが増収となったものの、HDメディアが前年第4四半期からのデータセンター向け需要低迷が継続したことにより、大幅減収となった。
この結果、当セグメントの売上高は前年同四半期連結累計期間比で大幅減収となった。営業損益は、HDメディアの棚卸資産において、低価法による簿価切り下げや廃棄損を計上したこともあり、営業損失となった。
(単位:百万円)
2022年
第1四半期
2023年
第1四半期
増減
増減率
売上高
107,344
69,389
△37,955
△35.4%
営業利益
13,176
△10,372
△23,547
-
(モビリティ)
当セグメントでは、自動車部品は、前年7-9月期のISOLITE GmbH事業譲渡の影響により減収となった。リチウムイオン電池材料は、民生需要減速の影響を受けて減収となった。
この結果、当セグメントは前年同四半期連結累計期間比で減収減益となった。
(単位:百万円)
2022年
第1四半期
2023年
第1四半期
増減
増減率
売上高
44,379
42,517
△1,862
△4.2%
営業利益
470
△513
△982
-
(イノベーション材料)
当セグメントでは、原材料価格高騰に伴う製品販売価格は上昇したものの、数量減により売上高は前年同四半期連結累計期間比で減収となった。営業利益は価格転嫁のタイムラグ要因も加わり減益となった。
(単位:百万円)
2022年
第1四半期
2023年
第1四半期
増減
増減率
売上高
34,304
29,997
△4,307
△12.6%
営業利益
2,912
2,032
△880
△30.2%
(ケミカル)
当セグメントでは、石油化学はナフサ価格上昇による販売単価上昇に加え、前年は4年に一度の大型定修・地震による停止があったため、前年同四半期連結累計期間比では大幅な増収増益となった。化学品は、原燃料価格上昇に対応した価格転嫁が進み、前年同四半期連結累計期間比で増収増益となった。黒鉛電極は原価上昇にキャッチアップした値上げにより前年同四半期連結累計期間比で増収となるも、受払差のマイナス影響により減益となった。
この結果、当セグメントは前年同四半期連結累計期間比で増収増益となった。
(単位:百万円)
2022年
第1四半期
2023年
第1四半期
増減
増減率
売上高
95,068
127,097
32,028
33.7%増
営業利益
2,249
3,902
1,653
73.5%増
(3)財政状態の概況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金、営業債権等が減少し、前連結会計年度末比674億19百万円減少の2兆263億25百万円となった。負債合計は営業債務や有利子負債(借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及びリース債務)が減少し、前連結会計年度末比486億65百万円減少の1兆4,703億61百万円となった。純資産は、為替換算調整勘定等の増加はあったものの、前期配当金の支払いにより利益剰余金が減少し、前連結会計年度末比187億54百万円減少の5,559億64百万円となった。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(当社グループの対処すべき課題)
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はない。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、102億76百万円である。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。
(6)従業員数
① 連結会社の状況
当第1四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数の著しい増減はない。
② 提出会社の状況
当第1四半期累計期間において、当社の従業員数は前事業年度末から2,970名減少し、352名となっている。
主な要因は、当社を分割会社とし、昭和電工マテリアルズ㈱(現㈱レゾナック)を分割承継会社として同社に当社の全事業(グループ経営管理および黒鉛電極事業を除く)を承継させる吸収分割を行ったためである。