【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。(1) 財政状態及び経営成績の状況
世界経済の状況 -景気回復遅れ 不透明な状況-
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)の世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に加え、中東情勢が緊迫化。地政学・カントリーリスクが世界の景気回復を遅らす大きな要因となっています。欧米は金融引き締めが継続し、米中摩擦や中国経済のシュリンクなどを原因として、グローバル経済の停滞が続いています。農業・漁業などの第一次産業、デジタル部品を含む製造業など、広い範囲で出口の見えない状況が続いています。
当社グループの業績 -減収減益 ライフサイエンスは堅調な伸び-
このような状況のなか、当社グループの当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は370,116百万円(前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)比2.8%減)、営業利益は12,606百万円(前年同期比39.4%減)、経常利益は12,741百万円(前年同期比43.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は8,897百万円(前年同期比46.3%減)となりました。厳しい需要環境下、当第2四半期連結会計期間(2023年7月1日~2023年9月30日)はすべての事業セグメントで第1四半期連結会計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)の収益水準並みかそれ以上となり、着実に回復が進んでいます。Material、E & I Technology、Performance Fibersで海外需要の停滞が続きましたが、Health Care、Nutrition領域は安定して収益に貢献しました。ポートフォリオ変革は着実に進んでいます。四半期純利益は、前第3四半期連結会計期間(2022年10月1日~2022年12月31日)以降、改善が続いています。
2024年3月期 第2四半期
連結業績 (単位:百万円)
2023年3月期第2四半期
2024年3月期第2四半期
前年同期比(同増減率)
売上高
380,602
370,116
△10,485(△2.8%)
営業利益
20,813
12,606
△8,206(△39.4%)
経常利益
22,518
12,741
△9,777
(△43.4%)
親会社株主に帰属する四半期純利益
16,568
8,897
△7,670
(△46.3%)
セグメント別売上高・営業利益
(単位:百万円)
売上高
営業利益
2024年3月期
前年同期比(同増減率)
2024年3月期
前年同期比(同増減率)
第1四半期
第2四半期
第2四半期累計
第1四半期
第2四半期
第2四半期累計
Material SU
77,659
78,814
156,474
△16,420(△9.5%)
5,513
6,610
12,123
△6,580(△35.2%)
Quality of Life SU
40,878
43,880
84,758
△2,436(△2.8%)
2,939
4,159
7,099
△1,569(△18.1%)
Health Care SU
17,745
18,448
36,193
2,200(6.5%)
2,967
2,926
5,893
△1,616(△21.5%)
Nutrition SU
46,037
46,006
92,043
6,073(7.1%)
2,277
2,298
4,575
2,472(117.6%)
その他
419
226
645
98(17.9%)
288
101
389
107(38.0%)
調整額
-
-
-
-
△8,381
△9,093
△17,475
△1,020(-)
計
182,740
187,376
370,116
△10,485(△2.8%)
5,603
7,002
12,606
△8,206(△39.4%)
2023年5月発表の経営計画‘いのちの経営’で、地球生命を健康にするテクノロジーとしてライフサイエンス領域を定義し、重点シフトに取り組んでいます。この領域であるMedical、Pharma、Supplemental Nutrition、乳製品、PV & Energy managementでは業容の更なる拡大に向けた施策を着実に進めており、Green Planet、食糧生産支援でも市場開発を加速させています。
各セグメントの状況は、次のとおりであります。
① Material Solutions Unit当セグメントは、欧米・アジアの景気停滞が長期化するなか、前第3四半期連結会計期間を底として回復基調にありますが、その戻る力は想定以上に弱く、売上高は156,474百万円と前年同期と比べ16,420百万円(9.5%減)の減収となり、営業利益は12,123百万円と前年同期と比べ6,580百万円(35.2%減)の減益となりました。Vinyls and Chlor-Alkaliは、塩ビ・か性ソーダともに中国経済の回復遅れやアジア市況の下落の影響を大きく受け、低調に推移しました。Performance Polymersのモディファイヤーは、欧米での高インフレ・高金利が継続し、建築用途の需給調整が長引いているなか、当第2四半期連結累計期間後半から非塩ビ向けやアジア市場の需要が回復基調にあります。エポキシマスターバッチ(MX)は、EVの構造接着剤向けを中心に順調に拡大し、新規用途での拡販も進めています。変成シリコーンポリマーは、需要が底を脱し、新地域・新規用途への拡販も進み、増益となりました。グローバルな需要増大に対応するため、ベルギーでの生産能力増強を進めています。生分解性バイオポリマー「Green Planet®」は、市場開発のキーとなる様々な加工技術や、求められる機能性向上のための配合技術が進み、バイオものづくり力の強化が進んでいます。日米欧の大手ブランドホルダーとの共同開発も順調に進んでいます。
