【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものである。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
総資産は、前連結会計年度末に比べ849百万円増加し、190,853百万円となった。これは、主として受取手形、売掛金及び契約資産が減少したが、現金及び預金と棚卸資産が増加したことによる。負債は、前連結会計年度末に比べ2,089百万円増加し、148,174百万円となった。これは、主として賞与引当金が減少したが、その他流動負債とその他固定負債が増加したことによる。純資産は、前連結会計年度末に比べ1,239百万円減少し、42,678百万円となった。これは、主として為替換算調整勘定が減少したことによる。
②経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における国内経済は、訪日客の回復、人流の増加に伴い、サービス業を中心に回復基調であったが、自動車分野においては自動車生産台数は回復しつつあるものの力強さに欠け、電気・電子分野も生産回復には至っておらず、素材産業を取り巻く環境は厳しい状況が続いた。また、エネルギー価格の高騰や円安の進行によるコストの上昇、世界経済の減速による需要の減少などが製造業にマイナス影響をもたらしており、全体的な景況感は底を打ったものの、先行きが不透明な状況で推移した。
このような状況の下、当社グループは、2023年5月に新中期経営計画「G-STEP30 2nd(ジーステップ・サーティ ~セカンド)」を公表し、新しい中期経営計画の基本方針である、事業ポートフォリオの再構築、グローバル化の推進、事業基盤の整備を骨子とした各施策を推進した。
こうしたなか、需要の低迷に伴う販売の減少が影響し、当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比5.6%減収の27,940百万円となった。営業利益面では、販売の減少に加え、エネルギー価格の高騰や円安によるコストアップの影響が大きく、価格改定やコストダウンの効果を大きく上回り、676百万円の営業損失(前年同四半期は987百万円の利益)となった。なお、米ドルの上昇(円安基調継続)により外貨建資産の為替評価益を計上した結果、経常利益は同72.8%減益の762百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同88.4%減益の237百万円となった。
事業セグメント別の経営成績は次のとおりである。
なお、当第1四半期連結会計期間より、一部の連結子会社の報告セグメントを変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較している。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載している。
[高分子事業セグメント]
高分子事業セグメントでは、価格改定の実施と、高付加価値品の販売が伸長したことで増収となったが、エネルギー価格の上昇と、東南アジアにおける収益性悪化の影響を受け、減益となった。
フィルム事業では、包装分野においては、東南アジアにおいて需給緩和による販売競争の激化、販売価格の下落などの影響を受けた。工業分野においては、電子部品向けフィルムを中心に販売数量が減少した。これらの要因により、事業全体では減収減益となった。
樹脂事業では、自動車部品用途において回復の兆しが見られたが、電子部品用途においては国内外で最終製品の需要が減退していることなどにより、エンジニアリングプラスチックの販売は横ばい、機能樹脂は販売数量が減少した。海外において、円安の進行により円貨換算の売上は増加した。これにより、事業全体では増収減益となった。
以上の結果、高分子事業セグメントの売上高は12,727百万円(前年同四半期比0.3%増)、営業利益は167百万円(同87.2%減)となった。
[機能資材事業セグメント]
機能資材事業セグメントでは、建築土木用途は堅調であったが、電子材料用途の販売回復が遅れた影響が大きく、減収減益となった。
活性炭繊維事業では、海外向けの販売は伸長したが、国内では、浄水器用途や電気電子分野などで販売が伸びなかった。
ガラス繊維事業では、産業資材分野は、不燃テント等の建築土木用途の販売は堅調であったが、電子材料向けICクロスの販売が大幅に減少した。
ガラスビーズ事業では、道路用途は豪雨災害に伴う工事件数の減少により販売は低調であった。工業用途、反射材用途のいずれについても、販売は不調に終わった。
不織布事業では、インフラ資材用途の販売は堅調であったが、生活資材用途を中心に販売が減少した。
産業繊維事業では、フィルター用途や建築土木資材用途の需要は堅調で、販売状況は前年対比横ばいで推移した。
以上の結果、機能資材事業セグメントの売上高は7,938百万円(前年同四半期比11.2%減)、営業損失は666百万円(前年同四半期は142百万円の利益)となった。
[繊維事業セグメント]
衣料繊維事業では、前年から続いている原燃料高などのコストアップに対し、価格改定を実施した結果、採算是正が進んだが、産業資材用途およびグローバル販売が減少した影響もあり、営業赤字の解消には至らなかった。衣料繊維分野の販売は、主力のユニフォーム分野は堅調で、レディス衣料や寝装についても販売が回復した。
以上の結果、繊維事業セグメントの売上高は7,261百万円(前年同四半期比8.8%減)、営業損失は195百万円(前年同四半期は462百万円の損失)となった。
[その他]
その他の事業では、売上高は12百万円(前年同四半期比32.1%減)、営業損失は15百万円(前年同四半期は8百万円の損失)となった。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はない。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、881百万円である。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。