【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当連結会計年度は、各国政府による新型コロナウイルス感染防止対策と経済活動の両立が進んだことなどから、世界経済は概ね回復基調となったものの、ウクライナ情勢等による不透明感やそれに伴うエネルギーコストの上昇等に注視が必要な状況が続きました。
当社グループを取り巻く事業環境におきましても、感染者数の増減と連動して各種検査数が変動するなか、引き続き感染拡大防止に向けた対応が求められてきました。
このような環境の中、当社グループといたしましては安定的な事業継続性を実現するための経営基盤の強化や業務効率の改善を推進すべく、2022年10月よりH.U. Bioness Complexで全ての機器の稼働が開始いたしました。また、新型コロナウイルス関連の様々な検査製品・サービスの提供を継続するとともに、将来の持続的な成長を見据え、検査・関連サービス事業において株式会社東京セントラルパソロジーラボラトリーを、また臨床検査薬事業においてADx NeuroSciences N.V.、Fluxus, Inc.の買収をそれぞれ実施いたしました。
これらの結果といたしまして、当連結会計年度の売上高は260,908百万円(前期比4.4%減)となりました。新型コロナウイルス関連を除くベース事業は増収となった一方、主に検査・関連サービス事業における新型コロナウイルス関連検査が減収となったためです。
利益では、営業利益については、23,381百万円(前期比53.7%減)となりました。主に、検査・関連サービス事業における新型コロナウイルス関連検査の減収に伴う減益、H.U. Bioness Complexの稼働に伴う一時費用、減価償却費、ランニングコストの増加等により減益となりました。
経常利益については、主に営業利益の減少により、22,010百万円(前期比53.6%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益として固定資産売却益があったものの、主に経常利益の減少により、15,676百万円(前期比47.0%減)となりました。
① 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等
当社グループでは、将来の飛躍的かつ持続的な成長と収益力向上の観点から、連結売上高、連結営業利益およびEBITDAを、株主資本の効率的な運用の観点からROE(株主資本利益率)を、投下資本に対する収益性向上の観点からROIC(投下資本利益率)を、それぞれ重要な経営指標と位置付けています。
当連結会計年度の実績は、連結売上高が260,908百万円、連結営業利益が23,381百万円、EBITDAが43,076百万円、ROEが10.8%、ROICが7.0%となっております。
なお、個別プロジェクトの投資判断については、CEOの諮問機関である投資委員会が各案件の妥当性確認や論点整理するなど、決裁前の事前審査機能の強化を図り、投資後のモニタリングを実施しています。投資案件の評価においては、国別の資本コストに一定の事業リスクを反映したハードルレートを用いた評価を実施し、各事業部門に資本コストを意識した投資を促すとともに、これを上回るリターンの創出による中長期的な企業価値向上への寄与を重視しております。
② セグメントごとの経営成績
イ.検査・関連サービス事業(LTS)
売上では、がんゲノムを始めとした遺伝子関連検査を含むベース事業は伸長したものの、PCR検査、空港検疫所における包括的検査サポート、前期に実施した大規模イベント対応等の新型コロナウイルス関連検査売上が減少したことにより減収となりました。これらの結果、売上高は163,093百万円(前期比9.4%減)となりました。利益では、H.U. Bioness Complexの稼働に伴う一時費用、減価償却費、ランニングコストの増加、新型コロナウイルス関連検査における減収に伴う減益、エネルギーコストの増加等により営業利益は279百万円(前期比98.8%減)となりました。
ロ.臨床検査薬事業(IVD)
売上では、新型コロナウイルス関連製品の売上高が微減となったものの、円安による影響を含めたベース事業が伸長したことによって増収となりました。これらの結果、売上高は70,059百万円(前期比8.9%増)となりました。利益では、増収に伴う売上総利益の増加および為替影響があったものの、グループ内取引の減少に伴う利益減や研究開発費の増加等により営業利益は26,528百万円(前期比0.8%減)となりました。
ハ.ヘルスケア関連サービス事業(HS)
売上では、在宅・福祉用具事業が伸長した一方、滅菌関連事業の医材預託品販売の減少等によって減収となりました。これらの結果、売上高は27,755百万円(前期比3.2%減)となりました。利益では、人件費および将来成長に向けた先行費用の増加等により、営業利益は1,057百万円(前期比41.3%減)となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
検査・関連サービス事業(百万円)
159,778
90.3
臨床検査薬事業(百万円)
113,403
106.5
ヘルスケア関連サービス事業(百万円)
26,067
99.5
合計(百万円)
299,249
96.6
(注)金額は、販売価格換算によっております。
ロ.受注実績
当社グループは、役務又は商品等の受注から完了又は納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため記載を省略しております。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
検査・関連サービス事業(百万円)
163,093
90.6
臨床検査薬事業(百万円)
70,059
108.9
ヘルスケア関連サービス事業(百万円)
27,755
96.8
合計(百万円)
260,908
95.6
(注)主要な販売先については、総販売実績に対する割合が10%以上に該当する販売先がありませんので、記載を省略しております。
(2)財政状態の分析
前連結会計年度
(2022年3月31日)
当連結会計年度
(2023年3月31日)
増減
(百万円)
資産合計(百万円)
286,587
297,924
11,337
負債合計(百万円)
146,408
147,877
1,468
純資産合計(百万円)
140,178
150,047
9,868
自己資本比率(%)
48.9
50.3
1.4
(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ11,337百万円増加し、297,924百万円となりました。その主な要因は、流動資産その他の増加11,351百万円、工具、器具及び備品(純額)の増加7,068百万円、無形固定資産その他の増加5,808百万円、のれんの増加4,251百万円、建物及び構築物(純額)の増加2,835百万円があった一方、受取手形、売掛金及び契約資産の減少12,291百万円、建設仮勘定の減少6,318百万円、現金及び預金の減少2,304百万円があったためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,468百万円増加し、147,877百万円となりました。その主な要因は、長期借入金の増加6,300百万円、固定負債その他の増加3,299百万円、退職給付に係る負債の増加1,138百万円があった一方、未払法人税等の減少4,052百万円、未払金の減少2,552百万円、リース債務(固定)の減少2,288百万円があったためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ9,868百万円増加し、150,047百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益15,676百万円および為替換算調整勘定の増加3,142百万円があった一方、配当金の支払7,149百万円およびその他有価証券評価差額金の減少1,502百万円があったためであります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.4%増加し、50.3%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
