【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン普及や行動制限の緩和などにより社会経済活動の正常化が進むものの、原油や天然ガス、鋼材、半導体などの原材料価格の高騰や輸送コストの上昇、ウクライナ情勢の長期化をはじめとする地政学的リスクの高まりに加え、為替相場の急速な変動など、世界経済の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
このような環境の下、当社グループでは企業価値である「Smiles for the Public ――人々が笑顔になれる社会をつくる――」の実現に向け、2030年を見据えた経営ビジョンとして、「Dr.Sound -社会の音を良くするプロフェッショナル集団-になる」を掲げております。お客さまに選ばれる良い音体験の継続的提供を通じ、社会課題の特定、解決、改善の一連のサイクルをお客さまと共に実現してゆく頼れるパートナーとして、人々の安心・信頼・感動の価値実現を目指しております。
具体的には、お客さまと多様な接点で価値提供を実現する「つながるビジネス」の確立に向け、機器異常への早期対応と設備の一元管理で放送の安定稼働をサポートする「リモートメンテナンスサービス」の提供に加え、ネットワーク上のさまざまなシステムと連携し、IoTセンサーやAIによるセンシングと連携した自動放送を行うことができる「IPオーディオシリーズ」を拡充し発売しました。また、新たな価値の提供に向け、大型商業施設において「音」によるアプローチでお客さま一人ひとりの五感に働きかける音響改善や空間演出の取組みを行っています。さらに、地方公共団体や異業種との連携を深め、音や映像を用いた実証実験を通じて、地域の活性化や安心安全なまちづくりの推進など、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
また、世界5地域でのマーケティング活動の効率化に向け、情報システム基盤の導入・稼働を展開し、それぞれの市場環境に応じてユーザーの満足度をより高いレベルで実現させる取り組みを進めてまいりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は31,554百万円(前年同四半期比+2,426百万円、8.3%増)となりました。利益については、原材料価格の高騰や輸送コストなどの営業費用の増加により、営業利益は612百万円(前年同四半期比△536百万円、46.7%減)、経常利益は867百万円(前年同四半期比△427百万円、33.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は土地の売却益もあり880百万円(前年同四半期比+76百万円9.5%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(日本)
売上高は18,070百万円(前年同四半期比△94百万円、0.5%減)、セグメント利益(営業利益)は3,027百万円(前年同四半期比△459百万円、13.2%減)となりました。
鉄道車両向けや倉庫・物流センター向けの売上は伸長しましたが、空港施設向けや減災・防災市場向けの売上が減少し、セグメント全体での売上高は減少しました。
売上高の減少に加え、原材料価格の高騰や輸送コストなどの営業費用の増加もあり、セグメント利益は減少しました。
(アジア・パシフィック)
売上高は6,157百万円(前年同四半期比+1,657百万円、36.8%増)、セグメント利益(営業利益)は1,088百万円(前年同四半期比+357百万円、48.8%増)となりました。
インドネシアを中心としたイスラム圏においては、ラマダン需要の取り込みなどにより宗教市場向けの販売が伸長しました。また、マレーシアでは商業施設、ベトナムでは官公庁向けの納入が進んだことにより、セグメント全体の売上高は増加し、セグメント利益は増加しました。
(欧州・中東・アフリカ)
売上高は3,961百万円(前年同四半期比+615百万円、18.4%増)、セグメント利益(営業利益)は371百万円(前年同四半期比△105百万円、22.1%減)となりました。
イギリスでは複合オフィスビル、南アフリカでは工場への納入が進み、サウジアラビアで宗教施設への納入が進むなど中東での販売も堅調に推移したことにより、セグメント全体の売上高は増加しました。
売上高は増加しましたが、営業費用の増加により、セグメント利益は減少しました。
(アメリカ)
売上高は1,834百万円(前年同四半期比+182百万円、11.1%増)、セグメント利益(営業利益)は68百万円(前年同四半期比△88百万円、56.5%減)となりました。
アメリカではコンテナ不足などの影響による商品供給遅延により販売が減少し、カナダでは教育市場向け販売の減少などがありましたが、為替の影響もあり、セグメント全体の売上高は増加しました。
売上高は増加しましたが、営業費用の増加により、セグメント利益は減少しました。
(中国・東アジア)
売上高は1,530百万円(前年同四半期比+65百万円、4.4%増)、セグメント利益(営業利益)は126百万円(前年同四半期比△66百万円、34.5%減)となりました。
中国では新型コロナウイルス感染症の再拡大によるロックダウンの影響により売上は減少しましたが、台湾では大型スポーツ施設や半導体を中心とした工場向けの納入が進んだことなどにより売上は増加しました。為替の影響もあり、セグメント全体の売上高は増加しました。
売上高は増加しましたが、営業費用の増加により、セグメント利益は減少しました。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は63,228百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,540百万円の増加となりました。資産の部は、現金及び預金の減少などありましたが、棚卸資産の増加などにより増加しました。負債及び純資産の部は、為替換算調整勘定の増加などにより増加しました。
