【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 当期の経営成績
当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の経済概況は、利上げによる株価下落や米ドル高がみられ、サプライチェーン混乱・ウクライナ侵攻等で、インフレが進行しました。
国内消費は、電気・ガス料金をはじめ諸物価の高騰があり、人の移動が多い時期がコロナ禍第7波・第8波となるなど、サービス需要の回復は限定的でした。
外食産業全般では、営業制限はなくなったものの、夜間消費・インバウンド消費は回復せず、労働力未充足等の問題も引き続き、業態・立地の違いによる回復の差が継続しました。
このような環境下で当社グループは、企業改革を進めるために一層の資本充実を図るべく、12月に第三者割当による新株式および第6回新株予約権(行使価額修正型新株予約権転換権付)の発行を行いました。なお、2021年1月に発行した第5回新株予約権は、当連結会計年度の7月までに行使が全て完了し、その資金調達は総額266百万円となっています。
当連結会計年度の出退店等としては、出店21店舗(愛知県9店舗・京都府5店舗・岐阜県4店舗・滋賀県2店舗・静岡県1店舗)、フランチャイズ店から直営店への切換え1店舗、直営店からフランチャイズ店への切換え3店舗、業態転換10店舗、改装12店舗、および退店5店舗(愛知県2店舗・三重県2店舗・広島県1店舗)でした。
以上の結果、当連結会計年度末のグループ店舗数は128店舗(直営店118店舗およびフランチャイズ店10店舗、前年同期比16店舗の増加)となり、それらの内訳は下表の通りです。なお、当連結会計年度の末日にあたる3月31日の営業をもって退店した2店舗は表中の店舗数から除外しています。
(単位:店舗)
部門/業態
当連結会計年度末店舗数
前期 末比
関東
地区
東海
地区
関西
地区
中国
地区
九州
地区
合 計
128
+16
8
101
13
3
3
ラーメン部門 小計
53
-1
3
49
–
1
–
一刻魁堂
41
-4
3
37
–
1
–
有楽家
11
+5
–
11
–
–
–
ロンフーエアキッチン
1
±0
–
1
–
–
–
桶狭間タンメン
0
-2
–
–
–
–
–
中華部門 小計
18
-2
1
8
5
1
3
ロンフーダイニング
17
+2
1
7
5
1
3
ロンフーキッチン加木屋中華
1
±0
–
1
–
–
–
ロンフービストロ
0
-3
–
–
–
–
–
ロンフーパティオ
0
-1
–
–
–
–
–
その他部門 小計
57
+19
4
44
8
1
–
コメダ珈琲店
9
+1
4
5
–
–
–
ドン・キホーテ
2
±0
–
2
–
–
–
ドンキカフェ
1
±0
–
1
–
–
–
猪の上
1
+1
–
1
–
–
–
50年餃子
34
+13
–
29
5
–
–
桶狭間フーズ株式会社
生ギョーザ直売所
0
-1
–
–
–
–
–
一刻魁堂(フランチャイズ店)
3
±0
–
3
–
–
–
有楽家(フランチャイズ店)
1
+1
–
1
–
–
–
ロンフーダイニング(フランチャイズ店)
1
+1
–
–
–
1
–
50年餃子(フランチャイズ店)
5
+3
–
2
3
–
–
企業理念浸透を中心に人材育成・組織強化を図りつつ、低収益業態の撤収を進め、外食事業では、主力業態「一刻魁堂」のリブランディングをスタートさせ、新業態開発にも取り組み、中食事業では「50年餃子」を積極出店しました。また、フランチャイズ事業の強化を目的として7月に連結子会社「JBシンフォニー株式会社」を設立し、加えて2月に桶狭間フーズ株式会社の外販事業を同社へ事業譲渡することで、各子会社の事業効率化を進めました。
これらの結果、外食直営店の既存店売上高は前年同期比116.3%となりました。
原価面では、外食事業での販売価格改定等を実施しましたが、売上原価率30.8%となり同0.3ポイント悪化しました。
販売費及び一般管理費面では、エネルギーコストの急騰が厳しく、加えて前年同期間のコロナ禍による固定費の特別損失への振替が無くなった反動もあり、その売上高に占める割合は73.3%となり、同1.6ポイントの悪化となりました。
以上により、当連結会計年度の売上高は7,117百万円(前年同期比16.7%の増収)となりました。
利益面では、営業損失288百万円(前年同期は営業損失131百万円)、経常損失290百万円(同経常損失128百万円)となりました。
また、コロナ禍に関連し助成金収入130百万円を特別利益に計上する一方、5店舗の退店を決定したことによる減損損失79百万円、業態転換10店舗・改装12店舗に伴う固定資産除却損28百万円および退店に伴う損失10百万円、総額118百万円を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は318百万円(同親会社株主に帰属する当期純利益297百万円)となりました。
部門別の状況は、次のとおりです。
(ラーメン部門)
当部門はラーメンを主体とした外食事業の直営店で構成されます。
当連結会計年度の新規出店は「有楽家」1店舗(岐阜茜部店)で、「一刻魁堂」1店舗(豊川インター店)をフランチャイズ店から直営店に切換えると同時に「有楽家」へと業態転換し、その他に「桶狭間タンメン」2店舗(米津橋店・岐阜県庁前店)および「一刻魁堂」3店舗(松阪店・浜松ささがせ店、安城店)の計5店舗を「有楽家」へと業態転換しました。一方で「一刻魁堂」1店舗(一宮千秋店)および「有楽家」1店舗(片場店)を直営店からフランチャイズ店に切換え、「有楽家」1店舗(松阪店)を退店した結果、「桶狭間タンメン」は業態撤収し、「有楽家」は11店舗に拡大しました。改装は、「一刻魁堂」8店舗(豊明店・半田店・土岐店・美和店・清須店・港店・木曽川店・東浦店)でした。
