【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、本年3月21日に新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置が終了し、その後も段階的に海外からの入国制限が緩和されるなど、社会経済活動の正常化が期待されるところでありますが、一方でウクライナ危機に伴う世界的なエネルギー高や資源価格の高騰に加え、外国為替市場で長引く円安・ドル高やインフレへの警戒感が拭えない等、不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境としまして、医薬品市場は新型コロナウイルス感染症による行動制限も緩和され、需要状況は改善してきておりますが、衛生管理製品市場は、国内ドラッグストア業界においても、新型コロナウイルス感染症における急激な需要高騰後の反動により、マスクや消毒液等で苦戦しており、需要が伸び悩む厳しい状況に大きな変動は見当たりません。
当社グループの業績は、感染管理事業における需要の急激な減少に加え、本年1月20日及び4月15日に消費者庁から景品表示法に基づく措置命令を受けたことにより、対象製品の多くが店頭から撤去となるとともに、多額の返品が生じております。当第3四半期連結会計期間において、製品パッケージの表示を変更したリニューアル品の販売を開始致しておりますが、上記の返品影響をカバーするまでには至っておりません。
これらを背景に、当第3四半期連結累計期間の売上高は3,389百万円(前年同期は8,355百万円)となりました。また、措置命令に伴う販売量低下の影響により、棚卸資産評価損を売上原価に計上致しておりますため、差引売上総利益は476百万円(前年同期は3,826百万円)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、売上高の低下傾向を踏まえ、期首より広告宣伝費や販売促進費を中心に費用発生の抑制に取り組んだことや希望退職の実施により人件費が減少したこと等により、前年同期比2,178百万円の減少、率にして40.3%減少の3,226百万円となりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の営業損失は2,750百万円(前年同期は1,578百万円の営業損失)となりました。
営業外損益につきましては、円安による為替差益を計上した一方、前連結会計年度より引き続き感染管理事業の生産を停止していることから、工場で発生した製造関連費用を操業停止関連費用として営業外費用に計上しております。これらの結果、経常損失は2,898百万円(前年同期は2,389百万円の経常損失)となりました。また、本年6月に実施した希望退職者の募集に伴う希望退職関連費用226百万円を特別損失に計上しております。その結果、親会社株主に帰属する四半期純損失につきましては3,182百万円(前年同期は1,947百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
セグメント別の経営成績につきましては以下の通りであります。
(医薬品事業)
当第3四半期連結累計期間は、新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置が終了したことに加え、消費者の行動も徐々に元に戻りつつある状況の中で需要状況は改善してまいりましたが、セイロガン糖衣Aの一部原材料変更に起因する生産量低下によって供給不足が継続しております。また、正露丸につきましても、セイロガン糖衣Aの代替需要や他社製品欠品の影響を受け、高い需要状況で推移しておりますが、供給体制が追い付いておらず出荷制限をしながらの販売が継続しております。これらの結果、国内向けの医薬品売上高につきましては、前年同期比15.6%減少の1,904百万円となりました。また海外向けにつきましても、需要は回復傾向にあるものの、国内向けの生産を優先していることから海外向けの供給数量が不足し、前年同期比34.3%減少の502百万円となりました。
これらの結果、医薬品事業につきましては、対前年同期比20.4%減少の2,407百万円の売上高となりました。また、セグメント利益につきましては、売上高の減少や京都工場医薬品生産設備の稼働に伴う減価償却費等の増加等により、42百万円のセグメント損失(前年同期は1,009百万円のセグメント利益)となりました。
・外部顧客への売上高の内訳(医薬品事業)
(単位:百万円)
前第3四半期連結累計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年9月30日)
当第3四半期連結累計期間(注)
(自 2022年1月1日
至 2022年9月30日)
国内
2,257
1,904
海外
765
502
合計
3,022
2,407
(注)当第3四半期連結累計期間は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を期首から適用した数値を記載しております。
(感染管理事業)
感染管理事業につきましては、新型コロナウイルス感染症発生時における急激な需要高騰後の反動は続いており、当第3四半期連結累計期間におきましても、需要は低水準のまま推移致しました。また、本年1月20日に当社の衛生管理製品「クレベリン」のうち4品目に対し、消費者庁より景品表示法に基づく措置命令を受けました。これに伴い、多くの販売店では対象製品等の一時撤去が行われましたため、当事業の売上高はさらに低下する要因となりました。加えて本年4月15日には、感染管理事業の主要製品である「クレベリン置き型」2品目についても同様に措置命令を受けたことにより、更なる販売量の低下が見込まれましたため、これに伴い過剰となった棚卸資産の評価損を計上しております。なお、当第3四半期連結会計期間において措置命令の対象製品の表示の見直しは完了しており、リニューアル品の販売を開始しております。
これらの結果、売上高は976百万円(前年同期は5,327百万円)、セグメント損失は1,800百万円(前年同期は1,494百万円のセグメント損失)となりました。
・外部顧客への売上高の内訳(感染管理事業)
(単位:百万円)
前第3四半期連結累計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年9月30日)
当第3四半期連結累計期間(注)
(自 2022年1月1日
至 2022年9月30日)
国内:一般用
3,994
344
国内:業務用
1,019
509
海外
312
122
合計
5,327
976
(注)当第3四半期連結累計期間は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を期首から適用した数値を記載しております。
(その他事業)
その他事業につきましては、主に木酢液を配合した入浴液や園芸用木酢液等の製造販売を行い、売上高は5百万円(前年同期は5百万円)、セグメント損失は14百万円(前年同期は21百万円のセグメント損失)となりました。
②財政状態
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は16,474百万円(前連結会計年度末比6,061百万円減)となりました。また負債合計は6,655百万円(同3,072百万円減)、純資産合計は9,819百万円(同2,988百万円減)となりました。前連結会計年度末からの主な変動要因は、債権の回収に伴う受取手形及び売掛金の減少等による流動資産5,127百万円の減少や未払金及び返品調整引当金の減少等による流動負債2,137百万円の減少、長期借入金の返済等による固定負債935百万円の減少、また、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上等による純資産2,988百万円の減少等であります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、300百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの資金調達の基本方針について重要な変更はありません。
(7)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(8)生産、受注及び販売の実績
感染管理事業においては、新型コロナウイルス感染症流行後の急激な需要低下に起因し、在庫が過剰となったことから、前期の第2四半期連結会計期間から工場の生産を停止し、在庫調整を進めております。当第3四半期連結会計期間においても、販売状況に回復は見られないため、引き続き生産は停止し在庫調整が続いております。