② Quality of Life Solutions Unit当セグメントは、スマートフォン市場低迷が主要因で、売上高は84,758百万円と前年同期と比べ2,436百万円(2.8%減)の減収となり、営業利益は7,099百万円と前年同期と比べ1,569百万円(18.1%減)の減益となりました。Foam & Residential Techsのスチレン系発泡樹脂の需要は低調に推移したものの、価格改定などによりスプレッドが改善しました。発泡ポリオレフィンは、自動車向け需要が国内・海外ともに回復しています。全体としては増収増益となりました。PV & Energy managementは、住宅向け高効率太陽電池の販売が堅調に推移しています。新築住宅などへの太陽電池設置義務化の動きが全国に広がっており、更なる需要伸長を見通した生産基盤の強化を進めています。E & I Technologyは、スマートフォン市場の需要回復が見られるものの、足取りが想定より遅く、ポリイミド製品の販売回復が遅れています。本格的な回復時期は、第3四半期連結会計期間(2023年10月1日~2023年12月31日)以降と見込んでいます。大型TV向けアクリル樹脂及び有機EL向けポリイミドワニスの需要は底を脱し、堅調に推移しました。Performance Fibersは、アフリカ市場の出荷は第1四半期連結会計期間を底に回復しております。軽量・撥水・抗菌など高機能新製品の市場評価は高く、またアフリカの未開拓地域への販売拡大により需要増大の取り組みに注力しています。
③ Health Care Solutions Unit当セグメントは、Medicalは市場開拓が進み、堅調な業績となりました。Pharmaは一部出荷が第3四半期連結会計期間以降にずれ込みました。その結果、売上高は36,193百万円と前年同期と比べ2,200百万円(6.5%増)の増収となり、営業利益は5,893百万円と前年同期と比べ1,616百万円(21.5%減)の減益となりました。Medicalは血液浄化器・カテーテルともに国内外で販売が拡大し、業績は堅調に推移しました。一層の業容拡大を目的に米国市場で販売体制を強化しており、第4四半期連結会計期間(2024年1月1日~2024年3月31日)以降 一段の増収増益を目指しています。北海道の血液浄化器工場は来年春の稼働に向け、順調に建設を進めています。また、カテーテルのグローバル展開に対応すべく、生産拠点の新設の検討を急いでいます。
Pharmaは、コロナ禍の沈静化と顧客の出荷調整の影響を受けました。カネカユーロジェンテックのバイオ事業は、開発段階から量産まできめ細かい対応力を生かしたバイオ医薬の新規案件獲得、低分子医薬品は長年の実績をベースとした国内外市場での拡販に取り組んでいます。mRNAの能力増強工事は年末に完工予定であり、グローバル需要の増大に対応すべく、遺伝子疾患やがん治療薬用での採用を進めてまいります。
④ Nutrition Solutions Unit当セグメントは、Foods & Agris、Supplemental Nutritionともに好調を持続し、売上高は92,043百万円と前年同期と比べ6,073百万円(7.1%増)の大幅な増収となり、営業利益は4,575百万円と前年同期と比べ2,472百万円(117.6%増)の大幅な増益となりました。第3四半期連結会計期間以降も堅調な業績が見込まれます。Supplemental Nutritionでは、還元型Q10が米国・アジア・オセアニアなどで順調に販売を伸ばしています。販促活動を更に強化し、市場拡大を目指します。乳酸菌事業も拡販が進み、生産拠点の新設も検討を始めており、着実に販売を拡大させていきます。Foods & Agrisは、高付加価値品への販売シフト及びスプレッドの改善が大きく寄与しました。有機乳製品をはじめ付加価値の高い新規事業の拡大を進め、事業基盤を強化しています。カネカ食品では国内全拠点をカバーするカスタマーセンター設置などの業務革新を進め、収益力の向上に注力しています。
⑤ その他当セグメントの売上高は645百万円と前年同期と比べ98百万円(17.9%増)の増収となり、営業利益は389百万円と前年同期と比べ107百万円(38.0%増)の増益となりました。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産の増加に加え、設備投資の拡大による固定資産増加、円安による海外グループ会社の資産額増加等により、前連結会計年度末に比べ58,606百万円増の841,246百万円となりました。負債は、借入金の増加等により38,053百万円増の384,271百万円となりました。また、純資産は、円安による為替換算調整勘定の増加や保有株式の時価上昇によるその他有価証券評価差額金の増加等により20,552百万円増の456,974百万円となりました。この結果、自己資本比率は51.9%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の増加や法人税等の支払による支出の一方、税金等調整前四半期純利益や減価償却費等による収入により24,029百万円の収入(前年同期比13,616百万円増)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により30,642百万円の支出(前年同期比9,666百万円増)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出の一方、借入金の増加による収入があり9,873百万円の収入(前年同期比6,189百万円増)となりました。この結果、当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ4,201百万円増加し、44,900百万円となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの「経営方針、経営環境及び対処すべき課題」については、重要な変更又は新たな発生はありません。
(4) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は17,424百万円であります。