これらの結果、当連結会計年度末の当部門の店舗数は53店舗(前年同期比1店舗減少)となり、その内訳等は、前掲の表の通りです。
各業態で売価見直しを行い、「一刻魁堂」では、タレントを起用したテレビCMの継続等で来店動機の拡大を図りつつ、12月の清須店の改装を皮切りに業態リブランディングに着手し、当連結会計年度中に4店舗で実施しました。「有楽家」では、店舗数拡大による認知度向上等の効果がみられる一方で、原材料の値上がりが直撃しました。航空需要に直結する「ロンフーエアキッチン」は、限定的な回復に留まりました。
以上の結果、当部門の既存店売上高は前年同期比115.5%となり、客数は同111.5%となりました。
また、部門合計の売上高は4,216百万円(前年同期比17.8%の増収)となり、連結売上高全体に占める割合は59.2%(同0.5ポイントの増加)となりました。
(中華部門)
当部門は中華料理を主体とした外食事業の直営店で構成されます。
当連結会計年度の新規出店はなく、「ロンフーダイニング」1店舗(LECT広島店)を直営店からフランチャイズ店に切換え、「ロンフーダイニング」1店舗(イオンモール広島府中店)を退店しました。また「ロンフービストロ」3店舗(モゾワンダーシティ名古屋店・LECT広島店・KITTE名古屋店)および「ロンフーパティオ」1店舗(名古屋パルコ店)を「ロンフーダイニング」へ業態転換することで、「ロンフービストロ」および「ロンフーパティオ」の両業態は撤収とし、業態統一による効率向上を図りました。改装は「ロンフーダイニング」2店舗(イオンモール伊丹店・博多1番街店)でした。
これらの結果、当連結会計年度末の当部門の店舗数は18店舗(前年同期比2店舗の減少)となり、その内訳等は、前掲の表の通りです。
中華部門の店舗は、「ロンフーキッチン加木屋中華」を除く全17店舗が大商圏型ショッピングセンターおよび駅ビル内立地の店舗であり、コロナ禍の影響が継続し、本格的な売上高の回復には至りませんでした。
以上の結果、当部門の既存店売上高は前年同期比119.4%となり、客数は同113.7%となりました。
また、部門合計の売上高は1,459百万円(前年同期比12.7%の増収)となり、連結売上高全体に占める割合は20.5%(同0.7ポイントの減少)となりました。
(その他部門)
当部門は、ラーメン・中華以外の直営店外食事業として、当社グループがフランチャイジーとして運営する喫茶店の「コメダ珈琲店」、直営の洋食店「ドン・キホーテ」、「ドンキカフェ」、および当社初のファストカジュアル業態として新開発し出店した「猪の上」、また直営の中食事業として無人販売所「50年餃子」および製造食材の卸売り事業、ならびに当社のフランチャイズ事業として「一刻魁堂」、「有楽家」、「ロンフーダイニング」および「50年餃子」におけるフランチャイジーからの収益により構成され、期中に撤収した「桶狭間フーズ株式会社生ギョーザ直売所」の業績も含まれます。
当連結会計年度に、当部門外食事業直営店舗の新規出店は、「コメダ珈琲店」1店舗(阿久比店)および「猪の上」1店舗(岐阜県庁前店)でした。改装は1店舗「コメダ珈琲店」(東小金井店)で、退店はありませんでした。中食事業では「50年餃子」15店舗(豊川豊川インター南店・安城緑店・一宮大毛店・半田岩滑店・半田青山店・岡崎河原店・四条大宮店・伏見大手筋店・西京極店・七条堀川店・草津西大路店・可児広見店・港区本宮店・尾張旭東印場店・土岐国道19号店)を新規に出店しましたが、そのうち2店舗(豊川豊川インター南店・松阪宮町店)は退店し、1店舗(東浦生路店)を改装しました。また「桶狭間フーズ株式会社生ギョーザ直売所」(藤が丘effe店)を退店し、同業態を撤収しました。フランチャイズ事業では、「50年餃子」3店舗(甲賀水口店・浜北区中条店・宇治六地蔵店)を新規に出店し、「一刻魁堂」(一宮千秋店)、「有楽家」(片場店)、および「ロンフーダイニング」(LECT広島店)の3店舗を直営店からフランチャイズ店へと切換える一方で、フランチャイズ店から直営店への切換え1店舗(豊川インター店)がありました。
これらの結果、前連結会計年度中より、グループ戦略として当部門の拡大を推進したこともあり、当連結会計年度末の当部門の店舗数は57店舗(前年同期比19店舗の増加)となり、その内訳等は、前掲の表の通りです。
当連結会計年度は、当部門の外食事業としては、新業態の「猪の上」(鶏肉の丼とカラアゲ定食のファストカジュアル業態)を開発し12月に出店しました。また、フランチャイジーとして運営する「コメダ珈琲店」は順調に推移し、「ドン・キホーテ」および「ドンキカフェ」に関しても、前連結会計年度の終わりにローカルテレビ番組で店舗が取り上げられた好影響もあり、売上高は好調に推移しました。
これらの結果、当部門の直営店外食事業の既存店売上高は前年同期比115.4%となり、客数は同105.8%となりました。
「中食事業」では「50年餃子」の店舗数拡大により売上高は同166.8%と急伸し、「卸売り事業」も販売先の外食企業等の業績回復傾向に伴い同120.5%と伸びました。
また、フランチャイズ事業は、小売フランチャイズ店は増加しましたが、上半期までの外食フランチャイズ店減少の影響が残り「フランチャイズ事業収入」は同90.6%と減少しました。
