【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の概況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウィルス感染症に関して行動制限が緩和し正常化が進む一方で、世界的なインフレ進行や長期化するウクライナ情勢によるエネルギーコスト及び原材料コストの高騰、供給面の制約発生、地域により消費の持ち直しに対する足踏みが見られた。堅調に推移していた半導体業界についても、一部調整の動きが見え始めている。国内経済においては、個人消費及び企業の設備投資や生産に緩やかな持ち直しの動きが見られ、総じて改善した。
当第3四半期連結累計期間の連結営業成績については、売上高は、半導体・電子材料セグメントは半導体関連業界の回復により堅調に推移、モビリティ、イノベーション材料、ケミカルの3セグメントも市況上昇等により増収となったが、前連結会計年度に実施した事業売却の影響で約1,400億円の減収となり、総じて減収となる1兆341億52百万円(前年同四半期連結累計期間比1.7%減)となった。なお、売却した事業のうち、蓄電デバイス・システム、アルミ缶、アルミ圧延品と、持分減少で連結除外となった昭光通商㈱の前期の数値はその他セグメントに含まれる。営業利益は、半導体・電子材料セグメントは増益となったが、モビリティ、イノベーション材料、ケミカルの3セグメントは原材料価格高騰と販売価格転嫁のタイムラグ影響に伴い減益となり、加えて、売上高同様に事業売却の影響もあり、総じて減益となる535億36百万円(同183億90百万円減)となった。営業外損益は主に為替差益により収益増となり、経常利益は641億25百万円(同91億64百万円減)となった。
当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間に計上した蓄電デバイス・システム事業の譲渡に係る事業構造改善費用等の特別損失の計上がなく、354億51百万円(同457億81百万円増)となった。
(2)セグメントの状況
(半導体・電子材料)
当セグメントでは、前年第4四半期連結会計期間のプリント配線板事業譲渡の影響を受け、また足元では半導体生産に調整の動きが見られるものの、年初からの旺盛な半導体需要を背景に半導体前工程材料、半導体後工程材料ともに増収、デバイスソリューションは主にデータセンター向けのHDメディアの数量増により増収となり、総じて増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は3,323億22百万円(前年同四半期連結累計期間比7.1%増)となり、営業利益は原材料価格高騰の影響を受けたものの、売上高の増加により、398億23百万円(同15.1%増)となった。
(モビリティ)
当セグメントでは、足元で自動車生産の回復が進み、自動車部品は一部顧客の需要増もあって増収となった。リチウムイオン電池材料は民生需要減速の影響を受けて減収となったが、総じて増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は1,348億91百万円(前年同四半期連結累計期間比2.6%増)となったが、営業損益は原材料価格高騰の影響もあり、18億円(同24億85百万円減)の損失となった。
(イノベーション材料)
当セグメントでは、原材料価格高騰に伴う製品価格上昇もあり売上高は前年同四半期連結累計期間比で小幅に増加した。
この結果、当セグメントの売上高は1,055億72百万円(前年同四半期連結累計期間比1.4%増)となったが、営業利益は価格転嫁のタイムラグ等により、74億61百万円(同35.7%減)となった。
(ケミカル)
当セグメントでは、石油化学は4年に一度の大型定修はあったものの、ナフサ価格高騰による販売価格の上昇により売上高は前年同四半期連結累計期間比で増加した。営業利益は大型定修による販売数量減少やスプレッド縮小により減少した。化学品は原燃料価格高騰の影響を受けた販売価格上昇により売上高は増加したものの、営業利益は価格転嫁タイムラグにより減少した。黒鉛電極は主に販売価格上昇により、売上高、営業利益ともに増加した。
この結果、当セグメント全体としては増収減益となり、売上高は3,769億76百万円(前年同四半期連結累計期間比23.8%増)、営業利益は193億21百万円(同37.5%減)となった。
(3)財政状態の概況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金、のれん等無形固定資産は減少したものの、棚卸資産、有形固定資産は増加し、前連結会計年度末比570億67百万円増加の2兆1,994億57百万円となった。負債合計は、子会社が発行していた優先株式を取得するため劣後ローンによる資金調達を行った結果、有利子負債が増加し、前連結会計年度末比2,657億69百万円増加の1兆5,897億6百万円となった。純資産は、為替換算調整勘定等の増加はあったが、金融機関保有の優先株式を当社が取得したことにより非支配株主持分が減少したため、前連結会計年度末比2,087億1百万円減少の6,097億51百万円となった。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(当社グループの対処すべき課題)
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はない。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、348億36百万円である。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。