【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
業績等の概要
(1)業績
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたものの、行動制限の緩和などウィズコロナのもとで社会経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方で、原材料及びエネルギー価格の高騰によるコストプッシュインフレを背景とした物価上昇が個人消費に影響を与えるなど、未だ先行きは不透明な状況が続いております。
化粧品・日用品、一般用医薬品業界においては、感染状況の落ち着きとともにコロナ関連需要は縮小しつつある一方で、外出機会の増加に伴って、メイクアップや洗顔などの化粧品、ドリンク剤や胃腸薬などの医薬品が好調に推移いたしました。また、前年に比べ気温が高く推移したこともあり、制汗剤や殺虫剤、花粉関連商材などの春夏季節品も好調に推移いたしました。
このような状況のなか、当社は当事業年度で2年目となる中期経営計画のもと、お取引先様との連携・協働による「売れる仕組みの強化」や、差し迫る物流の2024年問題やホワイト物流への対応を視野に入れた「配送改善」、組織的に強化した全ての取り組みを支える「デジタルの活用」、中長期の成長を担う「人財の積極採用」など、サプライチェーン全体の最適化・効率化に向けた取り組みを進めました。
売上高については、小売業様の幅広いニーズに対応できるリテールソリューション機能の充実と、連携・協働による同機能の積極的な活用に注力いたしました。なかでも、店頭活性化による売上拡大及びインストアシェア拡大を図りました。具体的には、店頭の活きた情報や業界最大の流通情報を活用した需要変動への迅速な対応や、これまでのメーカー様には取り扱いがなかった商品を含め、市場環境の変化を先読みした新たな品揃え提案に努めました。
販管費については、中長期の成長に向けた人財の確保を進めるなか、電気代高騰などの影響を受けましたが、庫内作業の生産性向上に継続して取り組むとともに、配送費上昇とホワイト物流への対応を同時に実現する配送改善などに努めました。
なお、営業利益については、最大市場である関東エリアの出荷規模拡大及び生産性向上を目的とする栃木物流センターの新設に伴う一過性の費用等が発生し、14億円の引き下げ要因となりました。
これらの結果、当事業年度の業績は、売上高1兆1,041億52百万円(前期比5.6%増)、営業利益244億72百万円(前期比5.6%減)、経常利益274億40百万円(前期比4.2%減)、当期純利益192億51百万円(前期比2.0%減)となりました。
なお、当社のセグメント報告は、単一セグメントのためセグメント別の記載を省略しております。
(2)キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前事業年度末より53億22百万円増加し、459億93百万円となりました。
当事業年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は165億94百万円(前期比53億55百万円の減少)となりました。これは主に、税引前当期純利益278億46百万円、減価償却費57億50百万円、売上債権の増加額107億61百万円、棚卸資産の増加額32億87百万円、仕入債務の増加額62億81百万円、法人税等の支払額83億88百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は60億93百万円(前期比40億76百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出55億50百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は51億77百万円(前期比35億53百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額50億27百万円によるものであります。
生産、受注及び販売の実績
当社は、卸売事業を営んでいるため生産、受注の実績はありません。このため、販売実績について記載しております。なお、当社は卸売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1)販売方法
当社は化粧品・日用品、一般用医薬品等の卸売業であり、メーカー及び商社から仕入れた商品を量販店、小売店及び卸売業者等へ販売しております。
(2)販売実績
当事業年度の販売実績につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (収益認識関係) (1)顧客との契約から生じる収益を分解した情報」を参照ください。
なお、最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社マツキヨココカラ&カンパニー
108,102
10.3
126,912
11.5
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。
財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っており、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積り及び判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社は、保有する固定資産のうち、営業活動から生じる損益が継続してマイナスである資産及び今後使用が見込まれない資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画の変更や市場環境の悪化などにより、その見積りや前提とした仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(2)当事業年度の経営成績の分析
「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」を参照ください。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3.事業等のリスク」を参照ください。
(4)経営戦略の現状と見通し
「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」を参照ください。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財務方針
当社は、常に事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財務体質を目指し、安定的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めております。
当事業年度末現在において、当社の流動性は十分な水準にあり、財務の柔軟性は高いと考えております。
今後の設備の新設等に関わる投資予定金額、資金調達方法については、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」を参照ください。
② 資産、負債及び純資産
当事業年度末の総資産は、4,769億36百万円(前期比6.3%増)となりました。その内訳は主に、現金及び預金459億93百万円、売掛金2,017億83百万円、商品及び製品512億73百万円、未収入金153億59百万円、固定資産1,491億47百万円であります。
負債につきましては、2,172億35百万円(前期比5.9%増)となりました。その内訳は主に、買掛金1,583億89百万円、未払金241億38百万円であります。
純資産につきましては、2,597億円(前期比6.5%増)となりました。その内訳は主に、資本金158億69百万円、資本剰余金278億27百万円、利益剰余金2,085億1百万円であります。
③ キャッシュ・フロー
当事業年度の資金の状況として、営業活動の結果得られた資金は165億94百万円(前期比53億55百万円の減少)となりました。これは主に、税引前当期純利益278億46百万円、減価償却費57億50百万円、売上債権の増加額107億61百万円、棚卸資産の増加額32億87百万円、仕入債務の増加額62億81百万円、法人税等の支払額83億88百万円によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は60億93百万円(前期比40億76百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出55億50百万円によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は51億77百万円(前期比35億53百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額50億27百万円によるものであります。
以上の結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、459億93百万円となりました。
当社の現在のキャッシュ・フローの状況において、営業活動による資金の創出、金融機関からの円滑な資金の借入及び適正な手元資金の保有が図られており、財務方針に基づく流動性及び財務の柔軟性は確保できていると考えております。
(6)経営者の問題意識と今後の方針について
「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照ください。