以上の結果、当部門合計の売上高は1,441百万円(前年同期比17.7%の増収)となり、連結売上高全体に占める割合は20.2%(同0.2ポイントの増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,454百万円となりました。
なお、連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により得られた資金は122百万円となりました。これは、主に税金等調整前当期純損失278百万円、法人税等の支払額が358百万円である一方、減価償却費250百万円、未収入金の減少額115百万円、減損損失79百万円、未払金の増加額53百万円、仕入債務の増加額49百万円、およびその他200百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により支出した資金は418百万円となりました。これは、主に出店及び改修等に伴う有形固定資産の取得による支出378百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により支出した資金は259百万円となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出779百万円の一方で、長期借入れによる収入400百万円、および株式の発行による収入125百万円によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、飲食事業ならびにこれらの付帯業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しています。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりです。
品目
生産高(千円)
前年同期比(%)
麺
147,277
128.4
チャーシュー
162,599
101.7
ギョーザ
91,127
57.3
マーボーミンチ
62,705
109.7
その他
309,314
87.5
合計
773,022
91.6
(注)1 上記は名古屋センター、有松工場における生産実績です。
2 金額は製造原価によって表示しています。
3 その他は、タレ・調味料等です。
b.受注実績
当社グループは、受注販売をしていないため、該当項目はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を部門別に示すと、次のとおりです。
部門
販売高(千円)
前年同期比(%)
ラーメン部門
4,216,855
117.8
中華部門
1,459,957
112.7
その他
1,441,170
117.7
合計
7,117,984
116.7
(注)その他は、食材売上、その他部門の売上およびFCロイヤルティ収入です。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態および経営成績等の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末における流動資産は2,177百万円となり、前連結会計年度末に比べ582百万円減少しました。主な要因は、長期借入金の返済等により現金及び預金555百万円、および未収入金66百万円が、それぞれ減少したことによるものです。
固定資産は3,111百万円となり、前連結会計年度末に比べ139百万円増加しました。主な要因は、出店および改修等により有形固定資産が172百万円増加したことによるものです。
流動負債は1,911百万円となり、前連結会計年度末に比べ107百万円増加しました。主な要因は、未払法人税等が266百万円減少した一方で、未払金171百万円、未払消費税等93百万円、および預り金64百万円が、それぞれ増加したことによるものです。
固定負債は2,281百万円となり、前連結会計年度末に比べ380百万円減少しました。主な要因は、長期借入金が358百万円減少したことによるものです。
b.経営成績
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①当期の経営成績」に記載のとおりです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.資金需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、店舗食材などの原材料の仕入、販売費および一般管理費等の営業・本社費用であります。また、設備資金需要の主なものは、新規出店・店舗改装、名古屋センターおよび有松工場の投資費用等です。
運転資金および設備資金については、主に金融機関からの借入れにより調達しています。
c.財務政策
当社グループは現在、運転資金については、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については金融機関からの短期借入れによる資金調達を行っています。設備資金については事業計画に基づき、長期借入金により、調達しています。当連結会計年度末現在、1年以内返済予定の長期借入金の残高は743百万円、長期借入金の残高は1,965百万円となっています。
なお、当社グループではバランスシートの改善として下記のとおり取り組んでいます。
(イ)新規出店先条件の的確な判断や収益性の向上が図れない店舗の業態転換、または退店などの設備投資の効率的な配分。
(ロ)各業態の成長性および収益性の一層の向上と多店舗化を推進する一方、借入金返済等により有利子負債を削減し、健全な財務体質確立。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。