(2)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,124百万円であります。
なお、これらの研究開発活動は全報告セグメントを対象とするものであり、当第3四半期連結累計期間における、主な成果は以下のとおりです。
・2021年度グッドデザイン賞を受賞した「パーティション取付型 会話補助システム」の新モデル「smoowa(スムーワ)」を発売しました。
「パーティション取付型 会話補助システム」は、感染症対策などで設置されたパーティション越しの会話を聴き取りやすくサポートする音響システムです。マイクとスピーカーを搭載した子機で双方向の話者の声を検知し、必要な範囲に、適切なボリュームで会話を補助します。
今回発売しました新モデルの「smoowa」は、旧モデルの特長であったコンパクトなサイズやデザインはそのままに、双方向同時通話機能の実装や音声信号処理機能の強化により、途切れが無く聴き取りやすい会話を実現します。また子機の増設やヘッドセットマイクの接続にも対応したことで、幅広いシーンでご利用いただけます。
・大型複合施設において、より安全な避難誘導を可能にするラック型非常用放送設備「FS-A2500シリーズ」を業界に先駆けて発売しました。
「FS-A2500シリーズ」は、従来の非常用放送設備の機能に加え、「段階鳴動機能」、「多元非常放送機能」を搭載しました。これにより、特に消防庁が「超大規模防火対象物等」と分類する大型複合施設や超高層ビルなどでの火災発生時に、在館者へ必要なタイミングでとるべき避難行動や、安全な避難経路を自動放送で伝えることが可能です。
従来の非常放送では、対象エリアへの放送から一定時間の経過後は全館一斉放送が流れて大勢が一斉に避難を開始するため、避難経路で渋滞し避難完了まで時間がかかってしまうという二次災害のリスクがあり、建物が大きくなるほどそのリスクは高まります。今回搭載した「段階鳴動機能」では、危険度に応じて火災放送エリアを最大3段階まで段階的に拡げていくことで、一斉避難による混雑を防ぎ、適切なタイミングでの避難誘導を可能にします。また従来は火災発生時に、対象エリア以外では業務放送が停止し無音となりますが、「段階鳴動機能」により危険度の低いエリアは業務放送を継続することが可能で、突然放送が停止することによる混乱を防止できます。
また、従来の非常放送は出火している階の情報を報せるのみでしたが、「多元非常放送機能」により、避難経路情報などを含んだメッセージの放送が可能です。これにより最大105エリアに異なるメッセージを放送でき、エリアごとに安全な経路の使用を促すことができます。
この「FS-A2500シリーズ」によって、必要な情報を必要な人に、適切なタイミングで伝えることができる、大規模かつ複雑化した建築物に最適な避難誘導放送を実現します。
・機器異常への早期対応と設備の一元管理で放送の安定稼働をサポートする保守サービス「リモートメンテナンスサービス」の提供を開始しました。
今回提供を開始した「リモートメンテナンスサービス」では、メンテナンスユニットを放送システムに組み込むことで、システム内の機器の稼働状態がPCソフトウェア上で一目で把握でき、さらにWEBサービスにより遠隔で機器の状態把握やメールでの異常通知取得が可能です。
機器異常が発生した際に、従来であれば現地での原因の切り分け、再訪問などにより放送停止期間が長期化する恐れがありますが、当サービスにより早期に対象機器を特定することができ、迅速かつ的確な対応が可能となり、事業への影響を最小限に抑えることができます。また、設備の納入時期や過去の修理履歴といった情報をクラウド上で一元管理できるため、バッテリーの交換や設備のリニューアルを行う最適な時期を把握することで、お客さまに安心して放送設備をご利用いただけます。
・さまざまなシステムやソリューションと連携可能なネットワーク放送システム「IPオーディオシリーズ」3機種を発売しました。
「IPオーディオシリーズ」は、放送システムをネットワークに組み込むことで、SIP電話やVMSソフトウェア(防犯カメラ、インターカムシステムなど)といった外部システムを通じた音声放送や、IoTセンサーやAIによるセンシングと連携した自動放送などが可能です。今回、2020年8月に発売した「IPホーンスピーカー」に加え天井埋込型のスピーカーや周辺機器を拡充し、屋内環境に対応いたしました。
また本シリーズの特徴として、機器自身に最大20種類の音源を登録でき、放送の優先度設定や音量制御をスピーカー単位で設定できるなど、従来のアナログ放送に比べてより緻密で柔軟なシステムを構築できます。これにより、ネットワーク上にあるさまざまなシステムと連携し、適切な情報を適切なタイミングと音量で必要な人に届けられる、きめ細やかな放送ソリューションをご提供できます。
・高画質の防犯カメラシステム「AHDカメラシステム」をリニューアルし、カメラ10機種を発売しました。
「AHDカメラシステム」の箱型カメラ5機種とドーム型カメラ5機種の計10機種を発売し、屋内外や暗い場所での監視など、幅広い使用用途に合わせてラインアップを拡充しました。一部の機種ではデザインも刷新し、防犯カメラとして目立たせたくない環境にも好適です。
今回のリニューアルでは、AHDカメラとCVカメラ(従来のアナログカメラ)の機能を統合し、カメラ本体でAHD規格の映像とNTSC規格の映像を切り替えて出力することができます。これにより、既設配線を流用したCVカメラからのフルリニューアルはもちろん、既存システムと組み合わせた部分的な更新需要にも対応できます。
