【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、次のとおりであります。
① 事業全体の状況
当社グループは、2022年度より、長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」および「中期経営計画2024」をスタートさせ、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤の確立に取り組みました。
「日・米・欧のコア事業の強化、領域拡大」では、原材料高騰に対応した価格転嫁を進めるとともに、将来の事業拡大に向けた体制の強化などコア事業およびサービス事業の拡大に取り組み、2023年1月には米国で自動ドアの販売、施工、修理サービスを専門とするDoor Control, Inc. および Door Concepts, Inc.を買収しました。「アジア事業の成長力強化」では、中国ドア事業にて三和NF常熟での生産能力拡大、2022年8月に買収した香港・マカオを中心に産業用ドア製品の製造販売を手掛けるAUB社とのシナジー創出に取り組みました。「防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進」では、利便性の向上・省スペース化に加え断熱性能を格段に向上させたRe-Carboシリーズ「高断熱OSD」、IoTに対応可能な既設手動窓シャッター電動化システム「マドモアチェンジSY」、ガレージ用スマートフォン操作システム「RemoSma」をリリースする等、製品の防災・環境対応とスマート化に努めました。「デジタル化とものづくり革新」では、各地域でのERP導入および運用強化、フィールドサービスマネジメントシステムの導入などデジタル化投資を進めるとともに、日本は遮音試験棟の新設、欧州はドックレベラー工場の生産能力拡大や生産設備の自動化投資を行いました。「サステナビリティ経営の推進」では、ESGマテリアリティに紐づいた各KPIを設定し、気候変動対応商品の拡大やCO2排出量、水使用量などの削減を通じて持続可能な社会の実現に向け取り組みました。
2022年度実績
(百万円)
2021年度実績
(百万円)
対前年増減額
(百万円)
対前年増減額
(%)
売上高
588,159
468,956
119,202
25.4
営業利益
56,307
35,487
20,819
58.7
経常利益
52,780
34,122
18,658
54.7
親会社株主に帰属する当期純利益
33,084
22,842
10,241
44.8
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は次のとおりであります。
2022年度実績
(百万円)
2021年度実績
(百万円)
対前年増減額
(百万円)
対前年増減額
(%)
売上高
588,159
468,956
119,202
25.4%
日本
252,877
236,375
16,502
7.0%
北米
218,968
139,106
79,862
57.4%
欧州
105,394
85,763
19,631
22.9%
アジア
10,855
7,649
3,205
41.9%
調整額
63
62
1
1.9%
営業利益
(セグメント利益)
56,307
35,487
20,819
58.7%
日本
25,023
24,653
369
1.5%
北米
29,049
8,378
20,671
246.7%
欧州
4,268
3,935
333
8.5%
アジア
258
119
138
115.7%
調整額
△2,292
△1,600
△692
(-)
(日本)
シャッターやドア等の基幹商品およびメンテ・サービスが堅調に推移し、鋼材価格や各種部材等の価格上昇分の売価転嫁に注力したことにより、売上高は、前連結会計年度に比べ7.0%増の252,877百万円、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ1.5%増の25,023百万円のセグメント利益となりました。
(北米)
サプライチェーン問題の改善による数量増と原材料価格上昇分の売価転嫁が広く浸透したことにより、売上高は、前連結会計年度に比べ57.4%増の218,968百万円(外貨ベースでは31.5%増)、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ246.7%増の29,049百万円のセグメント利益となりました。
(欧州)
市況の悪化により厳しい受注環境となりましたが、原材料価格やエネルギーコスト上昇分の売価転嫁と数量増により、売上高は、前連結会計年度に比べ22.9%増の105,394百万円(外貨ベースでは15.6%増)、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ8.5%増の4,268百万円のセグメント利益となりました。
(アジア)
上海でのロックダウンがあったものの、香港や台湾が順調に推移し、売上高は、前連結会計年度に比べ41.9%増の10,855百万円、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ115.7%増の258百万円のセグメント利益となりました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社の目標とする経営指標の達成状況は以下のとおりであります。
2022年度実績
2021年度実績
2022年度修正予想
売上高
5,881億円
4,689億円
5,750億円
営業利益
563億円
354億円
540億円
営業利益率
9.6%
7.6%
9.4%
SVA
269億円
148億円
-
ROIC
20.9%
15.9%
-
ROE
15.0%
12.0%
-
自己資本比率
54.4%
52.2%
-
D/Eレシオ
0.20
0.23
-
当社グループは、2001年度から業績評価指標としてSVA(Sanwa Value Added)を採用し、資本コストや資本効率を意識して取り組んでいます。2022年度のSVAは前年を超過し269億円となりました。また、売上高、営業利益及び営業利益率は2022年度修正予想を達成しており、着実に企業価値を積み上げているものと考えています。
生産、受注及び販売実績は以下のとおりであります。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
日本
200,612
109.6
北米
149,636
134.7
欧州
77,030
127.4
アジア
9,364
145.6
合計
436,644
120.9
(注)上記の金額は、製造原価によっており、相殺消去前の金額であります。
b.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
日本
258,730
105.6
109,199
106.5
北米
192,987
105.4
34,636
60.2
欧州
103,518
110.5
24,442
100.2
アジア
8,623
73.6
11,894
89.8
合計
563,860
105.7
180,173
91.1
(注)上記の金額は、相殺消去後の金額であります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメント等の名称
金額(百万円)
前期比(%)
日本
252,877
107.0
北米
218,968
157.4
欧州
105,394
122.9
アジア
10,855
141.9
報告セグメント計
588,095
125.4
調整額
63
101.9
合計
588,159
125.4
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
a.資本政策の基本的な方針
当社グループの資本政策につきましては、財務の安定性を確保した上で資本効率の向上を図ることが重要であり、そのバランスをとりながら、最適な投資・株主還元等を実施し、中長期的に企業価値を高めていくことを基本方針としています。
<当面の資本政策・財務方針>
当社の長期ビジョンである「三和グローバルビジョン2030」および「中期経営計画2024」を実現するために、戦略的な成長投資を最優先に資本政策等を進めてまいります。
1.資本・負債構成
(1)自己資本比率は、40%以上を維持する方針で取組みます。
(2)負債については、財務の健全性を損なわない負債構成に努めてまいります。
2.投資
(1)設備投資:既存事業の維持・継続に必要な設備投資は、原則減価償却費の範囲内で実施します。
(2)M&A、事業提携等の投資:コア事業並びに将来的にコア事業への成長が期待できる関連分野への投資を優先的に検討いたします。
3.株主還元
(1)配当性向は連結当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)の40%を目安として安定的な配当を図ることを目指しております。
(2)上記記載の「投資」を優先し、投資による大きなキャッシュアウトがなければ自己株式の取得を検討いたします。
(3)「中期経営計画2024」においては、株主総還元(配当と自社株式取得の合計)として540億円を目安としております。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、主に売上債権や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ56,037百万円増加し442,274百万円となりました。負債は、主に仕入債務やリース債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ16,998百万円増加し199,923百万円となりました。純資産は、主に利益剰余金と為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ39,038百万円増加し242,350百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.2ポイント増加し54.4%となりました。
c.当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ9,755百万円増加し71,153百万円となりました。当連結会計年度における区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上等により34,425百万円の資金増加(前連結会計年度は20,526百万円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得により15,941百万円の資金減少(前連結会計年度は21,353百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払等により9,887百万円の資金減少(前連結会計年度は27,363百万円の資金減少)となりました。
② 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値、偶発債務の開示、各連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき行っており、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、詳細につきましては、重要性がないものと判断した事項を除き「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。