(連結キャッシュ・フローの状況)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
増減
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)
55,229
32,535
△22,694
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)
△30,862
△29,583
1,278
フリー・キャッシュ・フロー(百万円)
24,367
2,951
△21,415
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)
△21,725
△5,757
15,967
現金及び現金同等物(百万円)
46,479
44,185
△2,294
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,294百万円減少し、44,185百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、32,535百万円(前期比41.1%減)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益22,907百万円、減価償却費19,491百万円、売上債権及び契約資産の減少額12,897百万円、その他の流動負債の増加額2,711百万円および持分法による投資損失1,953百万円があった一方、法人税等の支払額21,035百万円、固定資産売却益2,637百万円、未払消費税等の減少額2,337百万円および棚卸資産の増加額2,037百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、29,583百万円(前期比4.1%減)となりました。この主な要因は、有形固定資産の売却による収入2,813百万円があった一方、有形固定資産の取得による支出14,232百万円、子会社株式の取得による支出10,176百万円および無形固定資産の取得による支出7,454百万円があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、5,757百万円(前期比73.5%減)となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入10,000百万円があった一方、配当金の支払額7,139百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出4,277百万円、長期借入金の返済による支出4,036百万円および短期借入金の純減少額380百万円があったためであります。
(4)資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資、研究開発、借入金の返済ならびにこれらに係る利息の支払い、配当の支払い、法人税の支払いおよびM&Aであります。当社グループは、引き続き財務の健全性を保ちつつ、営業活動により相応のキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長に必要な資金調達が可能であると考えております。
短期運転資金は自己資本および金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入、社債又はその組み合わせによる調達を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債は77,164百万円であります。主なものは、社債35,000百万円、長期借入金25,000百万円、長期リース債務9,361百万円、短期リース債務4,103百万円および1年内返済予定の長期借入金3,700百万円であります。
また、当社は、緊急時の手元流動性を確保すること等を目的として、主要取引金融機関と総額200億円のコミットメントライン契約を締結しております。当該契約に基づく当連結会計年度末における借入実行残高はありません。
当社グループは、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)より格付A(安定的)を取得しており、引き続き格付けの維持・向上に努めてまいります。
(5)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを必要としており、経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績、将来計画やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計上の見積りおよび見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
会計上の見積りおよび見積りに用いた仮定のうち、重要なものおよびその補足事項については以下のとおりであります。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
a.投資有価証券の評価
市場価格のない株式等の評価は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が50%程度以上低下し、かつ実質価額の回復可能性がないと判断したときは、実質価額までの減損を行います。
また、当社グループで保有する関連会社に対する投資については、個別の投資の価値が下落し、その下落が一時的でないと判断される場合には、公正価値まで減損します。公正価値の算定は、主に外部専門家を利用しております。
翌連結会計年度において、投資先の財政状態の悪化により、投資有価証券の実質価額が著しく低下した場合には、評価損を計上する可能性があります。
b.企業結合取引の結果取得した無形資産の企業結合日時点における時価
当社グループは、企業結合取引の結果取得した無形資産の評価について、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチなどの合理的に算定された価額を基礎として算定しています。
企業結合により取得したのれんは、被取得企業の今後の事業展開によって期待される将来の超過収益力として、取得原価と被取得企業の識別可能資産および負債の企業結合日時点の時価との差額で計上しております。
無形資産の評価については、将来の収益および将来キャッシュ・フローの見積額について加重平均資本コスト等を基礎とした割引率を用いて現在価値に割り引いて算定しております。将来の収益および将来キャッシュ・フローの見積りには、対象となる無形資産を活用して得られると見積もられる収益、対象となる無形資産に関する開発品の上市時期、グローバル企業とのパートナーシップ締結を含むマイルストンの達成時期およびその確率、上市後の売上高および売上原価の予測等の多くの前提条件が含まれておりますが、これらの前提条件や割引率は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があります。
c.固定資産の評価
有形固定資産・無形固定資産については、資産又は資産グループに減損の兆候がある場合には、減損損失を認識するかどうかの判定を行います。当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識すべきと判定し、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額とし、正味売却価額は資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除しています。使用価値は資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算定します。
翌連結会計年度の業績が予算を大きく下回る場合や、将来キャッシュ・フローに重要な影響を与える事象が発生した場合には、減損損失を計上する可能性があります。
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