【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営成績の状況当第1四半期連結累計期間(以下、当期)の日本経済は、緩やかな回復が続きました。物価上昇が、家計や企業活動に影響を及ぼしているものの、個人消費は持ち直し過程にあり、企業も堅調な業績を背景にDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資を進めています。一方、世界経済は世界的な金融引き締めの影響を受け、一部の地域に弱さがみられながらも底堅さを維持しています。
日本の株式市場は、海外投資家を中心にした買いが原動力となり、当期を通じて上昇基調を維持しました。4月に来日した米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株を買い増す意向を示し、日本株に注目が集まりました。さらに円安による日本株の値頃感や日銀による金融緩和の継続は追い風となりました。東京証券取引所が上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営の実践を要請したことは国内外の投資家による企業のガバナンス改革への期待を高めました。日経平均株価は5月17日に2021年9月28日以来、1年8カ月ぶりに終値で3万円を回復しその後も上昇基調が続きました。6月13~14日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを一時停止する一方、年内2回の利上げを示唆しましたが、利上げサイクルが終盤に近づいたことが意識され海外投資家による日本株買いを支援しました。日経平均株価は6月16日に3万3,706円と1990年3月以来、およそ33年ぶりの高値をつけ、その後はやや軟調に推移し3万3,189円で当期末を迎えました。
外国為替市場では、日本が金融緩和を維持している一方、米国では高インフレ抑制のための金融引き締めが継続しており、こうした日米の金融政策の方向性の違いから円売り・ドル買いが進みました。対ドルの円相場は期初1ドル=130円台前半でしたが、当期末は1ドル=140円台半ばで終えました。
日本の新興株式市場で、東証マザーズ指数は6月に入って急騰し6月21日に864となり、終値としては 2022年1月以来、約1年5カ月ぶりの高値をつけました。ただ、その後は勢いが弱まり815で当期末を迎えました。
東証グロース市場で、東証グロース市場指数は6月21日に1,092まで上昇し、2022年4月の指数算出以来の高値をつけましたが、その後は短期的な上昇の反動もあり、1,036で当期末を迎えました。
当期における東証プライム市場の一日平均売買代金は3兆8,364億円、スタンダード市場の一日平均売買代金は1,461億円、グロース市場の一日平均売買代金は1,910億円となりました。
当社は、このような環境下、お客様本位の「ストック型ビジネスモデル」の構築を目指して、引き続き、「改革の断行」に取り組んでおります。本年4月からは、新中期経営計画「3・D」をスタートし、「預り資産3兆円」、ファンドラップと投資信託による「ストック型資産の倍増(Double)」を目指しております。
株式につきましては、長期化する低金利環境の下で安定性と配当に注目した資産株のご提案に加え、当社グループの強みであるリサーチ力を生かした中小型成長企業への投資のご提案をするなど、引き続きお客様の中長期における資産形成としての株式投資をお勧めして参りました。
いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」につきましては、お客様の保守的な資産の中長期運用商品としてのニーズが引き続き拡がっており、当期末の残高は2,227億円(前年同期末比16.6%増)となりました。
投資信託(ラップを除く)につきましては、「ブラックロック世界好配当株式オープン(愛称:世界の息吹)」や「いちよし日本好配当株&Jリートファンド(愛称:明日葉(あしたば))」「いちよし・グローバル株式ファンド(愛称:いちばん星)」等、お客様のニーズに即した提案に努めて参りました。当期末の残高は、7,548億円(前年同期末比2.1%増)となりました。
グループのいちよしアセットマネジメントにおきましては、運用資産残高が引き続き増加し、当期末の運用資産残高は4,662億円(前年同期末比12.1%増)となりました。
以上の結果、当社グループの純営業収益は45億69百万円(前年同期比5.4%増)となりました。また、販売費・一般管理費は39億46百万円(同0.1%減)となり、差し引き営業利益は6億22百万円(同62.5%増)となりました。
なお、当期末の預り資産は、2兆605億円(前期末比8.0%増)となりました。
また、当社が収支構造の安定化と「ストック型ビジネスモデル」への進捗状況を示す重要な経営指標の一つと位置付けておりますコストカバー率(投資信託の信託報酬やラップフィー等のいわゆる安定収益の販管費に対する比率)は、56.3%(前年同期比4.5ポイント増)となりました。
主な内訳につきましては以下のとおりです。① 受入手数料受入手数料の合計は44億71百万円(前年同期比5.4%増)となりました。委託手数料:株券の委託手数料は13億83百万円(前年同期比27.4%増)となりました。このうち、中小型株式(東証スタンダード、東証グロース、名古屋メイン、名古屋ネクスト)の委託手数料は2億3百万円(同26.1%増)となり、株券委託手数料に占める中小型株式の割合は14.8%となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料:投資信託に係る手数料が6億86百万円(前年同期比13.2%減)となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料の合計は6億98百万円(同13.2%減)となりました。
その他の受入手数料:その他の受入手数料は、当社の受益証券残高に係る信託報酬が10億21百万円(前年同期比1.6%増)、いちよしアセットマネジメントの運用に係る信託報酬が5億11百万円(同7.7%増)となり、これに当社のファンドラップに係るフィー等6億88百万円(同21.4%増)等を加え、合計23億65百万円(同8.2%増)となりました。
② トレーディング損益株券等のトレーディング損益は、15百万円(前年同期比752.8%増)の利益となりました。債券・為替等のトレーディング損益は、4百万円(同10.6%減)の利益となりました。その結果、トレーディング損益合計は20百万円(同181.7%増)の利益となりました。
③ 金融収支金融収益は、44百万円(前年同期比0.6%増)、金融費用は、11百万円(同23.5%増)となり、差し引き金融収支は33百万円(同5.5%減)となりました。
以上の結果、当期の純営業収益は45億69百万円(前年同期比5.4%増)となりました。
④ 販売費・一般管理費販売費・一般管理費は、取引関係費の減少等により、39億46百万円(前年同期比0.1%減)となりました。
⑤ 営業外損益営業外収益が、投資有価証券配当金10百万円等で19百万円となり、差し引き19百万円(前年同期比20.4%増)の利益となりました。
以上の結果、当期の経常利益は6億42百万円(前年同期比60.7%増)となりました。
⑥ 特別損益特別利益は投資有価証券売却益等で47百万円、特別損失は和解金で0百万円となり、差し引き47百万円(前年同期比47百万円の増加)の利益となりました。
これらにより、税金等調整前四半期純利益は6億89百万円(前年同期比72.6%増)となりました。これに法人税、住民税及び事業税1億90百万円及び法人税等調整額20百万円を減算した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は4億78百万円(同82.1%増)となりました。
(2)財政状態の状況① 資産前期末に比べて26億90百万円(6.3%)増加し、453億60百万円となりました。これは、現金・預金が26億41百万円増加したこと等によるものです。
② 負債前期末に比べて27億85百万円(18.8%)増加し、176億29百万円となりました。これは、預り金が38億2百万円増加したこと等によるものです。
③ 純資産前期末に比べて95百万円(0.3%)減少し、277億31百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益4億78百万円を計上したものの、配当金の支払い5億73百万円があったこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は61.1%(前期末は65.2%)となりました。また、当社の自己資本規制比率は529.3%(前期末は505.8%)となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動該当事項はありません。
(5)主要な設備該当事項はありません。
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