【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営成績の状況当第3四半期連結累計期間(以下、当期)の日本経済は、各種の政策効果もあり緩やかな回復傾向を辿りました。物価上昇の広がりがみられるものの、個人消費やコロナ禍で先送りされていた企業の設備投資も持ち直しが続きました。一方、世界経済は40年ぶりのインフレ圧力の高まりを受けて、世界の主要な中央銀行が金融引き締め政策に転換したことで、減速傾向となりました。日本の株式市場は、円安・ドル高による企業収益の改善期待の一方で、記録的なインフレに対応して世界の主要な中央銀行が進める金融引き締め政策の影響により、調整色が強まりました。8月は中旬にかけて米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めへの過度な警戒感がひとまず和らぎ8月17日に、日経平均株価は高値2万9,222円をつけ、1月5日以来7カ月ぶりに節目の2万9,000円台を回復しました。しかし、反発も一時的で、急激な利上げによる米景気の後退懸念やFRBのタカ派姿勢の継続で米国株が急落し、日本株にも売りが波及しました。12月も米欧の中央銀行により利上げが続いたことに加えて、日銀が下旬に想定外と受け止められた金融政策の修正(長期金利の変動幅を、従来の±0.25%程度から±0.5%程度に拡大)に動いたことを受けて円高・ドル安が進んだことで、企業業績に対する影響が警戒された輸出関連企業の株価が急落し、日経平均株価は2万6,094円で当期末を迎えました。外国為替市場では、日米の金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが進み、10月21日には1ドル=151円93銭をつけましたが、その後は米国のインフレにピークアウトの兆しがみえたことで、米長期金利が急低下し、円安一服となりました。また、12月中旬の日銀による金融政策の修正は円買い・ドル売りを強め、当期末は1ドル=130円台後半で終えました。日本の新興株式市場で、東証マザーズ指数は6月20日に615をつけ、終値としては2020年4月以来、約2年2カ月ぶりの安値となりました。その後、12月1日には806まで上昇しましたが、730で当期末を迎えました。東証グロース市場では、相対的な割高感が意識された高PER(株価収益率)銘柄が売られ、東証グロース市場指数は6月20日に安値781まで下げました。しかしその後は、成長性を評価したグロース銘柄への見直し買いもあり、927で当期末を迎えました。当期における東証プライム市場の一日平均売買代金は3兆2,913億円、スタンダード市場の一日平均売買代金は895億円、グロース市場の一日平均売買代金は1,373億円となりました。
当社は、このような環境下、お客様本位の「ストック型ビジネスモデル」の構築を目指して、引き続き「改革の断行」に取り組んでおります。また本年は、「ストック型ビジネスモデル」構築のために策定いたしました中期経営計画「アタック3」の最終年度となっております。当社の強みであるいちよしのグループ力(いちよし証券のアドバイス力、いちよし経済研究所のリサーチ力、いちよしアセットマネジメントの運用力)とコンプライアンス力(お客様満足度)を最大限に活かし、数値目標であります預り資産3兆円への拡大とコストカバー率60%達成にむけて、より強力に取り組みを進めております。
株式につきましては、低金利環境、高インフレの下で安定性と配当に注目した資産株のご提案に加え、当社グループの強みであるリサーチ力を生かした中小型成長企業への投資のご提案をするなど、お客様の中長期における資産形成としての株式投資をお勧めして参りました。いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」につきましては、お客様の保守的な資産の中長期運用商品としてのニーズが引き続き拡がっており、当期末の残高は2,005億円(前年同期末比9.2%増)となりました。投資信託(ラップを除く)につきましては、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」や「いちよし日本好配当株&Jリートファンド(愛称:明日葉(あしたば))」「いちよし・グローバル株式ファンド(愛称:いちばん星)」「いちよし中小型成長株ファンド(愛称:あすなろ)」等、お客様のニーズに即した提案に努めて参りました。当期末の残高は、7,021億円(前年同期末比12.1%減)となりました。グループのいちよしアセットマネジメントにおきましては、ファンドラップの契約が増加したものの、投資信託の基準価格が下落した影響等により、当期末の運用資産残高は4,232億円(前年同期末比3.3%減)となりました。
以上の結果、当社グループの純営業収益は126億7百万円(前年同期比17.7%減)となりました。また、販売費・一般管理費は116億11百万円(同5.9%減)となり、差し引き営業利益は9億95百万円(同66.5%減)となりました。
なお、当期末の預り資産は、1兆8,500億円(前期末比5.2%減)となりました。
また、当社が収支構造の安定化と「ストック型ビジネスモデル」への進捗状況を示す重要な経営指標の一つと位置付けておりますコストカバー率(投資信託の信託報酬やラップフィー等のいわゆる安定収益の販管費に対する比率)は、53.8%(前年同期比0.9ポイント増)となりました。
内訳につきましては以下のとおりです。① 受入手数料受入手数料の合計は123億7百万円(前年同期比17.1%減)となりました。
委託手数料:株券の委託手数料は33億73百万円(前年同期比19.0%減)となりました。このうち、中小型株式(東証スタンダード、東証グロース、名古屋メイン、名古屋ネクスト)の委託手数料は5億40百万円(同26.8%減)となり、株券委託手数料に占める中小型株式の割合は16.0%となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料:発行市場では、主幹事2社を含む新規公開企業9社(前年同期は主幹事3社を含む新規公開企業34社)の幹事・引受シンジケート団に加入いたしました。また、既公開企業に係る公募・売出しはありませんでした(前年同期は6社)。この結果、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は1億29百万円(前年同期比78.0%減)となりました。当期末における累計引受社数は1,199社(うち主幹事66社)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料:投資信託に係る手数料が20億円(前年同期比33.5%減)となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料の合計は20億34百万円(同33.3%減)となりました。
その他の受入手数料:その他の受入手数料は、当社の受益証券残高に係る信託報酬が30億25百万円(前年同期比3.6%減)、いちよしアセットマネジメントの運用に係る信託報酬が14億79百万円(同8.2%増)となり、これに当社のファンドラップに係るフィー等17億39百万円(同14.2%減)等を加え、合計66億49百万円(同4.0%減)となりました。
② トレーディング損益株券等のトレーディング損益は、33百万円(前年同期比75.8%減)の利益となりました。債券・為替等のトレーディング損益は、14百万円(同7.4%増)の利益となりました。その結果、トレーディング損益合計は48百万円(同68.4%減)の利益となりました。
③ 金融収支金融収益は、信用取引貸付金の期中平均残高の減少により1億24百万円(前年同期比25.3%減)、金融費用は、25百万円(同11.9%減)となり、差し引き金融収支は99百万円(同28.1%減)となりました。
以上の結果、当期の純営業収益は126億7百万円(前年同期比17.7%減)となりました。
④ 販売費・一般管理費販売費・一般管理費は、人件費の減少等により、116億11百万円(前年同期比5.9%減)となりました。
⑤ 営業外損益営業外収益が、受取保険金及び配当金22百万円等で62百万円となり、差し引き53百万円(前年同期比48.6%減)の利益となりました。
以上の結果、当期の経常利益は10億48百万円(前年同期比65.9%減)となりました。
⑥ 特別損益特別利益は投資有価証券売却益等で2百万円、特別損失は和解金等で2百万円となり、差し引き0百万円(前年同期比99.8%減)の利益となりました。
これらにより、税金等調整前四半期純利益は10億48百万円(前年同期比67.4%減)となりました。これに法人税、住民税及び事業税2億51百万円及び法人税等調整額1億24百万円を減算した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億72百万円(同70.5%減)となりました。
(2)財政状態の状況① 資産前期末に比べて9億21百万円(1.9%)減少し、470億13百万円となりました。これは、預託金が22億69百万円減少したこと等によるものです。
② 負債前期末に比べて8億64百万円(4.8%)増加し、187億35百万円となりました。これは、預り金が34億51百万円増加したこと等によるものです。
③ 純資産前期末に比べて17億86百万円(5.9%)減少し、282億78百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益6億72百万円を計上したものの、配当金の支払い12億68百万円及び自己株式の取得12億62百万円があったこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は60.1%(前期末は62.7%)となりました。また、当社の自己資本規制比率は523.6%(前年同期は516.5%)となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動該当事項はありません。
(5)主要な設備該当事項はありません。
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